
第1期からさらに明るいテイストに変わった第2期──それを象徴するキャラクターとは? 『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2』熊野千尋監督インタビュー
「小説家になろう」掲載からGA文庫(SBクリエイティブ)で書籍化を果たし、2023年1月から3月にかけてTVアニメ第1期が放送されたライトノベル『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』(著:佐伯さん イラスト:はねこと)。
2026年4月から放送されている本作のTVアニメ第2期が、いよいよ次回で最終話を迎えます。
アニメイトタイムズでは、そんな本作のキャスト・スタッフ陣にインタビューを実施。連載最終回となる今回は、監督の熊野千尋さんに制作の裏話などを語っていただきました。
熊野監督が語ってくださった、第1期と第2期のテイストの違い。それを象徴してくれたキャラクターとは!?
最初の段階で制作の各セクションに伝えたこと
──最初に、この作品に触れた際に心を掴まれたポイントを教えてください。
監督・熊野千尋さん(以下、熊野):物語を通して視聴者に見てもらいたいポイントが徹底されているところが、今時の作品だとある意味では珍しいと思っていました。周と真昼の関係性で物語を見せていくことが最初から徹底されていますし、それが最初から理解しやすかったことも好感触でした。
──その際に感じた作品全体の魅力とは?
熊野:やっぱり物語を安心して追いかけられるところです。視聴者を裏切る要素がありませんし、だからこそ作り手側としても演出がしやすい。この作品はやるべきこととやってはならないことがハッキリしているので「こういうものを見せられればキャラクターたちは動いてくれる」という安心感もありました。そうやってちゃんとキャラクターたちの魅力で勝負できる作品なので、よくあることをさせてもちゃんと面白くなってくれました。
──第2期からアニメ『お隣の天使様』の監督を務めることになった経緯も伺えますでしょうか?
熊野:元々は監督業がメインですがproject No.9の別タイトルに各話で参加していて、そのままの流れでこちらも誘われた形です。
──作中の演出面で意識されていたことを教えてください。
熊野:例えば周と真昼、樹と千歳……そして、この4人が揃った時とで流れる時間の感覚が変わってきます。「このキャラクターがいるから今はこういう雰囲気になっている」という感覚を、リアルに見せられるように制作していこうと思っていました。実際の映像での間の取り方は、今作では全て自分がひとりで作っていたので、挑戦してみて良かったなと思っています。
──第2期では新たに周や真昼たちに関わるキャラクターが増えました。登場させる上で印象に残っているのは誰になりますか?
熊野:木戸彩香(CV:高野麻里佳)です。第2期から物語が明るめのテイストに変わりましたが、それを象徴するようなキャラクターですね。彼女のおかげで、この作品の世界に広がりを見せられたと思います。
元々、周や真昼の周囲はそこまで大きなコミュニティではありませんでしたが、第1期ではそこに入って来られなかったキャラクターたちも隣に入ってきて、彼らの高校生活にもスポットライトが当たりました。それを象徴的に見せてくれるキャラクターにしたかったのですが、上手くハマってくれたのかなと思っています。
──キャラクターたちの等身が下がった状態で掛け合うようなシーンが度々登場していました。このような表現を取り入れた意図というと?
熊野:まず僕はそういった描写が好きなんです。そして本作はアクションアニメではないので、もう少し画面に変化がほしかった。変化があった方が見やすいだろうなと思っていました。
話の内容を考えると第1期では使いづらいところがありましたが、第2期ならどんどん使っていける。デフォルメなら基本は何をやっても可愛くなりますし、せっかく良いキャラクターたちなので、色々な表情を色々なパターンで描きたかったというところもあります。
──色彩や光の使い方、画角などのビジュアル面で意識されていたことも教えてください。
熊野:企画が始まった最初の段階で制作の各セクションに伝えたのが、画面の色を明るくすることでした。これは第1話のアフレコの段階で、キャストさんたちにも共有しています。
第2期は周と真昼が付き合った後からの物語なので、想いを遂げたらきっと世界の見え方も変わると思ったんです。視聴者のみなさんが第2期で見たいポイントもそこのはずですし、一番のテーマにもなってくる。迷いなく決めました。
──オープニングやエンディングの絵コンテも監督が手がけられています。「画面の色を明るく」という要素はこちらにも通ずるものがあるのでしょうか?
熊野:オープニングもエンディングも凄く良い曲が届いたので、もらった時から絶対に良いものが出来る確信がありました。映像は第1期では描けなかったことをいっぱいやる、キャラクターたちに今まではさせられなかった表情をさせたいというのがコンセプトでしたね。
──ありがとうございます。また、第2期のシリーズ構成や音楽などで大切にされていたことはありますか?
熊野:あまり重くなり過ぎないようにしています。テンポの良さがそのまま視聴者が気分よく見られることに繋がるので、脚本面でも音楽面でも先ほどのコンセプトはスタッフ陣に共有して共通テーマとして制作してもらいました。
──アフレコ現場についてもお聞かせください。キャストさんたちのお芝居で印象に残っているものはありましたか?
熊野:まず、周がかなり大人になったなと。僕は第1期の現場にいたわけではないのですが、第2期の最初の収録現場で「こんなに大人だったか」と思ったくらいです。なので「もっと高校生らしく明るく素直に」とお願いしたのですが、それでも第1期からのやり取りを経た上での成長した声になっている感覚はありました。
真昼も親しみやすさがしっかり上がっていたので、第1期まではなかったような声音が自然と出てくるようになっていましたね。石見さんの声がデフォルメ状態によく合致するんですよ。ポロポロした感じの声……とでも言えばいいのでしょうか。アフレコの序盤では完成した状態の絵を映すことができていて、それをちゃんと提示したことで言葉はなくとも空気感を理解してくださいました。デフォルメ特有のあの声をちゃんと聞かせてくれるところは流石だなと思っています。

































