
劇中で描かれた姿を最大限追求。関節のない龍王丸にいかにして関節を入れていくか――「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」×「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」コラボレーション対談【前編】
2023年、『魔神英雄伝ワタル』が放送されてから「アニメ生誕35周年」を迎えた「ワタル」シリーズ。
その盛り上がりは留まることを知らず、周年を過ぎた本年も、新作アニメ『魔神創造伝ワタル』の放送、「魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~」の開催など、話題が絶えることはない。そんな中、トイ「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」及びCD-BOX「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」もまた大きく注目を集めた。
この度、双方のアイテムを企画したBANDAI SPIRITSの加納竜司氏、バンダイナムコピクチャーズ兼バンダイナムコミュージックライブの生地俊祐氏の対談が実現。それぞれの製作秘話、そしてグループ企業ならではのコラボレーションの成立過程など、様々なエピソードを語り合っていただいた。
劇中で描かれた龍王丸を最大限追求した「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」
ーー「ワタル」シリーズは、ここ数年、時間をかけて盛り上げて来た印象がありますが、それぞれどういった受け取り方をして商品展開を仕掛けていきましたか?
加納竜司氏(以下、加納):弊社のコレクターズ事業部では、これまで「NXEDGE STYLE」、「ROBOT魂」、「METAL BUILD」の各ブランドで、ワタル関連のアイテムをリリースしてきました。今年はシリーズ最新作となる『魔神創造伝ワタル』が間違いなく話題になるという状況がある中、コレクターズ事業部としては、ハイターゲットに向けた商品を打ち出して行くのが主流なので、そうなると、ここはやはり当時のシリーズにスポットを当てたいなと。それが「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」のスタートになります。
【2月3日(月)16時一般予約解禁】
— 魂ネイションズ公式/BANDAI SPIRITS TAMASHII NATIONS OFFICIAL (@t_features) February 3, 2025
「METAL ROBOT魂 <SIDE MASHIN> 龍王丸」
2025年7月発売予定
📋商品詳細→ https://t.co/LunBCXEy2b
「受けてみろ!虎王!」
史上初立体化の鳳龍剣放出直後のエフェクトパーツは迫力満点!
腕部や鞘盾など様々なギミックを搭載。#t_robot #魔神英雄伝ワタル pic.twitter.com/OIosO1fKhy
生地俊祐氏(以下、生地):ちなみにこうしたトイの開発はどのくらい時間がかかるものなんですか?
加納:そうですね。今回は2012年にリリースした「ROBOT魂 龍王丸」をベースに、サイズ感を準拠しつつ、もうちょっとアニメのイメージに近いマッシブなプロポーションはどうだろう?と企画を立ち上げ、工場の方にデータを納品して型を起こして、生産して、発売といったところまで含めると、およそ1年半くらいでしょうか。
生地:僕は1980年代生まれで、当時、タカラさん(※現在のタカラトミー)のプラクションで遊んでいた世代なんです。その後、BANDAI SPIRITSさんを含め徐々に各社様、様々な種類の龍王丸が発売されるようになりましたが、当然それぞれにコンセプト、目指すスタイルが違っていると思うんですよね。
加納:まさにその通りです。
生地:そういう意味では、今回は、どこが拘りなんですか?……ってインタビュアーを差し置いて勝手に訊いてしまいますが(笑)。
ーーいえいえ(笑)。むしろ、どんどん話題を膨らませていただければと思います。
加納:他社様を含めた商品展開を踏まえて、割とニュートラルに軸足を置いたのが、「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」になります。弊社の「NXEDGE STYLE」はユーザーに手に取っていただきやすい、最初の立体物といったイメージで、「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍王丸」は、様々な龍王丸が市場に出回っている中、アレンジを強く利かせて「みんなの想像を超えた龍王丸にする」というコンセプトがありました。このように既にコレクター事業部だけでも複数の龍王丸が存在する中、新しい取り組みとして何ができるか?と考えた際に、逆に劇中で描かれた龍王丸を最大限追求しつつ、これまでの立体物になかった要素を取り入れていこうと思いました。ですから、原点に立ち返りつつも、「この龍王丸さえあれば満足だよね!」と思っていただけるものをお届けすることが目標でしたね。
生地:当時のプラクションはすごい良く出来ていました。とはいえ、時代の技術的にもお値段的な制約からもやはり限界があったと思います。で、今回の「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」を最初に見せてもらったとき「お、ちゃんと(僕が勝手に脳内でイメージしていた)龍王丸だな」と思ったんですよ(笑)
ーーそれはどういった視点から感じたのでしょうか?
生地:アニメのキャラを立体化した場合、この角度から見るといいけど、ここからだと違うよね、となりがちです。僕はサンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)出身で、アニメ制作が本職の僕らなので「アニメに寄せた」といった表現を使わせて貰ってしまいますけど、今回は「アニメに寄せた」僕らが子どもの頃に観ていた龍王丸をどうやったら立体物として成立させられるか、といった拘りがすごく伝わってきました。
加納:アニメの場合、パースとかもありますよね。
生地:当時はまだ3DCGもTVアニメでは使っていない時代です。当たり前ですけど、作画はウソをつき放題でウソのつき方こそが醍醐味の一つでもあるわけですよ。だから、絵としてカッコいいと立体でカッコいいは両立するとは限らない、ということが非常によく分るわけです。
加納:実際、その辺りで色々と苦労がありました。
生地:それから付属パーツも充実していますね。様々な表情の手はもちろん、鳳龍剣エフェクトパーツまで。以前に静岡のプラモの工場を見学させていただいた際、MGの∀ガンダムの試作を前に、開発陣から「牛が付くんですよ。コレははずせません!」と推されたことがありましたけど、そのことを思い出しました(笑)同じような拘りを感じます。アニメ屋としては本当に有難い限りです。
加納:まさに拘ったところに気付いていただいて嬉しいです。
生地:しかも加納さんは放送を観ていた僕たちとは世代が違うから驚きです。これを僕も知っている加納さんの上司の方が担当しているなら「ああ、まぁ、当然こうなるよね~」となるけど、拘りがきちんと継承されている。
ーーそれでは加納さんは、今回の商品企画を通して「ワタル」シリーズに接したのでしょうか?
加納:そうです。もちろん全話見返すのは当たり前として、当時のプラクションも上司の西澤(清人)や、リアタイ世代の方からお借りして研究しました。プラクションの龍王丸は、当時の商品ながらも、変形機構は完成されていると思っていたんですけど、プラっぽい質感は、ハイターゲットの商品では通用しないので、塗装についてはかなり考えました。しかもあまりテカリ過ぎずにちょっと輝く感じが、「ワタル」シリーズの世界観に相応しいのかなって。そもそも元になった龍神丸はワタルが粘土で作ったものですからね。
生地:そうなんです。いい意味でエッジが立ってなくて、アールが効いているのもすごくいいですよね。「ワタル」シリーズに登場するロボットは「魔神(ましん)」で、いわゆるロボではないんですよ。CD-BOX「『魔神英雄伝ワタル(以下『ワタル』)』『魔神英雄伝ワタル2(以下『ワタル2』)』コンプリート・サウンドトラック」については、後でお話しますが、これをプロデュースした際に、コンセプトのひとつとしてジャケットでも「龍神丸はワタル同様にあくまでメイン“キャラ”で二人の物語である」として扱うことにしたんです。同じように「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」も、“キャラ”としてフィギュア化していて、だからカッコ良く感じられるんだと思いますね。














































