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映画『SING/シング』の「声優成分やや多め」のキャスティングはなぜ成立したのか? 音響監督・三間雅文さんインタビュー! 

 2017年3月17日より全国公開中の映画『SING/シング』は、『ミニオンズ』や『ペット』などの人気作に続くイルミネーション・エンターテインメント制作の最新作です。

 吹き替え版には、内村光良さん、歌手として活躍するMISIAさん、「スキマスイッチ」の大橋卓弥さんをはじめとする著名人が参加している中で、アニメファンなら誰もが知る、声優の山寺宏一さん、坂本真綾さん、宮野真守さんなど、他にも多くの豪華声優が吹き替えを担当しています。

 一般向けの劇場アニメとしては「声優成分やや多め」という類を見ないキャスティングで、声優と役者が良い塩梅で混在していることでも話題を呼んでいます。

 この異色とも言えるこのキャスティングの掛け人は、音響監督・三間雅文さんです。三間さんは『ポケットモンスター』『黒子のバスケ』『進撃の巨人』『カードキャプターさくら』など、30年以上に渡って多くのアニメで音響監督を務めており、アニメ界の往古来今を知る人です。

 では、どんな経緯で、どんな意図で『SING/シング』は作られたのでしょうか? その理由を語っていただきました。

▲『SING/シング』音響監督・三間雅文さん

▲『SING/シング』音響監督・三間雅文さん

 

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目次

三間雅文さんが考える、キャスト・キャラクター・演技の関係性とは!?

――『SING/シング』では多くの声優さんが起用されていますが、キャスティングは三間さんが行ったのでしょうか?

三間雅文さん(以下、三間):そうですね。最終的な決定はアメリカの制作会社が行うのですが、声優さんの候補は僕が選びました。

――キャスティングを見ると、役者さんに寄せているわけでもなく、声優さんに寄せているわけでもないように感じました。この絶妙なバランスはどのように生まれたのでしょうか?

三間:『ポケットモンスター』で20年間お付き合いさせてもらっている、プロデューサーの方がいらっしゃるのですが、今回はその方が僕を起用してくれた形なんです。その方は仕掛け人なので、その仕掛けとして僕が呼ばれたんですね。その結果として、今回のキャスティングなんです。なので、僕が元から絶妙なバランスを狙ったというわけではないんですよ。

――起用された際に、何か要望はありましたか?

三間:『ペット』から続いているこのシリーズの一般のファンに加えて、「『SING/シング』ではもっとアニメファンも取り込みたい」というお話がありました。その狙いがあって、多くのアニメに携わってきた自分が呼ばれたというわけです。

――その要望の結果、このようなキャスティングができあがったわけですね。

三間:要望こそありましたが、吹き替えは芝居ができないと難しい仕事だと思うので、芝居ができる人を優先して選びました。キャラクターというよりも「その人の内面にはこういう部分があるから、それを出す芝居をしてもらったらきっと面白いんじゃないだろうか?」という感じで候補を出して、必ず面白くしてくれる人を選んだつもりです。


宮野さん演じる「エディ」には、もう一人の「エディ」がいる!

――宮野真守さんは、歌も上手く、ハツラツとしたキャラクターですが、参加されているのは「ヒツジのエディ役」です。本編では歌わない役を選んだのはなぜでしょうか?

三間:単純にあの役がぴったりだったからです(笑)。彼のひょうひょうとしている部分とか、ひょろっとしている姿がキャラクターと似ているなと思いました。あえて歌がうまい人を歌わない役に選んだというわけではなく、単純にその人に合っている役を選んだんです。ですが、オーディションシーンでは歌っていますよね。そういう見た人に楽しんでもらえる“遊び”は仕込んでいます。

――エディと宮野さん共通部分があるんですか? いつものかっこいい姿からは想像できないないキャラクターですね……。

三間:いえいえ、似ていますよ。やっぱり彼はステージに立つと凛としているんですが、実際は甘えん坊な部分もあるんです。子役時代もあるので、大人との接し方を知っているんですよね。「ここは緩んでいいんだ」「ここは締めておこう」っていうのを切り替えているんです。『ポケットモンスター』で4年近くレギュラーを務めてもらったのですが、そのときはまるで息子?弟?のように思っていました。

――お付き合いの長い三間さんだからこそ知っている一面が、今回ピッタリと役にハマったわけですね。

三間:エディ役のオーディションでは、「作ってもらった状態」と「ナチュラルな状態」の2種類をやってもらいました。「作ってもらった状態」は、エディは大きな歯が特徴なので「喋りにくそう、面倒くさそうな感じで喋って」というオーダーを出したんです。そしたら、本当に籠ったような「んぉ?、ふぉふは」みたいな声でやってもらえたんですよ。「ナチュラルな状態」は、彼のそのママですね。

 そして、結果的にアメリカ側が選んだのが、ナチュラルな方だったんです。「作ってもらった方」は宮野さんからすると初めての演技だったらしく、楽しくてノリノリでやってくれたんですが、やりすぎちゃったのかもしれないですね(笑)。

坂本真綾さんのような才能を見出すために、自分がいる!
――ブタのロジータ役の坂本真綾さんは芸歴も長く、声優の中ではアーティスト寄りで、キラキラしたイメージを持っている人も多いと思います。子だくさんで繰り返す毎日にうんざりしているロジータとは、一見正反対のように見えます。坂本さんも本人の印象とキャラクターを結び付けたのでしょうか?

三間:そうですね。僕たちはスタッフなので、坂本さんのきらびやかな姿を常に後ろから見ているんです。だから、自分たちの彼女のイメージは楽屋からみた姿なんですよ。スタッフから見た彼女のイメージは“不思議ちゃん”ですかね。

 彼女は不思議ちゃんですが、同時に自分の信念がすごく強い人なんです。ロジータも、家事に追われる中でどうしても断ち切れない夢を持っています。その執着心のような部分を表現してもらえて、尚且つ歌唱力も高い人、という点で坂本さんを選びました。この2点で坂本さんを超える声優は居ないと思っているので、僕は最初から坂本さん推しでしたね。

――世間一般では坂本さんよりも知名度が高い声優さんも多いと思います。坂本さんを起用するための要望などはあったのでしょうか?

三間:確かにそうですね。今回僕が呼ばれているのは、坂本さんのような方をしっかりと選ぶためだと思っているので、周りの方にそこは信用してもらって、僕が考えたキャスティングを行いました。しっかりと芝居ができる方を選ぼうと決めていて、その考えを信じてもらえたことが成功に結び付いたのだと思います。

 もちろん、もっと知名度のある声優さんもいます。ですが、そこで声優ランキングなどを見て配置していったら、他の作品と似たようなものになってしまうんです。そうすると声優ファンに媚びているのが見えてしまい、作品として悪い結果に向かってしまうと思いました。そう考えると、今回はいい流れで事が運んだのではないかと思います。

多数の声優さんの参加は、三間さんの応援団として参加?

――アニメファン目線では「その端役にその人!?」という方がたくさんいらっしゃったと思います。

三間:そうですね。エンドロールを見て、散りばめられた声優を探してもらう狙いは戦略としてありました。例えば、『鋼鉄城のカバネリ』の畠中祐さんなどですね。見つけたときにおもしろいと思ってほしかったので、あえて端役を演じてもらったんです。

――それは狙い通りですね。キャストの方々にはどのように声をかけたのですか?

三間:それについては、実を言ってしまうと、僕は吹き替えを担当するのは今回が初めてなんですよ。アニメは35年近くやってきましたが、吹き替えはお誘いを受けても断ってきたんです。ですが今回は、20年一緒に仕事をしてきた方に「お前が必要だ。いつまでもやらないじゃなくて、やってみろ」と言われてやってみることにしました。

 まず、初めての吹き替えというこで、僕のわがままを聞いてもらえる人に参加してもらおうと思ったんです。水樹奈々さんはデビュー作からのお付き合いなんですが、事務所を通して「すごいセリフは少ないんだけど、それでも僕の考えをくみ取ってもらえる人にお願いしたいんです」と伝えたところ、本人から快く承諾してもらえました。

――アニメ経験の長い三間さんだからこそ実現したキャスティングというわけですね。

三間:水樹さんと収録現場で会ったときは「僕も初めての吹き替えだから、水樹さんに引き受けて貰えて嬉しいよ」とお礼を言いました。今回はそういった落とし所があったので、こうして参加してほしい人を口説いていったんです。


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(C)Universal Studios.
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