声優
祝!サクラ大戦30周年記念企画 第1回/陶山章央さん

祝! サクラ大戦 発売30周年記念インタビュー「帝都の昼と千億の夜」第1回/陶山章央さん(大神一郎役)

1996年9月27日にセガサターン用ソフトとして発売されたゲーム『サクラ大戦』は、今年で発売30周年を迎えます。そこでアニメイトタイムズでは、今月から企画連載『祝! サクラ大戦 発売30周年記念インタビュー「帝都の昼と千億の夜」』を開始します。

記念すべき第1回はゲーム『サクラ大戦』から『サクラ大戦4 ~恋せよ乙女~』までの主人公(プレイヤーキャラクター)であり、帝国華撃団・花組および巴里華撃団・花組の隊長 大神一郎を演じた陶山章央さんが登場! 陶山さんといえば声優界屈指のファンサービスの良さで知られ、サクラ大戦関連のトークイベントに出演すれば自らの失敗談を面白おかしく披露し、場を盛り上げてきました。

今や“鉄板ネタ”と化したエピソードも交えつつ、30周年に際しての想いを語っていただきました。


大神だけは敬礼が海軍式。サクラ大戦には細かなこだわりが詰まっている(2018年9月9日開催「サクラ大戦歌謡ショウより~『続々・花咲く男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」より)
 
陶山章央(すやま あきお)
7月8日生まれ。大阪府出身。シグマ・セブン所属。
桓武平氏の流れを汲む陶山氏の末裔。今年で声優生活37年を数える。近年は声優学校の講師も務めており、幾人もの教え子が声優として活躍し始めている。主な出演作/『ちびまる子ちゃん』山根役、『きらりん☆レボリューション』風真宙人役、『全修。』QJ役 ほか


セガ・エンタープライゼスからセガサターン用ソフトとして鳴り物入りで登場したドラマチックアドベンチャーゲーム『サクラ大戦』。1996年9月27日の発売日には秋葉原に大行列ができたと話題になり、その年のCESA大賞 年間作品部門で大賞を受賞。圧倒的な人気を背景に、メディアミックス作品としても怒涛の展開を見せていくことになる。


『サクラ大戦』シリーズ30周年記念ロゴ
(C)SEGA

大神は油断できない奴!?

――今年の9月で『サクラ大戦』が発売30周年を迎えます。ネットをきっかけにサクラを知り、配信で歌謡ショウやアニメを観てサクラにハマっていったという若いファンも増えています。まずは30周年に際して今のお気持ちを教えてください。

陶山章央さん(以下、陶山):『サクラ大戦』という作品は色々な意味で唯一無二で、だからこそファンのみなさんに愛され続けて30周年。本当にありがたいですね。昔と違う部分だと、ネットによって海外のファンが一気に増えたというのもありますね。

――大神一郎も理想の隊長キャラとして高い人気を維持しています。今もゲームコラボなども含めて演じる機会があるわけですが、大神一郎についてはどのような印象をお持ちですか?

陶山:このジャンルのゲームにおいて、プレイヤーキャラクターは無個性なことが多いんですけど、大神一郎はプレイヤーキャラクターでありながら、ひとりのキャラクターとして成り立っているんですよ。しっかり個性があって、そういうところが魅力なんだと思います。

大神一郎という役と向き合って30年。これだけ長く演じ続けていれば、楽に演じられると思うじゃないですか。いまだにずっと苦労しています。プレイヤーキャラクターというのもあるけど、役の振り幅が広いんですよ。

――ああ、選択肢によって大神が軟派になったり硬派になったりするからですね。

陶山:はい。その時々で軟派寄りだったり硬派寄りだったりして、「今日はどんな大神だろう?」って。

――アニメの場合は作り手側が決めた「今回の大神」みたいなものもあるでしょうし。

陶山:プレイした人の選択肢によって人格が変わるし、脚本家さんの感じ方も違うから、「えっ、こんなことになるの!?」って驚かされることがよくあるんです。大神は油断できない奴なんですよ(笑)。

――またサクラといえばテーマソング「檄!帝国華撃団」の知名度が非常に高くなりました。「ゲキテイ」についてはどのような感想をお持ちですか?

陶山:僕個人としては、『サクラ大戦4』で「檄!帝 ~最終章(フィナーレ)~」を任せてもらえて幸せでした。


2010年3月6日開催「サクラ大戦 帝都花組ライブ2010」より「檄!帝 ~最終章(フィナーレ)~」
 

――それでは改めて、ゲームやアニメの収録時から振り返ってみたいと思います。ゲーム、ドラマCD、ラジオ番組、OVA、TVアニメ、劇場版と、作品人気の高まりを受けてコンテンツもみるみる増えていきました。思い出深い作品を教えてください。

陶山:さくらが実家に帰る話は良かったなぁ。

――第二期OVA『サクラ大戦 轟華絢爛』のラスト2話ですね(第5話「父と娘と」、第6話「女たちの新時代」)。

陶山:あとは大神メインの話があったでしょ。

――第一期OVA『サクラ大戦 桜華絢爛』の最終話ですね(第四幕「真夏の夢の夜」)。ミニゲームが全部アニメ化されたやつです。

陶山:あの話は嬉しかったな。見せ場が多かったし、ゲームではあまり喋っていなかった大神が、やっとクローズアップされた感じで。

――ラジオ(Webラジオ『狼虎滅却・サクラジヲ ~こちら甲板通信局~』)とかはいかがでしたか?

陶山:とても楽しかったですよ。その頃ちょうど他のアニメで忙しくて、菅沼(大河新次郎役/菅沼久義さん)に全部任せっきりだったんだけど。菅沼が番組を回してくれて、そこにリアクションを入れれば良かったから何の準備もいらないし、好きにやらせてもらった感じですね。

あと、劇場版は嬉しかったな。作品そのものが立派な作りだったじゃないですか。劇場ということで楽しみにしていたし。

たしか、最初は大神が出てこないって言われていたんですよ。だから舞台挨拶の時も僕はシークレットゲストで、出番を内緒にされていたから、驚いたお客さんの反応が見れるっていうので楽しみにしていたんです。

今や鉄板ネタとなった失敗エピソード

陶山:やっぱり思い出深いといえば、ゲームの収録かな。生まれて初めて必殺技セリフをもらえたのが嬉しかったのと、最初の収録がいきなりエンディングのアニメシーンからだったのが忘れられない。『サクラ大戦』のセリフを録るって言われて、初めて声を発したのがエンディングのアニメで、確かカンナとのエンディングだったと思います。

――あ、カンナからだったんですね。

陶山:だから余計に緊張してました。だって、自分はこれが初めてなのに、全部が終わって平和になったエンディングからですよ。収録の順序が全然違うっていうのはゲームならではですよね。

しかも、真弓さん(桐島カンナ役/田中真弓さん)ですよ。まだ絆も何もないところで――

――いきなり田中真弓さん(笑)。我々はアニメトピア直撃世代ですし(田中真弓さんと島津冴子さんが2代目パーソナリティとなり、その暴走ぶりで大ブレイクした伝説のラジオ番組。アニラジの元祖とも言われる)初仕事でそれはけっこう来ますね。

陶山:学生時代からの憧れの声優さんといきなりエンディングからっていうね。これは忘れられないでしょ?

――確かに(笑)。


その田中真弓さんとは歌謡ショウをきっかけにジャグリングを練習する仲になり、今もジャグリングは続けている。画像は2018年2月3日開催「サクラ大戦歌謡ショウより~『続・花咲く男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」から大神とカンナのジャグリング
 

陶山:だから必殺技を言わせてもらえたのと、初めての収録が真弓さんと一緒にエンディングだったというのがゲームの思い出です。そのあと別日にアクションとか掛け声の収録だったと記憶してますね。『1』の大神はアドベンチャーパートのボイスがないから、ほとんど喋ってないんですよ。2回か3回くらいの収録でした。

――エンディングはキャラクターごとに別日だったんですか?

陶山:同じ日だったと思います。別日で収録したのは『サクラ大戦3』だったと思います。

――『3』は合体攻撃から録ったって仰ってましたね。

陶山:『3』の最初が冴子さん(グリシーヌ・ブルーメール役/島津冴子さん)との合体攻撃で、エンディングとかアニメのシーンはそのあとでしたね。

そしてもう1つ。今までいろんなコラボがあった中でも印象深いのが、桂由美さんのブライダルショウのコラボ。あれは本当に大変でした! そもそもランウェイなんて歩いたことないから、まず歩き方のレッスンから始まって、稽古でも本番でも知らないことだらけで、自覚のない失敗の連続でしたね。

2週間くらい稽古したのかな。まず歩き方から、頭に本を載せたみたいに背筋を伸ばしてとか、元々姿勢も良くないので苦労しました。自宅から駅までの道のりを、踵からとか意識して歩いたのを憶えてますよ。

先生も、ショウ専門の方が教えに来てくださって、僕らの動きの手本をやって見せてくれるわけですよ。その通りやって、本番に臨みました。そこで、今やトークで鉄板ネタにもなっている驚きの出来事が!

身長190cmくらいの外国人の男性モデルさんたちが僕の出番前に大勢ステージにいらっしゃって、その方たちがハケてから出てくれって言われていたんですよ。

ところが待てど暮らせどハケてくれない。そのうちに僕の出番が来て、「大神さん出てください!」「えっ!? でもあの、まだみなさんいらっしゃいますけど……」ってなったんですよ。皆さん階段の両脇にずら~っと並んで動かないんです。でも出ろって言われたので出ました。

そもそもなんでハケてから出ることになっていたと思います?

――背の高さのバランス的に……

陶山:そうなんです! それが目立つから並ばないほうがいいってことだったのに、出ろって言われて……森の中に分け入るかのごとく、涙目で階段を下りました。

それで、センターまで歩いたらまずポーズを決めて、左右に歩いていって、こっち側でポーズ、またこっち側でポーズ。再度真ん中に行って、戻ってくるという段取りだったんですよ。

衣装もちゃんとオーダーメイドで、僕のサイズに合わせて作られているから人生で一番ピッタリのスーツで、最高でしたね。多少のアクシデントはあったものの大きなミスもなかったから、わりとやりきった感もあり悠々と楽屋まで戻ってきたら、楽屋がザワザワしてて。

何かと思ったら真弓さんが笑いながら、「陶山、なんで指パッチンしたの!?」って!

「はぁ?」と思って。よくよく聞いたら、僕が勘違いしていたんだけど。止まってポーズを取った時に、胸の中心で両手クロスから外側に向かって開きつつ指をパチンってしたんです。それは稽古場で先生がそんなふうにやってたから、その通りやってるつもりだったんですよ。

そうしたら麗さん(マリア・タチバナ役/高乃麗さん)が「スー。あれはね、ブレザーを摘まんでこう開いて服の内側を見せるってことなんだよ」って。稽古場では先生もTシャツでブレザーは着てないわけですよ。向こうはショウでは当たり前のことだから、その仕草をかっこよく軽く決めるわけなんだけど、僕には指パッチンにしか見えなくて、そのまんまやってしまったと。

知らないって怖いですね~。思い出しただけで恥ずかしいエピソードです。

――さすが鉄板ネタ(笑)。さてサクラ大戦といえば、やはり歌謡ショウは欠かせません。ボイスキャストがそのまま舞台で同じ役を演じるというステージは前例がなく、すべて手探りから始めているため、数えきれないほどの逸話があると思います。ぜひその一端を教えてください。

陶山:歌謡ショウの逸話というか苦労話はいくつかありまして。この話は誰からも共感を得られないのですが、僕以外のメインの出演者のほとんどはウィッグで、僕は地毛なんですよ。それにまつわる大変だった話で。

「八犬伝」(スーパー歌謡ショウ「新編 八犬伝」2002年公演)の時なんですけど。1部も2部も大神の定番ヘアースタイルなら良いんですよ。それが、スタートが大神ヘアーで芝居があって、2部の劇中劇でカツラを着けて金碗大輔になるじゃないですか。そこからまた大神ヘアーに戻ってエンディングと、これが死ぬほど大変でした。

大神ヘアーはガチガチに整髪剤で固めるんですけど、メイクも入れて30分くらいかかるんですよ。それをまずシャワーでガーッと洗い流して、ドライヤーで乾かしてサラサラにして、カツラを被る。で、終わったらまた軽くシャワーして乾かして、またツンツンに固める。時間もすごくタイトで、出番が終わったら大急ぎで走って、シャワーして乾かして、「お願いします!」ってやってもらって、「はい行きましょう!」みたいな。

それを、1日2回公演とかもあったでしょ。もうね、逃げ出したかった(笑)。そもそもあの劇中劇が大変そうだったでしょ!? 時代劇もやったことなかったし。もちろん劇中劇にも本格参戦ということで、学ぶことも多くて、勉強にはなりましたよ。

やりがいという意味では、「青い鳥」(スーパー歌謡ショウ「新・青い鳥」2005年公演)での殺陣のシーンが、今までになく割としっかり出番があったんですよ。

――人情モノが定番だった歌謡ショウの中で、初めて根来幻夜斎という怨霊のような本格的な敵が登場しましたからね。

陶山:脇侍も出たしね(ゲームに登場するロボット兵で、敵の魔操機兵の一種。舞台に実物大で登場し、観客の度肝を抜いた)。今までも花組のみんなが戦う場面はあったけれど、僕はそんなに戦った覚えがなくて、「青い鳥」では殺陣のシーンが見せ場のひとつだったじゃないですか。立ち回りの出番が増えて大神にも戦うという役割ができたおかげで、やっと居場所ができたって感じました。

――歌謡ショウを10年続けた翌年には、武道館ライブが開催されました。今やサクラファンの間では語り草となっていることも起こりましたが、思い出をお聞かせください。

(編注/2007年5月13日の「サクラ大戦・武道館ライブ ~帝都・巴里・紐育~」にて、陶山さんが誤って奈落に落ちたというサクラ史上最大級のアクシデント。陶山さんが舞台上から突然消え、マイケル・サニーサイド役の内田直哉さんがアドリブで場を繋いでいるうちに陶山さんが走って戻ってきたため、そのまま続行となった)

陶山:大きな舞台に対する緊張感のようなものは、それまでの厚生年金会館も青山劇場も大きな舞台だったし、逆に変わらなかったかな。もちろん、武道館だという嬉しさはありましたよ。

言い訳としては、1日だけの公演なので前日の場当たりなども時間がなく、かなり端折っていたのがあのイリュージョン的なアクシデントにつながったと思っています。

――サクラステージの終盤で歌う定番として「夢のつづき」という名曲がありますが、ファンが渇望する“夢のつづき”に横山智佐さんが「真夏のフェス」の自主開催で応えるなど、“歌謡ショウ後のイベント”が今のサクラファンにとっては貴重な場所になっています。陶山さんも何度か出演されましたが、こうした活動についてはどのように捉えていらっしゃいますか?

陶山:サクラ大戦が続いている感じがするのは、まさに年に1回、智佐ちゃん主催の「真夏のフェス」があることだと思っていて、とても感謝しています。なので僕個人としては協力したい……のは山々なのですが、舞台に苦手意識があるのでできれば声のみの参加で協力したい。去年はその形だったから、僕にとってはそれがベストです。


2022年7月17日開催「サクラ大戦真夏のフェス『あなたが楽しければ』~真宮寺さくら、みなさまのリクエストにお応えします~」では、「新・青い鳥」での根来幻夜斎とのラストバトルを16年ぶりに再現! 前日も会場近くのホテルに泊まりこんで練習を重ね、極限状態で大神一郎の二刀流に挑んだ陶山さんの鬼気迫る様は、図らずも歌謡ショウ当時を超える迫力で観る者を圧倒した
 

2026年7月18日(土)開催『サクラ大戦真夏のフェス 花と星、夢のステージ』には陶山さんも出演決定! 詳細は「横山智佐のケータイ日記」へ!

――改めて『サクラ大戦』大神一郎への想いをお聞かせください。

陶山:今後も声の出る限り、責任をもって大神一郎を演じたいですね。

[取材・文/帝劇スタ夫]

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