
「この作品をきっかけにいつか未来で出会いたい」──『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』Blu-ray発売記念 星乃 一歌役・野口瑠璃子さん×天馬 司役・廣瀬大介さん×ボカロP・じんさんインタビュー
「いて当たり前の存在」と「人生の先輩」
──劇場版ならではのシーンとして、キャラクターによる日常のシーンも多く描かれましたが、どのような意識で演じられたのでしょうか。
野口:観てくださる皆様に「ゲームの中のキャラクター達がそのまま映画に登場している」と思ってほしかったので、劇場版だからといって何かを変えることはありませんでした。強いて言えば、ゲームからナチュラルに移行してきた、と感じていただけるお芝居を心がけていましたね。
基本的にゲームのボイス収録は一人で行うので、隣から同じユニットの子の声が聞こえてくる劇場版の収録はすごくやりやすかったです。
廣瀬:僕もゲームと変わらず演じるように意識していました。ゲームのボイスは自分の尺感で喋れますが、映画になると決まった時間内に台詞を収めなければいけないので苦戦しましたね(笑)。司はたっぷり喋るので、独特なんです。
アニメーションのアフレコにあたって、人それぞれ、色々な工夫をしていたと思います。(朝比奈)まふゆなど、ゆっくり喋るイメージがあるキャラクターは特に大変だったのではないでしょうか。
──じんさんは日常を描くシーンをご覧になって、いかがでしたか?
じん:ゲームではキャラクター一人ひとりが独立した見せ方や演じ方、そしてプレイヤーの感じ取り方があると思うのですが、劇場版では全員が決められた時間軸の中で会話を続けていて、誰もスクロールボタンを押さないし、タップで会話を進めたりしないんですよね。
そういったメディアの違いもあって、映画ではキャラクターの皆さんの実像感を強く感じました。息遣いやキャラクターの印象をより有機的に感じて、いつもと違う一面を見られているような感覚もあって。
──劇場版ならではの感じ方といいますか。
じん:ひとつの作品として完成した魅力を感じて「もっと見たい!」という気持ちになりました。「『プロセカ』にはまだまだ知らないこともいっぱいあるな……」と(笑)。ファンの方に応援され、見守られながら歩んできたキャラクターたちが、演じられている皆さんの中にすっかり住んでいらっしゃるんだなと思いました。
──ゲームリリース5周年となった今、野口さんや廣瀬さんにとって一歌・司はどのような存在でしょうか。
野口:この5年間、本当に一歌を演じる機会が多かったんです。もちろん歌を歌う機会も多くて。
廣瀬:そうですね。月に2回……ある時は週イチの頻度で演じていたこともあります。ゲームとしては異例の頻度ですよね。
野口:たくさん演じて歌わせていただいているので、台詞が自然に出てくるようになりました。ある程度の方向性はディレクションがあるのですが、後はお任せという感じで日々収録させていただいています。
なので私にとって一歌は、もはや“いて当たり前の存在”です。振り返れば常に隣にいてくれたキャラクターだと思います。濃密な5年間です。
廣瀬:『プロセカ』って色々な事に挑戦しているイメージがあるんです。「ラジオ」や「放送局」「感謝祭」、「クリエイターズフェスタ」などなど……。僕は司くんをきっかけに様々なコンテンツを経験させてもらっているので、まさに“人生の先輩”ですね(笑)。彼のおかげでたくさんの景色を見ることができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。
──じんさんから見たキャラクターやユニットの魅力を教えてください。
じん:各ユニットが、それぞれの色をした尖った夢やビジョン、自分なりの正しさを持っていて。今回の劇場版でもそうだったのですが、彼らは普段すごくギラギラしているのに、他の人と交流するとなると誰も他人を否定しないんですよ。あれ、すごくないですか?
廣瀬:ほんっ……とうにそう思います。
野口:一歌と(草薙)寧々ちゃんのやりとりなど、素直に歌を認め合うところが魅力的ですよね。
じん:めちゃくちゃ良い子たちなんですよね。人って臆病になると他人を否定しがちになると思っていたのですが、『プロセカ』の子たちは「あなたの歌も素敵だね」と、全然タイプの違う人に言えるんです。それはきっと自分の中に強いものがあるからなんでしょうね。
劇場版だけの話ではありませんが、有機的なやりとりの中で相手をリスペクトしている喋り方や距離感をより感じていました。
廣瀬:ちなみになんですけど、音楽制作チームやクリエイター同士だと、今じんさんが仰ったようなことは起こるんですか?
じん:いやぁ……悔しさと尊敬のマリアージュみたいなものはありますね! でも声優さんの中にも、そんな瞬間はあるんじゃないかなと思っていて。上手い演技を見て悔しいと思いつつも「最高~!」って思う瞬間といいますか。
廣瀬:あります……! すごくわかります!
じん:良い意味での磨き合いですよね。「あの人にも同じように思ってもらえるように」という気持ちが根底にある気がします。






















































