
ゆめみたが日本、世界、さらには宇宙にいる“君”の人生を豊かにする。メンバー5人による2025年→2026年に向けた開花宣言。「ゆめみたのあゆみ」Blu-ray 発売&47都道府県制覇の旅 開催記念! 夢限大みゅーたいぷ 超ロングインタビュー
『プログレス サイン』は良い意味でハチャメチャ
──ここからはアルバムについてのお話をじっくりとうかがえたらと思います。まずは1st Albumのリリースが決まった時のお気持ちを改めて教えてください。
仲町:「えっ、はやっ!?」っていうのが率直な気持ちでした(笑)。自分たちの中で「アルバムを出そう」と構える前に、新曲も含めた形で1st Albumが決まって。1st Singleから“丸1年経たずに”というタイミングだったので、これは本当に皆さんの期待があってこそだなと……嬉しい気持ちでいっぱいでしたね。
宮永:ののちゃん的にはCDって、お父さんが車の中で流しているものってイメージがあって。アニメの曲やアニソン歌手さんのCDを家族で歌ってた思い出があるんです。そんなアルバムという形のCDを、自分たちのバンドで出せるのは自分的にはワクワクというか、憧れでもあって。もしかしたら“車の中でゆめみたを流す家庭”が生まれるのかも、って想像すると……嬉しいですね。
仲町:確かに!
千石:パパ、ママがゆめみたのアルバムを子どもに聴かせるっていう。
仲町:「どんがらがっしゃんにして〜!」とか?(笑) でもそうなったら本当にうれしいな。みんなの人生の一部分になれるっていう。
──ちなみに宮永さんのお父さまはどのようなCDを流していたんですか?
宮永:父はノイタミナのアニメのアルバムとか、supercellさんのアルバムの『Today Is A Beautiful Day』や、それからClariSさんの『BIRTHDAY』など……車でずっと流してました。
──良い英才教育……!
宮永:ぜひ皆さんにも英才教育にゆめみたを使ってほしいです。
藤:私たち各メンバーのモチーフソングの二巡目も全部入ってるんです。私の中のなんとなくのイメージとして、“ひとつの世界観で統一”みたいなアルバムもあると思うんです。でも『プログレス サイン』は良い意味でハチャメチャで、個性がぎゅっと混ざり合っていて。まさに“ゆめみたらしい”と思いました。おもしろいなって。
仲町:確かに、“テーマ”でカッチリ固めるというよりこれもまさに歩みというか……。
宮永:しかもこれ、反対側から聴くとあられちゃんのレコーディング順になっているんです。
──わ、本当ですね!
仲町:そうそう、実は。だから“あられの歩み”でもあるというか(笑)。
一巡目のモチーフ曲「コハク」がAlbumに収録されているので、2024年8月にリリースしたDigital ミニAlbum「スタートライン」の収録曲を除いた楽曲が入っていて。だからこそ、真ん中あたりは、3rd Singleの「真夜中遊園地」「LET'Sあちあちトレーニング!」「グラディエント」と固まっていて。だから1曲目から通すのも楽しいし、反対側から聴くと制作の時間を逆行するような体験になるんです。
千石:「Hi-Vision」ってこんなに早かったんだって思うよね。
仲町:わかる。
──なるほど、並びにも“歩み”が刻まれている。ゆめみたの楽曲の魅力は皆さん、どのように捉えていますか。
仲町:バンドって“全員で1曲を作る”イメージがあると思うんですけど、ゆめみたには各メンバーにスポットを当てた曲があるからこそ、こんなにも夢限大なジャンルをお届けできるのかなと思っています。どの曲でも誰かの「好き!」に必ず刺さるポイントがあるのが、ゆめみたの良いところだと個人的に感じていますし、最大の特徴なのかなって。
例えばりっちゃんのモチーフ曲であればポエトリーをりっちゃんが担当していて。
峰月:そうなんです。それぞれのモチーフ曲は、1人ひとりにヒアリングして、心情や思い出、その時の考えを丁寧に重ねて作られています。たとえば私の「エンプティパペット」なら、私と同じ気持ちを抱えている人に共感してもらえる。メンバーそれぞれの曲にも、必ず“刺さる人”がいるはず。その時々の、聴くタイミングの感情によっても響き方が変わるので、まさに“おもちゃ箱”みたいだなって。良い言葉!
藤:私たちの提案を聞き入れてもらえるんですよね。たとえば私で言うと「LET'Sあちあちトレーニング!」なんですけども(笑)。
一同:(笑)
──エキセントリックでMVも含めて最高な1曲です(笑)。
藤:聴いていただけるとわかる通り、ちょっとよく分からないフレーズが出てきます(笑)。言うならば、そういった表現の提案って、場合によっては断られる可能性もあると思うんです。でも“ゆめみた”の楽曲は、それさえ包み込んでくれる懐の深さというか……。特にあられちゃん、ユノちゃんは作詞・作曲にも関わっているし、それ以外のメンバーも、それぞれの個性を制作に持ち込むことができる。私たちもクリエイティブにも参加している感覚があります。
仲町:実はレコーディング現場でも、「これやってみたら?」「今のそれ良いね!」みたいに決まる要素がけっこう多くて。ステージだけじゃなく、制作の場でも“ライブ感”を大切にしているバンドです。
──今回のアルバム制作でもそういったライブ感を感じることはありました?
千石:あたしは「LET'Sあちあちトレーニング!」のレコーディングのとき、あまり乗り気じゃなさそうなテンションでやってたんです(笑)。そうしたら、そのまま使われてました。他のメンバーは「はい!!!!!」みたいな掛け声を元気に撮っていたのに、私は「え……?」みたいなことを言っちゃって、それがそのまま採用されてて。あとで聴いたら本当にそのままで、「あ、そのまま使われてる!?」って(笑)。
藤:あそこはみんなフリー演技だったんですよね。セリフや演技も全部アドリブでやってるんですよ。You Tube版だとアウトロのところで長セリフで激励の言葉を喋っているんです(笑)。あれはレコーディングのときに5分くらいで私が考えていたものでした。
──その場の勢いで!(笑)「LET'Sあちあちトレーニング!」は皆さんのいろいろな声が入っていますよね。
宮永:それで言うと、わたしはレコーディング中に思わず「ありゃ〜」みたいな声を間違えて入れちゃったんですよ。そうしたらその場で「それいいね」って。その場で作家さんに「ありゃ入れていいか聞いてくる」って(笑)。
仲町:そんな感じで、そういう“偶然の良さ”がそのまま作品になることも多いです。ぼくたちは最初から磨かれた宝石というより、「原石をそのまま、どうぞ!」って感じのバンドであり、その原石を磨くのを一緒に楽しむタイプだと思います。
その瞬間のリアルな空気を皆さんと共有できるのが、夢限大みゅーたいぷの魅力だと思います。皆さんにも楽しんでいただきたいです。
──仲町さん、千石さんが曲づくりで意識していることはありますか?
仲町:ぼくはライブを軸に考えることが多いです。実際にライブでどうなるか、どう盛り上がるか。それはやっぱり、ゆめみたはライブの機会をたくさんいただいているので、そこから生まれるメンバーやファンの方全員のエネルギーを曲に込めたいなと思っています。すっごくシンプルな答えで申し訳ないんですけども。
千石:あたしは後列にいることもあって、ファンの方とはまた違った視点で内部から見ていて。あたしがクリエイティブに関わる理由は“内部にいる人間だから”に尽きると思うので、自分が見ている“中の景色”というか、メンバーじゃないと見えない視点をそのまま作品に落とし込みたいなって。だからそのときに思ったことを素直に出しているんです。
たとえば「チューニング」(作詞:仲町あられ、千石ユノ、堀江晶太 作曲:千石ユノ、堀江晶太 編曲:堀江晶太、千石ユノ)は、1st LIVE前に作った曲なんですが、歌詞とメロディーを合わさったところから作っていきました。「これから1st LIVEをやったら世界が変わっていくだろうな」という予感を主軸にして、大枠を作ったものをあられに渡し作詞をしてもらっています。今作ったらきっとまた違う曲になると思いますし、ライブではその時々でまた新しい発見がある。そういう循環がすごく面白いなって思います。
──まさに音楽が生きている感じですね。1st Album『プログレス サイン』の中から、皆さんそれぞれの“推し曲”を教えてください。
藤:やっぱり自分のモチーフソングは推したい気持ちがありますが……個人的には「みゅーたんとミュータント」が大好きです! すごくリズミカルでパンクっぽくて、2頭身のゆめみたたちが踊ってる映像が浮かぶくらい(笑)。教育番組で流してほしいくらい可愛くてキャッチーなんです。ライブではまだ披露していないので、早くステージでやってみたいですね。
峰月:私は「どんがらがっしゃん」ですね。メンバーそれぞれの個性がぎゅっと詰まっていて、そのバラバラバラ、ごしゃごしゃわーわーみたいな(笑)、その“ごちゃまぜ感”が楽しいんです。すっごくかわいくて、一体サビの〈どんがらがっしゃん〉ってどこから思いついたんだろうって(笑)。歌詞も本当に可愛くて、毎日聴いてます。激推し曲です!
千石:『ENJOY!!!!ヴァンガろうTV』のテーマ曲にも選んでいただいているので嬉しいです。
──あの言葉の遊びや歌詞の絵文字も最高ですよね。
宮永:1番の終わりに〈ハーイ!ののちゃんデス。早口言葉やってみよーーー〉って実際に早口言葉をするところもぜひ聴いてもらいたいポイントです。みんなにぜひ真似してもらいたいなって思っています。
“どんがらがっしゃんチャレンジ”みたいな感じで、みんなに動画を投稿してもらいたい(笑)。
峰月:あーー良い! 結構難しいんですよね(笑)。〈なまむぎ、なまごめ、なまたまご。すももも、ももも、もものうち。〉っていう。みんなにもチャレンジしていただけたらなって。コール&レスポンスでもやってほしいです(笑)。早口言葉コーレス! 私もできないかもしれない。
宮永:りっちゃんの収録のときを聴いていたんですけど、〈すももも、ももも、もものうち。〉のところのイントネーションに苦戦していて。
峰月:そうそう! 〈もものうち。〉のところで語尾が下がっちゃうんですよね。自分では語尾を高くしているつもりなのに、録るとまた下がってしまう。ゲシュタルト崩壊を起こしていました(笑)
──(笑)。では続いて、ほかの皆さんの推し曲も伺いたいです。
千石:私は「アイの夢限」ですね。
仲町:ぼくも。
宮永:わたしも。
──アルバムの表題曲でもあり、幕開けを飾る曲でもありますね。
千石:この曲にはラップパートが入っていて。自分のモチーフ曲ではラップを入れてもらっているんですけど、それ以外では初なんです。それがすごく印象的だったのと、今までの曲はそれぞれのメンバーの具体的な心情や出来事を描くことが多かったんですが、「アイの夢限」は一歩先の未来のことを歌っているというか。1歩先へ進んだ楽曲だと思います。
ゆめみたはTVアニメ化も控えていて、これから先のこともいろいろと決まっていて。未来についてこんなにも考える曲というのは私の中では初めてだったんじゃないかなと思っています。
宮永:本当にいい曲ですよね……しみじみしちゃいます。
仲町:未来を歌っているようでいて、実は“過去を見つめる視点”で歌っていて。レコーディングのときも、「チューニング」の歌詞を書いていたときの気持ちと重なる部分があって。“未来のぼくたちはどうなっているんだろう、こうなっていたらいいな”という願いを、あえて“過去形”で歌わなきゃいけないような、独特の感覚がありました。言い方がちょっと難しくてどんがらがっしゃんしちゃうんですけども(笑)。
──いやいや、すごくわかりやすいです。〈眩しくて よく見えなかった 未来のほうだったね〉というフレーズなど、まさに“過去の自分たちが見つめていた未来”というか。でもその独特の立ち位置というのが、この曲全体の魅力でもあるように思います。
仲町:やっぱり祈りや願いのような未来に対する気持ちを過去として歌わなければいけないという、題材から難しかった印象があります。タイトルにも歌詞にも〈夢限〉という言葉があるんですけど、この字は“夢限大みゅーたいぷ”にとって大事な言葉でもあるので、「自分に歌い切れるのかな」って不安がレコーディング当日までありました。
──実際に歌ってみて、どんな手応えがありましたか?
仲町:試行錯誤の連続でした。どうしたら「アイの夢限」という曲の、ぼくたちのあゆみの部分を聴いてくださる方に“自分のこと”として感じてもらえるかなって。……言葉にするのが難しいんですけど、ある種、距離感を感じさせてしまうときってあると思うんです。でも音楽を通して、隣にいる誰かとして伝えたいなというか……。今までで一番新しいアプローチの曲だったと思います。宇宙みたいな曲というか。だから〈夢限〉なのかもしれません。
宮永:この曲のはじまりが〈ある朝、鏡が問い掛けた〉で、日常的なワンシーンから始まるんですよね。自分の内側だけだった世界が、曲の中で外へ、未来へと広がっていく。そのスケール感の変化が本当に美しくて、聴くたびに心が動かされます。そこがすごく好きなポイントです。
仲町:うんうん。ぼく自身、未来に対して前向きになれるタイプじゃなくて。結構ネガティブで、明るい未来に想像すると不安のほうが大きい性格なんです。だから、“未来を想像して、その未来を振り返る”という視点で歌うのはすごく難しくて。二段も三段も飛ばすような感覚でした。でも最初は「このテーマはゆめみたにはまだ早いんじゃないか」っていう話も制作段階であって、歌詞の修正を何度も重ねたのですが、最終的にはブレずに“このテーマでいこう”と。
まさに『ゆめみたのあゆみ』でも見ることができるんですけども、1st、2nd、3rdとライブを重ねてきた中で、ぼくたち自身が少しずつ成長してきたからこそ、「これだったらこの“未来”というテーマを扱ってもいいかも」と感じたのを覚えています。そういう意味でも、すごく責任の重い曲でしたが、ぼくたちの歩みと重ねて胸を張れる曲になったと感じています。
──いまネガティブという言葉も出ましたが、〈僕は僕が嫌だ!たぶん君だって君が嫌だ!だから見つめ合おうよ〉ってすごくゆめみたらしい、等身大の応援歌になっているようにも思うんです。
仲町:まさにそうなんです。特大ネガティブなワードなんですけども(笑)、おっしゃる通り、応援歌なんですよね。
千石:普段の配信を見てくれたり、ライブに来てくれたりと普段のあたしたちを知っている人ほど、等身大な部分がより近くに感じてもらえるんじゃないかな思っています。
──ゆめみたの曲には〈君〉という言葉がたくさん出てきますよね。「テレパシー」には〈あなた〉という表現ですけども。
千石:“チームゆめみた”というか……以前のライブであたしかののかが「ファンの方はもちろん、ゆめみたに関わってくれているすべての人を指している」と言っていた記憶があって。あたし自身は〈君〉のことをそう捉えているような気がします。
宮永:うんうん。「アイの夢限」の〈君〉は、ちょっと特別な意味もある気がするんです。あまり詳しく言いすぎると想像の余地を奪っちゃうけど、いろいろな解釈ができるなって。やっぱり夢限大みゅーたいぷって、5人だけでは何もできなかったと思うんです。でも支えてくださるファンの方、スタッフの方、こうやって取材してくださる皆さん、CDを置いてくれる店舗さん、そのすべての人たちがいて、初めて“夢限大みゅーたいぷ”という存在が成り立っている。
だからこの〈君〉は、5人だけを指す言葉じゃなくて、関わってくれたすべての人のことなんです。少しでも夢限大みゅーたいぷに触れてくれた人たち全員が、“夢限大みゅーたいぷ”の一員なんじゃないかなって思っています。特に「テレパシー」は関わってくれた方に対しての気持ちがすっごく大きいかなと。
藤:ですね。それで言うと、ファンの方たちって、私たちを“上から照らす光”として見るというよりも、もっと対等な関係に思っていて。同じ目線にいる。
仲町:うんうん、同じ目線だよね! だから自分に対してのときもあれば、一緒に歩いてくれる仲間のような、友だちのような存在の〈君〉に対して歌っているときもあって。それぞれの関係性のなかで、呼び方や感じ方が変わっていくと思うんですけども、〈君〉という言葉は、そうしたすべてを総括するような意味があるし、自分自身もその〈君〉の中に含まれていると思っています。
千石:たしかに。“君”って変化していい言葉だと思う。その時々で感じ方が違っていいようにも感じるし。
仲町:そうそう。だから歌うときも、〈君〉にどう届けよう、というより“過去の自分がこう言ってもらえたら救われただろうな”という気持ちを込めて歌っている事が多いです。自分のことのように、聴いてくれる皆さんのことを思っているんですよね。なんというか……本当に、同じなんですよね。
藤:うんうん。鏡写しじゃないですけど、そういう感じはあるよね。
仲町:うん、まさにそんな感じ。そういう意味でも、ぼくにとっては「アイの夢限」は納得感があって。難しさもあるけど、同時に腑に落ちる曲です。
──本当にいい曲ですよね。「アイの夢限」からはじまり、〈でも ぼくはここで生きたい〉と歌う「コハク」で締めくくられるのも、すごく運命的というか。特に「コハク」 はライブでどんどん変化していっているように思うんですが。
仲町:どの曲もどんどんと変化していっていて。「コハク」はぼくが作詞に関わらせていただいた曲なんですが、メンバーと自分を相対的に見た、自分の孤独感をテーマにしています。ライブを重ねて会場で皆さんと交わす熱や音を通して、どんどん「コハク」という曲の意味合いが変化していることを感じています。これは「コハク」だけじゃなく、ゆめみたの曲すべてに言えるなと思っています。
──「LET'Sあちあちトレーニング!」も……。
一同:(笑)
藤:そうですね(笑)。トレーニングの内容もその時々の気分で変わりますからね。「今日はこの部位かな」とか。






























