春アニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』グレイス役・明坂聡美さん声優インタビュー│ヴィヴィの活躍がもたらした“AIと人間の残酷な恋物語”に「人間は愚かだな」

グレイスの真実が語られる、急展開の第6話！とにかく語りたくなるアニメ

ーーコアになったメタルフロートが暴走し、最終的にはコアを破壊することになったのですが、正直この残酷な展開をどう思いましたか？

明坂：私のセリフ的にはなくて、ずっとただの音階と言われた歌を歌っているだけだったんですけど、小野賢章くんの演技ですよね。もうグレイスは救えないと思い、コアの場所をヴィヴィに教えるんですけど、そのあとの嗚咽があまりにもツラくて、「あぁぁ～」ってなってしまいました。アフレコではずっと横で聞いていたので。

ーーそれはキツいですね。

明坂：もうテストでもツラくて、その分、プロポーズのシーンは明るくやったんですけど、それだけにより堪えてしまって……。

ちなみに、「人間の歓迎にはサプライズが効果的だと聞いたもので」って2回出てくるんですけど、改めて収録しているんです。2回目は冴木がずっと思っていたグレイスの声でありたいと思ったので、少し声色を柔らかくしているんですけど、それが採用されていたので、きっと冴木にとって彼女は光で、ヴィヴィにとっての歌のような存在だったんだなと思いました。

ーーメタルフロートから流れる音楽を、ただの音階と言ってヴィヴィはコアを破壊しに行きますよね。

明坂：途中までヴィヴィも救おうとは思っていたけど、マツモトの、流れている歌はただの音階だという言葉を聞いて覚悟を決めた感じはありましたね。あそこで胸を破壊したときに涙のように液体が頬を流れるんですけど、それを見たあとのヴィヴィの心境は、言葉に言い表せないだろうなと思いました。

ーーここは、基本的にグレイスにはもう心はないんですけど、冴木が思っていたように、実はグレイスは救いを求めていて、その救いがコアを止めてほしいということだと悟ったから、ヴィヴィが壊しに行ったとも取れるじゃないですか。だからグレイスの最期が少し笑っているようにも見えるんですよね。

明坂：あそこは救われたかのようにも見えるんですよね。でもそうなるとグレイスはあの状態でも心があったということになるので、それもそれでどうなのだろうとも思うし……。

ーー笑っているように見えるけど実はただ角度の問題だったりしますからね。でも、どちらでも解釈できるような描き方をするのが上手いなと思うし、考察をはかどらせるんですよね（笑）。そして最後は教会でのシーンになります。

明坂：あそこで冴木に「グレイスは、最後に何か言っていたかい？」と聞かれたとき、ヴィヴィは嘘を言えたのかもしれないけど「いえ、何も」と答えるんですよね。そこがAIだからなのか……。（その後、その場で冴木は自殺してしまい）これは、ヴィヴィの心は確かにやられてしまうよなって思いました。

ーー「どうか幸せになってください」という言葉もあのタイミングではどうだったのか、そこまでの人間性はなかったとも言えますし……。

明坂：とにかく語りたくなるアニメですよね！

ーーアクションシーンはいかがでしたか？

明坂：マツモトって量産型だったんだ！って思いました（笑）。それにかなりびっくりしたんですけど、そこでの「こんなんできました」は福山さんのアドリブで、みんな緊張で張り詰めた状態だったので、ここで一息入れられて「よしっ！」となったんです。

ーーあれは、アドリブだったんですね！

明坂：第5話の「来る、僕が来る」もアドリブでしたし……。

ーーそうなんですか！　そこはすごく面白かったです（笑）。

明坂：貞子か？ってなりますよね（笑）。無機質なものにそういうセリフがあると、マツモトにも心があるのかなと思うし、ヴィヴィのことを思っているんだろうなと思いますよね。第6話のことがあったから、第7話ではヴィヴィを完全に計画から切り離すような態度をとっていましたし。

だからマツモトが人間味溢れるキャラクターになったのは、福山さんのアドリブのおかげもあると思います。

ーーアフレコのときと完成したものとでは、だいぶ印象も違ったのではないですか？

明坂：1年前くらいにアフレコをしたので、重要なシーンでの歌が私たちの収録時にはなかったんです。最後のクライマックスシーンで歌がずっと流れているんですけど、ヴィヴィがグレイスの胸を破壊するときも、念のため声を入れていたと思うんです。でも、最終的に歌姫の歌がすごくて入っていなかったですから。

そのほかにも、ヌルヌル動くマツモトの動きとかを見ていたら「これは1年くらいかかりますね」と思いました。第4話でのヴィヴィとエリザベスや第9話のヴィヴィとユウゴのアクションシーンもすごかったですから。不自然に止まるロボットの動きも入れつつの戦闘がすご過ぎました。これは精魂込めて作られている作品だなぁと。

ーー明坂さんが好きなシーン挙げるとしたらどこですか？

明坂：やっぱりエステラとエリザベスの最期のシーンですね。エステラが艦内アナウンスをしているとき、エリザベスは歌を歌うんですけど、すでに彼女たちは燃え盛る炎の中に、熱さは感じないかもしれないですけどいるわけですよね。使命が終わると分かりながら、お客さんを大事にして、使命のために動く。AIの最期としては美しいし、人間の思惑によって滅ぶ切なさもあって、心に残っています。

ーーでは最後に、最終回を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。

明坂：私も先を知りませんし、誰に聞いても教えてくれないんです（笑）。なので想像もできないし、ヒロインたちも垣谷も退場しちゃったから、マツモトとヴィヴィがどうなってしまうのか、はたして人類とAIの戦争は止められたのか（※11話で止められていなかったことが判明）、そして、演算ができないその先はどうなるのか。

気になりますけど、私は7話以降グレイスが登場しないことしか知らないので、最終回はせめて視聴者のみんなと一緒に楽しみたいです。

[文・写真／塚越淳一]

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— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) June 18, 2021

TVアニメ『Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-』作品情報

放送情報

TOKYO MX：毎週土曜より23:30～
とちぎテレビ：毎週土曜より23:30～
群馬テレビ：毎週土曜より23:30～
BS11毎週土曜より23:30～
MBS：毎週土曜より（※初回のみ26：38～放送）27:08～
メ～テレ：毎週土曜より26:30～
北海道放送：毎週土曜より25:58～
RKB毎日放送：毎週土曜より26:00～
AT-X：毎週月曜より（※初回のみ23：00～24：00となります）　23:00～

※全13話
※放送開始日・放送日時は編成の都合などにより変更となる場合がございます。予めご了承ください。
　

スタッフ

原作：Vivy Score
監督：エザキシンペイ
助監督：久保雄介
シリーズ構成・脚本：長月達平・梅原英司
キャラクター原案：loundraw(FLAT STUDIO)
キャラクターデザイン：高橋裕一
サブキャラクターデザイン：三木俊明
メカデザイン：胡拓磨
総作画監督：高橋裕一、胡拓磨
美術監督：竹田悠介(bamboo)
美術設定：金平和茂
色彩設計：辻󠄀田邦夫
3D ディレクター：堀江弘昌
撮影監督：野澤圭輔(グラフィニカ)
編集：齋藤朱里(三嶋編集室)
音響監督：明田川仁
音楽：神前暁(MONACA)
アニメーション制作：WIT STUDIO
　