音楽
TVアニメ『拷問バイトくんの日常』エンディング主題歌 寺島拓篤インタビュー前編

TVアニメ『拷問バイトくんの日常』エンディング主題歌「明日天気になぁれ」寺島拓篤さんインタビュー前編|“自分の機嫌は自分でとる”ための歌詞とロックサウンド

拷問請負業社で働くバイトの4人の日々をゆるく描いたコメディ『拷問バイトくんの日常』(次見やをらさん原作、白泉社『ヤングアニマルWeb』にて連載中)のTVアニメが2025年1月4日より放送中!

バイトの一人、シウ役を演じる寺島拓篤さんが作詞&歌唱するエンディング主題歌「明日天気になぁれ」が1月12日に先行配信、シングルが2月18日リリースされます。

作品の世界観に寄り添いながら社会人やアルバイターに刺さるだけでなく、家事や育児に頑張る女性や勉強や部活に勤しむ学生が「わかる、わかるよ」と優しく肩を叩いてくれる歌詞とロックだけど激しくなく、心地よい曲になっています。

寺島さんいわく、「その日の気分によって感じ方が違う曲」とは? 2026年最初のシングルについてのインタビューを前後編に分けてお届けします。

前編では「明日天気になぁれ」のタイトルのきっかけや歌詞のテーマ、お気に入りポイントに加えて、歌詞にちなんだ質問では寺島流のスキンケア術から家庭円満の秘訣までためになるライフハックも教えてくれました。

 

 

制作サイドからの作詞のオーダーは「拷問が日常の世界で働く大人の日常をテーマで」!?

──『拷問バイトくんの日常』のエンディング主題歌を制作するにあたって、意識された点やアニメの制作サイドからのオーダーがあった場合は教えてください。

寺島拓篤さん(以下、寺島):まずタイアップのお話をいただいた時、作品のタイトルだけを見て「怪しくて不穏な感じかな?」と思いました。でもアニメの制作サイドから「拷問が合法化されている世界の中で、働く大人たちの日常をテーマにして曲を作ってください。拷問はあまり気にしなくていいので」というオーダーをいただきました。
 とはいえ、普遍的な日常っぽい感じよりは拷問の要素も少し入れられたらいいなと思いながら作りました。

──でも縄で縛るとかムチで叩くとか具体的に入ると日常感がなくなりますよね。

寺島:やっぱり日常感の中に拷問要素を入れるのは難しかったですね。でもGRANRODEOが担当するオープニング主題歌(「GO GO PARADISE!!」)を聴いてみたら火攻めや水攻めなどがガンガン入っていたのでとても驚きました(笑)。でも結果的にはオープニングとエンディングでいい形で棲み分けできたかなと。もしかしたらアニメの制作側の方はそこまで考えていてオーダーされたのかなとも想像してみたり。エンディングは次につながるブリッジ……次回へと橋渡しする役割もありますし、観てくださった方の翌日にもつながるような、聴いたらちょっと気持ちが軽くなる曲がいいかもしれないと。

今の世の中を見渡したり、自分自身を振り返ると「拷問みたいに苦しい瞬間だな」と思うことって誰しもあると思うんです。学校や職場、家庭で「針の筵に座らされている」ような精神的な苦痛を伴うことがあると思いますが、持続的な苦しさに耐えたり、やり過ごしながら、歩いていくことも含めて日常や日々なんだということを書けたらいいなと。

 

 

──ご自身で作詞された歌詞について、ご紹介をお願いします。

寺島:作詞するにあたって、最初のとっかかりが難しかったけど、曲頭の「アンダーグラウンドな」というワードが思い浮かんだら「そうか!? この日常感の中に、普段の僕が出さないであろう、ネガティブなキーワードを当て込んでいくとハマるのかも!」とそういうネガティブな言葉を入れつつ、聴いていて夕暮れどきの風景が浮かんでくるようなキーワード選びをしていきました。

楽曲制作はアニメのエンディングで流れるTVサイズから作り始めてたんですけど、ラストのサビの「もう他人(ひと)の顔色ばっかりで 自分のキャンバス塗りつぶすのやーめたっ」が出てきた時、「あっ!? こういうことなんだな」と今回の曲に対しての自分の指針が見えた気がします。振り回されたり、時には振り回すこともあるけど、自分らしい日々にできたらいいなと。それは現代社会では難しいかもしれないけど、そんなささやかな願いを歌詞に込めました。

──今、夕暮れどきの風景というお話がありましたが、「朱く染まる空あおいで」や「空の模様」、「のしかかる空」など空にまつわるフレーズが多いですね。それにタイトルも。

寺島:タイトルはフルサイズ完成した時、「これだ!」と思って付けました。心模様と空模様をかけ合わせて、自分の心の天気予報が曇りや雨だったとしたら、それは自分自身で変えていくしかないよねと。もちろん人に左右される時もあるけど、ラストフレーズのように他人の顔色や気分に左右されずに、今の自分自身の気持ちを大切にしようよと勧めるような。それはある意味、「自分の機嫌は自分でとろう」という大人の上手な日々の過ごし方であり、実際の空模様を変えることはできないけど、自分の心は気分転換したり、考え方次第で変えられるものですから。

タイトルも本当の天気に対して「明日晴れたらいいな」と希望を託す意味ではなく、自分自身で「明日は天気になるんだ」と強い意志で明日を迎えようという能動的な意味です。

──不思議なことにこの曲を聴いていたら、会社員の1年目、それも11月くらいに残業していた時をふと思い出しました。

寺島:それもわかる気がします。僕は会社に勤めたことはありませんが、声優になっていち社会人として働いている中で感じる、周りと自分とのギャップは埋めたくても埋めることがなかなかできなくて、心がささくれ立っていくことってめちゃめちゃあると思うんです。働き始めの頃はそれに振り回されるばかりで「しんどいな」と落ち込んだり、暗い気持ちになりがちなところを「でも自分は大丈夫!」とポジティブなバイアスをかけているはずです。

それから仕事や人間関係に慣れてくると「最悪だ! クソ!」とか「面倒くせえ! 明日にしよっ」とあきらめたり、ネガティブな言葉や人には言えない暴言(笑)もつい口から出てしまいますよね。同僚と飲みに行って、上司や取引先の悪口を言ったりするのもしょうがないよねという部分を拾って曲にしたかったんです。働くと、望むことも望まないこともすべてやってくるので、拷問みたいな瞬間もいつか訪れるわけです。でも悪いことばかりではなく、うまくいってほめられたり、手応えを感じることもあって。そしてまた拷問を受けて、良いことが起きて笑顔になって……そんな人生の浮き沈みを自覚できるタイミングで聴くと刺さるかもしれませんね。

 

一生懸命生きている人すべてに寄り添えたら

──アニメも株式会社スピリタスが舞台で、4人のバイトがいたりする設定で、テーマに沿っているので、エンディングで流れても違和感がないと思います。

寺島:働く人たちの日常を描いている作品で、仕事の内容が拷問というだけで(笑)。しっかり仕事をして、勤務が終った解放感のまま、みんなでご飯を食べに行くこともあるし、三々五々で帰る時もあるし。僕自身は、作品のエンディング主題歌にふさわしい内容になったかなと思っています。

──『拷問バイトくんの日常』の主題歌でありながらユニコーンの「働く男」みたいな労働ソング的な側面もあって。

寺島:渋いですね(笑)。でも働く人の背中を押したり、落ち込んだ人の手を取って引っ張り上げるのではなく、静かにうなずきながら「わかるよ」と肩を軽く叩く感じみたいな、寄り添う曲になっているのかなと思います。

なので働いて無事に1日が終われば鼻歌を歌う感じで軽く聴けると思うし、逆に仕事で何かやらかしてしまったり、しんどかった日は「最悪だったよね」と優しく寄り添っているように聴こえるかもしれませんね。

働く人の曲と言いながらも、学校に通って勉強している人や家事や育児など追われている人にも寄り添える曲になっていると思います。みんな一生懸命、人生を生きていたら明暗が分かれる時は必ずあるものなので。

──サウンドはロックチューンですが、激しくもなく、重くもなく、ノリがいい感じで。

寺島:速すぎないですし、上げ過ぎず、今までの僕の楽曲にはないタイプです。ライブで盛り上がっていけるようなサウンドを意識して作ってきたこともあって、この曲はコンペで選びながらも最初はちょっと寺島拓篤の音楽としてはしっくりこない気もしていました。今までの曲とは微妙に違っていたので、「今までにないけどいいよね」ではなく、「今までにないからちょっと不安ですね」みたいな(笑)。

でも周りのスタッフ陣に「これでいきましょう!」と言っていただいて。レコーディングを経て完成した曲を今しばらく聴いてみたら「ああ、いいな」と。すべてが「明」でもなく、「喜」でもない感じが逆に肩の力を抜いて聴けるのがいいですね。

 

  

──この曲はバンドロックで、ドラムやギターも強めなのにポップでノレるんですよね。AメロのアップテンポからちょっとオチるBメロの入りのギターは割とおとなしめなのに、中盤から激しくなるのもおもしろいですね。サビのフレーズも寺島さんが軽快に歌っていて。

寺島:この不思議な感覚はコード進行なのか、アレンジによるものなのか、僕もわかりません。自分ではこれまでいろいろな楽曲や方法でやってきたつもりでしたが、灯台下暗しじゃないけど、こんなに近いところに未知のサウンドがあったんだなと。だからレコーディングで歌っている時も気持ちの持っていき方が難しかったし、もしライブで歌ったらどんな感じになるのかも想像がつかなくて。この曲とどう付き合っていこうか、まだまだ考えている途中です。

──レコーディングも試行錯誤しながらという感じだったんですか?

寺島:難しかったですね。まずキーもデモからもうちょっと上げるのか、それとも下げるのか、から始まりました。冒頭からファルセットで歌い始めるのも今までなかったし、テクニカルな部分が必要な曲なので、ライブで果たしてちゃんと歌えるのだろうかという不安もありつつ(笑)。楽曲はライブで仕上がるものと思っていて、音源として完成したものをどう聴き込んでいくかで曲の解像度も変わるのかなと。

──歌い出しをファルセットから始めるとその後、地声に戻すのが大変そうです。

寺島:そうですね。着地がふわふわしちゃって。攻めのギターサウンドから入ってきて、急にファルセットで抜けていくところは、今まで僕の曲を聴いてくれている人も予想外の流れだと思うので、「おもしろいな」と思いながらレコーディングしましたが、おもしろさと歌いやすさは別ものなので(笑)。

──この曲のお気に入りポイントは?

寺島:1サビのメンタル的な「感情」とラスサビの円を描く「環状」の部分を掛けていますが、最初はあまりいいと思っていませんでした。すぐに浮かんできそうな韻の踏み方で、効果的なんだけど、安直すぎる気がして。でも「そういう考え方は頑なだったのかもしれない」と考え直して、「環状」は1サビの「グルグル」回る感情ともハマるし、これでいこうと。今までなら思っていたであろう「ここはちゃんとこだわったほうがいいんじゃないか」という変な硬さが抜けて、作詞できた気がしたし、おもしろいワードも書けたかなと思っています。

──確かに作詞を初めて手掛けた時なら「寺島、大したことないな」と思われたかもしれないけど、寺島さんがここまで作詞でこだわり抜いてきたことを知っている今であれば、1周回ってたどり着いた感や深みが出ていると思います。

寺島:これまでいろいろな同音異義語を探してきて、こんなに避けてきたのに、「まあ、いいか」と思えるようになったのはキャリアですよね(笑)。そういう発想の転換やいい意味での絡め手みたいな言葉選びが楽にできるようになった気がします。

──寺島さんのファンの方が聴いてどんな反応をするのかを実際に目で見て、肌で感じるためにも早く歌いたいですよね。

寺島:ファルセットの歌い出しなどテクニカルな部分を要求される曲なので、何とか早くライブで練習したいですね……お客さんを前にしたステージで練習するなという話はありますが(笑)。生で歌い切る機会を重ねて完璧に近づけたいです。今後の希望としては、フェスや野外で夕方くらいに歌えたらいいですね。「みんな、明日も頑張ろうね」というメッセージと共に。

 

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