
「瑞佳は一言で言うと『大事なものが欠けた子』なんです」──『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』スタッフインタビュー企画「グロウアップショウ、クローズアップしよう!」シリーズ構成・菊池たけしさん
瑞佳は意味のある変人
── サーカスをあまり知らなかったとのことですが、本作に関わるまで実際に見たことはありましたか?
菊池:これが、まったくなくて。作品に関わるようになってから実際に見に行ったのですが、圧倒されました。「あっ、これは“夢を見せる場所”なんだ」って思ったんです。現実世界から切り離された異空間と言ったらいいのかな。それを重要なモチーフのひとつとして、シナリオの背骨にも入れています。
── 実際に観てから、印象が180度変わった。
菊池:変わりましたね。その後いろいろと調べていくなかで、サーカスはとんでもなく深い世界だということも分かりました。すごく歴史があるんですよ。空中ブランコひとつとっても、どの技をいつ誰が初めて成功させたか、という記録が残っている世界で。
そうやって調べていくと、どの演技がいつの時代のものか、という線引きも見えてくるんです。そこで白状しておきたいのが、スヴェトラーナが担当しているエアリアルシルク。実はその原点にあたると考えられる技は1959年ごろに作られていて、エアリアルシルクと呼ばれるようになったのは、1990年代に入ってからなんですよ。
── なるほど。
菊池:なので、今回の時代設定的には世界でもまだ生まれたてで、日本には入ってきていないはずの演目なのですが、言葉の響きがいいのと、スヴェトラーナみたいなキャラクターが布を使った演技をしたら美しいだろうということで取り入れました。そのほかにも昭和30年代からしたら、ちょいちょい未来の要素が混ざっています。
── そこは、アニメならではのファンタジー要素を交えて、見せている部分というか。
菊池:そうですね。あくまで架空の昭和……ひと言で言えば「昭和ファンタジー」ですね。シナリオも、あの時代の戦争の影や暗い部分は抜いて、楽しい部分だけを描くと会議で方針も一致。ところがしばらくして、あがってきた背景美術を見たら想像以上にガチの昭和で驚きまして。実は私、小学生のときの愛読書が『一億人の昭和史』で。あの美術を見た瞬間、頭が一気に戦後の日本に飛びました(笑)。
それで、脚本内で使われる未来語の多くを当時の言葉に直したりと、時代に合わせた修正を加えていくことになったんです。
── シリーズ構成をしていくなかで、各キャラクターはどのように決まっていきましたか?
菊池:世界観を固めるのと同時に、キャラクターの造形にも着手していました。最初は鶴巻瑞佳・川澄桜翔・麻利亜の立ち位置や設定から決めています。その後、本作の物語を成立させるために必要なキャラクターを考えていきました。
── 主人公の瑞佳は昨今のアニメでは見ないくらい空気が読めない、面白いキャラクターだと感じています。
菊池:これはもう作風なんですが、私は主人公を変人にしたい人なんですよ(笑)。ただ、変人にするだけだと物語がもたないので、瑞佳はただの変人じゃなくてそこに意味がある子、という形でキャラクターを構築しています。
── 意味、でしょうか。
菊池:はい。瑞佳は「大事なものが欠けた子」なんです。むしろ、たったひとつのことしか知らない子と言いますか。でも大丈夫。今はただの変人かもしれませんが、あとでちゃんと意味のある変人になります。
── 結局は変人じゃないですか!(笑)

































