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『FGOアーケード』塩川洋介の語るスマホゲームの制約に立ち向かう企画術

『FGOアーケード』塩川洋介さんの語るスマートフォン用ゲームの制約に立ち向かう企画術とは!?【CEDEC 2018】

先月2018年7月から全国で稼働した『Fate/Grand Order Arcade』。人気のスマートフォン用ゲーム『Fate/Grand Order(FGO)』をゲームセンターでも遊べるという事で、多くのプレイヤーが詰めかけました。

そんな本作の企画立ち上げについての講義が、先日まで開催されたゲーム開発者向けの技術交流会「CEDEC 2018」で実施。FGO PROJECTクリエイティブプロデューサーの塩川洋介さんが、講師として集まったみなさんにその方法や発端をレクチャーしました。


 

サービス終了しても残せるものを

まずは塩川さんのプロフィール紹介とスマートフォンの『FGO』を紹介。そこから生まれたタイトルである『Fate/Grand Order Arcade』ですが、今回のセッションのテーマは“非常識な企画術”ということで、本作の企画における3つのコンセプトが紹介されていきます。

▲塩川洋介さん

▲塩川洋介さん


そもそもアーケードの企画が動き出したのは、第1部第四章「死界魔霧都市 ロンドン」の時期だったそう。『FGO』を含めたスマートフォン用ゲームは、「サービス終了すると跡形もなく消滅してしまう」と話した塩川さんは、スマートフォンの『FGO』の改修を進めながら、「『FGO』を消滅させたくはない」と考えたのだとか。

そうして思いついたのが、アーケードならば、『FGO』に登場するキャラクターたち“サーヴァント”を、物理カードとして残せるのではないかということ。このことから、『FGOアーケード』の発端はスマートフォン用ゲームの“サービス終了に立ち向かう”ものだったと判明しました。



 

スマートフォンで描けないものを実現させるために

ふたつ目のコンセプトに話が移ると、2012年に発売された“iPhone5”が話題に上りました。なぜここでiPhone5なのかと言うと、この機種がスマートフォンの『FGO』の対応機種となっているため。『FGO』は6年前の機種で動くものになっていると、ここで改めて振り返りました。

ここではスマートフォンの『FGO』で、サーヴァントたちがどのように描かれているかを紹介。ここで、彼らの描かれていない、または描けていない魅力がまだあるとした塩川さん。ハードの制約で描けていない各イラストレーターさんの個性を、もっと打ち出せるのではと実現を目指して動き出したそうです。




そうしてイラストとキャラクターのモデリングとを比較していき、ふたつ目のコンセプトを“性能の限界に立ち向かう”ゲームとしました。

 

『FGO』らしいバトルを簡単操作で実現するために

ラストとなる3つめのコンセプトの紹介では、まずスマートフォンの『FGO』のバトル部分と、作品のアニメCMとを比較。塩川さんはアニメで動くキャラクターたちの戦闘シーンを『Fate』らしいバトルだと評すると、そのスマートフォンでは操作の問題で実現できないところを、実現しようとしていたと話しました。

ここで開発初期段階で制作したイラストを公開。今の『FGOアーケード』へ向かうまでのイメージ的なイラストになっていますが、まだ『FGO』らしいところが見えていない様子。

『Fate』のバトルを『FGO』らしくもあるようにするため行ったのが、『FGO』でお馴染みの記号をUIのような見た目や、システムに組み込んでいく作業だったそうです。



そうして出来上がった『FGOアーケード』のバトルシーン。ですがそれをユーザーが実際に見るためには、キャラクターを実際に操作しなければなりません。アーケードゲームは難しい操作を要求されることもありますが、本作の操作はタッチパネル+攻撃に使うワンボタン+移動操作用のスティックのみとなっています。

そんな簡単操作ながら『FGO』らしい3Dアクションを実現させたのは、本作がターゲットにしたところに「『FGO』以外のゲームを遊んだことがない人」があったため。



コントローラーを自由に作れるアーケードならその操作感と『FGO』らしさを実現できるとしたところで、塩川さんは最後のコンセプトを“端末の制約に立ち向かう”とまとめました。

そろそろイベント終了が近づいてきたところで、最後にここまでの講義の総まとめとして、稼働一ヶ月で記録した驚異的な数字を発表。


『FGOアーケード』の新規ユーザー数はひと月で30万人を超え、排出される物理カードの販売は1000万枚を突破したそう。物理カードの発行には1クレジットがかかりますので、どれだけの結果を出しているかうかがい知ることができました。

この講義の総まとめとして塩川さんは、“既知×未知”を打ち出しました。これは本作のほかの『FGO』関連プロジェクトでも共通しているコンセプトなのだとか。



スマートフォン用ゲームが抱える宿命や壁に真っ向からぶつかり、新たな展開でそれを突破した『FGOアーケード』。現在も絶賛稼働中ですので、ゲームセンターに赴いた際にはぜひともプレイを!

[取材・文・撮影/胃の上心臓]
 
『FGOアーケード』公式サイト

(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
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