「好きで、好きで、好きすぎて、満ち足りない。十四番目の月みたいな、この気持ち。」──ドラマ『美しい彼』シーズン2で描かれた切なくも甘い愛の物語の魅力を振り返り!
「神々の美酒の味だね」絶対的な神を崇拝する信者の姿がここに
好きな男が自分を待っていて自分のために料理をしてくれることに幸せを感じ、この関係が永遠に続けばいいと願う清居。そんななか小山に会い、平良のことを耳にします。以前平良といろいろあった小山のことは気になるしおもしろくない、マウントをとってくるような言動も気に入らない。
結局清居は、小山に煽られて料理をします。慣れない料理に奮闘し、平良の帰りをそわそわしながら待つ清居の可愛いこと。
平良はエプロン姿で出迎えてくれた清居に驚愕し、清居の手料理に大感激しています。けれど、洗わずに入れた土の味のほうれん草と洗った豚肉が大量の日本酒で煮込まれた鍋はとても食べられたものではなく、口にした清居は衝撃を受けています。
しかしそんな清居の手料理を当然美味しく頂くのが平良であり、「神々の美酒の味だね」と称え、「これが神の鍋」と崇めます。絶対的な神を崇拝する優秀な信者の姿がここにありました。
「この無謀な挑戦、やらぬわけにはいかないのです」
「グランプリ獲って、プロになれ」と、清居からの震え上がるような期待を寄せられる平良。同じ世界で自分を撮ってほしいと懇願されます。常夜鍋に酔ってほっぺが赤くなった清居は格別に可愛くて素直です。
「なんという慈悲深いキング。美しい我らの王。不釣り合いな臣下に下さった温情に報いる為、あなたのお側にいられるならば……この無謀な挑戦、やらぬわけにはいかないのです」
そんな決意を胸に平良は、写真家の野口が審査員長を務めるフォトコンテスト「ヤング・フォトグラフィカ」に応募することに。キングの言葉は絶対で、清居の側にいるために平良は変わろうともしています。
しかし結果は落選。口では俺なんかと言いながらも写真だけは向いていると思って自惚れていた自分を突きつけられた平良。キングに課せられたミッションはあえなく玉砕し、期待を裏切ったと意気消沈。
しかし清居は一回で獲れとは言っていないし、どんどん挑戦しろと無謀ともいえる賞にも挑むよう背中を押します。高みだけを目指し常に努力してきた清居の言葉には心が通っています。
自分との差を改めて知り、底辺で石ころの自分は清居の隣にふさわしくないと考える平良。けれど清居の写真を撮りたいという信念は変わらずに持っています。
エターナル!
第3話で登場した「エターナル」。清居信者が集う「清居会」の乾杯の音頭であり、“清居への永遠不滅の愛” を意味する「エターナル」が実写でも観れるのは原作ファンにも嬉しいところ。本作は『美しい彼』の「月齢14」や『憎らしい彼』を中心としたストーリーとなっていますが、『interlude 美しい彼 番外編集』のエピソードもドラマに組み込まれていて、キングのお料理の話なども含め情報量満載です!
第3話も最高でした……!
— 凪良ゆう (@nagira_yuu) February 22, 2023
すべてのシーンで情報量が多すぎて、一秒たりとも目が離せない。宝の山のような30分でした(モンブランも金色に光っていた。まさか金色の川やエターナルが実写で見られる日がくるとは思わなかった)#ひらきよ エターナル🐥👑🎉#美しい彼シーズン2 https://t.co/Ar00HIVILW
「俺は清居を分かりたくない」どこまでも噛み合わない二人
清居ファーストに見える平良はマイワールドのなかで自己完結してしまうため、時おり清居をひどく傷つけてしまいます。
清居と自分の親は何も関係ない、関わることはこの先一生ないから大丈夫と断言する平良。この言葉が清居を傷つけるとはつゆほどにも思わず、清居がいくら必死に感情をぶつけても噛み合うことはなく切ないシーンとなっています。
清居の気持ちは全然分からない、夜空の星とそれを見上げている人間が同じわけがない。自分と清居は1ミリも交差していない、だからこそ星は一層輝くのだと持論を述べて全く清居を理解しようとしません。
そんな平良が行き着く答えは「俺は清居を分かりたくない」。
平良はずっとそこから動くつもりはなく、あの頃と変わらないし、いつまで経っても恋人として見てくれない。平良は清居に、「ごめんな……お前のこと好きになって」とまで言わせてしまいます。
清居を神のように崇める平良と、恋人として見てほしい清居
片想いの苦しさは甘美だったのに、一緒にいるとその時間がいつ終わってしまうのかと怯える苦しさを感じている平良。
清居が家を出ても追いかけもしない、電話もしない。駆け引きが通用しない平良相手に拗ねていても距離は永遠に縮まらなくて、清居は自ら歩み寄るしかないと腹をくくります。……憎らしいやつ。まさに、「憎らしい彼」。
清居にとって平良は、ファーストキスも初体験も捧げた相手。思えば、恋人同士になる前に告白したのは清居の方からで、愛してくれないなら放っておいてほしいと、想いをぶつけ泣いて平良の愛を求めていました。
清居を神のように崇める平良と、恋人として見てほしい清居。
一定距離以上、決して歩み寄ってこない平良に清居は何度も愛を乞うていて、ふと冷静になる度になんで俺がこんなきもうざに……と腹立たしくなるという繰り返し。
平良は、清居の気持ちを推し量ったりはしません。清居を崇めているだけで満足で、距離を詰めてこない平良に清居の苦悩は絶えず。けれど、我慢が得意ではない清居が、それでも平良と一緒にいたいのです。
吃音が出てしまう平良に、落ち着けと優しい顔を見せる清居は高校時代から変化。「俺もお前が好きだ」と言葉にし、「申し訳ないけど片想いには戻してやれない」と顔を近づける清居。妙なところで平良の頑固さが出るのもお見通しで、キング自ら平良と向き合う姿は感慨深いものがありました。
甘く官能的なチョコレートキス
写真家の野口のアシスタントの仕事が決まった平良は、清居といつか同じステージで、同じ空間で清居を撮りたいと夢を抱きます。清居を撮って「平良一成」と載せる……それを聞いて清居は声を震わせ嬉しそうな顔を見せます。
アヒル隊長とバレンタインチョコを清居からもらった平良は感極まり天にも昇りそうに。清居の指からチョコを口に含み、そのまま二人は唇を重ねます。
ようやく想いが交差した二人の甘いチョコレートキスは深く美しく官能的で、筆者は食い入るように見てしまい、「今日は我慢できないかも」にも悶絶しました。
最終話は第3話のラストから一転して甘く多幸感でいっぱいで、その余韻が果てしなく続くなかで本記事を執筆しています。平良と清居の変わらない部分と変わった部分の描写などにもひたすら感動していました。
一見、平良が清居を追いかける物語ですが、清居目線になるとそうではないことに気づかされます。前作ドラマからの繋がりや対比を見つける楽しさもあり、台詞や小物、衣装など細かいこだわりにまで是非注目してみてください。
カメラマンを目指す平良と俳優の道を進む清居、これからもちゃんと肩を並べて歩いていけるといいですね。