春アニメ『啄木鳥探偵處』浅沼晋太郎さん＆櫻井孝宏さんインタビュー｜今では味わえない時代の空気感や関係性に憧れる☆ 石川啄木と金田一京助が人間の思い絡まるミステリーに挑む！

実在の人物をベースにしたキャラだからこそ、付き合いの長い相手との共演に安心感!!

――共演しての感想や、お互いが演じることで感じるキャラの魅力などがあれば教えてください。

浅沼：僕が30歳の時に声優デビューした作品がロボットアニメだったんですけど、アニメとゲームが同時進行のメディアミックス企画で、僕がアニメの主人公、桜井さんがゲームの主人公だったんです。

その時から、どこか特別な人というか…僕が一方的にフィルターをかけて慕っちゃってるんですが（笑）。

櫻井：あらっ!?

浅沼：それはもう、金田一京助役が櫻井さんだと聞いた時の安堵感ったらなかったですね。

櫻井：（かぶせ気味に）ありがとうございます！

一同：（笑）。

浅沼： そのくらい特別な大先輩なんです。時には主人公とそのライバルだったり、時には仲の良いクラスメイトだったりという形で、節目節目で必ず櫻井さんにはお世話になっていることもあって。

櫻井：いやいや。

浅沼：今回、群像劇ではありますが、僕はメインキャラクターだと言われると未だに肩に力が入ってしまうので、そういう時に京助が櫻井さんだとお名前を聞いて、良かったなと。

もちろん頼ってばかりのつもりはないんですけど、安心したのと同時に、キャラクターのビジュアルを見て「いやもう櫻井さんまんまじゃん」って思って（笑）。

一同：（笑）。

櫻井：僕からはちょっと申し上げにくいです（笑）。

浅沼：ただ、金田一さんについては櫻井さんもおっしゃっていた通り、子供の頃はどうしても耕助の方を先に知ってしまって、辞書の裏に耕助と似た名前の人がいるなという、金田一さんにとってはすごく失礼な認識の仕方で。

啄木さんも教科書などにも載っていたりして、お名前や作品は目にしたことがあったんですけど、この2人の関係というのは、実はこの作品に関わらせていただくと決まってから知ったんですよ。

岩手県民として、失礼で申し訳なかったなと思うんですけど、時間を掛けて丁寧に、緻密に収録をしているので、回を追うごとにじわじわ、２人の関係性に胸打たれていきました。バディが櫻井さんであることの安心感と、一緒に一つの作品を細かく作り上げていることが何よりうれしいです。

櫻井：僕もそうです。浅沼くんとは付き合いが長く、世代も近いですし、すごく頭が良くて脚本を書くという頭脳も持っている。

それは僕にはできないことで、緻密なお芝居もするし、ある種自分の表現したいものとか思いも強い人なので、やっぱり（浅沼さんと）啄木と重なるところがあるんじゃないかなと思います。

実在の人物を演じるのは難しいからこそ、良い年代で、いい作品に出会えているような気もして。

それを（浅沼さんと）こういう関係性で作れるというのはありがたいなと思っていますし、浅沼くんが（啄木と）同郷の出身だという話を聞いて、そういうエピソードがあって良いなと思いながら、僕は「見た目が似ていますか？」くらいしかないかなと（笑）。

一同：（笑）。

櫻井：「顔キャス（ティング）じゃないか」と言われたりすると、すごく複雑な心境になるので「いや、オーディションです」というやり取りをネタにしますけど（笑）。

当然フィクションの部分は多々あれど、（作品の舞台になっている）この時代ならではの友情や絆、関係性は素敵だなとか、うらやましいなとすら思うような、こういう関係は今は築きづらいのではなかろうかと思って。

時代感のある人物造形、人物描写、ドラマがすごく面白いなと思っています。

――現代の友情というのとは、思いや距離感が違うというか、的確な言葉があてはまらない気がします。

櫻井：友達なんでしょうけど、もう少し深いところでわかり合っているような。わかり合ってはいるんですけど、そういう甘ったるい表現というより、もう少し酸いも甘いも飲み込んで、人間的に“玉にキズ”な所があっても、それすらもいいんだよという。

そこにはやはり、歌人であったり、後世に残るような作品を作って、言葉を残している相手へのリスペクトがあるのかな。

浅沼：僕は、芸人さんの関係ってこういうことなのかなと思って。友達ではないけど友達以上の関係だし、家族でもないのに、めちゃくちゃケンカもして、話さないことすらあるのにずっと一緒にいる。

でも、お互いの才能は認めているみたいな、そういう関係性は普通に過ごしていてもなかなか築けないと思います。

櫻井：難しいよね。