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『朗読劇 アルセーヌ・ルパン♯2 虎の牙』ルパン役の関智一演出の野坂実と語る『ルパン』シリーズの魅力とは?

海外ミステリーの傑作『アルセーヌ・ルパン』シリーズの朗読劇の第2弾が上演決定! ノサカラボ『朗読劇 アルセーヌ・ルパン♯2 虎の牙』が8月6、7日に開催! 本日生放送チケット販売開始! ルパン役の関智一さんが演出の野坂実さんと語る『ルパン』シリーズの魅力とは?

海外ミステリーの大傑作であり多くのルパン作品の源流ともいえるモーリス・ルブラン作の『アルセーヌ・ルパン』シリーズの朗読劇『アルセーヌ・ルパン♯2 虎の牙』が8月6、7日に東京・イイノホールにて上演されます。

世界中の傑作・名作ミステリーを舞台化するノサカラボは演出家の野坂実さんを中心としたプロジェクトで、2021年からスタート。2021年8月に山寺宏一さんと水島裕さんらによる音楽朗読劇『シャーロック・ホームズ♯1』を上演、同年12月には関智一さん、木村良平さんらによる朗読劇『アルセーヌ・ルパン♯1 813』を上演。今回の朗読劇『アルセーヌ・ルパン♯2 虎の牙』は『アルセーヌ・ルパン』シリーズ第2弾となります。

出演は前回同様、ルパン役を関智一さん、原作者でありルパンの友人でもあるルブラン役は木村良平さんが演じる(木村さんはマズルー役も!)ほか、初参加となるのはガストン役の梶裕貴さん、フォービル役の岩田光央さん、ベルノック役の金光宣明さん、デマリオン役の関俊彦さん。そして紅一点のルバッスール役は花澤香菜さんと小原好美さんのダブルキャストという豪華メンバーが集結!

注目の朗読劇を控えた関智一さんとノサカラボ主宰の構成・演出を手掛ける野坂実さんに『アルセーヌ・ルパン』シリーズの魅力や本公演のキャスト陣について、そして見どころなど語っていただきました。

この朗読劇が『アルセーヌ・ルパン』シリーズと出会うきっかけに…

――以前からモーリス・ルブラン作の『アルセーヌ・ルパン』シリーズは読んだことがあいりましたか?

関智一さん(以下、関):前回の公演、『813』に出演することになって、ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズを初めて読みました。

ミステリー作家でいえば、江戸川乱歩や横溝正史の作品が好きでよく読んでいたので彼らが参考にしたり、憧れていた作家だと知っていたし、『アルセーヌ・ルパン』シリーズからヒントを得たアニメやドラマ、映画は見ていましたが、ルブランの書いた『アルセーヌ・ルパン』シリーズは読む機会がなくて。実際に読んでみると長く愛され、親しまれている作品って結局、おもしろいんですよね。皆さんも一度読んでみていただくと、これまで触れてきたルパンの印象が変わったり、発見もきっとあると思うのでお薦めします。

――アニメやドラマ、舞台等、「ルパン」を題材にした様々な作品が作られていますが、ご自身が好きだった作品を挙げるとすれば?

関:子供の頃、よく見ていたのは『ルパン8世』というマンガです(モンキー・パンチ氏原作)。アルセーヌ・ルパンの子孫、ルパン三世から五代後の子孫で、宇宙で活躍するお話でした。あとは皆さんご存じの『ルパン三世』や『怪盗戦隊ルパンレンジャー』ですね。

――ご自身主宰の劇団ヘロヘロQカムパニーで『怪盗不思議紳士』というオリジナルの舞台を行っていますが、ルパンからの影響はあったのでしょうか?

関:モチーフになっているのは『怪人二十面相』(江戸川乱歩原作)です。でも『二十面相』自体もルパンや『四十面相のクリーク』(トマス・ハンシュー原作)をモチーフにしているそうなので、僕らはオマージュを更にオマージュしたようなもので。また不思議紳士は探偵として登場したけど、最後は怪盗だったというオチだったので、怪盗なのに謎解きしたり、探偵や警部に扮装したルパンに近いかもしれませんね。

前回公演の『813』では変装の名人らしく多くのキャラを熱演! 2時間以上出ずっぱり&立ちっぱなしで筋肉痛!?

――『朗読劇 アルセーヌ・ルパン』の第一弾であり、前作の『813』にご出演された時の感想や印象深かったシーンなどお聞かせください。

関:序盤は変装するシーンが多かったため、キャラクターを変えて演じなければいけなかったので苦労しました。あとほとんど出ずっぱりでずっとしゃべりっぱなしだったのでハードでした。当時、ちょうど体調も弱っていたため、立ちっぱなしとしゃべりっぱなしで1公演終わるたびにヘトヘトでした。

――劇団ヘロヘロQカムパニーでの公演や他の舞台へ客演される時よりも出番の時間が確実に多かったと思います。いろいろなシーンでいろいろな人物で登場するため、座る時間もなく、長ゼリフも多めで(笑)

関:セリフをしゃべる時は立っていますが、だらっと立っていてもカッコ悪いので姿勢よくピシっとするように意識して。でも2時間以上、姿勢を維持するのはキツくて。それが一番印象深いかもしれません(笑)。

野坂実さん(以下、野坂):筋肉痛になったと言ってませんでしたか?

関:そうです! そうです! 足が筋肉痛になりました。

――『813』を観劇させていただきましたが、こんなにいろいろな人物を、1つの公演や作品で演じる関さんを見たのは初めてでした。

関:普段もちょっと演じ分けすることはありますが、すべてしっかり出番がある役というのは初めてかもしれません。しかもそれぞれの役は物語の中でウエートが大きくて。

――元々、関さんは演じられる役柄は幅広いし、キャラや声優のモノマネも上手で芸達者というイメージがあったので、ルパン役ほど適役はないのではないかと改めて思いました。

関:たぶんできるのは僕か山寺(宏一)さんくらいでしょう。あっ、これは冗談ですから絶対に(笑)は付け忘れないでくださいね(笑)。

野坂さんと関さんは劇団ヘロヘロQカムパニーでもタッグを組む関係で、『813』も深夜一緒に台本直しも

――『813』の原作を読んだ印象と朗読劇を演じて感じた違いやおもしろさとは?

関:朗読劇では地の文に書かれている描写や行動などをセリフだけで作っていかないといけないところが難しいですね。台本化する際も野坂さんが「よりいいものにしたい」と試行錯誤されていたので。推理ものなので情報が落ちてしまうと、お客さんが「あれってどうなったの?」と疑問が浮かんでしまったり、世界観への没入感や思考の流れを止めてしまうことになってしまいますから。

――原作は長編ものですごいボリュームなのに約2時間の舞台にまとめて、しかもミステリーやトリック、人間ドラマも過不足なく、描き切っていてすごいなと思いました。

野坂:『813』の時は稽古数日前に、関さんに台本直しをお手伝いいただきました。夜中11時くらいから朝方4時くらいまで。あの時、「情報が多すぎて、ワケわかんない!」と頭がこんがらがっていたら、関さんから「台本大丈夫ですか?」とお電話いただいて。「実はこんがらがっています」と話したら、「じゃあ、僕もチェックしますね」と言ってくれました。

とはいえとても忙しい方なので、すぐには無理だろうなと思ったら、夜中に電話があって、「例えばここはこう直したらどうでしょう?」とかアドバイスをいただいて、「なるほど。じゃあそうしてみます」と台本を修正して。そしてまた関さんに見ていただき、意見をもらったら修正するというやり取りを朝方も繰り返していたら、関さんが「あれ、ロレツまわってねえや」と。次の日もお仕事があるとお聞きして、「関さん、お疲れさまでした」と電話を切りました。あの時は神様が現れたと思ったし、すごく助かりました。

――関さんもヘロQで江戸川乱歩や横溝正史原作やマンガ『無限の住人』の舞台化などで台本作りにも携わっていたこともあって、苦労もわかるし、力になりたいと思われたのでは?

関:実は野坂さんにはヘロQの舞台でも、今年6月に行った『江戸川乱歩パノラマ朗読劇 5人の明智小五郎』や昨年9月の『冒険秘録 菊花大作戦』などで共同演出をしていただいたり、お世話になっていて。だから劇団でやっていることをそのままやっている感覚で。違いといえば、どちらが主宰しているのかくらいで(笑)。

関さんにとって野坂さんは「一緒に遊んでくれる人」!?

――関さんは、野坂さんの演出についてどのように感じられていますか?

関:演技の指導というよりは、世界観を構築するためのアドバイスをしてくださる感じでしょうか? うちの劇団でやっているから合わせていただいている部分はあると思いますけど。おもしろい絵を作ったら、一緒に遊んでくれる人ですね。ヘロQでお手伝いしていただく時、僕よりも制作予算を心配してくれて。僕が「ここで舞台が割れたらおもしろいよね」と言ったら、「今、お金がないので無理です」と(笑)。

野坂:普通、プロデュース公演をする時は予算があるため、やりたいことがあっても支出的に厳しいものですが、ヘロQは関さんがお金儲けを考えず、ただおもしろいことをしようという劇団で。だから関さんの横で、おもしろいことをすっと滑り込ませると、関さんが「それ、おもしろいですね!」とのってきてくれて。普通であれば怒られる、盆(回り舞台のこと)が2つに増えたり。

関:よそでやれないことをうちでやるという(笑)。

野坂:だからすごく楽しいんですよね。でもここ最近はコロナ禍ということもあって、なかなか舞台ができないのが残念です。

関:僕にとっては一緒に遊んでくれるお友達みたいな存在です。

――稽古等、舞台を作り上げていく上でのこだわりや印象深かったこと、裏話などございましたらお聞かせください。

関:印象深かったのは夜を徹しての台本直しです(笑)。でもそれほど口出しできることもなく、一役者が何か言ったからといって変わるのも違うと思うし。ただ僕と野坂さんの関係性があるし、このプロジェクトは自主公演以上、仕事未満みたいなので、やりやすさもあって。仕事の中には「ワケわかんないな」とか「伝わるのかな? これで」と思うこともあるけど、このプロジェクトはあがけるところは、一緒にあがけるのもいいですね。

『813』で恋破れて投身したルパンが実は生きていた? 『虎の牙』ではその後、そして新しい物語と謎が!

――今回上演される『虎の牙』の原作を読んだ印象や感想、そして朗読劇の脚本をご覧になった感想をお聞かせください。

関:この取材の時点ではまだ全部読めていなくて。野坂さんからの説明では、前回の『813』では恋に破れたルパンが崖から飛び降りて、すべてが終わったように思われましたが、どうもまだ物語は終わっていないようで。姿を現したルパンは本人なのか、それともルパンの名を語る別人なのかも気になるところでしょう。また『虎の牙』という題名も梶原一騎先生をほうふつとさせて。『タイガーマスク』の「虎の穴」みたいな(笑)。

野坂:実は江戸川乱歩も『虎の牙』というタイトルの作品を書いているんです。内容はまったく違いますけど。横溝正史の『本陣殺人事件』(ヘロQでも上演)も『虎の牙』をモチーフに書いているそうです。

関:ということは密室で事件が起きるわけですよね。
野坂:『本陣殺人事件』ほどの大がかりなトリックではないですけど、トリックももちろんあります。

――ミステリーで更に密室が舞台になっているとドラマや映画では視覚的なところで伏線に気付いてしまうことがよくありますが、朗読劇だとセリフなど少ない情報から推理する楽しみがあって、この作品に向いている気がします。

関:舞台性が出てしまうと逆にわかりすぎてしまったり、推理する上で邪魔になることもありますからね。

出演キャストは関さんが提案。関さんが選んだ理由やポイントとは?

――今作では前作に続いて木村良平さん、そして初参加となる梶裕貴さん、岩田光央さん、金光宣明さん、関俊彦さんに、花澤香菜さんと小原好美さんはダブルキャスト、という豪華メンバーですが、このキャスティングについての感想と、それぞれの方の印象とお芝居の印象をお聞かせください。

関:野坂さんにキャスティングしてくださいと言われて(笑)。僕が名前を挙げて、制作サイドにオファーと交渉をしていただきました。そして僕が思い描いた通りの理想的なキャスティングになりました。

――でもこれだけのメンバーが一堂に会するのは奇跡的ですね。

関:みんなのスケジュール調整がうまくいって。花澤さんは『813』の時もお声がけしていましたが、スケジュール的に難しくて。でも先の公演も決まっていたので、先んじて軽く打診してみたら1日なら何とかなりそうだと。だから一番最初に決まったのが花澤さんです。梶くんはダメ元で聞いてみたら、「大丈夫です」とOKをいただいて。ヘロQでは何度オファーしてもダメなのに(笑)。劇団では数日公演がありますが、この朗読劇は2日間4ステージだからという部分もあるんでしょうね。

関俊彦さんとは「関関」でそろえてみようかなとお願いしてみました(笑)。見に来ていただく方にもキャスティングでも興味を持っていただけたらいいなと思ったので。金光さんは前回「813」に出演してくださっていて、お芝居が素敵だったので是非にとお願いしました。小原さんとは『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』で共演して、素敵なお芝居をされていたのでいつかご一緒したいなと思っていたので、僕からお願いさせていただきました。岩田さんも『ダイの大冒険』で共演していましたが、付き合いも長い方ですし、良平くんも前回も一緒にやらせていただいているので安心できます。僕が尊敬するキャストにそろっていただいて、とても嬉しいです。

ノサカラボは世界中のミステリーの名作・傑作を舞台化するプロジェクト。舞台界の定説を覆したい

――ミステリーの名作・傑作を舞台化している「ノサカラボ」についての印象をお聞かせください。

関:それがよくわからないんですよね(笑)。野坂さんは実はそんなに関わっていないみたいなことも言っているし、僕にとっては謎の団体で。ルパンみたいに「何をしているんだろう?」って。だからミステリーの名作や傑作を舞台化するプロジェクトだと初めて知りました。

野坂:ちゃんと説明してませんでしたっけ?(笑) ミステリーに限らず、海外作品にはおもしろいものがたくさんあるし、関さんと遊びたいものもいっぱいあって。ルパンは僕が企画して関さんと遊ぼうと決めました。ヘロQの『5人の明智小五郎』が終わった後、二人で「これで5~6年遊べますね」と話したのを覚えています(笑)。

関:『5人の明智小五郎』はちょっと変わった方法論で作りましたが、これでひな形もできたので、違う作品でもできるかなと。

野坂:ヘロQでは『本陣殺人事件』や『犬神家の一族』(横溝正史原作)に関わらせていただきましたが、江戸川乱歩も横溝正史も好きですし、関さんの金田一耕助も好きなので、そこはヘロQでと思って。「またやりたいですね」とお互いよく話しています。だからヘロQではやっていないミステリー作品を余すことなく、今後もやっていきたいと思っています。

関:海外ミステリーをどう朗読劇としてやるか、どこがおもしろいのかを言葉だけで理解してもらうのは難しそうですね。

野坂:海外作品のお仕事の依頼が来ても、コメディ作品が多くて。「ミステリーをやりませんか?」といろいろなプロデューサーに声をかけると「いいね」と言ってくれるけど、次にオファーがくるとコメディ作品で(笑)。好きだからやりますけど、ミステリーでは誰も遊んでくれなくて。誰もかまってくれないなら自分でやろうと。それがノサカラボを始めた理由です(笑)。

今後も『アルセーヌ・ルパン』シリーズやノサカラボで大先輩と共演したい。ミステリーと演技のマスターピースをぜひ劇場で!

――今後、朗読劇『アルセーヌ・ルパン』シリーズや「ノサカラボ」の公演などで共演してみたい声優や俳優は?

関:役にピッタリ合う人もいるので一概には言えませんが、上手な役者さんだったらどなたでもいいです。現状ではヘロQで一緒にやりたい役者さんを呼べているし、それ以外でも一緒にやらせていただいているんですよね。

野坂:『813』もいいメンバーがそろいましたよね?

関:そうなんです。今回もいいでしょう? 希望するメンバーがそろって、僕がビックリしたくらいですから(笑)。

野坂:裏話になりますが、皆さんからOKをいただいて、関さんをビックリさせようと急いで電話したら、既にうちのスタッフが伝えてしまっていて。僕はそれを知らないで、自慢げに「関さん」と話し始めたら、「聞きましたよ」と軽く言われてちょっとガッカリしました(笑)。

関:あとベテランの方もちょくちょくお招きできたらいいなと。ノサカラボでやりたい主旨にもピッタリだし。ベテランの方は人前でお芝居することがなかったり、皆さんも生のお芝居を見たり、聴いたりできる機会はあまりないと思うので、大先輩のお芝居を見て聴いていただきつつ、僕らも勉強したり、刺激を得られると思うので。

もちろん今回の朗読劇『アルセーヌ・ルパン#2 虎の牙』でも、まだ触れたことがないミステリーの傑作と素敵な声優陣の芝居に触れていただける、いい機会だと思いますので、『813』をご覧になってくださった皆さんやまだ『アルセーヌ・ルパン』シリーズを読んだことがない方もぜひ劇場へ足を運んでみてください。

ノサカラボ『朗読劇アルセーヌ・ルパン♯2「虎の牙」』は2022年8月6日(土)と7日(日)、東京・イイノホールにて開催!生配信も決定!!

チケットはこちら

2022年9月10日(土)、11日(日)には音楽朗読劇『シャーロック・ホームズ♯2』も上演決定! 出演は山寺宏一さん、水島裕さん、寿美菜子さん、山口勝平さん、大塚明夫さん。作曲は山中惇史さん、豪華な生演奏で作品を彩る。

アルセーヌ・ルパン#2虎の牙 特設サイト
ノサカラボ公式サイト

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