「どうぞ、彼らとヒロインの物語を最後まで見届けていただけますように」──『ハンサムロンダリング -the mystic lover-』シナリオ 雨宮うたさん・結望はるかさんテキストインタビュー

『僕らが識るのは、愛か悪意か──』

恋と謎を追い駆けるミステリーアドベンチャーゲーム『ハンサムロンダリング -the mystic lover-』が、2026年3月26日（木）に発売決定！　2025年10月21日より予約受付中です。

アニメイトタイムズではゲームの発売を記念し、本作に込められた想いを紐解くテキストインタビューを実施。本稿ではシナリオを手掛けられた雨宮うたさん・結望はるかさんが登場です。

ゲームに収録される「学園の秘密編」と「禁断の香り編」、そして登場する8名のキャラクターが持つ魅力はどのように紡がれたのか。雨宮さん、結望さんのクリエイティブに熱い想いが詰まったインタビューをお楽しみください。

「これ早く読みたいです」「あなたが書くんですよ」

──「恋と謎を追い駆けるミステリーアドベンチャー」というコンセプトを、どのように解釈し物語に落とし込んでいったのでしょうか。

シナリオ・雨宮うたさん（以下、雨宮）：ドラマCDではミステリ仕立ての群像劇として『サムダリ』が描かれていたので、そこに出てくる彼らが恋愛をするのならどうなるか、もう一つの側面を探る気持ちで執筆しました。恋と謎、どちらも欠かすことのない物語に仕上がっていると思います。

シナリオ・結望はるかさん（以下、結望）：企画・プロット部分は、初期段階で新井（菜津美）ディレクターが細部まで作り込んで下さっていましたので、シナリオの執筆では各場面に含まれた意図をしっかり伝えられるよう組み立てていくのが主軸でした。

文章やセリフをしっかり練り上げ、場面ごとの心の揺れや空気感をできる限り丁寧に描写するように心がけていきました。物語の展開やキャラクターの心情に深く入り込むことで、本作のコンセプトをより強く感じていただけるのではないかなと思います。

──シナリオ執筆やストーリー構成を進める中で生まれた、新井さんとの印象的なやり取りをお聞かせください。

雨宮：あまりにたくさんのやりとりがあったので、どこから話したらいいのか……L&Lのみんなの趣味嗜好については、リアリティが出るようにかなり詳しく聞きました。CDからのゲーム化にあたっては、主人公の立ち位置についても慎重に話し合った覚えがあります。

結望：新井D（ディレクター）とは執筆中も密にやり取りさせていただいていたのですが、ご相談するといつもすぐに非常に丁寧でわかりやすいフィードバックを返して下さいました。こちらの話や提案もしっかり聞いて下さるディレクター様だったので、とても楽しく執筆を進めながらも、より良いシナリオを一緒に作り上げていけました。

また、制作初期に資料を拝見した際、内容がすごく面白かったため「これ早く読みたいです」とお伝えしたところ、新井Dと雨宮先生から「あなたが書くんですよ」と同時にツッコミをいただいたのも印象深く覚えています（笑）。企画段階から本当に魅力のある作品だと感じた瞬間でした。

──「学園の秘密編」と「禁断の香り編」について、それぞれどのような違いがあり、どのような魅力があるとお考えでしょうか。

雨宮：まったく別の作品かとも思えるくらい、この二編には毛色の違いがあります。「学園の秘密編」は青春の甘酸っぱさをたびたび感じますし、「禁断の香り編」は神秘的な大人の雰囲気が漂うお話になっていると思います。二編のルートを交互に楽しむのも、個人的にオススメです。

結望：私が担当させていただいた部分を通して感じた印象ですが、それぞれがらっと雰囲気が違うシリーズになっています。「学園の秘密編」ではCATSのメンバーを中心に、学園生活での様々な出来事が発生します。明るく賑やかな雰囲気も多く、そのあたりが楽しんでいただけるポイントかなと思います。

「禁断の香り編」はBIRDSのメンバーがメインとなり、落ち着いた年上チームならではの恋愛模様が展開されます。香道という独特な世界観を通じた事件や描写も、楽しんでいただけるのではないかと思います。

──本作には8名の攻略キャラクターが登場しますが、キャラクター同士の掛け合いを描くうえで意識された点や、こだわられた部分をお聞かせください。

雨宮：本作ではリアリティを大事にして描写をしたので、みんなで話していると黙りがちな人も、別のことを考えている人もいたりします。そういった個性にも注目して、会話を聞いていただけると面白いと思います。

結望：新井Dと雨宮先生で作られた前作のドラマCDがとにかく面白かったので、そこの世界観やキャラ感を損ねてしまうことがないように、と言うのをまず強く意識していきました。今作ではヒロインと心をかわすうちに彼らの心情は少しずつ変化していきますが、仲間への思いだったり優しさだったり、そういった変わらない内面の部分も明確に伝わるように心がけています。賑やかなシーンは思い切り楽しく、シリアスなシーンではそれぞれの過去から来る関係性をしっかり意識しつつ、執筆させていただきました。