アニメ『僕のヒーローアカデミア』の第4期シリーズもいよいよ終盤へ！向井雅浩監督が第4期シリーズを振り返りつつ、見どころを語る!!

昨年10月から第4期シリーズが放送されている人気アニメ『僕のヒーローアカデミア』（原作：堀越耕平さん）が、残すところ2話となりました。

最高潮を迎えている今シリーズより監督を務める向井雅浩さんにインタビュー！　第4期を振り返りつつ、制作するにあたって意識した点やお気に入りの回など、たっぷりと語っていただきました！

原作を読んでボロ泣き。アニメ第1～3期の長崎健司監督にシンパシーと感謝を!?

――アニメ『僕のヒーローアカデミア』の第3期シリーズから関わられていますが、参加する前に作品はご存じでしたか？

向井雅浩監督（以下、向井）：ボンズさんから声を掛けていただいて『血界戦線』のアニメ第2期に関わることになり、書店にコミックを買いに行った時、ちょうど『ヒロアカ』2期のPVが流れていたのを偶然、目にしたのが最初でした。

当時は原作やTVアニメシリーズは見たことがなかったんですけど、作品名や、ボンズさんが手掛けている人気作ということは存じておりました。

実際に作品に触れたのは大薮（芳広）プロデューサーから『ヒロアカ』第3期のOPの演出のお話をいただいた時で、そこまで発売されていたコミックの全巻と、アニメ第2期までの全話を拝見しました。

――原作やアニメをご覧になった印象や感想をお聞かせください。

向井：コミックのページをめくるたびに泣いてしまいました。1巻でデクが入学する話から既に（笑）。

昔、『NARUTO-ナルト-』のコミックを読んだ時もマクドナルドでコミックを読んでボロボロ泣きましたが、それ以来となるすごい熱量を与えてくれたんです。「そうそう！　こんなマンガを『ジャンプ』で読みたかったんだ！」って。

そしてコミックを読んだ後にアニメを見て、「マンガをアニメ化する時はこんなふうにしないといけないんだよね」と長崎（健司）さん（第1～3期監督、第4期総監督）にシンパシーを感じ、「ありがとう」という気持ちもあふれてきました。

3期までつないだ原作の良さや期待感を途切れさせないように

――第3期のOPを演出するにあたって、長崎総監督からアドバイスやオーダーはあったのでしょうか？

向井：OPだけではなく、本編の演出も担当させていただきましたが、長崎さんからは「好きにやってください」と。

僕がOPの演出をした時は、長崎さんが劇場版第1弾（『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE～2人の英雄（ヒーロー）～』）と、TVアニメシリーズの第3期後半のコンテチェックで分刻みの多忙さだったこともあり、具体的なオーダーをいただくことはほとんどなくて、こちらからいろいろ提案させていただきましたが、「それでいいですよ」とOKをいただいて。自由にやらせていただけたし、楽しかったです。

――そして現在放送中の第4期から監督として制作されていますが、制作するにあたって意識したことはありますか？

向井：第3期で各話ごとの演出を担当した時は、シリーズの中の1本に責任を持てばいいので、「多少脱線してもいいかな。飛び出したところは長崎さんに修正してもらえばいいだろう」と好きにやっていました（笑）。

でもシリーズを預かるとなると話は別で、それまで3期、第63話まで世に出ていますし、監督やスタッフが変わったから違うものを見せてほしいと望む人はいないと思うし、むしろ「私たちの『ヒロアカ』に変な扱いをしないで」というのが率直な気持ちだと思うんです。

だから「3期までつないだ原作の良さやアニメシリーズへの期待感を裏切らないように」を第一に心がけました。そのために原作をしっかり読み直すことはもちろん、アニメも見て、「これまでどんなことを意識して作られていたのかな」と徹底的に復習すること、僕のしたことはそれに尽きます。

長崎総監督のマネではなく、同じ方向性を意識

――原作の堀越耕平先生や編集サイドからのオーダーはあったのでしょうか？

向井：2018年から4期の準備が始まっていたのですが、先生も超多忙な方なのでなかなかお会いできなくて。

初めてお会いできたのが劇場版第2弾（『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ：ライジング』）の立ち上げの時にごあいさつさせていただいた時でした。先生や編集の方からは特にオーダーをいただいたわけではなく、3期までのイメージでしっかりやろうと思って制作に臨みました。

――すべて判断を任されているほうが責任もプレッシャーも大きいですよね。

向井：だから自由にやれたということはまったくありません（笑）。だいたい「俺のフィルムを見てくれ！」という根性の作品に限って、駄作になることが多いので（笑）。

今までとは違うと言われないように、でも長崎さんのマネをするのではなく、シリーズの流れを同じ方向性に、道を間違えずにできるかを意識しました。