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映画『ANEMONE』第2弾:小清水亜美の声優人生においてアネモネとは

『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』第2弾:小清水亜美さんの声優人生においてアネモネとは/インタビュー

TVアニメ『交響詩篇エウレカセブン』(以下:『エウレカ』)が、三部作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』として劇場公開されている。その第2弾『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が、いよいよ2018年11月10日(土)より公開スタート!

本作の主人公は、アネモネ。ここで描かれるアネモネはどんな少女なのか。TVシリーズからアネモネを演じている小清水亜美さんに、当時のことを振り返っていただきつつ、本作の石井・風花・アネモネについて聞いた。

毎回「難しいな」と思いながら取り組んだ当時を振り返る

――(TVシリーズで)アネモネを演じていた頃、たしか十代でしたよね。

小清水亜美さん(以下、小清水):19歳のときなんです。三瓶(由布子)もなづ(名塚佳織)も私も同い年なんですよ。私としては『コードギアス 反逆のルルーシュ』とか『狼と香辛料』のような作品をよくやっていた頃ですね(笑)。

――今も印象に残っている作品が多かったですね。

小清水:本当にそう思います。放送から10年ちょっと経って、目を覚ましているものが多いんですよ。『エウレカ』もそのひとつだと思うんですけど、アネモネって、自分にとってチャレンジが多い役だったんですよね。まず人間ではなく(人型コーラリアン)、情緒が不安定である。そして敵方でありロボットに乗る。ロボットに乗るというのも初めてだった気がします。

――役者としても、大きな作品だった?

小清水:はい。とても育てていただいた役になります。

――今になって思うこととして、アネモネをやったことで、そういう役が来たりしたなって思いますか?

小清水:大いにありますね! 情緒の不安定さが人間の幅が超えた感じの役というのは、アネモネをやったからこそ他で呼ばれることが多くなったのかなと思います(笑)。

でも当時、感情の振り幅という点では、毎回「難しいな」と思いながら取り組んでいたというのが強くあるんです。『エウレカ』という作品の全体的な色味として、アニメだけどナチュラルな方向で芝居をしていくというのがあった中、ナチュラルとは違うところにある感情の起伏であったりを、どう作っていくかというのは、当時の私にとってはかなり難しかったんですよね。

――今演じてみると、それをあらためて感じるというか?

小清水:でも、今回アネモネをやらせていただいてあらためて感じたのはそこではなかったんです。セリフは変えているけど絵は当時のままというシーンがあったんですけど、そこで感じたのが早い!っていうことで(笑)。

その早さの中でいろんなことをたくさん考えながら、詰め込んでやっていたんだなって思いました。当時の19歳という年齢だからこそ、早いとも感じずにできていたのかもしれないけど、それを30歳を越えてやってみて、若いときのほうが日常会話も早口でしゃべっていたんだな!って感じました(笑)。

――今はすごくゆっくり話してくれていますしね(笑)。

小清水:そうなんですよ! 年々話すペースがゆっくりになる。

――よくわかります(笑)。もう少し当時のお話を伺うと、アフレコはどんな感じだったんですか?

小清水:やっぱりアネモネが存在として特殊だったんですよね。人間のようで人間ではない……でも本人は人間になりたい。それに一番は、エウレカになりたいと思って生まれてきたのに、結局なれなかったというのが大きかったと思うんです。

ずっと幸せな気持ちを感じることなく、ほぼほぼ1年間やってきたので……。これは今と昔の違うところなんですけど、感情の切り替えがうまくできなかったんですよ。だからアネモネをやるときに幸せな気持ちでいてはできないから、朝起きた瞬間から不幸な出来事を感じて、影を背負うところから始めていたんです。

自分は恵まれていない、幸せなんて感じられないという気持ちで家の扉を開け、現場でも(暗く小さな声で)「おはようございます」って言っていたので、家に帰ってからも、元の自分に戻るのに時間がかかっていた記憶があります。

――そうなんですね! それでは48話の「バレエ・メカニック」があったことで救われましたのでしょうか。

小清水:あれは本当に救われたんです! それまでアネモネは死ぬと思っていて、のちに京田さんに聞いても死ぬルートではあったとおっしゃってたんですけど、「どのキャラにも愛着が湧いて、殺したくなくなっちゃったんだ」ということでできたエピソードだと思うんです。

でも、あの話があるかないかで、アネモネへの自分の中の感情が変わっていたかもしれないですね。アネモネ=苦しい子だったのが、あの一瞬で救われた。幸せの度合いも、たくさんのものなんていらない、たったひとりドミニクがわかってくれて、近くにいるだけで、それだけで幸せ……というのがあるんだと感じられたことがすごく大きくて。

そのたった一つの幸せの大きさはものすごくて、自分自身の気持ちも救われたというのがとってもあったんですよね。

――見ているほうからしても、あの48話で本当に救われた気がしました。それほど大きなキャラクターになったことで、今回の主役ということもあるのかなと思ったのですが、小清水さんはどのような経緯でこのことを知ったのですか? 第一弾の劇場版で流れた予告とはだいぶ印象が違う感じなのですが……。

小清水:映画は3本立てで行くよ、2本目はアネモネ目線になると思うよっていうのはうっすら聞いていたんです。おっしゃる通り、予告もああいう感じだったので、私もTVシリーズをアネモネ目線で見たら、みたいなことになるのかと思っていたんですね。

でも、1作目の『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』のBlu-rayに付くPV0を録らせていただいたときに、原稿を見てすぐに「おっ? これはあの……」と。「京田さん、風花って何ですか?」となるわけです(笑)。

――それはなりますよね。まさかアネモネに日本人名があるとは思わないですから。

小清水:そうなんです。日本人名になってるし、お父さんって言ってるしという(笑)。そしたら京田さんが「ざっくり言いますと、アネモネは人間です。しかもハーフで年齢も14歳の中学生くらいの年齢です」と言われたんです。

当時アネモネとエウレカに年齢はなかったけど、イメージというのがあったんですね。でも「それより若めでお願いします」と言われ、「は、はい」と。あと私が気になったのはジ・エンド(※ニルヴァーシュ type the END アネモネが乗っていたロボット[KLF]の機体名)の存在だったので、ジ・エンドはどうなるのかと聞いたら、「乗るけど現実世界でというわけではなく、感覚としてはVR空間で乗っているイメージに近くなります。

あと、ドミニクは人間でなくなります。AIというか、コンシェルジュみたいな感じです」と。

――もう大混乱ですよね(笑)。

小清水:「待って! 私の心の支えであるダーリンが二次元化するんですか!」って、衝撃の展開ですよね(笑)。でも、今回は予告の収録なので、まずは深く考えないようにしました。驚きはあったし、いただいたヒントから得られる可能性を予想したところで、予想のまま行くような人たちではないので、無駄な抵抗はせず丸腰でやったのが、その予告でした。なので、そこでひとつ腹をくくったというか(笑)。

 

今作でのアネモネは「(これまでと)同じアネモネだけど違う」

――その石井・風花・アネモネは、どんな子なんですか?

小清水:やはり人間なので、存在としての根本的な違いはあるんです。だから、当時のTVシリーズのアネモネが生まれ変わった姿みたいな感じがするんですよね。要するに人になりたいという気持ちがアネモネにはあったので、今回は人間になっているというところなんです。

「エウレカになりたい」というのは、タイトルが『ANEMONE』になっていたので、ある意味では願いは叶ったということで(笑)。

で、そうなってくると、感情面は変わってくるんです。たとえ同じ可能性を秘めた個体であっても、どういう育ち方をして、どういう人と触れ合ってきたのかで大きく変わってくるんです。なので「同じアネモネだけど違う」というところはありました。

――やはり生い立ちが変わると演じ方も全然変わるんですね。

小清水:そうですね。人間として生まれ変わったけど、肉体の感じと楽器(=声)の感じは変わらない。あと何となく勝ち気な性格という資質も変わらない。けれど親がいて、人間として暮らしていて、学校にも行っていて、生活の積み重ねがある。

ただ親とは幼いときと別れなければいけなかったから、ひとりで頑張って強く生きるんだ!と自立しようと必死だった過去がある。これってずいぶんと変わるところで、同じ肉体と楽器でも、どう生きたかで声の出し方って変わるんですね。

たとえば穏やかに生きてきたら、柔らかくしゃべる人になるだろうし、自分でなんとかしなきゃと思っていたら、固くはっきりと物を言うしゃべり方になると思うから、そういうところで変化は出てしまうのかなと思いました。とは言え、違い過ぎても見ている人は悲しくなってしまうと思うので、そのさじ加減はとっても難しかったです。

――どうしてもあのアネモネを期待している人は多いですからね。

小清水:そうなんです。今回のアネモネも、いろんな生い立ちゆえに歪んでしまった気持ちはあるんですが、あの当時の人ならざるものとして、大人たちの思惑で生み出された存在の不安定さというのは持ち合わせていないんですね。

逆に今回はエウレカを助けるヒーローというか。同じ年齢感で、同じ目線で、もしかしたらエウレカをわかってあげられるのは自分しかいないかもしれないから「じゃあやってやるわよ!」っていう要素が強いんです。

――そこの関係性はすごく変わっていますね。

小清水:でも、TVシリーズから私自身が感じていたエウレカとアネモネって、2人でゆっくり話すところはなかったんですけど、誰よりもお互いがお互いを深く理解できる存在だったと思うんですよ。2人だけにしかわからないことがきっとあったんじゃないかなって思うので、いろんなところが変わっているけど、今回の劇場版ではそういった2人が描かれているんじゃないかなと思っています。

――あともう一つ気になるのが、先程AIというかコンシェルジュという発言もありましたけど、ドミニクですよね。PVではドミニクが叫んでいるシーンもありましたが、活躍はするんでしょうか?

小清水:やっぱりドミニクの存在って、アネモネのストーリーを語る上では肝になっていると思うんです。あと、私的にも本来の姿のドミニクに会えるというのはホッとしたところがあったので、カッコいい姿のドミニクも見られますよと言っておきます(笑)。

――では最後に、メッセージをお願いします。

小清水:TVシリーズもひっくるめて、『エウレカ』という作品全体を通して思うことなんですけど、運命の分岐って人間の生活の中にもあると思うんです。右に行くか左に行くかで別々の人生が待っている。それがSF的に言うとパラレルワールドなのかもしれないですけど、『エウレカ』はそういう要素が強いのかなと思いました。

今回の劇場版の『ANEMONE』に関しても、もしもあのときこうだったらという分岐した世界なのかなって。どれが正解というわけではなく、TVシリーズもその分岐を経て進んでいった一つの世界で、前の劇場版(『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』09年公開)もまた違うストーリーでしたし、今回の劇場版三部作もエウレカが選択した別の選択肢の世界なのかなと思ってます。

なので、こういう選択をしていたらこういう世界になっていたのかもしれないなと思って見ていただければ、より楽しみやすいのかなと思っています。

[取材・文・撮影/塚越淳一]

『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』作品情報

2018年11月10日(土)全国ロードショー

配給:ショウゲート
キャスト:小清水亜美、名塚佳織
監督:京田知己
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン:吉田健一、藤田しげる、倉島亜由美
配給:ショウゲート
主題歌:「There’s No Ending」RUANN(TOY’S FACTORY)
 

ストーリー

まだ幼かったあの日。父、ケンは幼いアネモネを残して戦いに赴き、そして帰ってこなかった。ちゃんとお別れを言うことができなかったアネモネの小さな胸に深く残る後悔。

7年が経過した。アネモネは父が散った戦場――東京にいた。人類の敵、7番目のエウレカ=エウレカセブンと戦うための組織・アシッドの一員として、アネモネには人類の希望が託されていた。そして、アネモネはエウレカセブンの中へとその精神を送り込む。アネモネがエウレカセブンの中で出会ったのは、ドミニクという青年と、エウレカという青緑の髪をした少女。

この出会いは何を意味するのか。そして、見え隠れするレントンという名の少年の姿。アシッドに囚われていた謎の男・デューイは予言する。「お前たちが見ているエウレカセブンはエウレカセブンではない。偽りの神が創っては破棄した無数の不要な世界。いわばゴミの山だ」

アネモネとエウレカが出会った時、全ての真実が明らかとなり、新たな世界の扉が開く――。

スタッフ

監督:京田知己
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン:吉田健一、藤田しげる、倉島亜由美
原作:BONES
メインメカニックデザイン:河森正治
コンセプチャルデザイン:宮武一貴
デザインワークス:武半慎吾、永井一男、出渕裕、齋藤将嗣、中田栄治、草彅琢仁、片貝文洋、平澤晃弘、上津康義、柳瀬敬之、コヤマシゲト

キャラクター作画監督:藤田しげる、倉島亜由美
特技監督:村木靖
デザインワークス・メカニック作画監督:横屋健太
メインアニメーター:柿田英樹、金子秀一、大塚健、阿部慎吾、長野伸明
美術監督:永井一男、本庄雄志
色彩設計:水田信子
演出補佐:湯川敦之
編集:坂本久美子
撮影監督:木村俊也
3D監督:篠原章郎(グラフィニカ)
音響監督:若林和弘
音楽:佐藤直紀
主題歌:「There’s No Ending」RUANN(TOY’S FACTORY)
アニメーション制作:ボンズ
製作:バンダイナムコアーツ、バンダイナムコエンターテインメント、博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、ボンズ、MBS
配給:ショウゲート

キャスト

石井・風花・アネモネ:小清水亜美、玉野るな
エウレカ:名塚佳織
レントン:三瓶由布子
ドミニク:山崎樹範
ミーシャ・ストラヴィンスカヤ:沢海陽子
ソニア・ワカバヤシ:山口由里子
グレッグ・ベア・イーガン:銀河万丈
バンクス:三木眞一郎
石井賢:内田夕夜
デューイ・ノヴァク:藤原啓治
 
公式サイト
公式Twitter(@eureka_hi_evo)

(C)2018 BONES/Project EUREKA MOVIE
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