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『魔神英雄伝ワタル』「METAL ROBOT魂」×「コンプリート・サウンドトラック」コラボ対談【後編】

トイ+CDが連動するコラボレーション。限られた中で工夫する面白さ――「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」×「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」コラボレーション対談【後編】

兼崎順一、門倉聡、神林早人、3人の作曲家の個性

ーー今回の作業を通じて音楽面での新たな発見はありましたか?

生地:当時の「音楽篇」に収録されたサウンドトラックは全てが劇伴そのままではなく、イントロを付け加えていたり、2回繰り返したり、などと編集して収録していた曲も多数あったんですよ。それは当時のユーザーだった自分は知らなかったことでした。今回は元の劇伴とは別に、「音楽篇」用の編集版もフライングドッグさんのご協力で別途に入れさせていただきました。

作り始めた段階では厳密にどこまでやればコンプリートと謳えるのかは未知で分かりませんでしたが、今はコンプリートと胸を張って言えるところまでは収録出来たのではないかと思っています。

ーーブックレットには詳細なリストはもちろん、作曲家の方々へのインタビューも収録されていますね。

生地:これに関しては、仙台フィルさんのコンサートを通じて兼崎順一さん、門倉聡さん、神林早人さんと既にコミュニケーションさせていただいていたことが大きかったですね。コンサート制作時、まずは楽譜をお持ちだった神林さん真っ先にお宅へうかがいまして、奥様の名里さん含めていっぱいお話を聞かせていただきました。それからしばらく経って兼崎さんからも「楽譜が見つかりましたよ」とお電話いただき、お目にかかる機会ができました。門倉さんは残念ながら“ワタル”の楽譜はお持ちではなかったのですが、仙台フィルさんの第5回エンタメ定期にて「交響詩『機動戦士ガンダムF91』」の楽譜発見へと繋がりました。こうして光栄なことに全員とお互いに顔が分かりご連絡を取り合える状態になったわけです。

当時の「音楽篇」やムック本には作曲家のインタビューは掲載されていた記憶は無かったのでブックレットには是非入れたいなと。

鈴木:せっかくの機会なのでまるまる一冊インタビューと楽曲解説のブックレットにすることにしました。

これも当初は今の2分の1くらいのボリューム予定でしたが、実際にお話をうかがったら貴重な話が出てくる、出てくる。ですので、ページを増やしてでも入れたいなと。

加納:ブックレットもとても面白く読ませていただきました。

生地:自分で書いておいてなんなのですが、すごい文量になってしまって…カットするかどうか悩んだんですけど、僕らも面白いなと思ったので、ワタルに関しての話題は全部入れましょうと。

ーー作曲家に取材されて、改めて「ワタル」シリーズの音楽の魅力を感じるようなことはりましたか?

生地:それはありましたね。トランペット奏者でもある兼崎さんは、伝説のブラスロックバンド「スペクトラム」のメンバーとして知られていますが、音大で勉強してさらにジャズやロックをやられていたようです。門倉さんもまた音大出身でシンセサイザーなどを駆使したPOPS界へ行かれた。そして神林さんは、元々クラシックがお好きで、シンセサイザーのサウンドにも並々ならぬ拘りをお持ちでした。そういう意味で言うと、引き出しが似ている部分があるようでも全くもって個性的な方たちが揃っていたんですよね。兼崎さんのようにご自分でトランペットを吹いたり、生音に力を入れる方もいれば、門倉さんと神林さんが同じくシンセサイザーを駆使していても特色もアプローチも異なる色々な音が入っている。そして其々が録音現場でもプロの技と拘りを化学反応が起きていた。それがまさに「おもしろカッコいい音楽」に繋がっているんだと改めて気付かされました。

鈴木:本当に三者三様の音楽を創られていますよね。

生地:門倉さんご本人がまさに「自分だけだったらきっと『ワタル』じゃないし、兼崎さんのカッコ良くて分かりやすい音楽と、ご本人曰く“自分のヘンな音”、その両方があることで『ワタル』になったんじゃないか」とおっしゃっていました。僕は勝手に“不思議系音楽”と呼んでいますけど、創界山とかのキラキラした音はさすがに生音じゃ表現できないですから。その一方で、龍王丸の変身のブラスなどは兼崎さんの真骨頂でしょう。神林さんも“キラキラ”というフレーズを使われていまして、シンセサイザーと弦楽器など生楽器の融合サウンドを創り上げられており、『ワタル2』の宇宙感などを表現されていました。

加えて、地味に面白いと思ったのはコメディ的な音楽の捉え方が、3人それぞれで違うんですよ。そういったところも楽しんで聴いてもらえればと思います。

鈴木:3人でひとつの作品を手掛けるのは、なかなか珍しいパターンだと思います。

生地:『ワタル2』は門倉さんと神林さんがメインですけど、3名クレジットされているのは、一作目の『ワタル』の劇伴も流用していて、これもないとやっぱりダメなんですよ。

加納:CD-BOXには、ドラム抜きとかファンファーレ抜きが入っているのも驚きました。

生地:劇伴としては必要だけど、音楽としては完成形ではないので、嫌がられる作曲家もいると思うんです。今回はお三方とも「好きにしてくれていいですよ」と即答くださいました。こういった曲も劇中でけっこう使われていますからね。ありがたかったです。

加納:1980年代のロボットアニメは割と暗い作品が多い印象があって、音楽もシリアス目のカッコいい曲に寄せていたと思うんですけど、僕がワタルを好きな理由のひとつとして日常系のワチャワチャした音楽もあれば、シリアスな音楽もちゃんとしていて、その幅がすごく好きなんです。今、生地さんから“不思議系音楽”にいての話題が挙がりましたが、「あ、そういうことだったんだ!」と思いながら、お話を聞かせていただきました。

生地:ブックレットでも触れているんですけど、一作目の『ワタル』は、とにかく音楽制作の時間がなくて、発注から10日くらいで音楽を納品されているんです。

鈴木:門倉さんも作曲の段階で、創界山は見た気がするけど、キャラまでは見た覚えはないと。

生地:兼崎さんは録音の途中でキャラの絵を何体か見たのを思い出しましたとのことでした。

加納:大変な状況だったんですね。こうした劇伴の場合、先に題名をもらって「こういう感じにしてください」と作曲していくものなのでしょうか?

生地:作品の雰囲気の説明や資料と音楽発注メニュー表があり、それに基づいて作曲していく、という流れですね。音響監督の藤野さんは、発注メニュー表も文章で書かれて情報量が多い方です。

加納:ワンワードではなく、シーンが想像できるようになっているんですね。

生地:それでも作曲の時点では映像が出来上がっていないので、想像力は求められますけどね。またTVシリーズでは特定のシーンで使用される前提ではなく各所で使える必要がありますし。

鈴木:そんな中で録音された劇伴ですが、演奏のクオリティがすごく高いんですよ。

生地:お三方ともミューシャンとしての側面をお持ちですし、かなりのメンバーが参加されていたそうです。皆さん取材の際に音を聴かれて「この音はあの人だな」と思い出されていましたけど、本当に豪華。そりゃあの素敵サウンドになるなと。

鈴木:元スペクトラムの兼崎さんの人脈も大きかったんでしょうね。当時はまだまだ生が主流の時代で、名うてのミュージシャンがスタジオでも腕を振るっていた時代でした。

生地:子ども時代にテレビを通じて、この音楽に触れることができたのは、本当にラッキーだったなと思いますよね。

加納:そういう意味でも、なおさら残していく価値があるものですね。

生地:本当にそう思います。劇伴だけでなく、TVサイズの主題歌収録もバンダイナムコフィルムワークスから本編音源を貰ったりとギリギリまで粘りましたし、3ヵ月くらいは死ぬ思いでやっていましたが(笑)。

自分も35年以上待っていたファンの一人ではありますが、発売後、ユーザーの皆さまの「この曲が聞きたかった!」という声の、“この曲”が人それぞれで結構違ったんです。それぞれがそれぞれの人生の中のどのようなシチュエーションで触れたかという思い出も含めて違うんですよね。いやー、届けられて良かったな~っと思いました。

(C)SUNRISE・R
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