音楽
『俺ガイル』最終章に、やなぎなぎの「芽ぐみの雨」が優しく降り注ぐ|インタビュー

終わりだけど、終わりじゃない。次を予感させるような気持ちで綴っていきました――『俺ガイル・完』を明るく彩る、やなぎなぎの「芽ぐみの雨」|インタビュー

<もしこの物語が終わるのなら 結末は雪じゃなく雨が降ればいい なぜって 顔を上げていられるから>――シリーズ第3期『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』のやなぎなぎさんによるオープニング曲「芽ぐみの雨」。「ユキトキ」、「春擬き」と、景色を変えながら少しずつ春に近づいていった三部作のラストで、切なくも明るい、キラキラ輝く希望が降り注ぐ。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、放送が延期となっていた『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』がいよいよスタート。合わせて延期となっていた、やなぎなぎさんのシングル「芽ぐみの雨」も7月15日(水)にリリースとなった。

同作の1期、2期のオープニングを歌い続けてきたやなぎさんにとって、思い入れもひとしお。その思いの丈をオンラインインタビューで語ってくれた。

本格的なオンライン取材はこの日が初めてだったそう。余談ですが、我が家の猫がパソコンの画面を横切るたびに「ふふっ」と優しい笑顔を見せてくれました。

完結はしてしまうけど、自分たちのなかでは生きていく

――いつも対面でお会いしているので、なんだか今日は不思議な気分です(笑)。

やなぎなぎさん(以下、なぎ):不思議ですよね(笑)。新しい感じがします。

――(インタビュー段階で)いまは自粛生活が続いている最中ですが、なぎさんは普段より健康的な生活を送られているとか。

なぎ:(笑)そうなんです。不思議といつもより健康的な生活を送っていて、自然と朝目が覚めていて。今は朝日と共に起きています。

――残念なことに『俺ガイル』最終章は放送が延期となってしまいましたが……。

なぎ:そうなんです。

――でも7月から放送スタートとのことで、楽しみにしています。ただ、いち視聴者としては「早く見たい」という気持ちと「終わって欲しくない」という寂しさがあってですね。

なぎ:(笑)分かります。「続きは見たいんだけど、終わって欲しくない」っていう、複雑な気持ちですよね。わたしもそうです。一期、二期と関わらせていただき、さらにイベントにも出演させていただき、どんどん思いが高まっているなかでの完結で。「終わって欲しくない」という気持ちがまだあるんですが、完結するのであれば、アニメと原作で育ててきた気持ちを「芽ぐみの雨」にぶつけようと思いました。

 

――前回ラストの終わり方が「春は、降り積もる雪の下にて結われ、芽吹き始める。」で、三期の始まりを彩るのが「芽ぐみの雨」。歌詞の言葉の一つひとつにグッときます。

なぎ:ありがとうございます。

――なぎさんが思いの丈を「芽ぐみの雨」にぶつけたのは、曲を聴いて伝わって。集大成なだけあって、過去の『俺ガイル』OP曲「ユキトキ」「春擬き」ともつながるような曲になっていますね。

なぎ:そうですね。「ユキトキ」「春擬き」を振り返りながら書きました。なんていうんでしょうか……。自分のなかで“完結する”ことが本当に大きかったんですね。完結はしてしまうけど、自分たちのなかでは生きていく。動いているキャラクターたちがそこで消えてしまうわけではないので、“終わりだけど、終わりじゃない”、次を予感させるような気持ちで綴っていきました。

――「ユキトキ」「春擬き」に引き続き、作曲を手掛けられているのは北川勝利さんで、切なくも、陽射しが差し込むような晴れやかなサウンドに。今ではバンドメンバーとしてもお馴染みの北川さんですが、北川さんとタッグを組んだのは「ユキトキ」が初めてでしたよね。

なぎ:最初に北川さんとお会いしたのは「ユキトキ」でした。そこから6、7年経って、今では本当にお世話になっています。北川さん自身も作品の完結に向けての想いがあったそうで。「ユキトキ」「春擬き」の要素も入れたいし、違う曲として、もっと盛り上げるものにしたいと考えていたそうです。そこは私も完全に同じ気持ちでした。「芽ぐみの雨」を……「ユキトキ」「春擬き」の流れを汲みながら完成させようと。

――実際、北川さんから届いた曲を聴いたときの印象というのは、どんなものでしたか。

なぎ:「ユキトキ」と「春擬き」のイメージを大切にしてくれたことが伝わってきました。それにプラス、サビの印象的なリフ、後半の盛りあがり……そういうメリハリを今まで以上につけてくださっていたので、聴いているうちに、自分自身も胸が熱くなっていって。曲に気持ちを高めてもらったような感じでしたね。

――「ユキトキ」「春擬き」、そして「芽ぐみの雨」と、三部作のような繋がりかたをしていて。歌詞を読むだけでもいろいろな想像が膨らみます。

なぎ:思いがけず三部作になりました(笑)。

――なんなら、四部作にしていただいても良いんですが……。

なぎ:私としても、あと10回くらいはじまってくれて良いですけどねえ。

――(笑)なぎさんの愛を感じるお言葉ですね。ところで、「芽ぐみの雨」という言葉は、なぎさんのなかで、どういった意味を持っているのでしょうか。

なぎ:一期が「ユキトキ」、二期が「春擬き」と、だんだん情景が変わっていて。「ユキトキ」「春擬き」を作っているときは“三部作”というイメージではなかったんです。今までは「春にユキが溶けるのかな」「春になったのかな」といった曖昧なイメージにしていたんですが、三作目にドラマが起きるとしたらどんなものなのかなって考えたときに「春になったよ!」と予感させるものにしたいなという思いがありました。とは言え、明確には言ってないし、「雨だし、どっちなんだろう?」と、想像の余白はあるんですけども。

――いまおっしゃってた「春になったよ!」と語り掛けるような、そういった力強さがある曲ですよね。3曲とも息を吸って声からスタートするスタイルですが、「芽ぐみの雨」は突き抜けるようなハイトーンボイスが印象的で、それがまた希望を予感させる。

なぎ: 3曲とも歌スタートなんですよね。「芽ぐみの雨」には、最初は違うメロディがサビに入っていて、そこまでハイトーンでもなかったんです。でも最後だし、もっと疾走感や突き抜ける感じが欲しいと北川さんにご相談して、メロディを変えていただきました。

――歌詞のなかに<本当は全部 全部知ってるよ 完全なハッピーエンドなんてない><いつか枯れて思い出になっても忘れない 君を>など、胸がキュッとなるような言葉もあるわけですが、それこそ“芽ぐむ”という言葉に相応しい、救いの言葉が全体的に多くて、明るいサウンドと相まってうるっとくるわけです。そこはなぎさんのなかで、どういった思いがあるのでしょうか。

なぎ:(頷きながら)そこは個人的な思いも大きいんです。物語のなかで全員が幸せになれているわけではないので……。でも、物語内では幸せになれなかったとしても、凄く愛おしいキャラクターたちなので、全員救われて欲しいという個人的な願望があったんです。それでこういった歌詞になりました。

――第三部の内容について、今の時点でお話できることって何かありますか?

なぎ:うーん。私は結構つらくって(苦笑)。もちろん幸せなシーンはあるんですが、胸がキュッとなることも。だからこそ、自分のなかでこの物語が続くとしたら、こういう幸せなことがあってほしいなって。この曲はそういった希望や願望が強く出ているかなと思います。

――レコーディングはいかがでした?

なぎ:めちゃくちゃスムーズに終わってしまったので、特にエピソードのようなものはないんです(笑)。もう本当に一瞬で。

――確か「ユキトキ」は、確か結構時間を掛けられていませんでしたっけ?

なぎ:あのときはプリプロをしていたと思います。当時は、今のように「息バッチリ!」という域には達していなかったので。特に「ユキトキ」は、何回も自分で仮歌を録って、キーを試行錯誤して上げたり下げたりしていた思い出があります。それを北川さんに聴いていただいて、さらに調整して……という感じでした。そのあと何度か北川さんとご一緒して、「なぎさんってこういう感じだよね」って曲を作ってくださるようになって。「春擬き」のときも仮歌は録ってはいたんですが、「ユキトキ」ほどではなくて。「こっちのほうがいいね」ってサクサクと進んでいったように思います。

――じゃあ「芽ぐみの雨」では、スムーズで何もなかったことが、とびきりのエピソードですね。

なぎ:そうですね(笑)。きっと、意識がシンクロしていたんだと思います。「ユキトキ」から一緒にやってきて、北川さんと最終的に目指しているところが一緒だっただからだろうなって。

(C)渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完
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