
「静降想」は燈の今を反映して“叫び”を入れずに歌った――MyGO!!!!! 8th Single「静降想」羊宮妃那さん・立石凛さん・青木陽菜さん インタビュー|8th LIVEは「新しい一歩を踏み出すタイミング」
「Animelo Summer Live 2025」では成長を実感するとともに新たな課題も見えた
――ツアー後も、「アニサマ2025(Animelo Summer Live 2025 〝ThanXX!")」や「わかれ道の、その先へ」上海追加公演など、大きなステージが続きました。特に印象に残っていることや感じたことなどをお聞かせください。
羊宮:今年のアニサマは、「MyGO!!!!!がアーティストとして羽ばたくには、今のキャラクターへの向き合い方では甘いんだな」と痛感したイベントになりました。そこから、今でも地声で歌うことはできるんですが、安定感だったり、キャラクターとして歌うにあたって、まだ「演じる」というものがすごく強いなと感じて、新たに地声の強化を始めたんです。
今練習していることを8th LIVEでどういう風に見せていくか模索中ではあるんですが、確実に新しい一歩、「わかれ道の、その先へ」上海公演を経ての一歩目を私も覚悟を持って進むので、ぜひご覧いただけたらと思います。
――アニサマで感じた「演じる」意識が強いというのは、具体的にどういったことなんでしょうか?
羊宮:ステージ上に立っているのは私ではなく燈ちゃんなので、その燈ちゃんの身振り手振りや表情、体の動かし方をしていると、やっぱり歌いづらさはずっとあったんです。それでもなんとか安定できるように練習し続けたんですが、アーティストとしての表現・魅力で引き込むには、やっぱり歌の実力を磨いていく必要があるなと感じて。このままだと、(燈ちゃんが)成長していく表現は見せられても、歌のパフォーマンス面での成長みたいなものは、どうしても体の表現に邪魔されてしまうので、そこをどうするかを今、いろんな作品やステージを見たりして、いろいろ考えている最中ですね。
そしてそれが、果たして一回目のステージでできるのか、また元通りの表現にならないか、という怖さもありますが、それでも皆さんに見届けていただけたらなと思っています。またこれは、私が感じたものをそのまま変えるというよりは、「今回私が感じたことを、燈ちゃんだったらどう解釈して成長するのかな」と考えてやっているので、燈ちゃんとして進める一歩になれば嬉しいです。
――立石さん、青木さんはこの下半期の活動はいかがでしたか?
立石:MyGO!!!!!はライブ軸だけではないので、毎公演、相談することやみんなですり合わせることもたくさんあるのですが、上海での追加公演も終わって、ひと段落ついた感覚があります。愛音はCRYCHICに直接関わっているわけではないですが、あそこのストーリーはライブ軸を進めていくにあたって無視できないものだったので、その部分が描かれたのは、2025年のすごく大きい出来事だったのかなと思います。
青木:まだ8th LIVEが残っていますが、怒涛の下半期だったなと。アニサマに関しては、周年ということもあり、出演者の方々がすごく豪華で。その中でMyGO!!!!!がいかに輝けるか、皆さんに楽しんでもらえるか、爪痕を残そうとすごく頑張りました。また、私と立石は、楽奈と愛音として、ReoNaさんのステージにギタリストとして参加させていただけたのも、すごく嬉しかったです。
上海公演は、再演ということで、1度やっているからこそ復帰も早かったといいますか、個人的に数か月の中で成長できたな、とプレイ面で感じることができました。前回の公演よりも技術が上達した状態を皆さんにお届けできたかなと思います。
――そんな怒涛の2025年の中で、バンドとしてどう変わったと思いますか?
羊宮:向き合う先がどんどん前に向いてきたのかなと思います。1st LIVEのころは自分の歌とか楽器とか、セトリ決めのときにどう盛り上がってもらえるだろうとか、そういったものを見ていたと思いますが、徐々にパフォーマンスにも力が入っていって。何を届けたいだろう、どういう熱になってほしいだろう、というものがどんどん表立って変わっていっているのかなと思います。
楽曲も、「MyGO!!!!!らしさ」がどんどん広がっていくというか、「確かに、これも迷いながらも進んでいることだよね」と思えることがいっぱい広がっていって。いろんなルートをたどってきたからこそ、そこに広がっているものが“前”なんだなと。他人から見て右に行っているものでも、左にそれているものでも、私たちにとっては“前”なので。その道を皆さんも一緒に進んできてくださっているのかなと思います。
立石:バンド全体の技術力でいうと、単純にみんなの臨機応変さというか、ちょっとしたトラブルを乗り越えられる力が年々ついてきているなと思いますし、「新しくこういうことをやろう」となったときも、できるまでの時間が短くなっていると思います。そういうちょっとした日々の練習での出来事で成長を感じるときがありますね。
青木:羊ちゃんが言っていた通り、着実に前に進んでいるなと思います。ZEPP TOURも、「わかれ道の、その先へ」も、2回目のほうがより良くなっていたなと。もちろん、「わかれ道の、その先へ」の初演の感動という部分では、なかなか越えられないと思うんですが、それぞれの演奏技術だったり、一度経験したからこその安定感などは増していたなと。どんどん成長できているので、8th LIVEもきっといいものになるんじゃないかなと思います。
燈の今を反映して“叫び”を入れずに歌った「静降想」
――ここからは、8th Single「静降想(サイレント)」についてお訊きしたいと思います。前作の「往欄印」は疾走感のあるロックチューンでしたが、今回は冬っぽさが随所から感じられるバラードということで、どのような印象を受けましたか?
羊宮:「戻らない今日の僕ら」という歌詞が切ないけれど、でもそんな毎日を生きているんだなと改めて痛感しました。戻らない今日を一生懸命迷いながら生きていて、それを皆さんと共有し合う、素敵な楽曲だなと思いました。
サビに「ああ 僕には」「ああ いつしか」といった歌詞があるんですが、もしレコーディングがもうちょっと前だったら、ここは「ああ!」という“叫び”にしていたと思います。でも今回はそこを「ああ、」と、大切なものを扱うように、その形を確かめるように歌わせていただきました。8thまで来たからこそ、ようやくそんな風に歌えるようになったんじゃないかなと思います。
――それは、楽曲をもらった段階で「今なら燈はこう歌うだろうな」と思ったのでしょうか?
羊宮:はい。今ならこうじゃないかなと思いました。燈ちゃんの歌い方としては叫びのほうがやりやすいですし、音がふわっと消える瞬間なので、(叫びのほうが)心に来る感じもあるんですが、何か優しさ、切なさ、温かさ……そういったものが感じ取れたので、「ここは叫んじゃいけないな」と。もちろんそれは、あくまで役者視点なので、すり合わせの段階でご相談させていただきました。
立石:入りがすごくオシャレな楽曲だなという第一印象でした。冬に聴きたくなるというか、寒い冬の夜に温かい飲み物を持って外を歩いている、みたいなイメージが浮かびました。MyGO!!!!!はパンクロックのイメージがあるので、演奏するときはどんな感じになるんだろうなと楽しみになりましたし、また新しいMyGO!!!!!の色が増えて嬉しかったです。
羊宮:ボーカルのトレーナーさんからも「MyGO!!!!!にしては珍しい曲だね」というお話がありました。“弾み”を意識しながら歌えるように、シェイカーを振りながら歌う練習があったんですが、シャカシャカという音がどこか雪が降り積もっていく感じを連想させて。「しんしんと 降り積もってく」という歌詞と、そのリズミカルな部分がマッチしているのかなと思いました。
立石:コーラスとしても、雪を連想させる冬っぽい曲なので、愛音の明るめの声で温かさを加えられたらなという気持ちで歌いました。
青木:疾走感のある曲も大好きなのですが、「端程山」や「歩拾道」などゆったりめな曲も好きなので、また増えて嬉しかったです。歌詞に「雪」という言葉はないのですが、そういった情景を連想させるのがすごいなと。「降り積もる」「染まる」といった言葉で想いが雪のように形容されていて、温度をすごく感じさせる歌詞だなと思いました。
あとは、ボーカル以外の4人で歌っている、「しんしんと 降り積もってく」「しんしんと 染まる」というBメロのコーラス部分のリズムが優しくて、心にすっと入ってくるのですごく好きです。
――ギターもカッコいいですよね。
青木:オシャレですよね! ギターソロもエモいというか、楽奈らしさの詰まった、どこか情熱のあるギターだなと思いました。

















































