
5年間の歩みを糧に、理想の自分を追いかけて――声優アーティスト・岡咲美保さんが語る、節目を飾る3rdミニアルバム『MY ÉTOILE』への想い
「この幅広さで自分らしさを保てる」声優アーティスト・岡咲美保が見つけた強み
──ミニアルバムの他の収録曲についてもお聞かせください。1曲目「らぱっぱ☆PARTNER!」は、岡咲さんが主人公のリムル役で出演している『転生したらスライムだった件』のコミック版とのコラボソング。
岡咲:『転スラ』とは2023年に完全新作アニメとして出された『転生したらスライムだった件 コリウスの夢』のエンディング主題歌「ココロトラベル」をアーティストとして担当させていただいたご縁もあり、今回はまた違った角度でご一緒できることになりました。
楽曲自体も自然と体が弾む曲調ですし、『転スラ』の視聴者さんはお子さんやご家族も多いので、そういう子たちにも刺さってくれたら嬉しいです。
──しかも作詞はTRUE名義で『転スラ』シリーズの主題歌などを歌唱している唐沢美帆さん。楽曲のどんな部分に『転スラ』感を感じますか?
岡咲:「ストレスフリー」なところですね。『転スラ』って物語として大変なこともいっぱい起きるんですけど、リムルがすごく強いし平和主義で仲間も信頼できるから「絶対大丈夫」と安心して観られる楽しさがあって。それがこの曲にも表れていると思います。いろいろあるけど“あーたのしーや! なんかたのしーや!”と、明日も楽観的に歩いていける。その感じがすごく合っていると思います。
──歌詞に“めあたらしいーな!でもわたしらしーな!”というフレーズもありますが、岡咲さん自身と重なる「私らしい」部分はありますか?
岡咲:ありますね。私、悩んでいてもすぐ忘れちゃうんです(笑)。覚えているつもりなんですけど、よくよく考えると結構忘れていて、人に指摘されて気づく、みたいな。自分でも「あ、都合がいい脳みそをしているな」って思うことがよくあるんです。そういう漠然としたポジティブさ、根拠はないけれど自信があって行動できる邁進力みたいなところは、私らしくてこの曲と合うなーと思っています。
──歌唱するときは、どのようなイメージで歌われましたか? リムルのキャラソンではないとはいえ、リムルっぽさも意識されたのでしょうか。
岡咲:リムルの声を出すというよりは、リムルの温度感を意識しました。毎朝起きた時にこの曲を聴いてくれる曲になってくれたらいいなと思ったので、キャッチーかつ表情豊かに、かわいく歌うことを心がけました。「レッツゴー!」という掛け声もたくさん入っているので、ライブでもみんなと一緒に楽しくなればいいなと思っています。
──この曲は絶対にライブで盛り上がりますよね。
岡咲:以前、「きゅんきゅるかわいい」をライブで歌った時に、みんなに“かわいい”と言わせる箇所があまりにも多いので、自分がどこを歌っているかわからなくなったことがあって。今回も「レッツゴー!」をファンのみんなに言ってもらった結果、自分が混乱してしまってどこにも行けなくなるんじゃないかとちょっと怖いです(笑)。もし、わからなくなったら「レッツゴー!」って言い続けて乗り切ろうと思います!
──俊龍さんが詞曲を提供した2曲目「イイ!!」も、とんでもないテンションの曲ですね。
岡咲:これこそすごい曲ですね(笑)。俊龍さんといえばカッコいいアーティスティックなアニソンや王道アイドルソングの印象があったので、最初にイントロを聴いた時は「俊龍さん、今回は爽やかでかわいらしい曲を書いてくれたんだな」と思ったんです。そうしたらいきなり確変が起きて“Five Star!!”“君達は星五つです!”って始まったので、びっくりしちゃって(笑)。やっぱり俊龍さんはエンターテイナーなんだなと思って、自分が今後歌う曲なのに笑いながら聴いていました。
──岡咲さんがこういう楽曲をリクエストしたわけではなく?
岡咲:俊龍さんとご一緒するのは2回目なのですが、前回の「月の季節」をファンのみんなが喜んでくれたので、プロデューサーさんがまた俊龍さんにしか書けない曲をお願いしたいということで、今回はアイドルさんの曲をイメージしてオーダーしてくれたみたいで。そのプロデューサーさんは俊龍さんと以前から面識があって、私はお二人を信頼しているので、基本はお任せして、できあがった音源を聴いたうえで私のアイデンティティみたいな部分を照らし合わせていければ、と思っていたんです。そうしたらこの曲が上がってきたので、私は「よし、歌おう」っていう(笑)。
──なるほど(笑)。この曲にもご自身のアイデンティティを感じますか?
岡咲:ライブでこういう曲を120%で歌って、ファンも飛び跳ねて楽しんでいる現場は、同世代の声優アーティストさんだと意外と少ない気がするんですよ。なので、今の声優アーティストさんで歌うのなら割と私なのかな、という自認はあります(笑)。俊龍さんは私のライブを何度か観に来てくださっていて、現地でファンのみんなの熱いコールを聞いて、「これならいける」と信頼してこの曲を書いてくださったんだと思うので、歌えないわけはないなと。
──俊龍さんはいろんなタイプの楽曲を書きますけど、その中でもかなりぶっ飛んだ内容ですよね。いわゆる「トンチキソング」のような突き抜けた面白さがあって。
岡咲:私も突き抜けた面白さのある曲は好きでよく聴いていて。一見そう見えても、実はよく聴くと深さがあったりするじゃないですか。例えば畑亜貴さんの歌詞もそうだと思うんですけど、単語や音の印象が強くて刺さってくるけど、そこにしかない栄養がある、みたいな。私の曲だと「アンビリバボーアンセム」もお祭りソングでしたけど、さらにそれを超える意味のわからない楽しさのある曲が生まれてすごく嬉しいです。
──2番の歌詞の“諭吉もおつー! 栄一ハロー!”という突然のお札ネタも意味がわからなくて最高です(笑)。
岡咲:私もお財布を整理しているときに久しぶりにひとつ前のお札をみつけて「あ」って思いました(笑)。この曲は元気を出したいときに再生してほしいですね。聴き終わった後、ちょっと心が楽になった気がするので。5周年なので、“星5つ=Five Star!!”ということだと思うので、大事に歌いたいと思います。
──続いて「ふしぎなあの子」はボカロPの一二三さんによる提供曲。「ワラウカドニハ!」に続いて2度目になりますね。
岡咲:はい。「ワラウカドニハ!」は春の門出を祝う曲で、ライブで盛り上がる曲になっているので、ぜひまたご一緒できればと思い書いていただきました。一二三さんといえば和テイストの楽曲が得意な印象があるので、今回は和テイストのバラードに挑戦してみたいとお願いして。歌詞は昔話やおとぎ話を語るような浮世離れしたもので、私の楽曲では初めて「僕・私」という視点ではなく「語り部形式」で歌っているので、朗読しているような感覚で面白かったです。
──まさに絵本のような、情景が浮かんでくる世界観ですよね
岡咲:画力(えぢから)がすごいですよね。私、時代を超えるような物語が好きなんです。鳥居をくぐったら平安時代に行っていた、みたいな神隠し系のロマン。この「ふしぎなあの子」も、神社で出会った“あの子”は実は竜で、何万年も生きていて、ふとしたきっかけで自分と繋がりが生まれる。夢かと思ったけれどちゃんと物が残っている……というファンタジーな世界観が、私的にすごくロマンを感じました。
──岡咲さんの歌も神秘的な雰囲気で素敵です。
岡咲:ありがとうございます! 私も神秘的な歌というのは意識しました。声優だからか、チューニングによっては声がメカっぽくなったり幼くなりすぎたりするので、自分の中のどのトーンで行くか、どのファルセットを使うか、心地よい音を探りながらレコーディングに臨みました。寝る前に、その世界を空想しながら眠ってもらえるような「安眠ソング」としても楽しんでもらえるといいなと思います。
──ライブでどう表現されるかも気になります。
岡咲:今までのバラードとはまた違ったテイストなので、スモークを焚いて幻想的にしたり……竜に乗って登場したり(笑)。それが実現できるかはともかく、歌の力でみんなの想像力を掻き立てられたらいいなと思います。
──そして爽快かつ疾走感のあるナンバー「ペリスコープ」。作編曲はElements Gardenの笠井雄太さんですが、Elements Gardenとご一緒するのも初めてですよね?
岡咲:初めてです! 学生時代からアニメやゲームの曲でずっと聴いてきた憧れの方々です。エレガさんといえばストリングスのカッコいいイメージがありましたが、今回はBPMは速めで心地良く、戦うというよりは動きのある、5周年を「駆けている」イメージの曲にしたいとお願いしました。
歌詞は真崎エリカさんに書いていただいたのですが、「ペリスコープ」ということで潜水艦の展望鏡をモチーフにした、今までの私の曲にはない新鮮なテーマの曲になりました。サビの“この呼吸ひとつが続いてる 広大で笑顔がある明日へ”というフレーズをはじめ、絶対的なポジティブ人間ではないけれど、不安定な部分を持ちながらも「やるぞ!」と期待を持って毎日を生きている心情が描かれていて。この歌詞の精神は「フローリア」にも通じる部分があると思います。
──潜水艦になぞらえて「自分自身の内面から浮上していく」というテーマ性も感じられました。
岡咲:確かにそうかもしれません。私は「余白」を大事にしていて。成功の理由を理論立てるより、漠然と夢を描きながら頑張っているくらいの余白でありたいんですよね。そういう私の資質みたいなものを、真崎さんが感じ取ってくれたのかもしれません。水面下という言葉も自分の内側に例えやすいですし。あと、私には「カレイドスコープ」という自分で作詞した曲もあるので、自分の中で「スコープ曲」が増えたのも嬉しいです。「スコープ」って覗くものなので、「自己を振り返る」という意味でも歌詞のテーマにしやすいのかなと思って。ホロスコープとか、歌詞にできそうなスコープがまだ意外とあるので、今後増えていくかもしれないです(笑)。
──ちなみに、気分が沈んだ時にそこから「浮上」するためにすることはありますか?
岡咲:片付けです! 本来は苦手なんですけど、掃除をした後は「いい時間を過ごしたな」と思えるし、リフレッシュになります。「部屋を綺麗にできた」という成果が物理的に目に見えるのも嬉しいですし。今までは友達とお出かけしたり、プラスのものを積み重ねて元気を出すタイプでしたけど、最近は原点を綺麗にする掃除の大切さを感じています。
──5周年に合わせて多彩な新曲5曲が揃いましたね。完成した今、どんな作品になった手応えがありますか?
岡咲:作るまでは毎回「どんな私になっちゃうんだろう?」「アーティスト性が変わっちゃうかも」と思うくらいなのですが、集まってきた曲を聴くと結局「私だな」って思うんですよね。スタッフさんからも「美保ちゃん、こういうの好きだよね」と言われるし、ファンの方からも「またこういうのやって、味しめてるでしょ」と思われるはず(笑)。5周年ということで新しい挑戦もしていますが、作家さんも私のことを知って書いてくださったし、何より歌うのが私自身なので、すごく私らしいアルバムになりました。この幅広さで自分らしさを保てるのは、役によって自分を飛び越えられる声優アーティストならではの強みかなと思います。
──そして9月13日には5周年記念ライブ「5th ANNIVERSARY LIVE フローリア」がLINE CUBE SHIBUYAで開催されます。1日2公演になります。
岡咲:それぞれ「僕の鼓動」と「約束の音」という別のサブタイトルをつけました。昼夜で別のストーリーを感じてもらいたいなと。初めての周年ライブという大きな節目なので、これまでの歩みとこれからも続いていく未来を約束できるような公演にしたいですし、みんなに「今までありがとう、これからもよろしくね」を伝えるのと同時に、自分自身にも同じことを言ってあげたいですね。
セットリストも、バンドさんが悲鳴を上げるギリギリまで昼夜の曲を変えて準備しています。みんな昼夜両方来てくれる方が多いので、絶対に内容が違うほうが楽しいじゃないですか。私もそのほうが楽しいですし(笑)。皆さんと一緒にいい日にできたらいいなと思っています!
[文・北野創]
楽曲情報
【発売日】2026年9月2日
【価格】
初回限定盤(アニメイト限定セット):10,599円(税込)
初回限定盤:9,499円(税込)
通常盤:2,999円(税込)
【収録内容】
≪CD≫※共通
1.らぱっぱ☆PARTNER!
作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:本多友紀
2.イイ!!
作詞・作曲:俊龍 編曲:よる。
3.ふしぎなあの子
作詞・作曲・編曲:一二三
4.ペリスコープ
作詞:真崎エリカ 作曲・編曲:笠井雄太(Elements Garden)
5.フローリア
作詞:岡咲美保 作曲・編曲:神前 暁(MONACA)
≪Blu-ray≫※初回限定盤
「フローリア」 Music Video
MAKING
「Miho Okasaki 1st LIVE TOUR 2026 ~ハッピーラッキージェット!!~supported by animelo」東京公演ライブ本編映像
「Miho Okasaki 1st LIVE TOUR 2026 ~ハッピーラッキージェット!!~supported by animelo」MAKING




























