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『【推しの子】第3期』有馬かな役・潘めぐみ【連載インタビュー第2回】

「誰も嫌われるために生きているわけじゃないですから」──TVアニメ『【推しの子】第3期』有馬かな役・潘めぐみさん【連載インタビュー第2回】

「誰も嫌われるために生きているわけじゃないですから」

──3期の物語を初めて読んだ時、どのような印象を受けましたか?

潘:「みんな、忘れられないものを抱えているんだな」と思いました。つまり、アイのことですね。これまでアクアやルビー、そしてここからはミヤコさんや壱護さん、五反田監督、鏑木さんなど、どんどんアイのもとに人が集まっていきます。彼女を忘れられなくてこの世界にいる人、あの時の夢をもう一度見たくて業界で頑張っている人たちが描かれていきます。

そう考えると、みんな心の中に「忘れられない誰かへの想い」を抱えて生きているんだなと思いましたし、それは有馬かなも同じなんですよね。女優として演技をしながらアイドル活動も並行している中で、「私は何のためにここにいるんだろう」と自問する。アイドルとしてできることもあるかもしれないけれど、「自分はどこへ向かうべきなのか」という岐路に立たされているのだなと感じます。

そういう意味では、「忘れられない」という言葉が3期のキーワードになってくるのだろうなと思いますね。

──3期では週刊誌にスキャンダルを撮られてしまうなど、有馬かなは非常に苦しい状態に立たされていますね。

潘:そうですね。生きていると、「なんでこんなタイミングでこんなことが起こっちゃうんだろう?」と思うようなことが同時に降りかかってくるじゃないですか。有馬かなの場合、シーズンの冒頭でアクアから「あかねと正式に付き合うことにした」と告げられたことがまず一つ。

それで落ち込んだのはもちろんですが、それと同時に、「今の自分の立ち位置って何なんだろう」「私はお飾りなのかな」と、B小町での役割にも焦りを感じていました。街中で目にしたあかねの活躍を見て、さらに焦燥感に駆られ、今回の出来事が起きてしまう。

この出来事が「あってよかった」とは決して思いませんけれど、これがなければ彼女はここまで落ち込むことも、立ち上がることもできなかったんじゃないかとも思っていて。この経験があったからこそ、「有馬かなは女優の道で大丈夫だ」と言えるきっかけになったのだと私は捉えています。

──推される立場でありながら、「自分はまだ足りない」と焦ってしまう有馬かなですが、実際には彼女を推している人もたくさんいます。

潘:周りが思っている以上に、かなはとにかく自己評価が低いんですよ。自分を一番信じてあげられなかったのが彼女自身だったんですよね。でも、これまで彼女がやってきたお芝居やアイドル活動は、きっかけはいつも「誰かのため」でした。子役時代にお芝居を始めたのもお母さんがきっかけで、「求められたい、求められたものに応えたい」という気持ちが原動力だったんです。

小さい頃は自己中心的でしたけど、それでは上手くいかないことが分かって、より人のために徹した。その結果、今度は自分自身を日陰に隠す形になってしまっていて。

その浮き沈みの果てに、今回ようやく一つの答えが出たのだと思います。誰かのためにやることが、結果的には自分のためにもなっている。ここからは「自分のために生きていいんだよ」と言われたような気がしますね。

──潘さんは有馬かなに対して共感する部分や共通点はありますか?

潘:原作を最初に読んだ時から有馬かなに感情移入していました。自信を持つべき職業なのに、自分を信じられなかったり、過小評価してしまったりして、周りの声がどんどん気になっていく感覚は、私自身にも覚えがあって。

有馬かなも言っていましたけれど、「向いていないかもしれない」と気付いてしまった瞬間の、あの何とも言えない感覚。悲しいだけでも、悔しいだけでもない、すごく複雑な気持ちになるんです。そうした自分の過去の経験や感情を引っ張り出して、有馬かなのために使ってあげられるチャンスだと思って演じていました。

──ご自身の経験を活かされているんですね。

潘:そうですね。彼女が求めている「私はここにいて良いのかな?」という気持ちに寄り添いながら、「ここにいて良いんだよ」という思いで演じています。「彼女を否定しないこと」「味方でいてあげること」は、3期で特に意識していました。いま彼女を信じてあげられるのは私しかいない、という気持ちでしたね。

有馬かなは、良い意味でも悪い意味でも注目されやすい子なんですよね。私が演じることで何ができるかは分かりませんが、少しでも「彼女が愛される理由」になっていってほしいと思っています。だって、誰も嫌われるために生きているわけじゃないですから(笑)。

──ちなみに、作中では「天才子役」として圧倒的なお芝居を見せてきた有馬かなですが、それを演じる声優としてのプレッシャーはありましたか?

潘:本当にプレッシャーでしたね(笑)。オーディションの時も、「これは落ちたな」と思っていたくらいです。でもそこで役に選んでいただけたから、今ここにいられるんですよね。「信じてくださる人のために頑張ろう」という気持ちは、きっとかなも同じなんだろうなと思っています。

たとえ世界が自分を拒んで一人ぼっちになったとしても、たった一人でも味方がいれば怖いものはない。本当に「サインはB」の歌詞そのままの気持ちでした。特に最初はそうでしたね(笑)。

「彼女が新たに“爆誕”した瞬間だったのだと思います」

──潘さんの視点から見た、1~3期にかけての有馬かなの変化を教えてください。

潘:大きなきっかけをくれるのは、いつもアクアだったと思います。子どもの頃に出会った時も、「今の自分の立場」や「今の自分の芝居(の未熟さ)」を教えてくれた相手で、同時にすごく悔しい対象でもあった。それは、かながこれまでに経験したことのない感情でした。

あの時アクアやあかねとも出会えたことで、ここまで芝居を続けてこられたのは本当に大きかったと思います。その後アクアたちと再会して、『今日は甘口で(今日あま)』では彼にスポットライトを当ててもらい、有馬かなが初めて「本当の自分」をカメラの前で見せられたことも大きかったと思います。

アイドルになってからのステージでも同じです。アクアのあの一本の白いサイリウムは、かなにとってスポットライト以外の何物でもなかったですし、『東京ブレイド』でもやはり彼の存在が大きかった。そして今回も、最終的に彼女が立ち上がる理由はアクアなんですよね。

アクアのセリフに「俺なんていなくても有馬はもう大丈夫だ」という言葉がありますけど、実際には目の前にいなくても、たとえ遠く離れていても、アクアの存在があるから、かなは立ち上がれるんです。

──スキャンダルの写真を撮られてしまう6話もかなり大きな出来事だったと思います。一連のシーンを演じてみていかがでしたか?

潘:正直、辛かったです……(笑)。原作を連載当時に読んでいた時もとても辛くて、かなのスキャンダルは作中では世の中に出ませんでしたが、読者の皆さんには届いてしまったわけで。落ち込みましたね。でもこの気持ちはお芝居の栄養になるなと思って(笑)。「お芝居の時のために使おう」と何年も前から心の準備をしていたんですよね。

ただ、いざ向き合ってみると、とても生々しくてドロドロしていて、何かがすり減っていく感覚もありました。でも、それは決して「いけないもの」だとは思っていません。どんなにボロボロになっても、否定だけはしないと心に決めて向き合いました。

──かなが叫ぶシーンはとても迫力がありました。

潘:これまで何度もありましたが、有馬かなはアクアにスポットライトを当ててもらうたびに生まれ変わってきたと思っていて。なので、今回の叫びはまさに産声であり、心の叫びであり、彼女が新たに“爆誕”した瞬間だったのだと思います。完全に赤子でしたね(笑)。

考えて叫んだというよりは、思いのままに叫んだシーンだったと思います。自分のリアルな感情が乗っていたら良いなと。

──演出面についてはいかがでしたか?

潘:演出の面でも、話数をテレコにしてくださったり、深掘りしてくださったりしたことで、有馬かなの感情がより見える形になっていると思います。作り手の皆さんの采配によって、「このシーンを見届けられて良かった」と思ってもらえるものになっているのではないでしょうか。

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