
祝! サクラ大戦 発売30周年記念インタビュー「帝都の昼と千億の夜」第4回/高乃麗さん(マリア・タチバナ役)
2026年9月27日に発売30周年を迎えた『サクラ大戦』シリーズ。
「サクラ大戦30周年記念展 ~夢はよみがえる~」の開催や、舞台「新サクラ大戦 the Stage ~誠伝 TSURUGI~」の上演、キャラクターボイスの新規録音もあるゲームコラボ他、様々な企画が30周年を盛り上げています。
今回は花組男役トップスタアとして絶大な人気を誇るマリア・タチバナ役、高乃麗さんの登場です。
2026年7月19日には『サクラ大戦 全曲ライブの半曲ライブ=105曲ライブ』にも出演され、定番曲から初披露曲までを圧倒的なパフォーマンスで魅せました。その感想や、X(旧ツイッター)で話題になったサクラ女子会についても伺っています。
高乃 麗(たかの うらら)
1961年8月16日生まれ。千葉県出身。リマックス所属。
吹替えや舞台で精力的に活動中。アニメでは『熱血最強ゴウザウラー』峯崎拳一役、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』鷹羽リョウ役などの熱い少年役を数多く演じるほか、『プリパラ』大神田グロリア役のようなエキセントリックな老女役でも強烈な印象を残す。2026年5月の舞台「はがきの王様」で共演した松岡昌宏さんからも「おっかあ」と呼ばれ慕われている。英語が堪能で、『サクラ大戦』OVAシリーズでは英語セリフの指導も担当する。
祝! サクラ大戦 発売30周年記念インタビュー「帝都の昼と千億の夜」第1回/陶山章央さん(大神一郎役)
祝! サクラ大戦 発売30周年記念インタビュー「帝都の昼と千億の夜」第2回/折笠愛さん(藤枝あやめ・藤枝かえで役)
祝! サクラ大戦 発売30周年記念インタビュー「帝都の昼と千億の夜」第3回/田中真弓さん(桐島カンナ役)
『サクラ大戦』を通じて、本当にいい仲間ができた感じです
――「サクラ大戦 真夏のフェス『全曲ライブの半曲ライブ=105曲ライブ』」への出演、お疲れ様でした。今回のステージはいかがでしたか?
高乃麗さん(以下、高乃):「真夏のフェス」に参加させていただくのが久しぶりだったんですね。「真夏のフェス」はいつも(マリアの)コスチュームを着て出演する形だったんですけど、今回はコスチュームは無しで、全曲ライブならぬ半曲ライブをやるというので、ぜひ参加させてくださいとやらせていただきました。
また自分の歌ではない曲も歌ったり、3人のコーラス曲があったりとか、伊倉さん(レニ・ミルヒシュトラーセ役/伊倉一恵さん)とのデュエット曲とか、懐かしいナンバーから初めて歌う曲まで歌わせていただいて、久しぶりに「そうそう、『真夏のフェス』ってこういう感じだったな」と思い出しましたね。
――中でも「センタースポット」を歌われたのは驚きました。マリアがすみれの歌を歌うというのは、コスチュームを着ているキャラクター状態だと難しいと思うので、今回のようなキャラ衣装ではない時ならではの選曲だと思います。しかも「センタースポット」は神崎すみれ引退記念公演のラストソングですし。
高乃:(選曲を)間違えました(笑)。智佐ちゃん(真宮寺さくら役/横山智佐さん)に何曲か候補を出していただいたんですが、「センタースポット」は他の方もあまり歌っていらっしゃらないしと思って、すごく気軽に決めたんです。
そうしたら本番に美智恵ちゃん(神崎すみれ役/富沢美智恵さん)が観に来ていて、楽屋に寄って「ねぇ、すみれの歌は歌うの?」ってみんなに聞いて回っていて。みんなも「わからない」「知りません」って誤魔化してくれたんですけど、私もドキドキしていたんですよ(笑)。
みっちゃんにとっても、すみれさんにとっても特別な曲だったので、畏れ多いというか、なかなか手がつけられない。それこそ30年も経たなければ歌えないような曲ではあったのかなと思いますね。
――ここ数年で、新しくサクラのファンになったという若い客層が増えているんですね。みんな映像で歌謡ショウを観てハマり、当時の盛り上がりを羨ましく感じながら見ていたそうなのですが、「真夏のフェス」は往年の歌謡ショウの熱気を味わえます。
特に今回はレニが「サクラ大戦 紐育星組ショウ2014 ~お楽しみはこれからだ~」以来12年ぶりにキャラ衣装で登場したことで、古いファンにとっても嬉しいステージになりました。
高乃:私たちもやっていてすごく楽しかったですね。稽古中も楽しかったですし、打ち合わせ中も楽しかったんですよ。智佐ちゃんは 2days でまったく違うことをやったわけですから、すごく大変だったと思うんですけど。
伊倉さんも 2days で同じ曲を歌うんですが(「希望の星よ」)、違うパートを歌わなきゃいけないから「ちょっと混乱する」と仰っていて。それでも私にとってはとても楽しい想い出になりました。
――その打ち上げ的な感じでサクラ女子会をされたというのがSNSで話題になって、X(旧ツイッター)のトレンドにまで上がっていました。
高乃:えっ、本当ですか!?(笑)
――数日トレンドに残るくらい話題になっていたんですけど、どんな感じだったんですか?
高乃:打ち合わせを兼ねた打ち上げというか。智佐ちゃんが外に出すためのものではない映像を持っていらしたので、それを観たり「この後どうなるんだろうね」みたいな話を飲んだり食べたりしながら盛り上がりました。
ただその日は私も本当に不運で、電車が止まってしまって、折笠さん(藤枝あやめ・藤枝かえで役/折笠愛さん)とかもギリギリまで待っていてくださったんですけど、みなさんが帰った15分か20分後に着いたんですよ。
そうしたら、みっちゃんと伊倉さんとふっちゃん(李紅蘭役/渕崎ゆり子さん)の3人が待っていてくださって、4人で改めてお茶飲んだり。そのうちにふっちゃんがビール買ってきてくれて、楽しく盛り上がったいい会でした。
こんなふうにまたみんなで集まってワイワイできるのがいいなって思いましたね。あの頃はいろんな気持ちがあっただろうけれど、今となってはいい想い出になったなっていうことしかないですね。サクラ大戦を通じて、本当にいい仲間ができた感じです。
帝都花組が集められたのと同じように、私たちにも集められたエピソードがあるんです
――マリア・タチバナは帝国歌劇団・花組の男役トップスタアという設定ですが、現実でも大人気キャラクターとなりました。女性ファンも大変多く、イラストやコスプレなどのファン活動でも一大ジャンルとなっていました。最初にゲームの出演依頼が来て、マリアを見た時の印象を教えてください。
高乃:「ロシア人とのハーフなんだ」「ちょっと暗い過去を持っているんだ」みたいな感じでした。舞台というような話もしていましたけれど、「本当にやるの? 大変だよ?」なんていう感じで最初は半信半疑だったんです。
ただ、歌がいきなり凄い曲ばかりで、広井さんの本気度も会うたびに増していって、グイグイ引っ張っていかれるような感じでしたね。特にマリアは広井さんが「マリアはこうなんだよ」ってすごく具体的に仰ってくださったんです。
この間ふっちゃんとも話したんですけど。ふっちゃんは『サクラ大戦』は藤島先生(サクラ大戦シリーズ キャラクター原案/藤島康介さん)がご縁でって仰っていて、それぞれみんなエピソードがあるんですよ。帝都花組が集められたのと同じように、私たちにも集められたエピソードがあるんです。
私の場合はライブを広井さんが聴きに立川まで来てくださって。シャンソニエ(シャンソンを聴かせるライブハウス)だったんですけれど、ジャズやポップスも歌ったんです。そこで広井さんが「ぜひやってもらいたい役がある」と仰ってくださって、その時から「やりますよ~」なんて軽口を叩いていたのが、いつの間にか大変な渦中に巻き込まれてしまったという感じでしたね(笑)。
――そのエピソードって、OVA『サクラ大戦 桜華絢爛』であやめさんがマリアを訪ねて行ったのと同じですよね。
高乃:ほんとですよね(笑)。集められっぷりが今思うと、あやめさんが世界中を回ってみんなを集めた時の感じにね。
――すごく似てますよね。そしてゲームが大ヒットしたことにより、ドラマCD、OVAと次々にメディアミックス展開されることになります。その中でマリアは帝都花組内でもかなりエピソードが描かれるメンバーになりました。作品が広がるにつれてどんどん活躍の機会が増えていくのはいかがでしたか?
高乃:エピソードを教えてもらうたびに、マリアという人物が立体的になっていく感じがありましたね。少女の頃はこういう過ごし方をしていたんだとか、こんな人に出会ってこんな恋をしていたんだとか、知らなかった一面を知り、年を経るごとにいろんなことが肉付けされていく感じはありました。
▲トムス・エンタテインメント TMSアニメ公式チャンネルにて『サクラ大戦』OVAシリーズの一挙無料配信中――ロシア時代、アメリカ時代、帝都花組の初代隊長時代、その後の花組隊員時代と、置かれた環境だけ見ても豊富なんですよ。OVA『サクラ大戦 桜華絢爛』の「第三幕 春は弥生の初戦闘」では、マリアが花組の指揮を執った相生橋での初陣で、メンバー間の連携が取れないまま黒之巣会の策略にハマって壊滅寸前まで行ってしまい、新しい隊長が必要という流れになるわけです。
このマリアの失態からゲームの物語につながるので、マリア的には損な役回りにさせられたわけですが、これがOVAで描かれたからこそ、新隊長として大神一郎が来た時にマリアが当初冷たかった理由がよくわかるわけです。とにかくマリアはエピソードの描かれ方が深いんですよ。
高乃:陶山か、っていうのもあったしね(笑)。
――あははっ!(大神一郎役の陶山章央さんは出演当時まだ駆け出しの声優)
高乃:それもちょっと大神さんと共通しているところがあるかもしれませんね。能力的にもマリアよりも大神さんのほうが、まぁ劣っているということはないにしても、霊力は完全にマリアのほうが上だし。それなのになぜ私が隊長をクビになるの?っていう思いはすごくあっただろうし。「なんでお前なの!?」っていうのもあったと思うので。
――実戦経験が全然違うじゃないですか。ロシア時代から戦士だったマリアと、海軍士官学校を出たての少尉、つまり実戦ゼロですよ。
高乃:お気楽にやってきてね(笑)。なんかそういう感じもちょっとスー君と重なるところがあって(笑)。だけど隊長が最初に下した命令が「朝ごはんはみんなで一緒に食べよう」みたいなもので、マリアはハッ!としたと思うんですよね。
そういうところがスー君の居方と重なる部分があって、「あ、そういうことなんだ。チーム戦なんだ。みんなで戦うんだ」っていうことがわかっていく過程だったと思うんですよね。
マリアが隊長だったら、個人戦で敵を殲滅しようと考えて、それぞれの能力を上げることが大事だってなると思うんですけど、そうじゃないよっていう。それぞれが能力を発揮できるようにすることが大事なんだっていうことを大神さんが教えてくれたのかなと思いますね。
――陶山さんの癒し力みたいなものが、そのまま大神からも出てますよ。
高乃:ね! ほんと、そう思う(笑)。大神さんはスー君ですよね。
▲2013年8月4日開催「横山智佐のサクラ大戦 ミニライブ&トークショー」collaboration with TOMOTOON!」よりみんなが元気に集まれたら、それだけで嬉しいなと思います
――そして、サクラといえばやはり思い出深いのは歌謡ショウだと思います。最初の歌謡ショウでは、声優イベントの豪華版のような段取りで準備が進んでいく中、麗さんは「これは舞台だ!」と見抜いて相当焦っていたと伺っています。実際どんな感じだったのでしょうか?
高乃:自分が考えているお芝居とはだいぶ違うんだなと思いました。たとえば富沢さんが稽古の時に、正面を切ってセリフを仰られて、「アンタさぁ、誰に向かって喋ってるの?」みたいな。こっちは小劇場出身だから、セリフは相手に掛けようよっていうのがあったので。
芝居の育ちも違うし、やってきたことも違うから、接点がなかなか見つからなかったというか。「どう立てばいいの?」っていう感じで、最初はカオスでしたね。
――エピソードを伺えば伺うほど、まさに花組ですね。
高乃:ほんとにそうですよね(笑)。
――美智恵さんのそのセリフの言い方って、初期のすみれさんのイメージそのものですよ。
高乃:美智恵さんは大きい劇場でのイベントをやってこられた方なので、脇を向くと声が後ろの席まで届かないから、正面に向かって言ったほうがお客さんに届きやすいということで、それが優しさなんですよ。
でも私たち小劇場出身の俳優は、正面を切って喋るというのはあまりやらないんですよね。まぁリアルなシーンでなければ小劇場でもあるとは思いますけど。
じゃあ演出家さん、どうするの?って思うんだけど、それを面白がって、やりたいようにやってみてっていう感じだったので、どうしたらいいんだろうと思っていましたね。
ところが後から観返すと、それぞれが違う感じなのが逆に面白くて。本当に花組だったなって思いました。
――私はあの時ゲネプロから取材に入っていましたが、幕が開いて大階段に戦闘服の帝都花組が勢揃いしているのを観た時には、そのインパクトにテンションが爆上がりしました。演じる側としては、劇場に行ってみたらあの大階段が作られていて、相当焦ったそうですね。
高乃:いやもう、あの大階段というのが、一段がものすごく高かったんですよ。だから降りる時に本当に気をつけないと危ないレベルで、これは大変なことになったぞと思って。
普通は舞台で階段を使う時には、稽古場に同じ尺の階段を何段か作ってくださったりするんですよ。でもなにしろ時間がなくて、そういうものもなかったですし、もうやるしかないという感じで。しかも階段を降りて、その下に客席があるから、思っているよりももっと高く感じるんですよ。さらに私はハイヒールも履いていたので、降りるのが本当に怖かったですね。
案の定、今(映像で)観ても、階段を降りる時に怖がっている感じがすごくありますね。だからその後は階段の高さを低くしてくださったりとか、私たちも階段を見ずに降りるということを勉強したり改善していったり。特に私は階段を使う芝居や歌が多かったので、ずっと階段には苦しみましたね(笑)。
広井さんも階段のことは工夫してくださって、明かりによっては段差の部分がすごく見づらくなったりするから、照明を仕込んだりとか気を使って色々と作ってくださいましたけど。
だから青山劇場の時は良かったですね。あそこは一瞬で舞台が立体になるじゃないですか。高さも自由自在だったので、あそこはいい劇場だったな、今でも惜しいなと思いますね。でも、約束通り10年続きましたからね。
――それがすごいですよ! 個人的に何回目の歌謡ショウが一番思い出深いのでしょうか?
高乃:どれも思い出深いですけれども、「海神別荘」ですかね。あの時は広井さんの創造力が結集して、泉鏡花という古典の中で歌舞伎のようなリアリティをもって現出させることができたんですね。
(五代目 坂東)玉三郎さんのものを観ても、実際に白い大蛇は出てきたりしないし、さくらさんが海へ誘われていくシーンだったりとか、鮫に襲われるシーンだったりとか、ああいう幻想的なシーンもとても素晴らしかったと思うんですよね。
広井さんは歌舞伎の市川春猿さん、今は河合雪之丞さんになられましたけど、春猿さんからも「歌舞伎ではこうなる」とか色々お聞きになって、妖怪とか物の怪みたいなものを出したかったと思うんですよね。広井さんにとってもすごく創造力が刺激される作品だっただろうと思うし、最後何もなくなるというのもとてもドラマチックだったと思います。
途中で赤鮫くん(演・桐島カンナ役/田中真弓さん)とかも出てきて、それも面白かったし、サクラ流の舞台の到達点に達した作品だったんじゃないかなと思いますね。
▲2015年10月31日開催「横山智佐のサクラ大戦・ハロウィンの新宿にさくら見参」では、「海神別荘」の名シーンを再現する演出も行われた――「海神別荘」のテーマソング「すべては海へ」も素晴らしかったですし、『サクラ大戦』はまさに名曲の宝庫と言えます。マリアもジャズを基調としたソロ曲もさることながら、デュエット曲の「愛ゆえに」「宝島 ~勇気の旗を~」、さらには「悪徳の花びら」のようなロックまで、かなりバラエティに富んでいます。歌の思い出をお願いします。
高乃:歌は本当にたくさんの色々なジャンルの歌を歌わせていただいたなと思いますね。難しい歌もたくさん歌わせていただきましたけれども、いつも楽譜と一緒に仮歌をくださるんですね。歌のおねえさんが私の歌い方に似せた感じで歌ってくださっているんですが、ある時それを公平先生が歌ってくださっているものがあって、それこそ「悪徳の花びら」なんかは公平先生の仮歌なんですよ。
公平先生はもちろん歌い手さんじゃないですから、気持ちが溢れてしまうことがあるんですけれども、わかりやすいんですよ。こういうふうなパッションなんだとか、こう盛り上げて行きたいんだとか、ここはちょっと妖しい感じなんだというのが「なるほど、このニュアンスね!」って直接伝わるんです。
だから私は公平先生の仮歌がけっこう勉強になりましたね。今でも保管してあって、楽譜も1枚も捨てていないんですよ。同じ曲の楽譜がたくさんあるから、そろそろ整理しなきゃなとも思うんですけど。
あと、すごい難しそうと思ったのに、歌ってみるとすんなり行けたのが「夕焼けの向こうに」とか「古いピアノ」。テイク毎にすごく感じが違っていて、「じゃあどれにする?」みたいな選び方をしてくださって。基本的に公平先生の曲はメロディやコード進行が本当に凝っていて、「意地悪なんじゃないの!?」って思うような曲もあるんですよ(笑)。ただ、難しい曲をいただくと、「やるぞ!」っていう闘志が湧いてくるというのもありますね。
――公平先生は、その人の限界よりちょっと上の曲を渡すんですよね。
高乃:そうなんですよ!
――それでレコーディングの時には、120点のテイクが1回録れたらいいというスタンスで、その一滴を追い求めますから。
高乃:でもそれ、舞台では歌えないじゃない!っていう(笑)。
――マリアはカンナと違って絶対に崩せない二枚目キャラとして作られていたから、他のみなさんが遊びを入れてくる中でもマリアだけは崩せないという縛りがあったと思うんです。だからこそ、カンナの妄想の「怪人デベソ」では解き放たれた感じがあったんですけど、新春歌謡ショウのほうはいかがでしたか?
高乃:崩せるといっても、わりと限界がある感じでしたね。真弓さんみたいなネタは絶対にできませんし。大喜利でも、マリアはうまいことを言わなきゃならないみたいな。「よっ、うまいね!」って言われるようなオチを考えないとっていう感じで、いつもネタ帳を持ってやっていました。
――それはそれで大変だったんですね(笑)。
高乃:大変でしたよ(笑)。
――真弓さんは夏に比べたら、新春はお気楽だったと仰られていましたが。
高乃:そうでしょうね。好きなことやってましたもんね(笑)。
「あれ、真弓さん、出じゃないの!?」って言ったら、「ちょっと困らせてやる」とか言って、このタイミングで出なきゃいけないのに陶山くんをわざと袖から見てるとか(笑)。
――歌謡ショウでのガンアクションに慣れるために、お家で台所仕事をする際にも腰にリボルバーを差していたという逸話を当時の公開稽古記者会見で明かされていましたが、アクション、ダンス、太鼓など、身体を動かすことに関する思い出をお願いします。
高乃:いやもう本当にそれはよく智佐ちゃんと話したんですけど。ジャズ、クラシック、タップ、日舞、体操……もう本当に養成所生ですよ。
歌謡ショウも後半になってくると、「次の出し物はそろそろ和モノじゃない? だから和のものを習っておいたほうがいいかもね」「智佐ちゃん、次は何のレッスン?」「次はジャズです。麗さんは明日の朝クラシック来ますか?」みたいな感じで、みんな毎日お稽古ばっかりでしたね。
だからいつもシューズとウェアを持って仕事に行って、終わったらレッスンに行ったりとか。特に私は智佐ちゃんとアクションを習いに行っていました。側転とか側宙とか、まぁマリアはそれほど披露するシーンはなかったですけれども、身体能力としては「(マリアは)できるはず」というのがあったので、それができるかできないかは舞台の上ではわかってしまうと思うんですよ。なので色々とストイックに練習していました。身体がきついことばかりでしたね。
「新宝島」のフック船長の時は、片目に眼帯をして、片腕がフックで、片手側転をしなきゃいけなかったとかもあって、よくやったなと思いますね。勢いがあったんでしょうね。マリアという人物を作るのは、本当に大変なものを背負う感じでしたね。ウィッグを着けた瞬間に覚悟を決める感じだったんです。
だから迷いもありました。私じゃないほうが、よりみなさんが想像するマリアになるんじゃないかという疑問と常に背中合わせでしたし、それを払拭できるような何かを掴み取ろうとして、必死だったんだろうなと思います。
ガンアクションにしても、エンフィールドとして使っていた改造銃がけっこう大き目で、重たいんですよ。そしてこれがタカラヅカの舞台とは違うところで、実際に(空砲を)撃つんですよ。
タカラヅカでは「バン!」というSEを使うので、舞台で撃つことは絶対にないんだそうです。なので火薬が入っている銃を腰に差してアクションをするという点は、ひょっとするとタカラヅカでもやっていない、すごいことをやっているんじゃないかという気はしたし、マリアといえば銃だよなと思っていたので、銃を持つ緊張感をどんな時でも持ち続けるというのはありましたね。
▲こちらが歌謡ショウの稽古用に高乃さんが愛用していたリボルバー「コルト・トルーパーMk.Ⅲ 6インチモデル」――サクラ大戦には「夢のつづき」という大人気の名曲がありますが、あくまでも夢の話として、せっかくの30周年なのだからこんなこともやってみたいという希望はありますか?
高乃:みんなが元気に集まれたら、それだけで嬉しいなと思いますけどね。30周年はすごいなと思う一方で、この30年の間にたくさんの別れもありました。人間なので仕方がないことではあるんですけど、だからこそ、こうしてまた集まれること自体が本当にすごいことなんだと思います。
――改めて『サクラ大戦』マリア・タチバナを演じてきた30年について、想いをお聞かせください。
高乃:あれから30年なんて信じられないですね。まだこうしてみなさんに愛していただけているというのは奇跡のような出来事だし、私ももう30年前と同じようにはできないという想いがありながらも、もう一度やってみたいという気持ちもあるし、この間のステージでも歌いながらそんな想いが過りました。
私は自分の中で、あのコスチュームを着るのはマリアに申し訳ないんじゃないかと思うくらい、衰えを感じているんです。「ちょっと私はもう……」と思ったのが京都の南座(南座新開場記念「OSK SAKURA NIGHT」OSK日本歌劇団×「サクラ大戦」コラボレビュー『夢見ていよう』)だったんですけど。
「こんな立派な舞台に立たせていただいて幸せだったな」「これ以降はマリアを汚しちゃいけない。これより素晴らしいものをお見せできることは自分の中ではないだろうな」と思ったので。私は衰えていくけれども、マリアは永遠なので、遠くから見守っているという感じですね。
――真弓さんが「姥ザクラ大戦」を提唱していますが。
高乃:聞いたー! マリア・タチッパナシとか言って、それはいいの!? 大丈夫なの!?って(笑)。それはそれで楽しそうだけどね(笑)。老後の楽しみで、一緒にゲキテイくらいは踊れるでしょって。ゲキテイはきっと80になっても踊れると思う(笑)。
[取材・文/帝劇スタ夫]






































