直葉の心境を歌った『ソードアート・オンライン』フェアリィ・ダンス編エンディングテーマ――春奈るなさんにインタビュー

　個性派ファッション誌『KERA！』の読者モデルの顔も持つ新世代の歌姫・春奈るなさん。『Fate/Zero』2ndシーズンのエンディングテーマを飾ったデビュー作『空は高く風は歌う』に続いてリリースされるシングルは、人気アニメシリーズ『ソードアート・オンライン』フェアリィ・ダンス編のエンディング・テーマ『Overfly』。艶のあるファルセット・ヴォイスを交えたダイナミックなサビとエネルギッシュなサウンド、もどかしい恋心を描いた歌詞が印象的な変化作だ。

　またc/wには切ないエモーションを閉じ込めたバラード『祈り』、話題のプロデューサー・マチゲリータ氏が作詞・作曲した『魔法の城、真実の書物。』をパッケージ。「三者三様の切なさを感じてほしい」と話す春奈さんに、詳しく話を訊いた。

――デビューから半年が経過して、心境の変化はありましたか？

春奈るな(以下、春奈)：歌うことがより楽しくなりましたね。聴いてくださっている方たちの存在がすごく大きくて。応援のメッセージなどもいただけるようになったことが、いまの自分の力になっています。普段は妄想しながら歌を歌っているんですけど、その妄想が濃くなってきているし、歌詞に対する感情がどんどん深くなってきているんですよ。感情表現というモノにすごく自信がついたし、だからこそ「歌うことってこんなに楽しかったんだ！」って改めて感じるようになりました。

　実は私、デビュー前は自分の歌声が好きじゃなかったんですよ。ずっと違和感があったんですけど、「私の声を好きだ」と言ってくれるファンのかたができたことで「もっと自信を持っていいんだな」と前向きになりました。歌手になることは小さいころからの夢だったので、みなさんの前で歌えることが凄く幸せだし、いますごく楽しいですね。

――今回のシングルではその自信が表れているような気がします。表現力も格段にアップしてますよね。

春奈：ありがとうございます！　そう言っていただけると嬉しいですね。変化を感じた半年だったので、そういう気持ちが出たのかもしれません。

――では新曲について具体的に聞いていきたいんですが、『Overfly』はどんな思いで歌った曲ですか？

春奈：『ソードアート・オンライン』フェアリィ・ダンス編に出てくる直葉ちゃんの(キリトに対する)切ない想いを綴った曲です。恋愛面で巻き起こるもどかしさを描いた曲で、一見切ないんですが「切なさのなかの希望」を感じる歌詞になっているので、アニメ視聴者のかたも共感できる歌詞になっていると思います。

　「切なさのなかの希望」っていうくらいだからこの曲は柔らかく歌いたかったんです。サビ部分は中間ファルセットをいかに地声っぽく聴かせるか練って、声を張り上げないように気を付けました。そのおかげですごく形になったというか。自分の声なのに何度聴いても新鮮さを感じますね。

――＜迷い立ち止まり傷ついては涙する＞主人公が＜すべてはそう自分次第／終わりも始まりも＞と自問自答しながらも前に向かって走っていく歌詞が印象的です。

春奈：＜すべてはそう自分次第／終わりも始まりも＞……この歌詞って生きていくなかで欠かせないワードだと思ってるんです。だから現実味を持って歌えました。ちょっと妄想を加えましたけど(笑)。
　
――アニメ『ソードアート・オンライン』は春奈さんの妄想が膨らみそうなストーリー展開ですよね(笑)。

春奈：そうなんです(笑)。まさに私の夢みたいな話というか。二次元が大好きなので、あの世界に入っていけたら前線に出て闘うんだろうなって想像しながら観ていますね。『ソードアート・オンライン』すごく凝ってるアニメだと思います。背景や細かいアイテムもすごくリアルで……。ああ、ナーヴギア欲しいなぁっていつも思いますね(笑)。

――(笑)2曲目のバラード『祈り』もまた『Overfly』の歌詞の内容とリンクしていますよね。

春奈：そうですね、これも直葉ちゃんの心境にリンクしてるんです。すごく切ない歌詞なんですけど……この中にも微かな希望があって。生きている中で切なさや悲しさを感じることってたくさんあると思うんですけど、それがあるから楽しいことをもっと楽しいって感じられるし、幸せを噛みしめられるんだなと歌詞を読んで思いました。なんというか……ひとつひとつの感情はムダじゃないんだなって。これを聴いてくださるかたもそういうことに気づいてもらえたら嬉しいですね。

――自分に振り向くことのない相手に対して＜いつの日か描いた君の夢叶うように／わたしは祈るだけ＞と願う曲ですけど、主人公がちょっと背伸びしている風にも取れるんですよね。でもそこに凛とした強さを感じるというか。

春奈：そうなんですよね。そこはすごく切ない部分で。あと＜大丈夫だよ／大丈夫だよ＞って繰り返す部分とか……自分で聴いていてももどかしくなります。実はこの曲に関してはわたしが恋しているとあるキャラクターを見ながら歌ったんです。

　そのキャラクターの画像をiPhoneのスライドショーで流しながら歌って……もう完全に私は彼に恋しているんで(笑)、自分の気持ちをぶつけました。そうしたらすごくリアルに歌うことができて。いつも頭のなかで妄想しているけど、目から飛び込んでくると出てくる声も違うような気がしました。バラードを歌うこと自体好きなので歌っていてすごく楽しかったです。納得いく形でできたと思います。

――3曲目『魔法の城、真実の書物。』はニコ動などでも有名なプロデューサー・マチゲリータさんが作詞・作曲された曲ですね。

春奈：仮歌がボーカロイドで届いたんですよ。生まれて初めてだったのでビックリしたんですけど「……さすが！」と思いました(笑)。でも、いざ歌ってみようと思ったらボーカロイドのマネっこっぽくなっちゃうんです。クセがついてしまって「あれ、感情がのらないぞ？　どうしよう」って悩んで。そして、歌詞を何度も読み直して、事前の物語を妄想していくうちに色が濃くなっていって。そこに感情を入れて最終的に納得のいく形になったんですけど……難しかったですね。

――おとぎ話のような楽曲で歌い方も独特ですよね。しかもラストに衝撃の事実が待ち受けているという……。

春奈：そうなんです。だから後半は特に難しかったです。ちゃんと音を取るっていうのは基本のところなんですけど、この曲ではいろいろな挑戦ができたと思っています。

――マチゲリータさんとは何かお話されましたか？

春奈：レコーディングでご本人に歌ってもらいました(笑)。あとビジュアル系が好きみたいで盛り上がりました。歳が近いんですよ。信じられなくて(笑)。こんなステキな曲をどうやったら作れるんだろうって思いましたね。

――三者三様の楽曲になっていますが、通して聴かれてみてどんな感想を持ちましたか？

春奈：切なさのなかの希望というのが共通してあるんですけど、そのなかでギャップを感じてもらえたら嬉しいなって。「あ、この人はこんな歌も歌えるんだ」と思われたいというか、ひとつの枠にとらわれない多面性のあるアーティストになっていきたいんです。曲ごとにいろいろな表情を見せていきたいし、常に刺激的にありたい。

――そういう姿勢はモデル活動と共通するところがありそうですね。春奈さんって服ごとに表情がクルクルと変わるじゃないですか。雑誌を見ているとそういう変化が見ていて楽しいというか。

春奈：そうかもしれません。……でも最初はカメラを見るのも苦手だったんですよ。ひきつっちゃって(笑)。だからモデル活動は大変でした。でもあるとき「カメラを好きなキャラに例えて見ればいいんだ！」って思って(笑)。そうしたらすごくラクになったんです。

――春奈さんらしいエピソードですね(笑)。今回の衣装もすごく可愛いですよね。

春奈：衣装は歌詞の世界観に合わせてもらってるんですけど、前回とはまた違った雰囲気になっています。スカートのなかにチュチュをはいているんですけど、その中に羽や花びらが描かれているんですよ。それがすっごく可愛くて、着ていて楽しかったです。そのあたりも見てもらえたら。

――分かりました。ありがとうございました！


◆『Overfly』／春奈るな
発売日：2012年11月28日(水)
価格：
[初回生産限定盤（CD＋BD　Music Video＋特典映像）]1.700円(税込)

[通常盤（CD）]1,200円(税込)

[期間＆初回仕様限定盤※デジパック仕様（CD＋DVD　MusicVideo＋アニメ映像）]1,500円(税込)

＜今後のライヴスケジュール＞
12月11日(火)　EOY@シンガポールEsplanade Concert Hall
12月22日(土)　FUKUIアニソンまつり！＠福井県みくに文化未来館


>>春奈るな(Haruna Luna) official website
>>テレビアニメ『ソードアート・オンライン』公式サイト