アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』中川大志さん＆清原果耶さんインタビュー｜アニメーションだからできる表現、新たな『ジョゼ』の魅力とは？

田辺聖子さん原作の人気小説で、2003年には実写映画化されて話題になった『ジョゼと虎と魚たち』がアニメ映画化！　12月25日(金)に全国公開です！

監督は『ノラガミ』や『おおかみこどもと雨と雪』などを手掛けたタムラコータローさん、キャラクター原案は『荒ぶる季節の乙女たちよ。』や『それでも僕は君が好き』などでおなじみのマンガ家の絵本奈央さん、キャラクターデザイン・作画監督は『あんさんぶるスターズ！』や『えんどろ～』のキャラクターデザインを担当した飯塚晴子さん、アニメーション制作はボンズという強力スタッフ陣が集結。

気になるキャストは、恒夫役に2019年日本アカデミー賞新人賞を受賞した中川大志さん、ジョゼ役は『あさが来た』で女優デビュー後、映画やドラマで活躍中の清原果耶さんと人気と実力を兼ね備え、アニメや吹き替え経験もある2人がW主人公を演じています。

原作や実写とも違う、新しい『ジョゼと虎と魚たち』の魅力について、中川さんと清原さんに語っていただきました！

※取材は2020年3月に行いました。

今作は実写版とは別もの？

――演じる前に『ジョゼと虎と魚たち』の原作や実写映画等をご覧になりましたか？

恒夫役・中川大志さん（以下、中川）：実写の映画は見たことがなかったのですが、作品が人気作ということも知っていました。ただ監督から「アニメは別ものなので、映画は見なくていいです」と言われたので、あえて見ないで収録に臨みました。

ジョゼ役・清原果耶さん（以下、清原）：私は今回のオーディションを受ける少し前に、マネージャーさんや知り合いの俳優さんに「素晴らしい映画だから観たほうがいいよ」と勧められて。観たら本当に素晴らしくて、感動しました。

映画と今回のアニメでは物語はまったく違いますし、両方にジョゼは登場するけどジョゼも全部一緒というわけではないので、別ものと考えてやっていました。

――今回の脚本を読んだり、映像をご覧になった感想は？

中川：収録時はまだ完成していませんでしたが、きれいかつ独創的な映像で、ジョゼの視点から見た世界が描かれているので、アニメーションにしかできない表現だなと思えるところがたくさんありました。

足に障がいを持つ女の子と、海が好きな男の子のお話ですが、重苦しい雰囲気ではなく、ピュアな2人のドラマをカラフルに、テンポよく、丁寧に描かれている作品だなと思いました。

清原：恒夫とジョゼが仲良くなっていく過程が優しく、温かく描かれていて。ポジティブな気持ちが生まれてくるところと、その中に切なさを感じる部分もあって。また、恒夫とジョゼ以外のキャラクターが話す言葉や起こす行動にも興味をそそられる脚本だなと。

どのキャラクターの視点から見ても応援したくなるような、それぞれの強さや弱さが見えてくるし、2人の周りにいるキャラクターたちが引っ張ってくれたり、盛り上げてくれたりするシーンもたくさん詰まっています。

アニメーションでしか表現できない光の入り方や色の世界観は圧倒的に美しくて、完成した映像を見るのが楽しみです。

――ご自身が演じるキャラについての印象を教えてください。

中川：恒夫は大学で海洋生物学を学んでいて、ダイビングショップでアルバイトしながら夢に向かって頑張っている普通の男の子です。天然なところや若干鈍感な部分もあるけど、自分の世界観をしっかりもっているキャラクターだなと思いました。

清原：ジョゼは関西弁でものすごくキツい言葉で話す子ですが、垣間見える愛おしさがあったり、ヤキモチを焼いたり、女の子らしい面もあって。でも達観したように自分の人生を感じているところもある、色んな魅力があるキャラクターだと思います。

――お互いのキャラの印象もお聞かせください。

中川：ジョゼは外の世界と触れずに生きてきて、おばあちゃんと過ごしてきた時間が長いので、同じ年代の女の子にはない感性があるし、外に出かけることへのハードルが高いからこそ、観察力やイメージする能力も高いところも魅力的だなと思います。初対面の人にはどう接していいかわからないから強くあたったり、口が悪かったりするけど、実はピュアで、そんな部分が見えれば見えるほど、素直になれない不器用さにも愛おしさを感じました。

清原：普段引きこもっていたジョゼにとって、恒夫は自分を外の世界へ連れ出してくれた存在で。意地っ張りなジョゼは、初めは恒夫を「管理人」と呼んでいますが、彼女なりの愛情表現なんですよね。そんなジョゼに対しても恒夫は寛容で、たまにケンカして声を荒立てる時もあるけど、２人の関係性を繋いでいてくれる、そんな存在なのかなと思います。