
「私は『あとはよろしくお願いします』という気持ちで、清々しくこの作品から卒業したいと思います」──劇場アニメ『最終楽章 響け!ユーフォニアム』後編 黒沢ともよさん・安済知佳さん・戸松遥さんインタビュー
2015年4月に放送スタートしたアニメ『響け!ユーフォニアム』が、ついにフィナーレ! 2026年4月24日に公開された前編に続き、シリーズ完結作となる『最終楽章 響け!ユーフォニアム』後編が、9月11日(金)に全国200館以上の映画館で公開される。
2024年に放送されたTVシリーズの最終作『響け!ユーフォニアム3』のクライマックスとなる終盤のエピソードをブラッシュアップし、描かれなかった演奏シーンなどの新作シーンも追加。第1期、第2期の劇場版と同じく、全編、再アフレコも実施されている。
アニメイトタイムズでは『最終楽章 響け!ユーフォニアム』後編でも特に注目が集まる黄前久美子役・黒沢ともよさん、高坂麗奈役・安済知佳さん、黒江真由役・戸松遥さんに大きなネタバレを避けながら、お話を伺った。
自分の20代をこの作品に捧げられたのは、とても幸せなこと
──いよいよシリーズ完結作『最終楽章 響け!ユーフォニアム』後編の公開日が近付いてきました。今の心境を教えてください。
黄前久美子役・黒沢ともよさん(以下、黒沢):私はアフレコの時から、これで最後だという実感が強くありました。前編で久美子が事あるごとに「これで最後なんだ」というシーンがありますが、あの久美子とまったく同じ感じで。スタジオのトイレで手を洗いながら「これで最後なんだ」と思ったり、椅子に座りながら「これで最後なんだ」と思ったり。アフレコの2日間で、何回思ったか数え切れないぐらい、「これで最後なんだ」って思いながらアフレコしました(笑)。
今はすごく清々しい気持ちというか。自分の20代を丸々、この作品に捧げられたのは、とても幸せなことだと思いながら終わることができたので、(ファンの)皆さんに先んじて幸せな気持ちです。気持ちはすでに成仏していて、仏のような顔でみんなを見ています(笑)。
高坂麗奈役・安済知佳さん(以下、安済):私は逆に実感がなくて。収録が終わって周りの方に「『最終楽章』もクランクアップだね。お疲れさま」とか言われていても「本当に最後なのかな?」って思っていました。それは、「きっと、次があるはず!」と期待しているという意味ではなくて、あまりにもいつも通りで「本当なのかな」って。きっと、上映を観た時に本当に最後だと実感して「最後なんだから、もっと噛み締めておけば良かった」って後悔する自分の未来が予想できています(笑)。
何よりも1年生から始まって、3年生の最後の曲までやらせてもらうことができたことが本当に幸せだなって。こんなにも長い時間、一つの作品と歩ませてもらえることは、なかなかないことだと思います。そのことに感謝しながら、これからも頑張ろうという気持ちになっています。
黒江真由役・戸松遥さん(以下、戸松):私は最後のシーズン、久美子たちも3年生になったところで転校生として登場した立場なので、(北宇治)カルテット(黒沢さん、安済さん、加藤葉月役・朝井彩加さん、川島緑輝役・豊田萌絵さんのユニット)の皆さんとは、ポジションも心境も違ったりするんです。でも、いろいろな稼働も増えてカルテットの4人と一緒にイベントに出させてもらったりとかしていく中で……。
黒沢:いつもうるさくて、本当にすみません(笑)。
戸松:いつも楽しませてもらってるよ(笑)。先日、イベント(「『響け!ユーフォニアム』9回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル」)で後編の新情報を発表した時も、4人の楽しい様子を(笑顔で)「うんうん」って見ていました。……何のポジションなのか分からないけど(笑)。
黒沢:ママちゃんだ。
安済:ママちゃん先輩だ。
戸松:たしかに、リアルにママちゃん先輩かもしれない(笑)。
──後輩から「ママちゃん先輩」と呼ばれている真由と同じ心境になっているのですね。
戸松:私もそんな4人の様子を見せてもらえていることが嬉しくもあり、少し羨ましくもあり。本当に青春だったんだなって。およそ12年近くの歴史がある作品なので、そういう気持ちになるんだろうなって思いながら、本当に真由のような気持ちで見守っている感じです。
──テレビシリーズの放送終了後には再編集した劇場版が作成され、新規アフレコが実施されることは本シリーズの恒例になっています。まず、黒沢さんと安済さんに改めてお伺いしたいのですが、一度、演じて放送もされた作品を再度アフレコするというのは、どのような感覚なのでしょうか?
黒沢:最初の頃は18、19歳だったから、テレビシリーズのアフレコと劇場版のアフレコの間にあった半年という時間の重みがすごくて。出演させていただく作品の数も経験も一気に増えていて、半年で自分の芝居がとても変わっているような感覚があったんです。だから、新しく手に入れた武器を使って、もう一回アフレコをやったら、(テレビシリーズの時より)もっと上達していて、もっと良いものを見せられるんじゃないかみたいな気持ちで取り組んでいました。
でも最後になる今回の劇場版は「自分がどう表現するか」よりも、より深みに入って「作品がどう表現されるか」を楽しむことができました。私も、ちょっと大人になったな~って思いながら演じられて(笑)。そうして演じてみると、もっと深いところでの久美子の心情のようなものについて、自分なりの解釈がひっかかることなくできるようになっていたりもしました。……テレビシリーズからは、2年くらい空いているんでしたっけ?
──『響け!ユーフォニアム3』が放送されたのは2024年4月~6月なので、約2年ですね。
黒沢:それくらい間があったからこそのやりやすさもあって。再アフレコをしてから振り返ると、2年で自分も前に進めていたんだろうなというか、進めたような気持ちにもなれました(笑)。
今回の劇場版2本に関しては、より「楽しめた」という感覚が強くて、それも成長だったのかなという感覚もあります。(安済さんを見て)どうでしたか?
安済:私も最初の(劇場版の)頃は、培ってきたものを全部出して、テレビシリーズの時よりもっといいお芝居ができたら、と再収録していました。でも『最終楽章』に関しては、テレビシリーズで、もう『響け!ユーフォニアム』の高坂麗奈として「やることは全部やったぞ!」と思えていたんです。だから「同じものを出せるかな? 同じ熱量でいけるかな?」って、ちょっと不安だったんですよ。テレビシリーズの終わりが綺麗だったし、あの1年は麗奈としては一番苦しい1年だったから、燃え尽きたじゃないけれど……。
黒沢:じゃあ『最終楽章』は、再現芸術として取り組んだ感じだったの?
安済:最初はどうしようって思ってたけど、(『最終楽章』の)台本を読んだら別物で。新規カットも増えていて「じゃあ、解釈変わってくるな」と。心の燃え方が違うというか、違う方法でいけそうだし、演じたいという意欲が湧いて。「ここはどうしようかな?」と、少しワクワクしながら臨めた気がします。
──新しく取り組める気持ちになったのですね。
安済:そうですね。印象に残っているのが麗奈がスピーチをするシーンのこと。(公式吹奏楽コンサートの)『定期演奏会』でも同じ台詞をよく言っていて、すごく口に馴染んじゃっていたから、リハV(アフレコの練習用映像)に組み込まれていたテレビの時の台詞を久しぶりに聴いた時「え、ちょっと拙くない?」「こんな感じだったの? 恥ずかしい」と思ってしまって。
収録の時、気合いを入れてやったら(音響監督の)鶴岡(陽太)さんに「上手すぎだろ」って言われて(笑)。「高校生が『急に話して』って言われて、その時の気持ちをぶつけて話すのにそんなに上手いわけないだろ」って。
黒沢:「起承転結がしっかりしすぎ」みたいなことも言われていたよね。
安済:麗奈はその時に浮かんだ言葉を言っているのに「こう言おう」と決めていた感じになっていたんです。それで「そっか、あの拙さは合っていたんだ」「麗奈は高校生なんだ」って思い出したりもした収録でした。
──戸松さんは、例えば他の作品で、全編再アフレコのご経験はありますか?
戸松:ありませんでした。劇場版などで追加シーンの収録をすることはありますが、元々あったシーンをもう1回収録するのは初めてのことで。
でも『ユーフォ』に関しては、後編になってますます思ったのですが、たぶんもう一度録らないと繋がらないなって(笑)。そのくらい別物になっていたので。
安済:すごく変わりましたよね。
黒沢:うんうん。
戸松:テレビシリーズの時は、演出として真由の異物感を際立たせるためにも少し不穏な見せ方になりがちで、ホラーチックな部分もあったんです。でも劇場版はもう少し第三者目線というか、客観的に観られる作品になっている気がします。
──どのようなところにそれを感じましたか?
戸松:テレビシリーズでは、久美子目線で観ていた人たちも、最終話まで見て結末がある程度は分かっています。真由の新規カットがたくさん増えていることもあって、もう少し客観的にフラットな目線で観られるんじゃないかなって。
ただ、私自身のお芝居や真由に対する向き合い方は、正直変わっていません。元々テレビシリーズの時に(キャストの中で)私だけは、最初に最終話までのシナリオをもらっていて。「最後までのお話を知った上で演じてください」と言われていたので、毎週「どういう展開?」みたいになることはなかったんです。
──テレビシリーズ放送時のインタビューでも、終盤で明かされる真由の言動の真意を、シナリオを読んでいる戸松さんだけは知っていたとお話しされていました。では、物語がほぼ分かっている状態で収録に臨むということに関しては、テレビシリーズも劇場版も変わらなかったわけですね。
戸松:追加シーンによって真由の人物像やバックボーンが増えることで、皆さんに知ってもらえる一面がより増えるんだ、という嬉しい感覚で収録に臨めました。それに、もしテレビシリーズのお芝居を転用していたら繋がらなかったと思うところも多かったので、新たに録らせていただけて、すごくありがたかったです。
──完成状態になった作品の芝居を、もう一度録り直すことの難しさを感じることも?
戸松:「同じものをもう一度録る」みたいな感覚ではなくて。鶴岡さんも「同じ芝居が欲しければ、転用すれば良いだけだから」と仰っていました。別物でいい。劇場は劇場として、新しいカットやシナリオが増えた上で感じたものをやればいい……良い意味で自由に変わっていいというか、むしろ変わった方がいいんだろうと思っていました。TVアニメでどう演じていたかはあまり考えず、新鮮な気持ちでもう一回やろうという感覚でした。
















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