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『機動警察パトレイバー』吉浦監督&吉田アナのロング対談が実現!

『機動警察パトレイバー REBOOT』と過去シリーズを超マニアックに語る。監督・吉浦康裕さん&ニッポン放送・吉田尚記アナのロング対談が実現!

 10月15日から映画館で上映された『劇場上映 ゴーゴー日本アニメ(ーター)見本市』内の1本として発表された『機動警察パトレイバー REBOOT』。14年ぶりに作られた完全新作アニメというだけでなく、短篇とはいえそこに込められたパトレイバーらしさに胸熱くした方も多かったのではないでしょうか。

 そこで「自他ともに認めるパトレイバーファン」というニッポン放送の吉田尚記アナウンサーと、「元ファンとして観たいものを全部ぶつけた」という吉浦康裕監督との対談を決行! ファンだからツッコめるツボ、ファンだから言えるアレをあますところなくお送りします。

ファン目線と初心者向けの作り方は矛盾しない
──まずは『機動警察パトレイバー REBOOT』を見た吉田さんの感想から聞かせてください。

吉田:上映前だったので、サンプルをいただいて、一回とりあえず見とこうと思って、「うわー!」って思って、気が付いたら4回くらい見ていて。で、昨日また5回くらい見てから、もう1回『パト1』観た。

全員:(笑)。

吉田:ええ。見ざるを得ないみたいな。いや、もう凄い! マジで! 昔、吉浦さんと『パト1』『パト2』(※1)だったら『パト1』派っていう話をしたんですが、今回に関していうと『パト1』なんですよね。で、みなさんがどこで引っ掛かるのか分からないんですけど、僕が一番初めに引っかかったのが、まずレポーターが出てくるんだけど声優が林原めぐみさん(笑)。

(※1)『パト1』=1989年公開『機動警察パトレイバー the Movie』、『パト2』=1993年公開『機動警察パトレイバー2 the Movie』のこと。OVAやTVシリーズの雰囲気に近い作品感だった『パト1』に対し、『パト2』は今でいう押井作品らしさが全面に出ていると言われている。(同じパターンとして『うる星やつら』の劇場作品1と2、『ルパン三世』劇場作品1と2がある)

吉浦:それはちょっと意識しました。

吉田:林原さんって、『パト1』にお天気お姉さんで一瞬だけ出てくるんですけど、「多分それ、完全にオマージュだわ」みたいなところからスタートしていて、「これは!」と。吉浦監督は他のインタビューでも「入口つくろうとした」って仰っていますが、当たり前ですけど、僕は入り口とか全然意識できないわけですよ(笑)。

吉浦:もちろん僕自身ファンですし、『パト1』派と言いましたけど、結局全部好きなんですよね。『パトレイバー』って、最近は外伝とか応用系の作品(※2)が多かったじゃないですか。そうなると、やっぱりファンとしてはもう1回ド真ん中のストライクを観たい。しかも、『パトレイバー』って他のロボットアニメに比べて意外とそこを掘っていない気がするんです。

(※2)『機動警察パトレイバー』には映像作品だけでも(今作を含め)8タイトルある。最初に制作されたOVAシリーズ(アーリーデイズ)をメインストーリーだとすると、サブストーリー的な劇場版、多少違う設定を取り入れたパラレルワールド的ともいえるTVシリーズ、登場人物を次世代へと変更した実写版。ここに、ゆうきまさみ氏による漫画、伊藤和典氏や押井守氏による小説などを加えると……。メインストーリーが霞むほどの作品群となる。

吉田:うん。全然掘ってないですよね。

吉浦:今、ファン目線で作るとしたら、まずその王道を掘る余地があると思った。それに、今回作るに当たって改めて気づいたのが、『パトレイバー』を見たことがない若い人が、何だかんだ言って多いんだってこと。『ガンダム』や『エヴァ』って、世代を超えて語り継がれていて、新規ファンがどんどん入ってきているじゃないですか。『パトレイバー』って魅力的な作品もそうなるべきだと自分はずっと思っていて。だから「最初これを見ておけば『パトレイバー』の面白さの輪郭がわかる」っていう、初見の人に対してのまさに「導入編」を作りたかったんです。

それに、この2つは絶対両立できる。「導入編」を真摯に作っていけば、かつてのファンとか、ずっと『パトレイバー』が好きだった人が見ても面白いものになるだろうと。だから、最初に本企画のお話をいただいた瞬間から、やりたいことの方向性は自分の中でバチッと決まったんです。

吉田:初めての人がいると意識されてるのは凄く分かるのですが、僕はそうは観られない(笑)。でも、ディープに観たときにチェックポイントがいっぱいあって、そのチェックポイントが「全部クリアされている8分」が凄い。

吉浦:僕もファンなので、アイコンというか、いろんな要素は入れ込みました。まあ、クリエイティブな部分も、昔の『パトレイバー』に下駄を履かせてもらったところは多分にありますけどね。「『パトレイバー』ならこういう見せ方だろう」とか、「こういう要素があるだろう」とか。あと、短編であることを言い訳にしたくなかった。『パトレイバー』の魅力って、まずキャラクターが立っている、メカニックがカッコいい、しかもそれらが日常的な東京の風景の中に溶け込んでいるという世界観。これらの要素全てを、短編尺であっても全部外しちゃダメと思ったんです。

だからこそ、チャレンジではあるけど新キャラでいこうと思ったんです。あえてこういう言い方をしますが、野明や遊馬、後藤隊長たち(※3)って、もう過去のシリーズで行くところまで行っちゃった、成長しきってしまったじゃないですか。

吉田:『パト2』を作る以前、押井守さんのインタビューで「次に作ったらこうやればいいっていうのを思いついたけど、これやっちゃったら次作れないんだよね」って答えているんですよね。

吉浦:あ! まさにそう。その記事は存じ上げませんでしたが、まったくそうだと思います。もちろん、もう一度若かりし頃の彼らを描くというやり方もあるんですけど、今回のパトを新たな導入編にするって考えたときに、それが必ずしも最適解とは思わなかったんです。

(※3)オリジナル『パトレイバー』の主な登場人物は以下のとおり。
泉野明(イングラム一号機の操縦担当)真っ直ぐな性格で、ロボットアニメが好きな主人公。
篠原遊馬(一号機の指揮担当)レイバーを製作する篠原重工の御曹司。少々ひねくれている。
後藤喜一(第二小隊隊長)昼行灯を装っているが、かつては「カミソリ後藤」と呼ばれた公安出身者。
太田功(二号機の操縦担当)射撃の腕前はよいが、暴走しがちな熱い男。
進士幹泰(二号機の指揮担当)太田の暴走に振り回される気が弱い愛妻家。
山崎ひろみ(後方支援担当)控えめで涙もろい巨漢。
香貫花・クランシー(二号機指揮担当)ニューヨーク市警察からの出向して来た日系3世。
熊耳武緒(二号機指揮担当。通称お武さん。文武両道で、第二小隊をまとめる副隊長的な存在に。
南雲しのぶ(第一小隊隊長)後藤とは違い、真面目な元キャリア。
榊清太郎(整備班長)整備の神様と言われるベテラン。通称おやっさん。
シバ シゲオ(整備班員)整備班の実質的リーダー。通称シゲさん。

新キャラになった理由
吉浦:『パトレイバー』の王道って、やっぱり新人隊員たちの話だと思うんです。そう考えたときに、今の時代でもう一度、新キャラを出してでも王道を語りなおすべきと思ったんですよね。もちろん過去作を完全になかったことにするのではなく、一応は後世代の話のつもりなんですけど。ただし、「新しいキャラにしたから『パトレイバー』ぽさがなくなっちゃったよね」とか「『パトレイバー』じゃないよね」って言われるのだけは絶対に避けたかったので、ある意味、旧メンバーをそのまま使う以上にメチャメチャ気を使ったんです。キャラクターのポジションとか立て方とか。

吉田:キャラクターが完全に今までのキャラクターのハイブリッドばかり。

吉浦:まあ表向きはそうですよね。

吉田:「表向きは」っていうのは?

吉浦:ただのオマージュ的キャラにはしたくなかったので、そのあたりは色々と頑張って変えようとはしたんですけどね。

吉田:もう全部がその意図でキャラクターは配置されているんだろうなと思っていました。例えば、まず隊長からして、後藤さん、しのぶさんのハイブリッドじゃないですか。操縦者は遊馬、太田。

吉浦:進士さんもちょっと入ってますね。

吉田:指揮者は完全に香貫花、野明。

吉浦:あと、じつはお武さんも。

吉田:熊耳さんも入ってるんですね。いずれにせよ、8分で全員キャラが立っているっていうのは、確かに相当凄いっていうのと……。

吉浦:じつはコンテ(※Blu-ray特典に「コンテ・設定集(56P)」を封入)を読んだ方には分かるんですけど、もともとのシナリオには、過去キャラクターとの繋がりを彷彿せるようなセリフが残っていました。

吉田:おおー。

吉浦:隊長が「整備班に事前に全部空砲にしてもらっていたし」と言うセリフがあるんですけど、あれは「シゲさんに」だったんですよ、ほんとは。

吉田:そこは伊藤(和典)さん(※4)が直したんですか?

(※4)伊藤和典/押井監督作品にも多数参加している脚本家。主な参加作品として、TVシリーズ『うる星やつら』『魔法の天使クリィミーマミ』 『めぞん一刻』『絶対少年』〈.hackシリーズ〉、劇場版『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』〈平成ガメラシリーズ〉などがある。

吉浦:伊藤さんが手を入れた時にはまだ残っていたんですけど、途中で「やっぱ、シゲさん止めにしない?」って出渕(裕)さん(※5)から仰られて。確かに年代的には(シゲさんが二課にいるかどうか)シビアなので、それを聞いて「じゃあ、過去作との安直な繋がりは見えないようにした方がいいのかな」と。それで、キャラ名も一切出さないということにしました。

(※5)出渕裕/監督、メカニックデザイナー、漫画家。監督作品に『ラーゼフォン』『宇宙戦艦ヤマト2199』。デザイン面での主な参加作品に、『戦闘メカ ザブングル』『機甲界ガリアン』『超新星フラッシュマン』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『仮面ライダー THE FIRST』、押井監督の『ケルベロス・サーガ』。挿絵に『ロードス島戦記』がある。

1クール終わってる感とセリフのらしさ
吉田:『REBOOT』では、ゆうき(まさみ)さん(※6)の漫画要素がかなりありますよね。

(※6)ゆうきまさみ/漫画家。『機動警察パトレイバー』の原作となるヘッドギアのメンバー。主な作品として、『機動警察パトレイバー』〈週刊少年サンデー〉、『究極超人あ~る』〈週刊少年サンデー〉、『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』〈週刊少年サンデー〉、『白暮のクロニクル』〈ビッグコミックスピリッツ〉などがある。

吉浦:じつは、今回のレイバー戦の見せ方って、強いて言うと漫画に近いんですよ。漫画にもあるじゃないですか。住宅密集地で3階建てのマンションをブチ破っちゃったりする。

吉田:あ、それは環境保護団体が出てくるとこですね?

吉浦:そうです。まさにあれです。

吉田:凄く安易なオマージュを作ると、「ここが好きだったんだよね」「昔のセリフが出てくりゃいい」とか、そんなものが何となく散見される形になるんだけど、そうじゃないんですよね。さきほど「まだ真ん中が掘られてない」みたいな話をされていましたが、『パトレイバー』の好きな人だったら絶対にここは踏み越えないであろうというところは踏み越えてないし、でも全部ちょっとずつズレてるっていうとこがもの凄く『パトレイバー』で。いい意味でのズラし感というか、外し感みたいのが多分、核で……。

吉浦:それもあって「昔からこのキャラいたっけ?」って言われるぐらいのものを目指して、1クールくらいすでにやったかのようなつもりで新キャラを演出したんです。

吉田:ああ、わかる! もうすでに1クール終わってる感。

吉浦:で、「みんなキャラ知ってるでしょ?」って目配せも終わった後で、『REBOOT』を作ったっていうつもりに。っていうのは、『パト1』冒頭にタイラントの捕物シーン(※7)があるじゃないですか。あそこ今作はあそこを意識したんですけど、あのシーンだけ切り取っても各キャラは立ってるんですよね。

(※7)『機動警察パトレイバー the Movie』タイトル後に用意されたシーン。下町で暴走した作業用レイバー取り押さえるため第二小隊が出動。デッキアップで盛り上がる市民、木造平屋の屋根添いにみえるレイバー、上空のヘリからの映像などがある。

吉田:うんうん。

吉浦:あのシーン自体がもうキャラ紹介になってるって思ったときに、「あ、ああいう描き方をすればいいんだ」と。今回自分で脚本を書かせていただいていますが、最終的にフィニッシュは伊藤さんにお願いしているんですよね。

吉田:じつはそこが分かるようで分からず「で、どこが変わってんだろう?」って考えていました。

吉浦:セリフ回しです。

吉田:それって、じつは『パトレイバー』の肝じゃないですか。

吉浦:肝なんですよ。物語の構成は変わってないし、僕もセリフの基礎部分は書いてはいるんですけど、そのちょっとした修正がとても効いていて。

吉田:なんだろ。全部が凄く『パト』っぽかったんですけど。もう「浄土真宗」とか凄い『パトレイバー』だった……。でも、1度も出てこないんですよ、浄土真宗って。

吉浦:あそこは、僕の脚本だと「実家が浄土真宗なんですけど……分かりました、やってみます」って、ちょっと中途半端なセリフだったんです。

吉田:それ「大丈夫ですよね!?」に変わってますよね?

吉浦:そうです。そしたら、パイロットがより弱々しいキャラとして立って、「あ、このくらい分かりやすく〈ですます調〉で言っちゃうのか」みたいな。伊藤さんの手腕ですよね。

吉田:そこが進士さんっぽいところですね、キャラクターで言うと。

吉浦:僕自身も『パトレイバー』っぽいセリフを自分なりに書いた自負はあったのですが、そこからさらに本物っぽくなって。僕が頑張って〈パトレイバー'(ダッシュ)〉を書いたら、伊藤さんが「もうちょっと良くなるよって」って「’」を取ってくれた感じんですよね。

吉田:なるほど。吉浦さんが見せたかったセリフとしての決めって、どこだったんですか?

吉浦:いくつかあるんですけど、最後の「僕らは、ロボットアニメの主人公じゃなくて警察なんです」っていうのは言いたかったんですよ。

吉田:あそこは直しが入ってない?

吉浦:いや、そこも言い回しが変わりました。「手段なんて選んでられませんよ。僕らはこの町の治安を守る警察ですから。」っていう、ちょっと斜に構えた言い方だったんです。

吉田:そこを真っ正面の方に直したんだ、向き合い方を。

吉浦:そうなんです。かつ、最後の「うっせ、バーカ」は、伊藤さんが追加した個所です。

吉田:ほんとに!? あの「うっせ、バーカ」って、あそこの食い気味で入ってくる感じは、凄い吉浦さんぽいんですけど。

吉浦:それは演出なので(笑)。自分の持ち味と凄くフィットしましたね。伊藤さんからシナリオが返って来た時に「ああ、これはこうしよう」とすぐにピンと来ました。

吉田:へえー! あそこはセリフ自体がもともと、凄く分かりやすくなってしまうけど『パトレイバー』のメタ感が強調されてるところですし。

吉浦:ですよね。

コメディとギャグの違い
吉田:で、そこにじつは、絶好調のときの押井さんのテレビシリーズ回にしか出てこない笑える『パトレイバー』がある。僕は、笑える『パトレイバー』が好きなんですが、それができるのって、今のアニメ監督だと吉浦さんぐらくいしか多分いないんですよね。

吉浦:それは凄くありがたいですね。僕もそれは目指してて、やっぱコメディが好きなんですよね。ギャグじゃなくて。「アニメで、コメディでちゃんと笑える」っていうのは、じつは自分の命題の一つなんです。今回の『パトレイバー』なら、企画内容的にもそういうコメディ的な笑いの要素と相性が良い。

吉田:コメディとギャグの違いありますよね。

吉浦:本人たちは一生懸命なんだけど、状況的に笑えちゃうっていう。そういうシチュエーションコメディがもともと大好きだったんで。じつは今回『パトレイバー』のお話を伺ったときに、日常感の中に出てくるSF感とか、笑える掛け合いとか、ちょっと前に修得した特撮的な見せ方とか……「自分が今まで培ってきた技術を全部使ったら、『パトレイバー』できるんじゃないか、俺?」って思えたんですよね。タイミング的にありがたかったですね。

吉田:最近はほんとにコメディってないですよね。テレビの笑いもアニメでもそうなってる。

吉浦:多分、アニメの方がキャラクターギャグをやりやすいんですよ。

吉田:どんな動きでもさせられるし。

吉浦:極端な描写も可能ですし。実写よりもやりやすいのかも、とは思います。でも自分はシチュエーションコメディのほうが好きなので、今回やれてよかったです。

吉田:『REBOOT』は、まず下町みたいな生活感があるところでロボットアニメをやっていること自体が、とてもコメディなんですよね。

下町でのレイバー戦とゆうきキャラ
吉浦:今回、過去の『パトレイバー』があんまりやっていなかったこととして、人がまだ退去しきれていない、ゴチャゴチャしているところで戦うシチュエーションをやりたかったんです。ですから、今は情報の拡散スピードが早くなって、警察が封鎖する前に人が集まっちゃったっていう理屈付けを最初にしています。

吉田:一番始めのセリフに出てきますね。

吉浦:時代も感じてほしいなっていうのもあるので。そうなると、映像的には真面目に作り込んでいる分、下手すれば『ガメラ3』(※8)的なシリアス感というか、「あ、人が死ぬかも」「ケガするかも」ってトーンが出る可能性もあって。でも今回、それをうまく回避しているのが、じつはモブキャラ含めて全部ゆうき(まさみ)さんタッチという点(笑)。

(※8)『ガメラ3』/1999年公開された映画『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』。平成に公開された映画『ガメラ』3部作の3本目。

吉田:わかります! それは、見た瞬間に「あれ?」って思って。モブキャラってどこから拾ってきているんですか?

吉浦:じつは、出渕(裕)さんが、「4人(操縦者、指揮者、隊長、テロリスト)の原案はゆうきさんに描いてもらうにしても、モブキャラまで全部やるのは難しいから、いっそのこと漫画に出てくるいろんなモブキャラのコピーをまとめて、それを資料にして描いたら?」って仰ってくれて、それで設定制作の人に一覧表作ってもらい、コンテ書いた後で「このカットのこのモブキャラは、漫画のこのコマの人」っていうふうに指示していったんですよ。

吉田:だから、ゆうきキャラの特徴の、なんか四白眼のキャラがメチャクチャ多いんですよね。

吉浦:ゆうきさんの漫画って、顔の描き分けのバリエーションが凄く多いじゃないですか。どの漫画も登場人物が多いですし、過去の連載作品を通して見ても、顔が被っている人があまりいないんですよね。

あ、今の話で思い出したんですが、今回1号機の操縦者に関しては、あえてゆうき漫画のアイコン的な男子キャラでお願いしたんです。キャラ原案は、ゆうきさんが僕の目の前で描いてくれたんですけど、「僕、何も考えずに書くと、この顔になるんだよね」って……。まさに、手癖で描く王道の男の子キャラを使っているんですが、これって『パトレイバー』のキャラとしては珍しいんですよね。

吉田:うん。

吉浦:今までの『パトレイバー』のメインキャラって、じつは、全部個性的な顔ばっかりなんですよ。遊馬も必ずしも美形ではないですし。野明もちょっと眉毛が太かったりするじゃないですか。そういう意味では、今回のキャラクターデザインは違うセオリーから攻めた感じにはなりますね。

吉田:今回の『REBOOT』は劇場で公開されてますし劇場クオリティですけど、ストーリーとしてはもちろん、キャラも明らかに劇場版の方ではないですよね? 

吉浦:どっちかというと、OVAシリーズや漫画に近いノリですよね。

(※9)庵野秀明/アニメーター、監督。『超時空要塞マクロス』『風の谷のナウシカ』『王立宇宙軍 オネアミスの翼』などでの作画で注目を浴び、後に監督デビュー。主なアニメ監督作品に『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』『彼氏彼女の事情』『Re:キューティーハニー』。実写監督作品に『ラブ&ポップ』『式日』『シン・ゴジラ』などがある。

REBOOTの意味
吉田:劇場版だったら、これが一番初めの8分と言われても納得がいくんです。それってもう、じつは動いているのか、もう吉浦さんの頭の中に「こんなパターンがあり得るな……」っていうふうにあるのか。そして僕は、これを見たら「作ってもいいよ」って言う人は山のようにいると思うんですよ。「お金だけ集めちゃえば」みたいな……。

吉浦:出渕さんも「『パトレイバー』は作りたいと思った人に手を挙げてもらって、自由に作ってもらいたい」って仰ってました。若手のパトレイバーファンに、いろんな『パトレイバー』をガンガン作ってもらいたい、と。

吉田:ってことは、(吉浦さんも)作れるじゃないですか。

吉浦:もちろん。わざわざ今回『REBOOT』と名乗って作った以上、僕も続いてほしいと思っています。でも今回の短編は、何か大きな流れを想定して作ったわけではなくて、ほんとにこの短編に一投入魂だったんですよ。ですから、じつは僕も2号機に誰が入っているのか、そこまで詳細に考えていない。でもこの半年間、作っている最中は本当にトランス状態でした。内容や目指すものに関してまったく迷わなかったし、作っている最中はもう楽しくてしょうがなかったんですよね。

吉田:「まったく迷わなかった」ということは、従来作では迷うとこがある?

吉浦:それはまあ、ちょこちょこ(笑)。今回に関しては、お話しいただいてほぼ1週間でプロットを書いて、そのノリと勢いで短期間で超ラフなムービーコンテを作っちゃったんです。全部自分で声当てて……。それで大体6分から7分の尺を出して、カット数は90くらいで……後はただひたすら、それら詰めるだけの作業でした。何で迷わなかったかっていうと、多分、自分にとって『パトレイバー』が創作の原体験だからなんですよね。『パトレイバー』だからこうすればいいだろうっていう、頭の中に理想の『パトレイバー』……イデアの『パトレイバー』があって。

吉田:イデアの『パトレイバー』!

吉浦:自分のオリジナルなら0から作らなければいけないところを、今作では過去作品の集積があって、作品の理想形が何となく見えている。だからクリエイティブな部分に関しても、たとえ新キャラであれ、新しい舞台であれ、昔の『パトレイバー』のクリエイティブを盗んで作ることができたと言うか……。そういうところがあるので、多分オリジナル作品よりも迷わなかったんでしょうね。

吉田:それって、凄く濃いものがすでにインストールされちゃっているというか、持ってるからだというのと同時に、あと吉浦さんが、今までに何作も作っていないと分かんない感覚ですよね?

吉浦:そうかもしれないですね。

吉田:多分、今両方が来ているんですよね。

パトレイバーは唯一無二?
吉浦:今回は客の顔がはっきり見えていたのが大きいですね。作ってる最中から。

吉田:それは初めてのお客さんと、密度が濃い人の両方ということですか?

吉浦:そうです。だから、「そういう人たちが面白いと思う物を作ればいいんだ」みたいな。そういう意味じゃシンプルですよね、ゴールの定め方は。そして何よりも、『パトレイバー』の企画の肝っていまだに全く古びてない。しかも、マネされたり消費し尽くされてもいない。そうそう、『パトレイバー』って、びっくりするぐらいフォロワー作品が少ないんですよね。

吉田:そうそう。たぶん、やろうと思ってもなんかうまくいかないんですよ。これは本当に不思議。

吉浦:作ってみて思ったんですけど、ロボットって、やっぱりなんだかんだ言ってSFっぽい世界観で戦わせる方が作りやすいんですよ。しかも、サイズもある程度は大きい方が楽。いっぽう、『パトレイバー』は全長8メートルと、想像できるリアルなサイズ。二階建ての家屋のちょっと上くらいで、しかも周囲にはみんながよく知っている東京の日常風景が広がっている。そこで説得力を持って戦わせるには、ちゃんとした空間設定と緻密な取材をしないと無理だし。CGの利点を最大限活かせたのがここなんですよ。もちろん、背景自体は手描きの美術なんですけど、空間設計はCGでできる。

吉田:ああ。

吉浦:例えばこのアングルから上げたときに、狭い住宅街でここにレイバーがいたら、向こうのこの辺に電線が見えて、さらに奥の建物がこう見える。こういう商店街前の住宅にある2階のベランダで、洗濯物干してる人物越しのアングルだとこう見えるみたいなレイアウトが、割と現実的に設計できるんです。

吉田:そうだ! 吉浦作品で特徴的なのが、アニメの一番のポイントの「カメラに質量がない」っていうのを凄くよく使うんですよ。それこそ『イヴの時間』(※10)でも、普通の物理人形のあるカメラならここは通れないっていうところを通るところがいっぱい出てくる。

吉浦:まあ、最近はさすがにその点を反省して、今作は現実的なカメラの構え方を多少は意識しているんですけどね。

吉田:マジっすか!? それって、カメラが構えて撮ってるかのような映像のときだけじゃないですか。

吉浦:全体的に意識しています。もちろん、群衆の中でカメラ構えている人が撮った映像みたいなことは、ちょっと意識したんですけど。あとカメラワークが多めなところはまだ名残があるかな? でも空撮なら一応「これはヘリから撮った望遠映像だな」とか、そういった点は意識して。

吉田:それはたぶんCG作家さんじゃないと思い付きもしないっていう。

吉浦:あるいはもう、超絶上手いアニメーターさんが20人くらいいたら手描きレイアウトでも可能かもしれないですけど(笑)。

──それこそ『パトレイバー』の劇場版の時のように。

吉浦:それなんです。なにしろ『パトレイバー』ですので、短編であっても絶対に劇場版と比べられるじゃないですか。昔の劇場版ってもう、そうそうたるメンバーが作っている以上、それに太刀打ちするためにはストレートパンチで返したら駄目だなと。そこで今回、レイアウトとキャラ作画を分けるカットを多めに設定したんです。

吉田:お、それはまた。

吉浦:まず、分業で作業スピードがアップしますし、一定のレイアウトクオリティが早い段階から担保できるメリットもあります。あとは他にも、例えばメカだったら、コクピット内の原図はメカデザインの方にそのままお願いしたりもしてます。

吉田:あれもどちらかと言うと『パト2』にはあまり出てこない、『パト1』と漫画版に出てくる描写に凄く近いですね。

吉浦:その一方で、過去作ではやらなかったことも積極的に導入していきました。例えば、イングラムのアクションに合わせてコクピット全体が立体的に揺れるなど。あとは操作系統の具体的な描写もやりたかったんです。リボルバーカノン取り出しレバーはこれと決めて、その操作を描写したり。

吉田:結構決まっているんですか、そこは。

吉浦:いや、まったく決まってなかったです。設定画に描いてあるレバーを「これ、リボルバーカノンの取り出しってことにしてもいいですか?」って出渕さんに言ったら「いいよ」って。

吉田:へえー!

吉浦:具体的な操作を見せるのは珍しいのかもしれないですね。レバーを蹴り下げる描写は、キャラのブチ切れた感じとも合ってるので、やってみたかったんですよね。

吉田:今の時代、レバーってどんどんコンソールからなくなっているんですよ。なのにレバーを。

吉浦:確か、ああいう警察とか自衛隊の設備の操作系統って、故障しないようなローテクなものをあえて使ってるらしいんですよね。他にも、例えばコクピット内のモニターも、当初はデジタルアニメらしくモニターデザインを貼り込もうかと思ったんですけど、最終的には青の透過光一色にしてるんですよね。あれじつは過去作の処理のまんまです。

(※10)『イヴの時間』/吉浦監督作品。2008年からインターネット上で公開された各話約15分全6話のシリーズ。人間型ロボット実用化された時代で発生する問題を、喫茶店を主な舞台にしたシチュエーションものとして進めていく。ネットで大きな話題となり、後に劇場版が製作された。

実写と特撮の影響
吉浦:じつは、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』(※11)のデッキアップイベントで、実際に立ち上がった等身大イングラムを皆さんがすでに見てしまっている、というのがとても重要なポイントだと思ってます。

(※11)『THE NEXT GENERATION パトレイバー』/野明たちより2世代後の隊員たちを主人公に描かれた押井守監督による実写版『パトレイバー』。12本のシリーズと1本の映画がある。

吉田:たしかに!

吉浦:逆に言うと、新作アニメはそれを踏まえたうえで画面設計をしないと「あ、実物を見てしまった今となってはしょぼい」ってなる可能性があったので、そこはかなり意識しました。だから今回、より直接的な……言ってしまえば、臨場感のある実写的なアングルが多いのはそういうことなんです。

それに、イングラムって一応ロボットアニメの中では小っちゃい方じゃないですか、でもデッキアップイベントの時、素直に「でかいな!」って思ったんですよ。そりゃデカいですよ8メートルもあるんだから。だから、「イングラムもでかいんだ」っていう刷り込みがあった上での、今回の演出だったのかもしれないですね。デッキアップイベントの時に見上げた感じとか、臨場感もみんな分かっちゃってて……。でも、この実物のレイバーは絶対動かない(笑)。だから、このアングルでさらに動けば……と、そこに勝機を見出して。

吉田:それってもう、CGじゃないとできないですよね。だから今回「そういえば、アオリいっぱいだな」って今思い出しました。

吉浦:じつはそのアオリも、「日本アニメ(ーター)見本市」でやった『PP33』(※12)で覚えたんですよね。

(※12)『POWER PLANT No.33』/2015年1月に発表された「日本アニメ(ーター)見本市」第11話。眠りつつけている巨大発電体33号「エレキマグマ」に電力を依存している都市を舞台に繰り広げられる、突如飛来した謎のロボットとエレキマグマのバトルを描くショートストーリー。

吉田:あ、そうなんですか!

吉浦:それでなんか「あ、こういう見せ方、自分得意なんじゃないか?」と思って。

吉田:へえ。自分で気づくんですね、後から。

吉浦:そうなんです。それまで、カチッとしたCGレイアウトを組んだうえで、日常的な会話劇ばっかりやってきたんですけど、「日本アニメ(ーター)見本市」で『PP33』『ヒストリー機関』(※13)と、2本やってみたら、そういうケレン味演出も上手くいって。

吉田:僕は逆に、今に至るまで『パトレイバー』以外に……まあロボットはさすがに今でもちょっと好きだなって思うこともあるんですけど、特撮ってハマったことないんですよね。

吉浦:そうなんですか。

吉田:全然ないんです。で、結局じゃあ何が好きだったかというと、アクションとかもそうだけど、動かしてる人達の都合が出てくるものが好きなんですよね。あの、動かしてる人達にスーパーヒーローはいらないんですよ。

吉浦:じゃあ、『パトレイバー』なんてまさにそう……。

吉田:そうなんです。全く出てこないじゃないですか。それがスゲーなって思い、「今回も恐らく特殊能力者が出てこないな。いいぞいいぞ!」って思ってるっていうのはありますね。

吉浦:今回どちらかというと、イングラムが若干型落ち気味で、改造ブルドッグに対し不利な戦いを強いられてるような状況なんで、まさにそうですよね。

吉田:細かいこと言うと、電磁警棒で最終的に決着がつくとか……「凄い『パトレイバー』!」って思うんです。しかも『パト1』でできなかったやつが、ここでできているっていう。

吉浦:そうですね。リボルバーカノンも結局は撃たないですし。

吉田:分かります。

(※13)『ヒストリー機関』/2015年8月に発表された「日本アニメ(ーター)見本市」第29話。地下シェルターで徹底管理された人類が、過去の映像から世界滅亡の原因を探るショートストーリー。

パトレイバーの入口をより広く
吉浦:今作を面白いと思った人が、以前のアニメやコミックスを観てくれたら嬉しいですね。

──想定する世代は?

吉浦:中学、高校生はもちろん、20代ですら想定してます。28、9でも多分知らない人はそこそこいると思います。

吉田:今はそうだと思います。

吉浦:もちろんタイトル名は知っているんでしょうけど。アニメ業界に関していうと、教養的に劇場版の『パト1』と『パト2』だけ観たとか……そういう感じの若い人が多い印象でした。

吉田:意外とアクセシビリティが高いのに、みんな見てないんですよね。なんでなんだろう?

吉浦:いろんな側面がありすぎて混乱するんじゃないですかね? 「こういうアニメだ!」ってシンプルに言いづらいじゃないですか。

吉田:「笑って観ていいよ」とも言えないんですよね。

吉浦:そういう意味では、自分なりに入りやすい入り口を作ってみたつもりではあります。もちろん、あくまで『パトレイバー』の面白さの一つの側面だとは思うのですが……。本来はおいしい企画じゃないですか。日常の中に出てくる、ちょっとコメディタッチなロボットアニメ。絶対好きな人は多いと思うんですけどね。

吉田:何でやらないのかは分かりませんが、今回吉浦さんがやったのは必然な感じがするんです。『パトレイバー』全体をちゃんと……特に漫画版の要素が入って発表されるのって、おそらく吉浦さんが初めてなんですよね。

きっと、アニメだけが好きな人じゃ作れないんですよ。他の要素がメチャクチャ入ってて……。例えば落語だったり、それこそコメディ、舞台演劇とかのセンスが凄いある人じゃないと出来ないというか。

吉浦:たしかに、『パトレイバー』の脚本の書き方って、劇場からテレビシリーズに至るまで、凄くドラマなんですよね。

吉田:うんうん。

吉浦:セリフの掛け合いとかも凄い自然で、そういう意味では凄い大人の感性……ウィットに富んだアニメだなって昔から思っていたんです。

吉田:そういう意味では、生活感とかをちゃんと書いてもらわないとあんまり面白くないというか。向田邦子(※15)バージョンの『パトレイバー』とか超観てみたい。今だったら木皿泉さん(※16)とか、アニメ好きに分かりやすいところで言うと岡田麿里さん(※17)だとか。そういう人が意地悪さを抜いて書いてほしい。

吉浦:不思議ですよね。ロボットの活躍を描くたびに、『パトレイバー』から外れていくかもしれないっていう。凄い矛盾をはらんでますよね。

(※15)向田邦子/主にテレビドラマで活躍した脚本家。代表作に『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』『阿修羅のごとく』などがある。
(※16)木皿泉/主にテレビドラマで活躍する脚本家。代表作に『すいか』『野ブタ。をプロデュース』『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』などがある。
(※17)岡田麿里/主にテレビアニメで活躍する脚本家。代表作に『スケッチブック ?full color's?』『とらドラ!』『花咲くいろは』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『キズナイーバー』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』がある。

歌舞伎と落語とパトレイバー
吉田:じつは最近、僕が落語を好きな理由が分かったんです。落語って歌舞伎のパロディなんです、全部。襲名披露とか「歌舞伎の人がやってるから、俺たちもやろうぜ」みたいなことで出来ているっていう話をまさにこの間聞いて「あ、そういう事か」って思った。ロボットアニメって歌舞伎ですよね。基本的に見栄を切ってパーンって決めて、みんなで「成田屋」って言い歓喜する。それに対し、ロボットアニメのパロディでもある『パトレイバー』って「成田屋」って言うタイプの作品じゃないんですよね。

また、歌舞伎を見ても人生の役には多分立たないと思うんです。その瞬間、何かを忘れられるみたいな世界で、ロボットアニメはそうやってできているものが凄く多い。でも、『パトレイバー』と落語は現実とわりと地続きで、そのためには一歩引いた俯瞰の視点を持っている人達同士じゃないと楽しいと言えない感じがします。

吉浦:それを聞いて面白いなって思ったのが、基本的にロボットアニメの見せ方って、3Dを使っていても、ケレン味は2Dの記憶から設計することが多いですよね。

吉田:というと?

吉浦:CGを使いグングン動くけれど、見せたい画が決まっていて、見栄を切る部分は2Dっぽいシルエットでガンッと来る。『REBOOT』の場合は、8メートルのレイバーを実際に住宅密集地で運用したらこうなるっていう、大型車両のぶつかり合いを意識して演出したので、ロボットアクションの見せ方としては少しズレているのかもしれない。ただその一方で、ケレン味を完全にスポイルしているわけでもなくて。例えば電磁警棒を抜いて正面構図でバシッと構えるとか……。ただ、これやった後に絶対オチがくるんですけどね。

吉田:そうそうそう!

吉浦:だから、CAD的にクレバーに空間設計したカットと、空間設計を無視した歌舞伎のようなカットが今作は交互に入っていて、そのバランスは良かったんじゃないかなとは思ってます。

吉田:そう。歌舞伎っぽさは出てきてるけど、そこにオチが必要だってちゃんと言うじゃないですか。オチなんて必要ないって言っちゃう派の人が世の中にはいっぱいいるけど、そこは『パトレイバー』派としては絶対ないといけない。

吉浦:そうですね。

吉田:…というのがスッと出てくるところが、本質的なことのような気がしますけどね。格好良いまま終わらせないというか。今回、上げて落とすが5回くらいあるんですよ劇中に。

吉浦:デッキアップしたら電線に引っ掛ける。敵レイバーと対峙したら足元が違法改造でずっこける。かっこよく良く台詞をキメたら「うっせー」と返される……。

吉田:凄く良い絵だなと思ったら、こっちから鳥が飛んでくるみたいな……「おわ!?」って。

吉浦:ちゅんちゅんちゅんって。

吉浦:今回の決めポーズは『パト3』構えなんですけど、「警視庁!」って見せたかった(笑)。

吉田:ああ。そうですよね。でも、それもすんごい格好良くしてるのに、ここに「警視庁」って入ってるから抜けがあるんじゃないですか。

吉浦:そうですね。

吉田:最後になりますが、今回改めて感じたのが、吉浦さんってアニメで作る意味があるものしか作らないですね。

吉浦:今回はまさにそうですね。

吉田:日常の背景を本気で考えつつロボットが動き回るって、アニメじゃないと作れないですよね。

吉浦:じつは今回、現実の風景を舞台にしたアニメを作ったのが初めてなんですよ、僕。

吉田:ああ、そうか!

吉浦:今まで、なんだかんだ言ってそうじゃなかったんで、そういう意味ではチャレンジでしたね。

吉田:そこは今回、じつはまだ言葉では掴みきれないんだよなあ……。『イヴの時間』と『サカサマのパテマ』(※18)のときは、「明らかにここ!」っていうのが分かったんです。「人間もロボットもアニメで描いた以上分からない」っていうことと、「上下はアニメーションにおいては等価である」っていう核が。

吉浦:今後もそういうハイコンセプト的なものをやるかは、ちょっと分からないですけどね。

──お話はまだまだ続きそうですが、最後にこの記事を読んでいただいている方へ吉浦監督からメッセージをお願いします。

吉浦:繰り返しになりますが、この作品を観たパトファン方が改めて『パトレイバー』を観直したり、本作を知らない若い世代の人が「こんな作品があるんだ」と気が付いて、過去の作品を観る切っ掛けになってくれたら嬉しいです。

吉田:『REBOOT』で、本当に入り口は広くなったと思います。

(※18)『サカサマのパテマ』/吉浦監督による2013年公開の劇場作品。重力の方向がサカサマな世界に住むふたりの主人公が出会い、何が世界に起きているのか知っていく物語。サカサマという空間をどう捉えどう見せるのか、吉浦監督の代表作となる作品。

 いかがでしたか? 吉浦監督、吉田さんともに『機動警察パトレイバー』を愛している者だからこそ生まれる熱いトーク。作品への愛はその人それぞれですが、お二人の同じ『機動警察パトレイバー』を思う気持ちがひとつになった瞬間を垣間見ることができました。『機動警察パトレイバー REBOOT』のBlu-rayは現在好評発売中です。みなさんも作品に対する愛をREBOOT(再起動)してみてはいかがでしょうか?

[取材・小林治/編集、写真・石橋悠]

◆機動警察パトレイバーREBOOT
僕たちは、ロボットアニメの主人公じゃない。街と人々を守る警察官なんです。

あの『機動警察パトレイバー』がファン待望の完全新作アニメーション(短編)で復活(REBOOT)!

◆スタッフ情報
原作:HEADGEAR
監督・絵コンテ・演出・撮影監督・編集:吉浦康裕
脚本:伊藤和典・吉浦康裕
キャラクター原案:ゆうきまさみ
アニメーションキャラクターデザイン・作画監督:浅野直之
メカニカルデザイン:出渕裕
CGI作画監督:松井祐亮
CGI監督:小林学
色彩設計・色指定・検査:中内照美
美術監督:金子雄司
音楽:川井憲次
音響監督:山田陽(サウンドチーム・ドンファン)
監修:出渕裕
企画・エグゼクティブプロデューサー:庵野秀明
アニメーション制作:スタジオカラー

◆商品情報
機動警察パトレイバーREBOOT Blu-ray & DVD 好評発売中!
【特装限定版Blu-ray】5,000(税抜)
BDOT-0242/カラー/48分(本編8分+映像特典40分)/リニアPCM(ステレオ)/AVC/BD25G/16:9・一部特典映像16:9/字幕(日本語)切り替え

■映像特典
●英語字幕版
●劇場予告編
●BGM収録風景映像
●スタッフ座談会
吉浦康裕(監督・脚本)×出渕 裕(メカニカルデザイン・監修)×伊藤和典(脚本)

■音声特典
●スタッフオーディオコメンタリー
(1)吉浦康裕(監督・脚本)×浅野直之(アニメーションキャラクターデザイン・作画監督)
(2)吉浦康裕(監督・脚本)×松井祐亮(CGI作画監督)
(3)吉浦康裕(監督・脚本)×金子雄司(美術監督)

■特典
●サウンドトラックCD
川井憲次による本作BGMをすべて収録!
●コンテ・設定集(56P)
吉浦康裕によるコンテと、浅野直之・出渕裕による設定画をすべて収録!
●縮刷版アフレコ台本(44P)
●三方背アウターケース

【DVD】3,000(税抜)
BCBA-4805/カラー/48分予定(本編8分+映像特典40分)/ドルビーデジタル(ステレオ)/片面1層/16:9(スクイーズ)/ビスタサイス/字幕(日本語)切り替え

■映像特典
●英語字幕版
●劇場予告編
●BGM収録風景映像
●スタッフ座談会
吉浦康裕(監督・脚本)×出渕 裕(メカニカルデザイン・監修)×伊藤和典(脚本)

■音声特典
●スタッフオーディオコメンタリー
(1)吉浦康裕(監督・脚本)×浅野直之(アニメーションキャラクターデザイン・作画監督)
(2)吉浦康裕(監督・脚本)×松井祐亮(CGI作画監督)
(3)吉浦康裕(監督・脚本)×金子雄司(美術監督)

※特典・仕様は予告なく変更になる場合がございます。
※特装限定版は予告なく生産を終了する場合がございます。

発売・発売元:バンダイビジュアル

>>『機動警察パトレイバーREBOOT』公式サイト

(C)HEADGEAR/バンダイビジュアル・カラー
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