
世界を救う代わりに目の前の誰かを救える作品になってくれていたら──『NEEDY GIRL OVERDOSE』超絶最かわてんしちゃん役・天城サリーさんが「インターネット・エンジェル」を見て思うこと【インタビュー】
この混沌とした令和のインターネットを照らす一筋の光となった女の子「超絶最かわてんしちゃん(以下、超てんちゃん)」が4月にTVアニメデビューを果たしてから3ヶ月。アニメ『NEEDY GIRL OVERDOSE』が全13回の放送を駆け抜けました。
アニメ放送前には多くの配信活動も行い、“我々の世界”でも人気配信者としての地位を確固たるものにしてきた超てんちゃん。しかし、どこかから聞こえてくる「女の子の中身なんてあんまり覗くものじゃないよ」という言葉どおり、キャスト情報は長らく公開されることはありませんでした。
まさに「秘するが花」の様相を呈していた最中、ついにキャスト情報が解禁! このたび、超絶最かわてんしちゃん/あめちゃん役の天城サリーさんにお話を伺うことができました。
今よりずっと、もっともっと前から「超てんちゃん」だった天城さん。オーディションや制作秘話をはじめ『ニディガ』のすべてを振り返ります。
インターネットと、そこに降臨する天使の存在。純度100%の「インターネット・エンジェル」がもたらす快楽を得たみなさんは「超てんちゃん」を見てどう思いますか?
「インターネットの見苦しさ」と「天使としての優しさ」
──TVアニメ『NEEDY GIRL OVERDOSE』が、ついに最終回を迎えました。
超絶最かわてんしちゃん/あめちゃん役・天城サリーさん(以下、天城):放送自体は3ヶ月でしたが、超てんちゃんに向き合った月日は3年になります。だから、より終わってほしくないという気持ちが強いです。
アニメが終わったとしても、きっと超てんちゃんを愛してくださる方々は引き続きいらっしゃいますし、コンテンツが終わるわけではないのですが……。この最終回はやっぱりひとつの区切りだと思います。本当に色々な試行錯誤をしながら、葛藤しながらのアフレコの日々でしたので、悲しいというか、寂しいです。
──アニメ化のお話を聞いたときはどのようなお気持ちでしたか?
天城:「超てんちゃん」のオーディションの時点で「ゆくゆくアニメ化される作品です」というお話を聞いていました。そのプロセスの中で、配信者としての活動を先に行うという選考だったんです。
そのオーディションを受ける際に原作のゲームもやらせていただいたのですが「どうやってアニメ化するんだろう」と(笑)。
──(笑)。
天城:ゲームのほかにも、展開されている漫画などを全部読ませていただきました。あらゆるものを見て、読んで、いただいた資料も拝見して。その結果「これをどうやって……?」と、ずっと思っていました(笑)。
──そんなアニメの完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。
天城:「この映像を理解できない」ということは「今の自分の精神状態は良い」ということで、もし「理解できる」ならば「今の自分は病んでいる」ということなのかなと(笑)。意味がわかるときと、わからないときがありすぎて、時と場合、自分の人生の浮き沈みによって意味が変わってくる映像だと思います。
トリップしているような気持ちになるというか、本当にオーバードーズしているような感覚を、毎話感じていました。私自身も子どものころからアニメオタクですが、こんな作品は見たことがなくて。
──突然の実写映像など、挑戦的な表現が多かったように思います。
天城:実写のドラマパートがあったり、カートゥーンのような表現をしているシーンがあったり。本当にてんこ盛りですよね。「この10数秒にわたる実写は何だ……?」って思ったり。
実は第1話では、実写の私の口元が出ていました。キャスト情報を隠そうとしているのか、していないのかわからないですよね(笑)。楽しかったです。
──まさか最序盤からキャスト情報が散りばめられていたとは……!
天城:元々「実写の口元を使う」という演出にはなっていたのですが「せっかくなので、天城さんいかがですか?」とお声がけいただきまして。「こんなチャンスはもうない!」と思って「やらせていただきます!」とお返事しました。後日映像を見たのですが、口元だけかと思っていたら結構顔が映っていましたね(笑)。
本作ならではの、後にも先にもない演出がたくさん詰め込まれています。映像を見ていても、改めてこの作品に関わらせていただけて嬉しく思います。
──実写だけでなく、オマージュやパロディなどもふんだんに盛り込まれていました。
天城:私個人としては『銀魂』が大好きなので、色々なパロディが本当に嬉しくて(笑)。1人のオタクとして嬉しい気持ちがありました。
──そんな本作の中で特に印象深かったシーンを教えてください。まずは配信ユニット・カラマーゾフとの掛け合いでいうといかがでしょうか?
天城:第2話のトークイベントが印象に残っています。会話のテンポといいますか、お互いにジャブを打ち合いながらのコメディシーンがあったのですが、本当にワード数が多かったのでどうしてもボールドに間に合わなくなってしまって。そこで監督(中島政興)さんが「会話のテンポを大切にしたいから、後からこちらで調整します」「お笑いライブのような空気感でポンポンセリフを言ってください」とおっしゃってくださって。
──特に生っぽさを強く感じていましたが、そのような背景だったのですね。
天城:この作品は色々なところで「好きに演じてほしい」「感情を先行させてほしい」と言われることがありました。ずっと「映像はこっち(制作側)で何とかするから」と(笑)。心強い言葉を何度もいただき、作品の言葉を伝えるにふさわしい尺感でアフレコをすることができました。すべてのセリフで伝えたいことを全部伝えられたかなと思っています。
──第2話に限定して言うと、くじらさんの熱演も強く記憶に残っています。
天城:本当に! あとくじらさんも実写でご出演されています。第11話の裁判のシーンですね。
──くじらさんだけでなく出演キャスト皆さんの姿があったような?
天城:私も「傲慢」という一言を言っています。出演者ほぼ全員出ていました(笑)。
しかもあのときの衣装は、みんな各自で持参してきた服なんです。「こういうイメージで」という指示はあったのですが、すべて自前で家から持ってきたものでした。
──もはや「生っぽさ」ではなく……。
天城:あはは! もう「生」でしたね(笑)。
──(笑)。超てんちゃん/あめちゃんのシーンで印象に残っている場面についても教えてください。
天城:まず超てんちゃんは第3話のラスト。自分のマイクを月に掲げながら「たくさん眠っても幸せになれるわけじゃないけど、不幸なことは薄れていくからまた遊ぼうね。おやすみなさい、オタクくん。」と言うシーンです。このとき、幼少期のあめちゃんが重なっていて。
第3話を見ると、あめちゃんが救われる描写がどこにもないし、手を差し伸べてくれる人もいないことがわかるんですよね。そんな経験を経て、超てんちゃんが今こんなにも大勢のオタクくんたちを救ってあげている。心がきゅーって締め付けられます。
あめちゃんで言うと、禰󠄀智禍さまとのカフェのシーン(第7話)が印象に残っています。「それができないから地獄に居座り続けてる。努力の方向もわからないし、楽に怠けさせる甘い誘惑は無限に溢れてるから」と、“オタクくん”たちのどうしようもなさを話した後に、「でも嫌いになれないんだ……。そいつら……」とこぼす。その一言に、天使としての優しさが全て詰まっているんじゃないかと思いました。
インターネットの見苦しさを、その第一線で活躍している超てんちゃんは強く感じているけれど、きっとあめちゃんは自分も苦しんでいた過去がたくさんあるので、共感とまでは言わずともオタクくんたちの気持ちもわかってしまう。だから助けてあげたいし、「嫌いになれない」のかなって。
──お話しいただいた二つのシーンによって、どことなく乖離していたあめちゃんと超てんちゃんが同一のものとして認識できるようになった気がしています。
天城:ロリポップと会話をしたメリーゴーランドのシーンでも、あめちゃんと超てんちゃんが重なって見える場面がありますが、違う姿に見えても魂は一緒なんだなと改めて感じる瞬間になっていたと思います。大切にしているものはひとつなんですよね。
──自身の心境を、自分と近しいものを感じる禰󠄀智禍さまに喋るのも考えさせられるものがありました。この二人の掛け合いには、どことなく心地良さを感じています。
天城:個人的に超てんちゃんが一番心を開いているのは禰󠄀智禍さまなんじゃないかと思っています。「アナタはもっと“わたし寄り”だ」と言っていたり、最終話であめちゃんがどこかの海外に消えてしまったときも見つけたのは禰󠄀智禍さまだったり。あの二人だけの空気がありますよね。
──「互いに小賢しく生きてしまった者同士」と本編内でも言っていましたね。
天城:まさにそうなんだろうなと思います。
禰󠄀智禍さまを演じる星希(成奏)さんもキャラクターと重なる部分があるなと思っていて。禰󠄀智禍さまって色々な気づきができる人だと思うんです。「本当はあなたこうだよね」「そんなに明るく振る舞っているけれど裏では苦しんでるんだよね」と気づいてくれるし、それを伝えて助けようとしてくれる。星希さんもそうなんですよ。
この作品のアフレコ現場を経て、日常生活で辛いことがあると星希さんに連絡しちゃうようになりました。「どうしよう」「ひどいことがあった」「うぇーん」って(笑)。そうすると本当に禰󠄀智禍さまのように包み込んでくれて。星希さまに沼ってます(笑)。
──星希さんのイケメン力に(笑)。
天城:本当にイケメンです! でも聞いた話によると、禰󠄀智禍さまのようなイケメンな役柄を演じるのは今回がほぼ初めてだったらしくて。日頃はキャピルーンな可愛い子を演じることが多いと聞いてビックリしました。これから禰󠄀智禍さまとともに、ほしきんぐ(星希さん)のカッコよさが世に広まればいいなと願っています。大好きです(笑)。




































