
トイ+CDが連動するコラボレーション。限られた中で工夫する面白さ――「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」×「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」コラボレーション対談【後編】
2023年、『魔神英雄伝ワタル』が放送されてから「アニメ生誕35周年」を迎えた「ワタル」シリーズ。
その盛り上がりは留まることを知らず、周年を過ぎた本年も、新作アニメ『魔神創造伝ワタル』の放送、「魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~」の開催など、話題が絶えることはない。そんな中、トイ「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸」及びCD-BOX「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」もまた大きく注目を集めた。
この度、双方のアイテムを企画したBANDAI SPIRITSの加納竜司氏、バンダイナムコピクチャーズ兼バンダイナムコミュージックライブの生地俊祐氏の対談が実現。【後編】では、バンダイナムコミュージックライブの鈴木則孝氏も交え、「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」についての制作秘話、そしてグループ企業ならではのコラボレーションの成立過程に迫った。なお以降は『魔神英雄伝ワタル』を『ワタル』、『魔神英雄伝ワタル2』を『ワタル2』と表記する。
前編はこちら
倉庫から大量の音楽テープを発見
ーーここからは実際のCD制作に迫って行ければと思います。
鈴木則孝氏(以下、鈴木):単にアーカイブするためだけでは、何本もテープをまわす予算はなかなか出ないですし、このプロジェクトを進めるためには、商品化するプランが必要だったんです。
生地俊祐氏(以下、生地):僕のほうでも各所に持ちかけてはみたのですけど、進められなかったんですよね。で、鈴木とは『クラシカロイド』という作品以来の旧知でして、24年12月からバンダイナムコミュージックライブへ合流していたのでCD化を持ちかけました。
鈴木:自分は音楽業界では、それなりにキャリアがあるつもりですけど、社内的には初仕事なのでビギナーズラックで一発目になるし、何より生地から聞いて、これは絶対にやるべきだと強く思いました。折しも「サンライズ50周年」も目前で既存作品にも目を向けるタイミングですし、その発端の商品としてやってみてはと提案したところ、どうにか企画が通りました。入り口に立った段階で、もう一度音源を探すことになったんです。
生地:ビクタースタジオさんが保管されているテープは先に言った通り(本記事の前編参照)フライングドッグさんからリストもいただけておりました。それ以外にも、旧サンライズ音楽出版(現バンダイナムコミュージックライブに統合)のテープも改めて探すことにしました。実は過去に探した人間がいたんですけど、その際には見つからなかったそうなんです。ただ、倉庫に保管されている段ボールのリストを見ると、どうもあるような気がしまして…。
CD化は鈴木にやってもらうつもりでいたのですが、なんと4月より自分がバンダイナムコミュージックライブと兼任になるという話が出てきまして倉庫探索から自分も参加することになりました(笑)。
鈴木:こちら側にやってきたわけです。
加納竜司氏(以下、加納):文字通り、渦中の人に。
生地:辞令も受け取りましたし、ちょっとフライングだったけど「探しに行っても良いよ」という話になったので、鈴木と詳しいもう一人と3人で倉庫に探しに行ったら、なんとテープの山があったんですよ!
鈴木:これがまたけっこうな量でしたね。
生地:その発見したテープと、フライングドッグさんからいただいたリストのMナンバーをエクセルにガーッと書き出し、これまで各所から手に入れた資料と共に突き合わせて整理して一覧化しました。それが今回のCDに封入した「劇伴リスト」のベースになっています。
鈴木:この時点でもまだ音は確認できてないので、生地の推量で「多分こうに違いない」と分別して、その上で一組ずつテープを回してデジタル音源化をしていきました。これがけっこう大変な作業でして。
生地:1曲ずつ実際の音を聴き、リスト化した番号を潰していく作業を繰り返しました。リスト化した段階では重複しているMナンバーの曲もあり謎だらけだったのですが…、先にお話した音響監督の藤野貞義さんからいただいた音楽発注メニューに2Ver.あると手書きで追記されていたり、また「魔神英雄伝ワタル」と表記されてはいますが『ワタル2』のテープも混在していたことなども判明して解決しました。
鈴木:しかもその推量がけっこう当たっていましたよね。僕は企画を持って行き、入口までは作ったけど、直撃世代ではないんです。それに対して、生地は「ワタル」シリーズを死ぬほど観ていて、推量ができたことも大きかったですね。
生地:作品が好きなのはモチベーションとしては大きいでしょうが、昔からサンライズ音楽出版に入り浸って色々な話をきいていたのと、元々アニメやイベントのプロデューサーなどもやらせていただいてきたので、メニュー表やミュージックキューシートなどの資料の有無の推量や読み方やアニメにまつわる音楽の仕組みがある程度は分かっていたのが何より役に立った気がします。
ーーテープは全部で何本ぐらいあったんですか?
生地:数えてませんけど『ワタル』と『ワタル2』を合わせて、40本はあったかな?
鈴木:段ボールで4箱分は優に。
生地:同じコピーやモノラルもありましたから全ては回してないですけど、ステレオのテープにはない曲が2曲くらいあって、それはモノラルを回して収録しました。
ーーその辺りも抜かりないですね。
生地:そこはリストを作ったのが役立っていて、「これがないな」というのは一発で分かりました。Mナンバーが1から番号が振られているということは、欠番がない限りは空きがないわけですから。ひとつなかった番号の曲がありましたが、それは欠番らしいです。これも音響監督の藤野さんが書かれた音楽メニューに斜線が入っていたので分かりました。
鈴木:こうやって1曲ずつ特定していくだけでも、大変な苦労でしたね。
生地:それからアルバム構成には、色々なパターンがあると思いますが、今回はMナンバー順に聴いても違和感がないと感じましたのでそのままの順での収録にしました。
そしてもちろん、この機会にアーカイブすることも裏テーマとしてありました。
鈴木:それで、なんとか商品化にこぎ着けたというところです。
生地:今後、「ワタル」シリーズで『七魂の龍神丸』のような新作が作られる機会があれば、次は全曲ステレオで劇伴が使えます。当然アニメ屋としては、それも見越してやりたかったという気持ちはありました。
ーートイの開発担当の加納さんとしては、同じグループ内でも、音楽面のこうした作業というのは……。
加納:全く想像がつかなかったです。龍王丸のテーマ(「パワー全開!龍王丸」と命名)が当時のサントラCDに収録されてないのは僕も知っていましたけど……。
生地:それはもう全ワタルファンが思っていたことじゃないでしょうか(笑)。他にも龍神丸を召喚する際の曲とか登龍剣の曲とか、ファンなら絶対聴きかった曲が当時の「音楽篇」には入ってなかったので。
加納:後でコラボの話になると思いますが、先行配信の打診をいただいた際に、いの一番に聞いたのが「龍王丸のテーマでしょうか?」と。この曲を音楽単体で聴くことができたのは本当に嬉しかったです。

















































