『きんいろモザイク』クラウドファンディング企画［連載第3回］『きんいろモザイクThank you!!』を作った監督の名和宗則さん、アニメーションプロデューサーの富岡哲也さんにインタビュー【前編】

制作者が映画館で鑑賞するときの意外な行動とは!?

──他の作品ではあまりないような『きんいろモザイク』特有のこだわりはありましたか？

名和：こだわりと言いますか、天衝さんの後を引き継いだ作品なので、自分から特殊なものを持ち込まなかったです。むしろ持ち込まないのが正解だったと思っています。

富岡：僕は1期で4コマ漫画をテンポよく見せるのはこだわりました。これは天衝監督が徹底して構成をしていたので。2期からはストーリー重視になりましたが、あれも基本的には天衝さんがプランニングをしたんです。それ以外は他の作品とさほど変わらずに作れました。

──『きんいろモザイク』に関わって楽しかった想い出は？

名和：嬉しかったのは、今回の劇場版『きんいろモザイクThank you!!』を、アニメの集大成として劇場公開させていただけたのが想い出です。実際に劇場に足を運んだら、コロナ渦ではありましたが大勢のファンが映画を見に来てくれていました。僕はファンの方たちの姿を見て、「あぁ、やってよかったな」と思いました。

──実際に見に行かれたのですね。

名和：もちろんです。あのときが『きんモザ』に関わっていて一番熱くなった瞬間かもしれません。

──監督は制作中に何度も見ていると思いますが、劇場ではどういう気持で映画を見るのでしょうか？

名和：制作の最中は普通のテレビモニターでチェックをしているので、スクリーンサイズで見ていません。なので、大きいスクリーンで見るとどうなるかを気になっていたのですが……。いざ上映が始まると客席ばかり見ていました

一同：（笑）

名和：後方の座席を指定して、劇場全体を見渡せるように座りました。みんなが笑ってくれたりリアクションをしている姿を見られたときは、本当に幸せでした。

富岡：「絶対に笑ってもらえるだろうな」って思いながら作っていたところでピンポイントの笑いが起こると、とても嬉しいですよね。

──おふたりは話の先がわかっているので、「くるぞ、くるぞ」と思いながら見ているのでしょうか？

富岡：そんな感じです。そして上映開始から何日か経って、あるファンの子が僕にTwitterでダイレクトメッセージを送ってくれたんです。そのメッセージには「20回以上見に行きました。毎回泣きました」と書かれていました。普通、面識のない方には返信しませんが、今回ばかりは「ありがとう！」と感謝を伝えました。

名和：「俺は30回だ」って返したんじゃないの？

一同：（笑）

富岡：大人なんで！　そんなマウント合戦はしません（笑）。

──何人ものファンから届いた質問です。もっとも好きなキャラクターは誰ですか？

名和・富岡：……。（ふたり目を合わせて沈黙）

一同：（笑）

富岡：名和監督はあの子ですよね？　名和監督用にグッズのサンプルをキープしていますよ。

名和：ありがとう！（笑）　好きなキャラクターは猪熊陽子です。

──その理由は？

名和：描きやすいからです。絵を描きやすいという意味じゃなくて、キャラクターとして、作品のなかで活躍させやすいからです。

富岡：陽子は特にキャラが立ってますからね。

名和：なので陽子は好きですね。でも、監督の立場だと、こういう質問は特定の人物を挙げない方がいいんじゃないかな？（笑）

富岡：僕は原作からずっと言ってますが、好きなキャラクターは久世橋先生です。大好きです。

──どういうところが？

富岡：先生らしからぬキャラクター性が好きです。烏丸先生もそうですけど、久世橋先生は、さらにその上をいってますから。また、性格だけじゃなくて、そこに声をあてた声優の大西沙織さんの演技もすばらしい。他作品を含めてアニメグッズを持たない僕が、個人的にグッズを持っている唯一のキャラクターです。

一同：（笑）

──それは本当にお好きなのですね。

富岡：垢抜けていて、先生だけど恥ずかしいことばっかりしていますけど、そんなところが好きです。名和監督の陽子みたいに監督としての目線ではなく、僕個人として、大好きなキャラクターです。

（後編に続く）

[取材・文：佐藤ポン]

クラファン支援者のみなさまをご紹介します！

この連載記事はソレオスが運営するクラウドファンディング「みんなで一緒に『きんいろモザイク』を振り返る連載記事と卒業文集を作りたい」の目標達成により制作しております。

下記プロジェクトにて実施されました。
https://soreosu.animatetimes.com/projects/animatetimes-kinmosa

プロジェクト開始直後から大勢のファンの方々にご支援いただきまして、編集部一同たいへん感謝しております。ここではプロジェクトで対象のリターンを支援していただいた方のお名前やコメントを掲載させていただきます。
掲載箇所は「キャストインタビュー」と「スタッフインタビュー」の6つの記事のいずれかに、ランダムで掲載させていただきました。ご了承ください。