
「マスク割れ」を超えた衝撃の「ボディ割れ」アクションの感情表現! 好きなヒーローを推し続けていい【PROJECT R.E.D.】の楽しみ方とは?――東映・久慈麗人プロデューサーインタビュー 映画『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ 太陽が泣いた日』
最凶の敵「ギャバンキラー」、そして「デス・ギャバン」に込めたドラマ
──対峙する敵キャラクター達はどう考えて作られたのでしょうか。
久慈:今回のシリーズは、「刑事」なので事件の犯人がいます。ボスに命令されて「人々から悲鳴を集める」といったタイプの敵ではないんです。それぞれ感情があって、何かしらその線を越えてしまう出来事があって、それゆえに心の弱さのようなものがある。
ひとえに犯人といっても、狙い通りに事を起こす人もいれば、罪を犯して後悔する人など、とにかく色んな人がいるんです。単純な悪で一色にするというよりは、どこかの線を越えてしまった人たちに対して、「その越えてしまったきっかけ」のような部分を描いているシリーズだと考えています。
その上で、今回は「どうやったら怜慈の感情を引き出せるか」というテーマもありました。観てもらえば分かるんですが、映画は第21話のBパートとCパートの間の話なんです。
第21話のエンディング後に「アルファ地球の危機を回避できた」ということをカレルが言っています。テレビシリーズだけを見ていた人からすると、第21話で起きていたことの話なのかと思いきや、実はその後に映画の出来事があって、それでようやく多元地球 A0073の危機は去った。
ここの間に入るっていうことは、「デス・ギャバン」に向かっていくその前に戦うべき敵。怜慈にとって、長谷と戦ったことがその先「デス・ギャバン」と戦う時のもう1つの感情になる。解決しておきたかった敵というのが、この「長谷誠・ギャバンキラー」というキャラクターなんです。
自分の恩師のバディで尊敬していた人が悪に落ちてしまったというのは、非常に辛くて戦いづらい。完全に理解できない悪のほうが戦いやすいんですけど、共感してしまうが故に...…といったところを描いています。そこを乗り越えておかないと、「デス・ギャバン」に呑まれてしまう。それに対する準備が今回の映画でやりたかったんです。
またアンチギャバリオン粒子は、こういう設定があったら条件付きの戦闘シーンを作れるのかなと。単に拳や剣をぶつけ合うバトルではなく、「何のために距離を取るのか、何のために距離を詰めるのか」といったような、アクションシーンの幅を出すためにもギミックとして面白いなと思っていました。
加えて「ギャバンキラー」は、『宇宙刑事ギャバン』の「ハンターキラー」のデザインをオマージュしているんです。「デス・ギャバン」もそうなんですが、マスクのデザインが、向かい合ったり対になった時に画になるなと。マスクを被るヒーローならではの面白さは、とにかく福沢監督と冨岡さんと追求した部分です。
映画、テレビシリーズの連動。「PROJECT R.E.D.」が示す新たな文法。
──『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』映画とテレビシリーズと、さらには放送開始した【PROJECT R.E.D.】第2弾『角醒ハンター オメガホーン』との連動はどのように考えられたのでしょうか。
久慈:映画は時期的にもすごく盛り上がってほしいタイミングですので、そこに持っていくにふさわしいものにしました。映画を作る上でこだわったのは、言ってしまえば「終わったシリーズの後日談ではないんだぞ」というところです。
すごくコミュニケーションが難しい部分だとは思いますが、『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』は終わらせるつもりなくこの半年を進んでいるんです。時期的に「最終回のその後」といった風に作品を観てしまいがちかもしれませんが、今回はそのように作ってはいません。
そのためにも、「これは最終回より前の事件なんだ」と分かるようにしています。とは言え、ギャバンが集結できるようになっている状態にした方が良いだろうと。そのように、終わらない『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』という作品において「映画はどこを切り取るのが適切か?」といった捉え方をしていましたね。
テレビシリーズ最終回まで見ている人はその時点では気づいてなくてもいいんですけど、映画を見た時に実は第22話から怜慈の「ギャバリオントリガー」に傷がついているみたいなところで、後で「そういうことだったのね!」という発見が出来るようにしておきました。
映画を撮る時期も、最終回よりは前に撮らなければならなかったので、キャストたちの感情の持っていき方としても、「終わった後の感情なんてわからない」となってしまわないように、しっかりコミュニケーションを取って、「ここはこういう展開になるので、その前のこの出来事に向き合ってほしい」という話を入念にしていました。【PROJECT R.E.D.】は、新しい文化といいますか、文法を作ろうとしているところです。これがやれなかったら【PROJECT R.E.D.】をやる意味がないという内容を今回の映画で入れています。
「好きなヒーローを推し続けていい」、ヒーローとの“出会い直し”のチャンス
──【PROJECT R.E.D.】は、「スーパー戦隊シリーズ」で1年のサイクルの放送に慣れている中で「今後どうなるんだろう?」という特撮ファンも多いのかと思います。久慈さんからのシリーズの楽しみ方を教えてください。
久慈:そうですよね。どうしても1年という枠で捉えてしまう部分もあるとは思うんです。しかし、そもそも「スーパー戦隊シリーズ」だって必ずしも1年で終わらせる必要はないかもしれない。我が家の子供たちも、今では『ギャバン インフィニティ』のおもちゃと『ブンブンジャー』のおもちゃを合わせて遊んだりしています(笑)。
やりたいのはヒーロー達が並び立つことはもちろん、「終わらないヒーロー」を生み出すこと。それもいわゆる「彼らの戦いは続く...!」ではなくて、ファンの皆さんに「本当にギャバン終わらないじゃん!」と思っていただくことです。
これまでのシリーズの楽しみ方も、僕ももちろん好きなんですが、「好きになったヒーローをまだまだ推し続けていいんだ!」といった楽しみ方をしてほしくて。
「スーパー戦隊シリーズ」の楽しみ方、「仮面ライダーシリーズ」の楽しみ方っていうのは我々の中で持っていて良いと思いますが、【PROJECT R.E.D.】は、今までの楽しみ方を当て嵌めているシリーズではないということです。「スーパー戦隊ではこうだったから、こうじゃないと楽しめない」ということではなく「こういう楽しみ方もあるんだよ!一緒に見つけていきませんか?」という方向性で作っています。
「形式を変えた意味」は当然常に考えていきたいと思っていますし、その1つがやっぱり、『角醒ハンター オメガホーン』のテレビシリーズにもギャバン達が登場することです。『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』最終回後のストーリーがまだまだ各次元で続いていて、それがどのように『オメガホーン』と絡んでいくのか? アイテムも混ざり合い、『オメガホーン』の世界でメカ同士が絡むみたいなことなど、「それやっていいんだ」ということもやっています。それが出来るということは、つまり「ギャバン終わらないじゃん!」ということだと思いますし、そこに気づいて、より一層ワクワクして欲しいです。「もっと『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』が見たかった!」という人たちがいてくれたら、狙い通りなのでそのままでいてください(笑)。
──プロデューサーとして、この半年間を駆け抜けた手応えはいかがでしたか?
久慈:2つの視点で見なきゃいけないと思っていて。「瞬間的な楽しさ」を提供しつつ、「プロジェクト全体の意味」も示す必要がある。そして、今時点では評価出来るものじゃないと思っています。いずれ意味を持つだろうとか、今フィールドを広げていれば、今後の可能性が広がるといったことがいくつもあるので、それがどの時期に実を結ぶのかは楽しみです。
自分が関わっているかは関係なく、僕も「この特撮ヒーロー番組の枠が楽しくないと人生楽しくないタイプ」なので(笑)。次々と楽しいものが生まれていくフィールドであって欲しいんです。そのためにやれることはやってきましたが、それでもまだやりきれてないことが沢山ある気もしていて。それが現時点の実感です。
──決まったフォーマットに慣れることではない驚きと楽しさがあるシリーズとして挑戦しているんですね。
久慈:そうなんです。「面白いとわかっているものを見る」ではない、また新たな楽しみ方があるのかなと。そこに楽しさを見出していただければ嬉しいです。全部終わった後に見直すより、今ここで一緒に参加しちゃうほうが、不安も期待も含めて面白いことになるんじゃないかなと思っています。
あと、このシリーズのいいところは、「出会い直しが出来ること」だと思うんです。個人的には、子供の時に見ていて卒業することも全然ありだと思っているんです。そのうえで、そういう方が出会い直してくれる可能性があるシリーズにしたい。子供の頃に特撮ヒーローは全然見てなかったけど「大人になって初めて見た」みたいな方との出会いがあってもいいと思います。「PROJECT R.E.D.」は、その出会い直しのチャンスが多いシリーズにできる可能性があります!
新たなヒーローに出会えるし、出会い直しが出来るシリーズ。是非一度、この『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』というヒーロー、そして【PROJECT R.E.D.】シリーズから生み出されていくヒーローたちと、良きタイミングで出会い直していただければ嬉しいです。
──最後に映画は大ヒット公開中ですが、これから映画を見る皆さんに向けてメッセージをお願いします。
久慈:この作品の楽しみ方は色々あるとは思うんですけど、まずは「ギャバン・インフィニティ」というヒーローに出会ってもらいたいなと思っています。「弩城怜慈」というヒーローの良さがとにかく出ている作品です。これまでシリーズを追ってくださった人から見てもそうだし、もしかしたら初めて見る、ほとんど知らずに見てくださる方にとっても魅力的に映る作品になっていると思います。
一度『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』と出会って、「みんなで語ろうぜ!」となっていただきたいです。
[インタビュー 田畑勇樹]
作品情報
あらすじ
「太陽は、ギャバンの命と引き換えに返してやる」
ギャバン・インフィニティ=弩城怜慈(どき れいじ)が指定された場所へ向かうと、そこには“全ギャバンの抹殺”を掲げる最凶の敵「ギャバンキラー」が待ち受けていた。その正体は、怜慈が慕っていた先輩刑事・長谷 誠(はせ まこと)だった!
対ギャバンの秘策「アンチギャバリオン粒子」を操るキラーに苦戦するインフィニティ。
時を同じくして、光を失った影響は全次元へと波及していた。奪われた太陽を取り戻すため、ギャバン・ブシドー=哀哭院刹那、ギャバン・ルミナス=祝 喜輝、ギャバン・ライヤ=風波駆無ら全ギャバンが次元を超えて集結する!
かつてない強敵・キラーの真の目的とは・・・
激闘の果てに、ギャバンたちはふたたび太陽の輝きを取り戻せるのか!?
キャスト
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