音楽
『黒バス』に「勝手に運命を感じています」|GRANRODEOインタビュー

日本武道館公演を控えるGRANRODEO ブルーノート東京でのライブをパッケージした「GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.2」、『黒子のバスケ』アニメ10周年記念アニバーサリーソング「ゼロステップ」についてKISHOW、e-ZUKAに聞く

GRANRODEOがブルーノート東京で開催した約90分間のスペシャルライブ「GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.2」のライブ音源をリリースした。

本作には「慟哭ノ雨」や「Treasure Pleasure」など、GRANRODEO人気曲のセルフカバーや、ボーカル・KISHOWが選曲した人気J-POP曲のカバーなど全16曲を2枚組で収録。生音ならではの迫力、一瞬一瞬の真剣勝負がまるっと詰め込まれた贅沢仕様だ。

さらに3月15日には『黒子のバスケ』アニメ10周年記念アニバーサリーソングGRANRODEO feat.小野賢章「ゼロステップ」がリリースされる。主人公・黒子テツヤ役の小野賢章をフィーチャリングにむかえ、新作MVを制作。アニメ映像は多田俊介監督が絵コンテ、Production I.Gがアニメーション制作を手がけた。『黒子のバスケ』アニメ10th盤と共にリリースされるGRANRODEO盤には「ゼロステップ -GRANRODEO ver.-」、さらにインストが収録されている。

2023年3月11日(土)に日本武道館での“アニソンのみ”のワンマンライブ『GRANRODEO LIVE 2023 "Rodeo Jet Coaster”』を控えているGRANRODEOのおふたりに話を聞いた。

 

 

 

ブルーノートはアーティストとして特別な場所

──まずは2月にリリースされる『GRANRODEO Live Session "Rodeo Note" vol.2』についておうかがいさせてください。前回の"Rodeo Note"に続いての音源化ですが、作品に残そうと思った理由は何かあったのでしょうか?

e-ZUKA:一発勝負は結構厳しいな、といつも思ってしまうんですけど。前回とは違って有観客ではありましたけど、限られた人数だったので、そういう意味では音源で聴いてもらったり、見てもらったりするのは良いのかなと。

──MCでもおっしゃってましたけど、かなりの倍率だったという。

e-ZUKA:そうなんですよね。だから本当はもっといっぱいやれば良いんですけどね。ただ場所が場所なので。ああいう場所でやれるというのは、ミュージシャンとしてはステータスのようなものも感じているのでうれしいですね。

いちばんびっくりしたのは、前回の"Rodeo Note"を見たロデオガールが「ここで働きたい!」と思って、で、実際に働いてたこと(笑)。その人が「(当日限定の)カクテル、こんなものを作りました」って持ってきてくれて、そのときに「私、実は……」と。

──すごいですね……! 人生が動いたといいますか。

e-ZUKA:なにが人に影響を与えるかわからないもんですね。

 

 
KISHOW:おもしろいよね(笑)。

──さきほど、ミュージシャンとしてはステータスを感じるような場所というお話がありました。KISHOWさんは最初のMCで「緊張する」とおっしゃっていましたが、それはブルーノートならではの空気感に、ということだったのでしょうか。

KISHOW:ド頭の入りは緊張するんでしょうね。無観客のときも緊張したんだろうし。静かなテイストでやるライブって緊張感がある気がするな。2、3曲やってようやく馴染んできたな、ってところから肩の力が抜けるような時間帯があったり、曲があったり。

いきなりリラックスから入れないんですよね。その日のコンディションとかによっても違うんですけど。でもこの日そう言ってたということは、緊張していたんでしょうね。僕、覚えてないんですよ。

──そういうものなんですね。

KISHOW:鳥頭で忘れちゃうタイプだから、恥ずかしいくらい覚えていないです(笑)。でもこうやって音源を聴くと悪くないなと。

──当日はフジテレビTWOの中継も入ってたんですよね。

KISHOW:この日地元の山口県から友だちが見に来てくれて。で、現場で聴いたときと、あとでテレビで聴いたときとで音の感覚が違ったらしくて。

現場で聴いたときのあの音のまま伝わってこない、ってことを言ってたけど「ああ、そういうものなんだろうな」と。こうやってCDにするときは音も多少整えていますけど。

 

 

──やはり現場ならではの音の感触といいますか。特に生音の温度感は贅沢ですよね。"Rodeo Note"はカバーセッションライブとして、セルフカバーや、名曲のカバーがありますが、いつも選曲はどのように決められているんですか?

e-ZUKA:まず編成を決めるんです。今までやった感じの、例えば「CRACK STAR FLASH」「慟哭ノ⾬」は、最初の「プラグナシ!」(ファンクラブ限定のアコースティックライブ)でやったんですよ。

で、それを入れつつ、どういう曲をアレンジした時に合うかなって考えて。それが思い浮かぶまではイヤなんですけど、浮かぶと楽しくなっちゃうんですよね。

前回はスウィングみたいなアレンジで「ケンゼンな本能」をやったんですけど、あれも最初の「プラグナシ!」でやっていて。ああいう系の……「シング・シング・シング」的な感じが良いなと。

今回サックスとしてヒロムーチョくんが参加してくれたんですけど、彼はマルチリード・プレイヤーなので、クラリネットやフルートもできるんですよ。それで前回なかったクラリネットもいいなと思って。

じゃあクラリネットで「シング・シング・シング」的な感じでアレンジできるものないかなと思っていた時に「アサメシマエのヤサシイセカイ」が合いそうだな、と。それで最初に入れました。

「JUNK-YARD DOG」はそのままやってもかっこいいかなと思って。あと「フォルテ」なんかは、ドラムのガンタさん(岩田ガンタ康彦)はパーカッションもできるので、パーカッションを入れて土着的な感じでやれることないかなと思っていて、「フォルテ」をやったら面白いかな、と。そういう感じで選んでいきましたね。

──普段のライブとは違う、生楽器の音が気持ちよく響いてくるなと感じていました。

e-ZUKA:そうなんですよね。普段だったら半オケを使っているし、音もデカいので音圧があるんですけど、こういうライブだと細かいところまで聴くことができる。そういうアレンジの妙というか……アレンジだけではないんですけどね。タイトルどおり、セッションライブと言いますか。

──スリリングでした。次の瞬間に何が起きるのかが聴き手としては予想ができない。

e-ZUKA:そうなんですよ、本当にそう。何が起きるかはその人次第というか。自分にも期待するんですけどね。「なんかおもしろいこと起きないかな」とか。でも何も起きず「起きないのかい!」と(笑)。

でもたまにあるんですよ。そういうものがあるとおもしろい。普段聴き慣れている曲でも、編成が違うだけでも違って聴こえると思うので、それは楽しんでもらえるかなと思っています。あとはなんと言ってもカバー曲。

──そうですね。「ハナミズキ」「スキップ・ビート」などなど、J-POPの名曲がジャンルレスに。

e-ZUKA:前回よりも1曲増えたので。そのうち全カバー曲になったりして(笑)。

──それはそれで、この編成でどんな曲をセレクトするのか気になりますけども(笑)。

e-ZUKA:それは二次会で、カラオケやスナックのほうに行っていただいて……(笑)。

KISHOW:(笑)

e-ZUKA:まあそれは冗談として、音楽的にジャジーであったり、アコースティックな感じであったりというのは、歌がひときわ良く響くっていうのが良さのひとつなんですよね。良さというか、もう“それ”なんですよ。

KISHOW:カバーに関して言うと、僕は人の曲を歌うのが好きなので望むところではあるんですけど(笑)。e-ZUKAさんは冗談交じり“KISHOWカラオケリサイタル”みたいなことを言うんだけど、当たらずとも遠からずって自覚はあります(笑)。

まあ贅沢ですよね。別にカラオケやスナックだと思って歌っているわけではないですよ(笑)。歌うからには堂々と、気持ちよく歌ったほうが伝わるだろうなと。せめて自己満足に終わらないレベルで、歌を伝えることができればいいなと思っていました。

あと、e-ZUKAさんも言ってたけど……こういう形態で、この距離・人数でやるっていうのは、ボーカルも楽器もごまかしがきかないくらい、全部はっきりと聴こえてしまうので、僕としては恐ろしくもあるんですけど。朗々と、気持ちよく歌いたいなと。頭の中はそれだけでした。

逆に人の曲だからこそ気持ちよく歌えるところもあって。人の曲を人前でポジティブに歌えるタイプです。それは日頃の……スナックでの賜物だと思います(笑)。

スナックに行ってるのはそのとおりなので。おじさま、おばさま方が「えっ?」ってなる瞬間が好きです。「この若者はなに!?」って。いや、若者ではないんですけど。

──皆さんが知っている名曲を歌われるってことですよね?

KISHOW:はい(笑)。でもひょっとして“あるある”かもしれません。プロの歌手がスナックに行って「お上手ねあなた」って言われるのが楽しいっていう。

 

 

──"Rodeo Note"の次の機会が待ち遠しいのですがVol.3は考えていらっしゃいますか?

KISHOW:恵比寿にもガーデンプレイスにブルーノートのコンセプトを受け継いだ新しいダイニングができたらしいんですよね(「BLUE NOTE PLACE」)。あのエリアは良いなと思って。いずれそこでできればな、ということを視野に入れると、Vol.3はやらざるを得ないでしょうね。

──話は戻りますが、"Rodeo Note"はおふたりからすると、少し特殊な位置づけのライブになるんでしょうか。

KISHOW:僕は歌うだけで良いんですけど、やっぱりアレンジするのはe-ZUKAさんなので、e-ZUKAさんの気分次第と言いますか。枯渇しない程度に才能を摩耗していただいて……っていうのがあるので。

音楽家って気分がノると自在にいけると思うんですけど、ノラないとやる気がおきないんだろうなと。この曲をこうアレンジしたい、って思うためには、気分がノラないと心の中から音楽が湧き出ないと思うので。それはe-ZUKA氏次第。僕、かねてから思ってるんですけど、GRANRODEOの心臓は飯塚昌明なので。

──じゃあ、KISHOWさんは?

KISHOW:僕は歯車ですよ。その周りを縁取る車輪で、心臓はe-ZUKAさん。

e-ZUKA:まあ、エンジンは表に出ませんから(笑)。もう「実は次の"Rodeo Note"も決まってるんですよ!」と発表したいくらいの気分ではあるんですけど、全然決まっていないので。

毎年恒例の、って感じでできれば良いんですけどね。本当は毎年恒例の、っていうのが好きなんです。予定調和とか大好きですから。

──恒例化しているものがたくさんありますものね(笑)。

e-ZUKA:今年も"Rodeo Note"の時期がやってきましたね、4年経ったから「ROUND GR」の年ですね、そろそろGナンバーライブでまた野音ですね、とか。そういう恒例のことが好きなので(笑)。だからまたやりたいですね。

──初回限定盤には当日のライブ映像も収録されています。映像でさまざまな場所から、手元や表情が見られるのはうれしいなと思ったのですが、映像の見どころで言うとどうでしょう?

e-ZUKA:最近あんまり自分の映像って見ないんですよ(笑)。でもまあ、見てやってください。基本的にはずっと座っています。

KISHOW:僕は何回も見ましたよ。良かったですね。やっぱりお客さんが入ってるのが大きいですよね。お客さんが入っているブルーノートの全体のムードが良い。あと、ブルーノート東京でGRANRODEOが対等にできてる空気みたいなものが伝われば良いなと。

見た感じは違和感もないですし、遮二無二背伸びしている感じもないですし。ブルーノートの懐の深さなのかなとも思いますけどね。我々みたいなモンも受け入れてくれるっていう。

──いやいや。

KISHOW:でもね、ちゃんと地に足ついてやれている感じが出ていたので。この映像からそれが伝わるんじゃないかなと思います。いや、このタイミングで良かったです。10年前だったら浮足立ってた感じがあったと思いますから。

──そうですかね?

KISHOW:わからないですけど(笑)。でも贔屓目抜いても、この楽団がブルーノートという場所に溶け込んでいるように見えましたね。僕は音楽人ではないと思っているんですけど、曲がりなりにも歌を17年くらい歌ってきてるので、音楽に貢献できる術は歌だけで。

でもブルーノート東京においては、僕はそれだけで十分だったなと。しかもe-ZUKAさんをはじめとした心強い楽団がいたので。

 

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