
『ヴァンパイドル滾』最終巻発売記念! 炎の漫画家・島本和彦先生インタビュー|『滾』が大ヒットしたらオタクは辞めていた!? 今だから話せるギリギリのところまで語っていただきました!
漫画をぞんざいに描く!
──今後の展望などは何か考えていらっしゃるんですか?
島本:無我夢中で描いていたのでわからなかったんですけど、今はね、人気漫画を読むと痛い。よく若い人が自分よりも同じ年代で優秀な人が活躍してるのを見ると鬱な気持ちになるってやつがあるじゃないですか。あれです。あれになったことがなかったんですけど、今はなっていますね。昔流行った漫画だったら全然大丈夫なんですけど、今面白いやつは拒絶反応を起こしますね。
私が『アオイホノオ』をやるまでずっとダメな時代を生きていたのは、週刊少年サンデーをちゃんと全力で頑張らなかったからだっていう後悔がずっとあるんです。だから週刊少年サンデーに全力で向き合えば自分はまた返り咲けると思っていたけど、やったらこの結果になったというね。「人生がこうに違いない」と思ってたものを、その通りやったのにそうならなかったっていうのはね、これはすごいよ。この凄絶な気持ちはなかなかみんな味わえないよ。
ウェルカムな気持ちで週刊少年サンデーに載せてもらって、同じような藤田和日郎という同期の漫画家が一緒にやろうって言ってくれてすごく甘やかされて、「さあ、人生もう1回だ」って時に、1人でどん底まで落ちてったっていうのはね、これはすごいね。ここでバーッとうまくいくはずで、そうなったら、「20年後の朝ドラは俺だな」とか思ってたんだけど、ダメだったからもう1回上手くいかないとダメになっちゃったね。
──朝ドラなら今めちゃくちゃいい展開じゃないですか……!
担当編集:結局、島本和彦は戦い続けなきゃいけないんですよ。ここで勝ってたら戦わないから。
──それに挑戦し続けている、常に戦い続ける姿を漫画で見せていく姿勢は他にいないなと。
島本:私がこういうふうな恥のかき方をすると他の漫画家さんが楽になりますよね。一番先頭で今まで誰もかいたことのない恥をかく、突っ走っていってる感じ。
この年代で戦い続けているっていうと庵野秀明監督も『シン・仮面ライダー』とか『シン・ウルトラマン』とかやってそこそこ稼いでて。今度『宇宙戦艦ヤマト』もやるから、全然私だけじゃないけど、向こうはちゃんと動員数を誇ってるから、1回ぐらいこっちもなんかしなきゃとは思うけどね(笑)。
──島本先生も昔の作品のリブートなどは興味があったり?
島本:当時若かりし頃に好きだったあの作品やってみたいとかは結構ありますよね。
『サイボーグ009』とか『宇宙海賊キャプテンハーロック』のような、結末まで描かれておらず、先生方がご存命ではないような作品は、最後まで描いてあげたいなと思いますよね。
売るかどうかは別として、絵は描けるのでネームとかも描いてみたりはするんですよ。でも実際、そんなに面白くはならない。なので、それはそれで描かないほうが良いのかもなとも思いますよね。
さらに言うと、庵野監督が『シン・仮面ライダー』とか『シン・ウルトラマン』をやったのを鑑賞させてもらって、昔から追いかけていた気持ちが何か昇華されたようなところもあります。不思議なものですよね。「あ、もう追いかけなくてもいいや」と思ったというか。これが良いことなのか悪いことなのかはわかりませんけど。
だから『ヴァンパイドル滾』が超大ヒットしたらオタクなんて辞めて、これまで集めたサブカル的資料本も全部捨てて、違うステージの漫画家になろうと思っていたんです。でも出来なかった(笑)。
フィラデルフィアに行ったらロッキー階段(※3)を登ってましたからね(笑)。
※3:ロッキー階段
映画『ロッキー』に登場するフィラデルフィア美術館の正面玄関前にある階段。名シーンの聖地ということもあり、連日ファンが集まる人気観光スポットとなっている。島本先生も訪れて撮影まで行った。
ボストンに海外留学していた息子の卒業式に親として参加するため行ったついでにフィラデルフィアでロッキーのロケ地巡りをしてきました。
— 漫画家島本和彦 (@simakazu) May 21, 2026
卒業式を迎えようとする息子にカメラを持たせて全力で撮影してもらいました(笑)。 pic.twitter.com/CpG1Ohs3z2
島本:あれは嬉しかった……!
やっぱり昔の作品をやるのは楽しいですよ。以前、宝塚市立手塚治虫記念館で「島本和彦 炎の原画展 ver.2 ~ふたりの手塚編~」という展示会をやらせていただいたときに、『ブラックジャック』のワンシーンを色紙に描いたんです。
第3話「ミユキとベン」というエピソードのワンシーンで、不良のベンを描いたんですが、実際の手塚先生が描いたベンはこういう口をしていなくて。自分なりにカッコよく描いてみたんです。
それで後日、『ブラックジャック』の展示会を見に東京に行ったんです。そこで展示されていた原画を見てみたら、口に紙が貼られて修正されていたんです。なんと、その修正される前の口の形が私が描いた口とそっくりで……! これはびっくりしましたよ。「俺が描いたのは正しかったんだ!」と思いましたから。そんなところまで見ているやつなんて他にいないですよね(笑)。
昔の漫画を描き直したりするのは、そういう発見があるので楽しいですよね。
──そういうエピソードがあるならなおさら読みたくなりますね……!
島本:いや! 私は漫画の花畑を踏み潰すような漫画を目指していますから(笑)。『ヴァンパイドル滾』を1年間頑張った分、これからの1年はぞんざいに漫画を描いてやりますよ。
ぞんさいに描くというのは、短時間で雑に描けばぞんざいになるんだけど、そうじゃなくて。「ぞんざいな気持ちを叩きつける感じ」ですよね。
『逆境ナイン』などは、当時忙しかったこともあって、50ページを3日で描いていたりしたんです。普通だったらスポーツものの50ページを3日で描けるわけないんです。ひどい環境で描いていたんですけど、それでも「魂は叩きつけないといけない!」と思っていて。絵は丁寧に描かないんだけど、魂は叩きつけるスタイルが変に上手くいったんです。
だからそれみたいに『アオイホノオ』は、きらびやかな装飾を全て取っ払った自分を「見てみやがれ!」って思いながら描いています。「心の奥底にあるものを見せてやるぜ!」という感じかな。
どこまで行けるかわからないですけど、装飾のない素っ裸を見てください!
──来年で連載20周年ですが素っ裸で!
島本:そうです! それは別にしても『アオイホノオ』が続いているのは、実際にあったことをモデルに描いているから続いているのはあるかもしれませんね。
『アオイホノオ』は、もちろん丁寧に描いているんですけど、他の先生のことを変に敬ったりせずに正直に描いているんです。カッコつけたことをネームに描いたらいけないな、といつも思うんです。
どこまで続けられるかはわからないんですけど、私の素っ裸を楽しみにしてもらえればと(笑)。
──(笑)。最後に読者に伝えたいことなどありましたらぜひ!
島本:普通の書店に行くと『ヴァンパイドル滾』を見つけるのに苦労しますが、アニメイトならすぐに見つけられるのでとてもいい本屋さんだと思いますよ!
一同:(笑)。
島本:この記事を読んでくださっているみなさんは島本和彦の味方だと思いますので、ぜひ味方のアニメイトで漫画をたくさん買ってください。
みんな、アニメ店長が待っているぜ!
[取材・文/石橋悠]
商品情報
コミックス『ヴァンパイドル滾』5巻

△『ヴァンパイドル滾』5巻書影
発売日:2026年8月18日
定価:594円(税込)
作者:島本和彦
コミックス『アオイホノオ』33巻

△『アオイホノオ』33巻書影
発売日:2026年8月10日
定価:792円(税込)
作者:島本和彦
雑誌『ゲッサン』9月号
発売日:2026年8月12日
定価:790円(税込)
仮面ライダーBlack × 仮面ライダーZO

△『仮面ライダーBlack × 仮面ライダーZO』書影
発売日:2026年8月20日
定価:2,200円(税込)
※書影イラストは変更になる可能性がございます。
フェア情報
少年サンデーコミックス「ヴァンパイドル滾」完結&ゲッサンSSCS「アオイホノオ 33」発売記念フェア
開催期間:2026年8月10日~9月13日
開催場所:全国アニメイト・アニメイト通販
開催内容:期間中、対象商品をご購入1冊ごとに、特典を1枚プレゼントいたします。
特典内容:ブロマイド(全4種)
対象商品:『ヴァンパイドル滾』1~5巻、『アオイホノオ』33巻、『ゲッサン』9月号
※特典の絵柄はお選びいただけません。
『ヴァンパイドル滾』とは
『炎の転校生』、『逆境ナイン』、『燃えよペン』、『アニメ店長』などでお馴染みの熱血漫画家・島本和彦先生が、クラシカルな吸血鬼を現代的に再解釈した最新作!
ライブ中にヴァンパイアになってしまったアイドルグループ「バンフレイム」のメンバー・血潮滾(ちしお タギル)を主人公に、予測不能な物語を描き出す注目作です。
『アオイホノオ』とは
島本和彦先生の自伝的作品。
熱血新人漫画家・焔燃(ホノオ モユル)の七転八倒しながらも漫画にかける青春を描いており、第18回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞、第60回「小学館漫画賞」一般向け部門を受賞したほか、ドラマ化も果たした大人気作です。
関連リンク
少年サンデーコミックス「ヴァンパイドル滾」完結&ゲッサンSSCS「アオイホノオ 33」発売記念フェア
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