
内田彩さん音楽活動10周年記念アルバム『Re:birthday』インタビュー|「にぎやかな10周年」は笑いあり、歴史あり、サプライズあり!?
「Minty Smile」はいろいろなエッセンスが詰まった「ザ内田彩ソング」!
──ではアルバムの全収録曲のご紹介をお願いします。まず1曲目の「Minty Smile」はギターが効いた明るいバンドサウンドですね。
内田:このアルバムを代表するリード曲で、1stアルバム『アップルミント』の表題曲を作ってくださった持田裕輔さんに作曲していただきました。持田さんは2ndアルバム『Blooming!』(2015年7月リリース)や1stシングル「SUMILE SMILE」など、数々の表題曲を作ってくださったので、これまでのエッセンスがたっぷり詰まった、これぞ「ザ・内田彩」ソングと言える曲になりました。タイトルも『アップルミント』から「Minty」、「SUMILE SMILE」から「Smile」をとっています。
作詞のhabanaさんもデビューの頃からお世話になっていて、habanaさんから見た私へのメッセージや、ファンのみんなからの私への想いを代弁したり、自分で歌うには少し照れくささもありました。
みんなで10周年をお祝いしようという曲なので、みんながこの曲を聴いてさわやかな笑顔を浮かべてもらえたらいいなと思っています。
「Summer Lasting」はメロディアスなせつないラブソング
──2曲目の「Summer Lasting」はギターやキーボード、ドラムが刻むビートが走っているような呼吸やリズムで、歌声もサウンドも夏を感じさせます。サビの超高いキーを歌いこなす内田さんはさすがだなと思いました。
内田:作曲してくださった宮崎京一さんも初期から私の音楽を支えてくださって、ライブでもギターを弾いていただいたりしてきました。ファンの方からも「京一さんの切ないラブソングがいい」と言われることも多くて、私自身も歌っていても聴いていても好きなんです。
10年続けてきて成長した分、ちょっと大人な方向で行こうとしていたところもあったんですが、今回は初心に立ち返って爽やかで切ない、「これぞ京一さん曲」という曲を歌いたいですとお願いして「Summer Lasting」を作っていただきました。
また私の中で京一さんの曲って初夏のイメージがあって、「Sweet Rain」(『アップルミント』収録)や「最後の花火」(『Blooming!』収録)などの好きなところがギュッと詰まったタイトルにもなっているなと思います。皆さんが期待する京一さんらしいメロディアスで素敵な曲になっていますよ。
「初めて会った日」は金子麻友美さんからのお手紙のような優しい曲
──3曲目の「初めて会った日」は打ち込みなど音色が分厚いところが盛夏っぽく、歌声は優しくさわやかです。
内田:金子麻友美さんは数多くの楽曲を作ってくださっていますし、ずっと私の音楽活動を見守ってくださっています。それもあって、金子さんから見た私や、私の音楽活動への気持ちをしたためてくださったお手紙みたいな優しく語りかけるような曲になっています。
金子さんの楽曲からは同年代の同性ならではの言葉遣いや柔らかさが感じられて、いつもそばにいてくれる身近なお友達のような感覚になれて、大好きです。
ファンの皆さんには、10年の間、出会ったタイミングはそれぞれ違うと思うけど、みんなが初めて私と出会った日を思い出してもらえたらなと思っています。
──1曲目から3曲目まで聴き方によっては1つの物語になっているのかなと。「Minty Smile」は恋をした瞬間のトキメキを歌い、「Summer Lasting」では失恋して、「初めて会った日」で月日が流れて、また再会する、みたいな。
内田:新曲を作ってくださっているのはお付き合いの長い作家陣の皆さんで、レコーディングでは「繋がり」を大切に想って歌っていたので、時間や関係性が感じられたり、懐かしい出来事を思い出したり、曲順でも繋がりを楽しんでもらえたら嬉しいです。
「fuwari」は頭に残るメロディが印象的な曲
──「fuwari」はミディアム調の優しい曲で、内田さんのきれいなコーラスなども堪能できる曲になっています。
内田:5thシングル「Sign」(2019年3月リリース)は、アニメ『五等分の花嫁』のED曲で、たくさんの方に聴いていただいた一曲で。この10年の中でも大きなポイントの1つになった曲ですが、その作曲をしてくださったのが松坂康司さんでした。そして作詞もデビュー曲「アップルミント」などこれまでたくさん作詞でお世話になった中村彼方さんにお願いしています。
彼方さんの歌詞と松坂さんのリフレイン的にずっと頭に残るメロディがきれいにハマっています。そして聴き終わった後にふわふわと、この10年間の私との想い出やライブで見た光景を、皆さんそれぞれに思い浮かべてもらえたらいいなと思っています。
「うさぎのプティフール」は夢だった東京ハイジのお二人とのコラボが実現。コロナ禍のことなどの想いが詰まった曲
──「うさぎのプティフール」はファンタジーの世界観をきれいに、やさしく歌っていて、歌のお姉さんみたいでした。
内田:最初にお話ししたようにササキトモコさんに作っていただいた曲です。今までもパンダが出てきたり(『アップルミント』収録の「泣きべそパンダはどこへ行った」)、メルヘンなモチーフの曲も歌ってきましたが、最近はそういった曲を歌っていなかったので嬉しかったです。
いまだに忘れられないのが、コロナ禍に向こう数年の予定が一切なくなって、どうしていいのかわからなかった頃、2021年に『Ani Love KYOTO presents 内田彩 Symphonic Concert ~en and ett~』と題した初めてのオーケストラコンサートをやらせていただきました。
お客さんも声を出さず、静かに着席して楽しんでもらえるコンサートということで、世の中の情勢的にも安心していただけるし、新しいことに挑戦したいとも思っていたので、本当に奇跡的なタイミングでお声がけいただいたんです。
それからその後もオーケストラコンサートのお話をいただくようになり、昨年にオーケストラコンサート用の新曲として書き下ろしていただいたのがこの曲です。いろいろな想い出が重なる1曲になりました。
──内田さんがうさぎたちと一緒に月で過ごしながら地球のことを想っている歌詞も絵本のような雰囲気がありますね。
内田:10年音楽活動をしていると、就職や引っ越し、結婚や出産など、ファンのみんなそれぞれの人生や環境の変化を伝えてもらうことも多いんです。そんなみんなに「遠くからでもいつも見守っているよ」という気持ちも伝えられたらと思って。オーケストラコンサートのテーマ曲ではありましたが、みんなへの10周年のメッセージを伝えられる曲になってよかったです。
「with me」は「with you」のかわいいアンサーソング
──「with me」はガーリーなエレクトロポップですね。
内田:去年の4月に行った『AYA UCHIDA SPRING LIVE ACOUSTIC DAY / SWEET POP NIGHT』に先駆けてデジタルシングルとして配信された曲です。
この曲を作詞作曲してくださったhisakuniさんも私の音楽活動には欠かせない作家さんで、自分がやりたい方向性をチームに伝えるきっかけを作ってくれました。
そのきっかけになった曲というのが「with you」(『Blooming!』収録)で、その時は「みんなと一緒に」と寄り添う曲でしたが、この「with me」は「ついてこい」は言いすぎですが、「私と一緒にいようね」と一歩進んだ関係性を歌っています。アンサーソングでもあり、新しい扉を開く立ち位置の曲になっています。
ロックな「Not Enough」は、一番レコーディングで粘った曲
──「Not Enough」は歪んだギターの音やシリアスな歌声と「私が選ぶのは終わりじゃなくて始まり」など歌詞もソリッドで、凛々しい内田さんが感じられます。
内田:黒須克彦さんにはこれまでにもいろいろな曲を手がけていただきましたが、今回は黒須さんらしいカッコいい曲になっています。アルバムの最後にレコーディングした曲で、「もっとこんな風に歌ってみたい」と何パターンも録り直したり、一番粘った曲でした。
──ロックなコンセプトアルバム『Bitter Kiss』っぽいなと思いました。
内田:『Bitter Kiss』を発売するまでは、「ロックな曲は好きだけど、私のイメージにないかもしれない」と歌いたい気持ちを封印していたんですよね。
黒須さんは楽曲提供だけでなく、ライブでもバンドマスターとしてベースを弾いてくださっていたので、私のそんな気持ちに気付いてくださり、「こんな風に歌ったらもっとカッコよくなるよ」と後押ししてくださったんです。
私のやりたい音楽やライブ面を支えてきていただいた方なので、黒須さんの新曲にカッコよく応えたいと意気込んで、何度も何度もテイクを重ねました。ライブではこんな風に歌いたいというイメージもあるので、ライブで披露するのを楽しみにしてほしいです。
「Veil of Lies」は凛としてロックを歌う内田さんを感じられる曲で「まだ見せてない顔があるんだからね」!?
──「Veil of Lies」も直訳すると「ウソのベール」で、サウンドもギターなどヘビーなロックに内田さんの鋭いナイフのような歌声が刺さってきます。ライブでもヘッドバンクがハマりそうです。
内田:小野貴光さんの作詞作曲です。小野さんの曲は黒須さんとは違う角度のカッコよさがあって、新たな一歩を踏み出すきっかけをくださいました。
『Blooming!』に収録されている「Like a Bird」を最初にいただいた時、「私にこんなカッコいい曲が歌えるのだろうか?」とレコーディングも不安な状態で臨んでいたのですが、小野さんがアドバイスや提案をくださって背中を押してくれたんです。
「Like a Bird」は、それからたくさんの方に好評の声をいただいて、「ロックに凛として歌う私もみんなが受け入れてくれるんだ。」と自信に繋がりました。
小野さんはいつも、新しい私の扉を見つけて開けてくださるので、今回も全幅の信頼でお願いしたところ、予想外に歪んだ感じの曲が届いたのでワクワクしましたね。
──確かに今までに聴いたことも見たこともない内田さんでした。
内田:新たな一面を見てもらえてよかったです。歌詞も「10年やってきたけど、私のすべてを知らないでしょ? まだ見せてない顔もあるんだからね」と、ミステリアスな部分も感じてもらえたらいいな。
大盛り上がりのライブチューン「Breezin’」の第二弾「ヘルプ!!」
──「ヘルプ!!」は歌詞のおもしろさが印象的で、お客さんとのコール&レスポンスが楽しいキラーチューンですね。
内田:俊龍さんが作詞作曲してくだった『アップルミント』収録曲「Breezin’」は、ソロデビューの時からライブではコール&レスポンスでみんなと盛り上がれる大好きな曲でした。10周年シングル「にぎやかな心たち」をリリースするにあたって、「Breezin’」から10年経ったらどうなるのか? そしてよりみんなとのライブ感を詰め込んで作っていただきました。
歌詞には、この10年間、楽しいことばかりでなくツライこともあって、私もみんなも生きていたら大変なことがあるよねという、みんなの「ヘルプ!!」が表現されています。でも、いろいろあるけどみんなで楽しく盛り上がっちゃおう、発散して消化しちゃおう、まさに「Breezin’」の第二弾のような曲になっています。
──歌詞の「ちょっと手伝えっ!」や「やるしかねえ!」など言葉遣いも面白いです。
内田:制作の際に「こんな言葉遣いだとどうですか?」と確認してくださったので、「全然OKです! むしろこれくらいどんどんいきましょう」と(笑)。ただ、1か所だけ変えていただいた部分があって、「乗り切ったあとお水おいしい」は最初、「乗り切ったあとメシ美味い」だったんです。でも、10周年シングルということで「この10年間、ライブでみんなに言われてきた「お水おいしい」をここに入れよう!」と、最後のピースがピシっとハマりました。私とみんなとの10年を一緒に作ってくださった俊龍さんには感謝しています。
TVアニメ『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』のED曲「Explosive Heart」は内田さんの歌声のかわいさやキュートさを濃縮!
──「Explosive Heart」は内田さんの魅力の一つであるかわいさ満載のポップな曲ですね。
内田:4thアルバム『Ephemera』収録曲「カレンデュラ、揺れる」で作詞作曲いただいた永塚健登さんによる楽曲で、TVアニメ『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』のED曲でした。
レコーディングでは細かいニュアンスを試行錯誤しながら歌ったのも楽しくて、かわいさ全振りで歌わせていただきました。アニメ作品に寄り添えるように、歌詞もキャッチーに仕上がっています。
──以前、キズナレッド役の井藤智哉さんは「イドラの心情みたいなものを描いている歌詞」とおっしゃっていました。
内田:嬉しいです! レコーディング当時はどんなED映像になるのかわからなかったのですが、オンエアを観たらとってもかわいくて!映像が付くとキャラクターの視点で楽しめますし、映像とも合っていて嬉しかったです。しかもMVにはキズナレッドが駆けつけてくれて。
──ポップでとてもかわいい映像でした。
内田:当初のMV案では、本物の特効を使った爆発シーンを撮る構想もあったのですが、最終的にCGでかわいく作りましょうということになりました。「私ならやってくれるだろう」と楽しい企画を提案してくださるのも嬉しかったですし、このチームの皆さんとなら10周年もにぎやかにできると思えた、結晶のような曲だったなと思います。
10周年記念企画の中心にいた曲であり、音楽活動のテーマを歌った「にぎやかな心たち」
──「にぎやかな心たち」はコンプリートライブを締めくくった曲ですが、疾走感があって、エモーショナルな感じがアルバムのラストとしてもピッタリです。
内田:10周年記念シングルの表題曲です。作詞の只野菜摘さん、作曲の坂部剛さんには『アップルミント』に収録されている「ピンク・マゼンダ」を作っていただきました。「ピンク・マゼンダ」は、私の楽曲投票でいつも1位になる人気曲なんです。
そんなお二人に書き下ろしていただいた「にぎやかな心たち」は、「にぎやかな10周年」の企画の中心になり、この10周年の私の音楽活動のテーマになりました。
歌詞では「カラフルなランタン」と表現されていますが、みんなの人生や想い出の中に、一緒に過ごしてきた時間や楽曲が残っていてくれたらいいなという気持ちで歌いました。












































