『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』竈門炭治郎役・花江夏樹さんが決戦を演じる心構えを語る【インタビュー】

これまでにない炭治郎の姿や成長が描かれている

ーー花江さんが感じる今作の見どころや印象的なシーンをお聞かせください。

花江：動く無限城のシーンは本当に迫力があります。原作を読んでいる時も「アニメーションではどのように描くんだろう？」と思っていたんです。

最初に無限城が出てきたのは、「竈門炭治郎 立志編」で鬼舞辻無惨が下弦の鬼たちを招集したシーン。魘夢が出てきたところから迫力がすごかったんですけど、動く無限城を劇場で見ると、迫力がありすぎて、（スタッフさんに）「ありがとうございます……！」という感じでした。

今回は山場がいろいろあるので、猗窩座はもちろん、（我妻）善逸や（胡蝶）しのぶのシーンも、時間を感じさせないなと思いました。

あとは、何と言ってもバトルシーンですよね。どのくらいの労力を割いたら、あんなに動かせるんだろうと思います。総力戦を随所に感じられる画作りだなと思いました。

猗窩座は知れば知るほど魅力的な鬼【ネタバレあり】

ーー冨岡義勇は竈門炭治郎とともに無限城内でともに戦うシーンもあり、ついに冨岡と炭治郎の共闘を見ることができましたが、花江さんは冨岡と炭治郎との戦闘シーンをご覧になってどのようにお感じになっていましたか？

花江：炭治郎にとって義勇は最初に出会った鬼殺隊士かつ柱ですし、信頼のおける人なので、今回いっしょに戦えるのはすごく嬉しかったです。背中を預けて戦うことができるのは成長を感じますね。最近、炭治郎は水の呼吸をあまり使っていなかったので、久しぶりに繰り出しているところを観ることができて、すごく良いシーンでした。

ーー竈門炭治郎と冨岡義勇は上弦の参・猗窩座と遭遇します。猗窩座の印象をお聞かせください。

花江：まず、登場シーンがすごかったですね。迫力満点の映像でした。炭治郎にとっては敵なのですが、カッコ良すぎて、出てきたときになぜか嬉しくなってしまいました。今回は猗窩座の生い立ちも描かれる。そうやって猗窩座を知れば知るほど魅力的な鬼だなと感じました。とくに猗窩座の過去――狛治の物語は『鬼滅の刃』のテーマを象徴するような内容になっていると感じています。

ーー本作の収録はかなりの緊張感があったのではないかと思います。石田彰さんとの収録、櫻井孝宏さんとの収録の思い出や印象的なことがありましたらお聞かせください。

花江：尊敬をしている、本当にすばらしい役者さんなので、今回ご一緒できてすごく嬉しかったです。ひとりで「どうしようかなと考えるよりも、その場で対峙する石田さんの声のお芝居を聞いて、それに反応していくと自然と気持ちが出てきます。石田さんと櫻井さんも、テスト収録の段階から、すごく雰囲気の良いトーンでお芝居されるので、それに負けないように食らいついていかなきゃという気持ちで収録ができました。

ーー炭治郎の成長を感じたシーンについても、お聞かせください。

花江：成長を感じたシーンは、冨岡義勇も言っているんですが、「柱にもしかしたら匹敵する力かもしれない」というところです。炭治郎の修業の成果が出ているし、猗窩座も誉めてくれたし……。今回の作品では、彼の努力や柱稽古の成果を感じるシーンが多いですね。「戦いが終わって、修業して〜」という流れがあるからこその説得力だと思います。

加えて、物語の先を知っていると、猗窩座に感情移入してしまうんですけど、炭治郎の視点からは何も分からないんです。炭治郎は猗窩座の背景を知らないので、僕も心を鬼にして、真っ向から挑みました。加えて、炭治郎は鬼に悲しい過去があったとしても、やっていることが間違っている時は、きちんと否定する人間だと思っています。そのうえで、過去にも寄り添ってあげたいという気持ちを持つ人です。「鬼だから悪い」「人間だからいい」という見方で考えないのは、炭治郎のいいところですね。