
作家・宮田俊哉が苦しみながらも物語を作り続ける理由。血肉を分け与えたキャラクターたちがロンドンを舞台に挑戦する。ライトノベル『境界のメロディ2』発売記念インタビュー
ドラマCD初登場のサムライアー。キャスト3人見事なハマリ役で、最高の演技を披露
――第2巻も特装版にはドラマCDが付きます。サムライアーのタケシ役を内田雄馬さん、マコト役を武内駿輔さん、ミノル役を斉藤壮馬さんが演じますが、キャスティングや、収録をご覧になっての感想をお聞かせください。
宮田:もう最高でしたね! まず雄馬くんがタケシって、すごくしっくりくる。あの熱い感じがピッタリだし、雄馬くんて本当に歌がうまいから。実は、作中でタケシの歌声について過剰に書きすぎたなと思っていて(笑)。「タケシの歌声は唯一無二で、こいつは天才だ!」みたいに書いてしまったが故に、「あれ、演じられる人いるんだっけ?」と(笑)。でもそれをサラッと演じられるのは雄馬くんだな、と思いました。
武内くんは、あの低音ボイスがマコト役の決め手になりました。ドラマCDの収録中、彼はずっとサングラスをかけているんですよ。それがめちゃくちゃマコトとマッチしていて、本当に作品の中から出てきたんじゃないか、っていうぐらいハマり役で。ただ、原稿読みづらくないの?と思いましたけど(笑)。
――役に入り込もうとしてサングラスを……?
宮田:普段からサングラスかけてるらしいです。やっぱり原稿は見づらいって言ってましたね(笑)。ミノルについては、第1巻を書いているときから頭の中では壮馬くんの声だったんです。キャスティングは僕一人で決められることではないのですが、ミノル役を壮馬くんがやってくれることになり、実際に演じてもらったら本当にピッタリで、「すげえ!」と感動しました。
――宮田さんも原作者としてディレクションをする機会もあったり……?
宮田:僕が……ですか?(笑)
一同:(笑)
宮田:こちらとしては「ありがとうございます! 役者さんは神様です!」と思うばかりですよ(笑)。実際のところ、自分の頭の中にあるイメージとピッタリだから、取り立てて言うことはなかったんですよね。それに現場の空気も良くて。芝居していないとき常に笑いながらも和気あいあいと楽しそうにしていて、本当にいい現場だなって。アニメになってこのメンバーでアフレコとかしてる様子を見て、実際に放送されたら泣いちゃうなって気持ちになりましたね。
あと現場で、壮馬くんや(キョウスケ役の)伊東健人くんが「サムライアーってどういう音楽だと思う?」と役者さん同士で話し合っていたので、とても素敵だなと思って。もし、音楽を作れる機会があるのなら、ふたりに作曲してもらえたら嬉しいですよね。
――その中で佐久間大介さん(Snow Man)もカイ役として引き続き出演しています。
宮田:佐久間は声優歴でいうとそんなに経験を積んでいるわけじゃないけど、芝居は本当に良くて。僕が言うのもあれなんですけど、僕の頭の中にいるカイをちゃんと綺麗に演じてくれるんです。というのも、カイって9割はふざけているんですよ(笑)。原稿を書いているときも感じていましたが、それを演じるのって難しいと思うんです。カイは真顔でもふざけているし、ふざけた顔でもふざけているし、その差を表現できるのは、本当にすごいなって。佐久間とはご飯のときに「こういう演技ができるようになりたくて」って芝居について話すことがあるんですけど、すごく進化してるなって、一人の役者として尊敬できます。
――宮田さんご自身も、前回に引き続きナレーションを担当されていますね。
宮田:ナレーションは最後に録ったのですが、「ここは芝居で伝わっているからナレーションは必要ないな」と、調整した箇所もけっこうありました。とりあえず録りつつも芝居のテンポが悪くなるなら、カットしてもいいと思うくらい、みなさんの芝居のクオリティが高くて、情景が伝わるんです。もう声優界のレアル・マドリードくらいのスーパー集団が揃っていて、改めてすごいなと思いました。
佐久間もそんなレアル・マドリードに入ってサッカーできてるから(笑)。この前も伊東くんや壮馬くんたちと飲んでいるときに、「佐久間くんすごいよね」って言ってましたから。「宮田くんもすごいし、僕達もう商売上がったりだよ」って。そこは「いやいやいや」と、恐縮ではありますが(笑)。
――(笑)。また、第2巻のイラストも前作に引き続きLAM先生が手掛けていますが、仕上がりはいかがでしょう?
宮田:もう最高ですよ! 通常版の表紙は本編の内容に準じたサムライアーのイラストで、特装版の表紙はサムライアーと(キョウスケとカイの)かにたまの5人がロンドンの街を歩いているという、ドラマCDのifの物語に準じたイラストです。もしカイが生きていたらこうなったんだろうな、こうなっていたらいいな、と感慨深さも感じられました。
僕の頭の中ではまだ曖昧なビジュアルや造形の雰囲気が、LAMさんに描いていただくことによって明確になるんです。ドラマCDの原稿を執筆中に特装版の表紙イラストが上がってきたのですが、それを見ると書くのが楽しくなっちゃって、すごく早く原稿が上がりました。『HUNTER×HUNTER』のネオン(=ノストラード)の念能力みたいなイメージ(笑)。
▲左:ドラマCD付き特装版 書影/右:通常版 書影
――サムライアーのビジュアル設定は元々練っていたんですか?
宮田:僕の中ではイメージがありましたが、LAMさんが描いてくれることによって明確になったといいますか。頭の中にいるときってもっと曖昧な存在で、LAMさんが形にしてくれると「これこれ!」と明確な存在になる。僕は絵が描けないから、イメージを形にはできないんですが、伝えた情報からLAMさんが僕の意図を汲んで実現してくれるんです。
前作の制作の際にも何回か食事に行ったりして、僕のことをより知ってくれているんですよね。かにたまよりもサムライアーのほうが「これだ!」という確固たるものがあったようです。
――そして、第2巻と同日に、コミカライズ版の単行本第1巻も発売されます。コミカライズにはどのように関わっているのでしょうか。
宮田:いろいろな媒体の方が「うちでコミカライズしませんか?」と言ってくださって、「えぇー!?」と驚いていたんですけど(笑)、さらに話が進んでいくと杉基イクラ先生が担当してくださることがわかり、「マジすか!? お願いします!!」という流れで進んでいきました。
杉基イクラ先生は、本当に作品を読み込んでくださっているんです。小説の表現と漫画の表現は違うので、僕が言ったことをそのまま実現しようとすると漫画としての良さがなくなってしまうんですよね。そういった部分を踏まえてネームを作っていただき、そのうえで僕がどうしてもこだわりたい要素をネームチェックでお伝えしています。
――ネームもチェックされるんですね……!
宮田:めっちゃ楽しいですよ! 月イチでネームもらうと「こうなるんだ〜!」って発見があったり。あと杉基先生から漫画に落とし込むにあたって「ここはどういうことですか?」と質問をいただくこともあるんですが、「ヤバい、そこまで考えてなかった……!」と焦ったり(笑)。
――それだけ心血を注いできた作品が同日に発売となると、楽しみもひとしおですね。
宮田:こんなことになるなんて思いもしなかったので、もう楽しみで仕方ありません! (立ち会いのアニメイトスタッフを見て)今回もお願いしますね!(笑)
――『境界のメロディ』シリーズに限らず、創作活動における宮田さんの今後の目標や、チャレンジしたいことをお聞かせください。
宮田:物語を作ることは、きっと何歳になってもできる仕事だと思っているんです。以前、倉本聰先生のドラマに出演させていただいたとき、先生が「自分は死ぬ最後の日までものを書く」というお話をされていて。そうやって生み続けるって素敵だなと感じたんです。
僕は物語を作るのが好きだし、子どもの頃から妄想で生きてたような男の子でしたから(笑)、こういう小説をずっと書き続けたいなと思っています。『境界のメロディ』としては、「この先の展開、ないんじゃね?」と思うところもありますし、また新しい作品でもいいよって出版社の方が言ってくださったら、チャレンジしてみたい気持ちはありますね。
あと自分のスタイルを作って、小説やライトノベルを書き続けたいなとは思っています。好きなんですよ。苦しいけど、続けたい。すっごいドMなんですよね、僕(笑)。
――たしかに、冒頭でも正月から働き詰めとお話されていましたが……。
宮田:やっぱり仕事するのが大好きなんですよね。(編集の方を見て)でも9月の頭くらいに限界突破しちゃって、精神的に参っちゃってもう動けなくなって、その日の午前中に終わらせる仕事を後日にしてもらったんです。
ちょうどキスマイのツアーもあったり、『カードファイト!! ヴァンガード Divinez』のアフレコもラストスパートだったりと色々なことが重なってしまって。ただ、声が枯れたらもう自分は何も仕事ができないと思って、声を出すこと自体が怖くなったんです。体も疲れてるし筋肉に力が入らない、さらに気持ちも沈んでしまいダメだって瞬間がありましたけど、……まぁ乗り越えたら全然で。苦しくて「やばい、これはもうダメだ」と思うときでも、意外と乗り越えられるんです。そうやって人間のキャパは大きくなってくるので(笑)。
――宮田さんのキャパはそもそもスケールが違い過ぎるので真似できません(笑)。本当にご自愛なさってください……。
宮田:ありがとうございます、でも全然ですよ。働き盛りなので!(笑)
それに、大変な中で集中する時間って人間として本当に大事だと思いますし、やらないとできなくなっていく。クリエイティブも同じく、普段から想像しないと想像力も失われていくと思うんです。芝居にしても、ダンスにしても、どういう表現をするのかは、やっぱり想像力が源になる話だから。取り組み続ければ、すべてに対してクオリティを上げ続けられると思っています。自分の気持ちと向き合う時間でもありますしね。そういう産みの苦しみ含めて、やっぱり僕は物語を作ることが好きなんです。
だから、そんなことを考えながら作った『境界のメロディ2』、本当に最高なのでぜひ読んでもらえると嬉しいです!
『境界のメロディ』小説第2巻 商品情報
▼ドラマCD付き特装版/2,970円(税込)特製ブックレット付き
▼通常版/847円(税込)
[発売日]2025年11月25日(火)
[発行]KADOKAWA メディアワークス文庫
[著者]宮田俊哉
[イラスト]LAM
[ドラマCD出演]
キョウスケ:伊東健人
カイ:佐久間大介
タケシ:内田雄馬
マコト:武内駿輔
ミノル:斉藤壮馬
ナレーション:宮田俊哉
[アニメイト特典]イラストカード
[あらすじ]
ロンドンで運命の出逢い――。
4人の化学反応が、世界を動かす。
ひと夏のセッションを終えた後、サムライアーたち3人はロックの聖地・ロンドンへと武者修行の旅に出た。
現地のレベルの高さに圧倒されながらも、この地で頂点を目指すという決意を新たにした矢先、彼らの前に三味線を手にした青年が現れる。
「マコトもミノルもタケシに合わせてるだけじゃん。全然バンドじゃない」
彼の言葉はグループが抱える問題を見事に言い当てていた。
そして、その歯に衣着せぬ物言いや姿形、名前までもがカイそっくりで……?
コミックス『境界のメロディ』第1巻 商品情報
[発売日]2025年11月25日(火)
[発行]KADOKAWA 角川コミックス・エース
[定価]792円(税込)
[原作]宮田俊哉
[漫画]杉基イクラ
[キャラクター原案]LAM
[アニメイト特典]複製ミニ色紙
施策情報
『境界のメロディ』ノベル2巻&コミック1巻発売記念フェア
[開催期間]2025年11月25日(火)~12月14日(日)
[開催場所]全国アニメイト・アニメイト通販
[開催内容]
期間中、対象商品をご購入ごとに【A】または【B】のポイントレシートをお渡しいたします。【A】と【B】のポイントレシートを集めていただいたお客様にA4サイズリバーシブルビジュアルボード(全1種)をプレゼントいたします。
<対象商品>
■Aレシート
・小説『境界のメロディ』2巻(ドラマCD付き特装版、通常版)
・小説『境界のメロディ』1巻(ドラマCD付き特装版、通常版)
■Bレシート
・コミックス『境界のメロディ』1巻
・雑誌『ヤングエース』2025年12月号(発売中)
・雑誌『ヤングエース』2026年1月号(2025年12月4日発売)
※内容は諸般の事情により、変更・延期・中止になる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
関連リンク
(C)Iqura Sugimoto 2025













































