音楽
5周年を迎えたReoNaがアコースティックでお歌を紡ぐ/横浜公演ライブレポ

5周年を迎えたReoNaがアコースティックでお歌を紡ぐ――2年振りとなるファンクラブ限定ライブ『ReoNa Acoustic Live Tour “ふあんぷらぐど2023”』追加公演 一対一の静寂と躍動/レポート

2023年10月20日(金)名古屋公演からはじまったReoNaのファンクラブ「ふあんくらぶ」限定のツアー『ReoNa Acoustic Live Tour “ふあんぷらぐど2023”』。11月10日(金)の大阪公演にて一区切りを迎えた後、2024年1月19日(金)、神奈川県 KT Zepp Yokohamaにて追加公演を開催した。

ファンクラブ限定ツアーは約2年振り。アコースティックライブ自体、昨年の “Naked”ツアー振りとなる。その間、スタンディングライブも含めた「ReoNa ONE-MAN Live Tour 2022 "De:TOUR"」、その時点での集大成的なライブとなった「ReoNa ONE-MAN Concert 2023「ピルグリム」at日本武道館 ~3.6 day 逃げて逢おうね~」、アルバム『HUMAN』ツアー「ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2023 “HUMAN”」と、さまざまな場所とスタイルでお歌を届けてきた。

また、ReoNaの5周年イヤーということは、「ふあんくらぶ」の設立(2018年10月19日)5周年を迎えることとなる。改めて感謝の気持ちを直接伝えたい、という想いもあったのだろう。5周年を迎えた今、ReoNaにとって原点に立ち返りながら、次に進む決意を固めるライブとなったのではないだろうか。

ファンクラブ限定ライブならではのセットリストに

「Old Love」「My Father’s Eyes」……彼女が敬愛するエリック・クラプトンの名曲が流れる中、Gt. 山口隆志、key.荒幡亮平に続き、ReoNaが登場しハイチェアに腰を掛けると暗転。ピアノの音色が響くと、ペンを走らせるのも、息を呑むのもはばんでしまいそうな静寂に包み込まれる。その直後、叩きつけるような鍵盤の音色。ライブは月光を彷彿させるような青い光に照らされる中「Believer」から激しく立ち上がっていった。

浜離宮朝日ホールをはじめ、普段とは一味違ったさまざまな会場でお歌を届けてきた “ふあんぷらぐど”。KT Zepp Yokohamaのステージには、ReoNa Acoustic Concert Tour 2022 “Naked” でも立っているが、あの時とはまた一味違った厳かな雰囲気で、山口と荒幡は向かい合う形に。ReoNaたちのいるステージは、ストリングカーテンのようなもので半円状に包まれている。ライブ中、ReoNaの横に用意されている小さな加湿器からもくもくとした湯気が立ち昇る景色すら神聖なものに見えるほどであった。

間髪入れずにつながっていったのは、17歳の時から歌っている初のオリジナル曲「怪物の詩」。背景に映し出されたMVのカットと共に、モノクローム色の孤独と絶望を縁取っていく。ギター、ピアノというミニマムな編成ながらも、単なるアコースティックに留まらないダイナミズムが躍動していた。

一方、ミニマムな編成だからこそ分かる彼女の魅力がギュッと詰め込まれていたように感じたのが次のブロック。

「ようこそ、“ふあんぷらぐど2023”。5周年を迎えたふあんくらぶのあなたに、今日お届けするお歌の一つひとつ一つ、最後まで楽しんでいただけますように」

ゆっくりとした口調でそう告げると、Vanessa Carltonのカバー「Thousand Miles」を。ReoNaのルーツであるカバー曲が聴けるというのも、“ふあんぷらぐど”の醍醐味のひとつ。なお、「Thousand Miles」は昨年の「ReoNa Acoustic Concert Tour 2022 “Naked”」でも披露されており、かつ、コロナ禍のため中止となってしまった、2020年のツアータイトルでもあった。以前「今夜、あなたに会うことが出来るなら、1000マイルだって歩いて行くよ。ってお歌」と紹介されていたこの「Thousand Miles」には、コロナ禍が明けたことも改めて感じさせるような晴れやかさも含まれていた。

「改めましてこんばんは、ReoNaです。ふあんくらぶのあなたに、こうして顔を見て、同じ空間でお歌をお届けできる時間。痛みにまみれた過去も、泥の中をたゆたうような時間も、お歌に鳴ることで、誰かに、あなたに、寄り添えるなら」

優しいピアノの音色が寄り添いながら、泥の中で清らかに咲く蓮華の花「Lotus」を贈る。「Lotus」もだが、次の「まっさら」の演出も印象的であった。真っ赤なライトと対象的に白い光の柱が交差する中で届けられる<まっさらな命で生まれたら良かったのに>という切実な願いに、胸がギュッとなる。それと同時に、そこで歌われる<それでも生きていく>という強さにはこれまで以上の気高さを感じさせられた。

 
 

「カナリア」が響く

彼女がこの5年間寄り添ってきた絶望が新たな色で彩られたライブ中盤。「テディ」、TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』の劇中歌「カナリア」と、昨今のライブで鳴りを潜めていた名曲にもスポットライトが当たっていたことはとりわけ白眉であった。それに加えて、さだまさしが作詞・作曲し、ダ・カーポに提供した「不良少女白書」(1981年)のカバーも、本ツアーの聴きどころのひとつだろう。一瞬新曲なのかと勘違いした人も多いのではないだろうか(私自身、最初に聞いた時にリアルタイムではないので一瞬新曲だと思ってしまった)。しかし歌詞を読めば、そのメロディーを耳にすれば、彼女がカバーした理由がよく分かる。新たな時代に紡がれるその歌をぜひ楽しみにしてもらいたい。

「ここで、今日“ふあんぷらぐど”を一緒にお届けしているおふたりを紹介してもいいですか?」と、山口と荒幡を紹介。「今日がツアーファイナル。横浜に到着しました」「みんなのおかげで、ツアーファイナルで、久しぶりに横浜に来ることができました。今日こうして、ここに来ることを選んでくれて、同じ空間でお歌を受け取ってくれて、本当にありがとうございます」と、感謝の気持ちを述べた。「横浜と言えばね……」と切り出し、横浜出身の荒幡が「横浜でライブがあるたびに美味しい差し入れをしてくれるんですけど」と、中華街で有名な焼売を持ってきてくれたというエピソードを披露。昨今、ゆるめのMCが入ってくることも多くなってはいるものの、彼女のパーソナルを感じる言葉がたくさん出てくるのも、クローズドな空間である“ふあんぷらぐど”ならではか。

「今日は寒いですね……あ、今日は暖かかった?」と切り替えると、「私は猫を3匹飼ってて。もともと丸い子たちなんですね。これでもかってくらいご飯を食べて、丸くて、6キロくらいあるんです。冬はさらに丸くなるんです。次にお届けするのは、そんな猫にまつわるお歌」と、傘村トータ(LIVE LAB.) が作詞・作曲を、山口隆志がアレンジを手掛けた「猫失格」を。軽やかなカントリー風味のサウンドに乗せて届けていく間、ReoNaの愛猫であり、元保護猫である「ちくわ」「さしみ」「わさび」の穏やかでユニークな写真が映し出された。

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