「明日を頑張れる力を、彼らが届けてくれるはずです」──『ハンサムロンダリング -the mystic lover-』ディレクター・原案新井菜津美さんテキストインタビュー

「きっと後悔させません」

──本作がもつオシャレな世界観や、危うげで美しい空気感が形作られるまでの制作過程で、印象に残っているエピソードをお聞かせください。

新井：本作のオシャレで少し危うい空気感は、わいあっと先生のスタイリッシュなビジュアルと、前作のドラマCDでの雨宮先生の繊細で深みのある描写力があってこそ形づくられたものだと感じています。

8人のキャラクターにはそれぞれ、花・鳥・風・月・海・日・月（夜）・空と、自然の美しい情景を想起させる漢字が入っています。ドラマCD制作時には、次巻でクローズアップされるキャラクターの名前から着想したトラック名を雨宮先生につけていただき、繋がっていく物語を表現するなど、世界観がより豊かになっていきました。作品内にも自然を感じられる描写が多く登場しますが、それはゲームでも雨宮先生と結望先生が大切に継承しています。

また、ランドリーカフェという都会的な場所に、日本的な情緒を重ね合わせることで生まれる“洗練と陰影のバランス”も本作ならではの魅力です。昼間は街の喧騒の中で日常に寄り添う場所が、夜になると静かに秘密の依頼を受ける……そんなドラマチックな二面性も特徴となっています。

ゲーム化が決まった直後には、わいあっと先生と雨宮先生と共に、作品のイメージモデルとした実在のランドリーカフェを訪れる機会がありました。結望先生とも作品やキャラクターについて雨宮先生を交えてお話しする時間もいただきましたし、同じ景色を見て、同じ空気を吸ったことは、世界観を深く共有する上で、とても大切な時間だったと感じています。

──新井さんはシナリオライターとしてもご活躍されていますが、ストーリーを紡ぐ際はどのような点から着想を得ていらっしゃいますか？

新井：とても恐れ多いご質問で恐縮してしまうのですが……私の場合、やはり自分の中にないものは書けないと考えています。これまで見てきたもの、聞いてきたこと、体験してきた感情。そういった記憶や実感が、物語の核になっていることが多いです。

また、言葉やセリフの響きから着想が生まれることもあります。単語の並びを眺めているうちに、突然「あ、彼ならこう言う」とキャラクターが動き出す瞬間があって、そこに辿り着くまでは時間がかかる反面、見つかった途端に一気に世界が広がっていきます。

──執筆時に大切にされていることについてお聞かせください。

新井：執筆時に大切にしているのは、主人公を含め登場人物の“心の揺れ”を丁寧に描くことです。人には光があり、影があり、時には矛盾した振る舞いもする。格好良いだけでなく、情けない一面もあるからこそ、恋もドラマも深くなる。そう信じて書いています。

前作『花笑む彼と & bloom』に続き、本作でも8人全員のルートプロットを担当しました。迷う時間も長かったですが、そのぶん彼ら一人ひとりを深く愛せるようになりました。そして雨宮先生と結望先生が、その想いを何倍にも膨らませた素晴らしいシナリオに仕上げてくださり、わいあっと先生のとびきり格好良くて心ときめかせるイラストが彩ってくださいました。今は胸を張って「彼らを好きになってください」と言える作品になっています。

──最後に、ファンの皆さんへ向けて、本作の注目ポイントとともにメッセージをお願いいたします。

新井：本作では、ドラマCDから一貫して“心のロンダリング（洗浄）”をテーマのひとつに掲げています。泣いて、笑って、胸がぎゅっと締めつけられて……プレイし終わった時には、今日の疲れやモヤモヤが、少しだけ軽くなっている。そんな作品を目指して制作しました。

ミステリーを追いかけながら、8人それぞれの恋を味わえるのが本作の大きな魅力です。どのキャラクターを選んでも、必ず特別な恋と物語が待っています。プレイヤーの皆さんが「この人だ」と思った彼こそ、そのルートでは“あなたのメインヒーロー”です。

そして何より、キャストの皆様が本当に素晴らしいお芝居で命を吹き込んでくださいました。彼らが喋り、想い、揺れる瞬間を、ぜひ体感してみてください。

少しでも気になってくださったら、どうか手に取ってみてください。

きっと後悔させません。明日を頑張れる力を、彼らが届けてくれるはずです。

「どうぞ、彼らとヒロインの物語を最後まで見届けていただけますように」──『ハンサムロンダリング -the mystic lover-』シナリオ雨宮うたさん・結望はるかさんテキストインタビュー

『僕らが識るのは、愛か悪意か──』恋と謎を追い駆けるミステリーアドベンチャーゲーム『ハンサムロンダリング-themysticlover-』が、2026年3月26日（木）に発売決定！　2025年10月21日より予約受付中です。アニメイトタイムズではゲームの発売を記念し、本作に込められた想いを紐解くテキストインタビューを実施。本稿ではシナリオを手掛けられた雨宮うたさん・結望はるかさんが登場です。ゲームに収録される「学園の秘密編」と「禁断の香り編」、そして登場する8名のキャラクターが持つ魅力はどのように紡がれたのか。雨宮さん、結望さんのクリエイティブに熱い想いが詰まったインタビューをお楽しみください。「これ早く読みたいです」「あなたが書くんですよ」──「恋と謎を追い駆けるミステリーアドベンチャー」というコンセプトを、どのように解釈し物語に落とし込んでいったのでしょうか。シナリオ・雨宮うたさん（以下、雨宮）：ドラマCDではミステリ仕立ての群像劇として『サムダリ』が描かれていたので、そこに出てくる彼らが恋愛をするのならどうなるか、もう一つの側面を探る気持ちで執筆しました。恋と謎、どちらも欠かすことのない物語に仕上がっていると思います。シナリオ・結望はる...

【構成：笹本千尋　編集：西澤駿太郎】