音楽
GRANRODEOインタビュー|KISHOWとe-ZUKAが今、戦っていることとは

GRANRODEO アニメ『範馬刃牙』OPテーマ「Treasure Pleasure」ロングインタビュー|15周年を迎え、たゆまぬ進化を続けるふたりが踏み出した一歩の、その先

 

新しいチャレンジを詰め込みたい

──今作「Treasure Pleasure」はファンキーなサウンドが印象的です。どういったところから制作がスタートされたのでしょうか。

e-ZUKA:「ファンキーなのが良いな」って決めました。どうせやるのだったら、メタリックじゃなくて、ミクスチャーよりというか。一転、レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)くらいの。

──レッチリもお好きなんですか?

e-ZUKA:いや、実はあんまり聴いてないです(笑)。でも好きな曲もあります。デイヴ・ナヴァロが入った時代あたりが好きで(1994年加入。翌年のアルバム『ワン・ホット・ミニット - One Hot Minute』のツアー後に脱退)。

そのあともジョン・フルシアンテが復活してから……例えば「Dani California」とかは聴いているんですけれど、そこまで多くは聴いてないですね。

あ、でも初期の「Mother's Milk」あたりのビデオはよく見ていました。やっぱりね、Pファンクとかが好きなので「カッコいいなあ!」って。

──そういったところから構想しながら……。

e-ZUKA:です。そこからスタートして作ってみたんですけど……。「90秒だから楽だね」みたいな空気があるんですけれど、意外に大変なんですよ(苦笑)。当たり前ですけれどDAW(Digital Audio Workstation/音楽制作ソフト)はまっさらな状態なので「これから全部作らなきゃいけないんだ」って(笑)。

で、90秒サイズのメロと歌が固まって、イントロもできて……「90秒できた」ってところからまた悩み始めるんです。「なんか普通だなあ、こんなメロディどこにでもある気がする」って。

今回も、90秒サイズのものを出してとりあえずオッケーはいただいたんです。けど、「メロは残してアレンジをもうちょっとオシャレにしようかな」「ジャミロクワイくらいのオシャレなコードをつけようかな」ってレコーディング寸前まで悩んでいました。

でもベタで良いかと。間奏の前のところのブラス、ホーンセクションのところは、ちょっとジャジーでタワー・オブ・パワーみたいな感じにして「実は頭良い人なんですね」「一応そういうの知ってるんですね」みたいなところを出しつつ(笑)。

あとはもういつも通り作っていきました。でも太い音になったと思います。『刃牙』に合っているのかなと。

──ギリギリまで悩まれたとのことですが、それは普段の制作においてもそうなのでしょうか。

e-ZUKA:わりと悩みますね。CDになってやっと諦めるって感じかな(笑)。マスタリングの直前まで「差し替えられないかな」と思うことも。この曲なんかも、カップリングのミックスをしてるときにもう1回ミックスしたいなと思ったんだけど、「でもまあやめとこう」と。

──例えばどんなところが気になったんですか?

e-ZUKA:いろいろです。僕がずっと気になっているのはAメロのギターのカッティングで……って自分のところばっかりなんですけど(笑)。取り返しのつかないところでいうと最後サビに入るところのアレンジ。でも「逆に良いか」って。

後からそうやって思うことはよくあるんです。ライブでやり始めちゃうと忘れてしまうんですけどね。CDは残るものだけど、ライブでは曲が育っていくから気にならない。だからCDがリリースされてライブでやるまで……という感じです。

──さきほどおっしゃってたホーン・セクションの部分、すごくカッコいいです。

e-ZUKA:新しいことにチャレンジしたいという気持ちもあったんですが、ああいうホーンのライティングにしたら、吹きにきてくれたミュージシャンも嬉しいだろうなって。難しいものってできたときの達成感ってあるじゃないですか。ミュージシャン冥利に尽きるというか。せっかく生で吹いてもらうんだから楽しんで欲しいなと。偉そうですけれど(笑)。

──歌詞はどのタイミングで書かれたんですか?

KISHOW:90秒サイズの曲をもらった時点で取り掛かりました。曲先ってヤツですね。

 

 

──『刃牙』シリーズらしく“戦う”がテーマになっていますね。

KISHOW:『刃牙』は戦いがメインの作品ですから、自然と戦いがテーマになります。今回は「自分よりも強大な敵に立ち向かう」といったことをうかがっていたので、<チャレンジ>って言葉を使ったんだと思います。

──<挑戦チャレンジ>って言葉がまさにありますね。

KISHOW:<挑戦チャレンジ>ってすごい言葉ですよね。ルー大柴さんみたいな。

e-ZUKA:アッハッハハ!

KISHOW:机テーブルみたいな(笑)。それだけチャレンジという言葉を引き立たせたかったんでしょうね(笑)。

──KISHOWさんとしての挑戦もあったのでしょうか。

KISHOW:僕は新しいことにあまりチャレンジしていかない男でして……。だから道ひとつとっても、平坦が良いと思っているんですよ。起伏があるような場所は嫌だなと(笑)。

──すごく意外です。いばらの道すら自ら突き進んでいきそうなイメージでした。

KISHOW:よく言われます(笑)。でも安心・安定を好む傾向にあるんですよ。平穏でありたい(笑)。自覚的に何かにチャレンジしていくということはない男ですから、「歌詞を書いてください」ということであればそういう言葉を使いますけれど、ノンタイアップやカップリング、アルバム曲だと“挑んでいく”気概を出さないですよね。どこか逃げ道が欲しい(笑)。

こういう言葉は、作品に引っ張ってもらっているからこそ出てくるものなので、引き出してもらっている感覚がなくはないかな。だから新たにチャレンジしたという意識はそれほどなく、やってきた延長線上にあるものの気がします。

曲がりなりにも、この15、16年で150曲くらいあるので、その経験値の上に「Treasure Pleasure」があるのかなと。2番に<知らずにいればええんじゃ だけど怖えんじゃ>という方言チックなものを入れたのは、ちょっとした遊び心ではあるかもしれませんね。

たまにやるんです。僕が山口出身なので、方言はある種武器になるのかなと。2番はアニメでは流れない部分なので好きにやらせていただきました。

──あとラップもありますね。

KISHOW:e-ZUKAさんの仮歌でラップっぽいことをしていたから「ここはラップ部分なんだ」って解釈して。たまーにあるんですよ。でも久々だったかな。このちょいラップみたいなの。

──久しぶりですよね。「オセロ」(Album『BRUSH the SCAR LEMON』)とか……。

KISHOW:(真顔で)よくそんなマイナーな曲知ってますね。

e-ZUKA:マイナー(笑)。

 

 

──あとは「Punky Funky Love」(TVアニメ『黒子のバスケ』第3期1クール目OP主題歌)ですかね。

KISHOW:そうですね。それくらいぶりになるのかな。「こういうの久しぶりだな」と思いながら書いた記憶があります。

──さきほどから思い出すようにお話されていますが、作られたのは結構前なんですか?

KISHOW:1年以上前なんですよ。タイアップ作品ということもあって早くに準備しているんです。だから取材に来ていただくころにはだいぶ忘れてきています。今こうやって話しながら思い出している感じです。

──ということはレコーディングも早々に?

KISHOW:去年か今年の頭か……。いずれにせよ半年以上は前だったかなぁ……記憶がこんがらがっていて。ただ、歌ったのは僕です。それは間違いないです(笑)。

──(笑)。今までの経験値があってこそというお話をされていましたが、まさに「Treasure Pleasure」にはそういった力強さを感じました。

KISHOW:ありがとうございます。結構「良い」って言ってくれる人が多い気がしますね。『刃牙』の曲として。

──フルで聴くとまた印象が違いますよね。

KISHOW:さっきの<こき下ろされて変なスレ立てられたって笑ってやるのさ>ってところは2番なので、ぜひ入れてもらいたいですね。「きーやん、ネットスラングみたいのも知ってるんだ」って思われたい。「そのセンス!」みたいな。……って、自分で自賛するようになったらオシマイですけど。

──(笑)。先ほどe-ZUKAさんは「やりなおしたいところがあった」というお話をされてきましたが、KISHOWさんもそう思うことはあるんでしょうか?

KISHOW:僕はないですね。そもそも清書もしないんですよ。書き終わったらそのまま提出で。この曲に関してはスパッと収められたような気がしています。明快だと思うし、自分にしては上出来じゃないかなと。2番以降はその反動じゃないんですけれど、色が出ますよね。自分の15、6年で培ってきたクセが「やっぱ出とるな」と思います。

──クセと言うのは例えば?

KISHOW:やっぱり遊んじゃうというかね。それこそ、さっきのスレの部分や、方言のところとか。よく言えば“らしさ”になるのかな。ぜひそう言っていただきたいです。

 

MVでは朝倉 海選手とコラボレーション

──MVでは総合格闘家の朝倉 海選手とコラボレーションをされています。

 

 
KISHOW:全部海さんでも良かったんじゃないかと。リアル刃牙ですよね。実写版でやるなら海さん良いんじゃない?と思った次第です。

e-ZUKA:海さんが出てくれたのでいつもより収録が早く終わった気がします。スムーズな収録でした。恥ずかしいので僕自身はMVを見直すことはあまりないんですけど、海さんのファンに観てもらいたいな。できればウチのYouTubeチャンネルを宣伝していただけたら……。

KISHOW:すごく人気ですからね。海さんに比べたら僕らなんてカルトバンドみたいなもんですよ。

e-ZUKA:ワッハッハハ!

KISHOW:カルトユニットですから。いや、地下ユニットか!?

──MVのメイキング映像がYouTubeにアップされています。その中でe-ZUKAさんが「きーやん、殴ってもらわなくていいの?」と(笑)。

 

 
e-ZUKA:ふふふふ。

KISHOW:スパーリング的なね(笑)。e-ZUKAさんが冗談で「今日はスパーリングをやるつもりでね!」って言ったら海さんが「あ、やりましょうか!」って。思わず「シャレです!シャレですから!」と叫びました(笑)。冗談が通じる方だとは思うんですけれど。

海さんと言えば、先日(『Yogibo presents RIZIN.30』で)勝利を収められていて。良かったです。僕らのMV出演の後に何かあったら「GRANRODEO何してくれてんねん」ってなりますから(笑)。あと、このときのMVは日焼けしていたので、これまでのMV史上最大に顔の色が黒いです。

──今もほんのり焼けているような……。

KISHOW:そうなんです。夏の残り香がね……。統一感のない肌なんですけどね。お風呂に入るたびにギョッとします。白いタンクトップを着ているような感じになってみっともないなと。嫌ですね(笑)。

──(笑)。ジャケットも戦闘モードですね。

KISHOW:マイクスタンドとギターがダンベル化しています。見ての通りというか。『刃牙』ならではの写真になっています。

 

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