
「最後は気持ちよく帰ってほしい」──舞台「呪術廻戦」-渋谷事変 前編-虎杖悠仁役・佐藤流司さん&七海建人役・立花裕大さんが語る「渋谷事変」に向けた想い【インタビュー】
「言葉で交わす以上の強い信頼関係が見える」
──これまでの公演を通して、改めて感じるキャラクターの魅力を教えてください。
立花:ナナミンは一度、呪術師を辞めたわけですが、すごくリアルだなと思っていて。そこに大人味や渋みを感じますし、独特の哲学を持っているなと感じます。勝ち続けているわけではないけれど、自分に適性があることを理解して、そのポジションにいる。彼のそういった姿勢がリアルで好きなんです。
ナナミンが感じていることって、きっとみんなの中にあるものに近いと思うんですよね。だからこそ、お客さんにも共感してもらえるようなリアルさを出したいと思っています。物語の中で演じられる時間は限られていますが、ナナミンの魅力が滲み出るように、自分の中でいろいろな気持ちを作って演じていきたいです。
佐藤:俺は虎杖について『週刊少年ジャンプ』の主人公の中でもトップレベルで、ずっと苦悩が降りかかり続けるキャラクターだと思っていて。苦難を乗り越えることもあれば、打ちのめされて立ち上がれなくなることもある。そういった綺麗事だけではない人間臭さがあることが、虎杖がみんなから愛される所以なのかなと思います。
今回の公演では、特に何かを狙って見せていくというよりも、ちゃんと作品に忠実に、虎杖が抱いている感情や置かれている状況を表現していきたいですね。
──初演と現在とで、役への向き合い方やキャラクターの解釈に変化はありますか?
佐藤:解釈に変化はありませんが、向き合い方は全然違いますね。最初に演じる時は、原作のある作品を演じるうえで、どのくらい役に寄せて、どのくらい自分のエッセンスを入れるのか、その比重を考えないといけないんです。これは役者なら誰しも考えることだと思います。
初演では個人的に、結構リアル・ストレート寄りなお芝居を目指して作っていました。でも原作へのリスペクトを改めてしっかり持つという意味でも、続編の「-京都姉妹校交流会・起首雷同-」などを経て、より「虎杖悠仁」という存在に近づけていく作業が必要になってくるんだなと考えています。
立花:僕も最初は役のイメージに寄せるように作っていきました。でも実際に現場に入って、みんなと芝居を深めていく中で、ようやく現場に馴染んでいくというか。板の上でひとつの芝居として馴染むように、さらに調整していく作業が必要なんです。流司の言っていることと重なる部分もありますが、そうやって精度をどんどん上げていくことが、良い芝居を作り上げることにつながるのかなと思っています。
僕は前回の「-懐玉・玉折-」で、ナナミンの過去を演じさせていただきました。そこでの出会いや過ごした時間が、今回も役を作っていくうえでとても大きな経験になっていると思います。「一度演じたことがある」は大きなアドバンテージなので、今回はそこからさらに積み重ねていきたいですね。
──虎杖悠仁と七海建人の関係性については、どのように捉えて演じていますか?
立花:言葉で交わす以上の強い信頼関係が見えるなと、読んでいて感じます。その信頼がしっかり伝わるように演じていきたいですね。実際に描かれているセリフ量は多くないのですが、舞台ならではの、生だからこそ交わす目線やその場の雰囲気があると思うので、頑張って見せていきたいと思っています。
佐藤:もう正解ですよね(笑)。俺も同じことを思っていました。
立花:流司にそう言ってもらえたら安心だね(笑)。
──立花さんは座長としての佐藤さんについてどのように感じていらっしゃいますか?
立花:流司の魅力って、圧倒的な主役感だと思うんです。今回のような人数の多いカンパニーの中でも流司は目印になる存在で、みんながそこを目指して走っていく。僕にとっては現場での新たな在り方がテーマにもなってくると思います。
彼を目指しつつ、自分の中で自分を振り返る作業もある。今回はかなりやることが多い現場になるんじゃないかなと。だからこそ、キャラクターや自分の目標にはストイックに向き合っていきたいです。
──佐藤さんは、七海と対面する際に意識していきたいことはありますか?
佐藤:このあとナナミンがどうなるかを俺は知ってしまっているので、そういった含みを持たせないように演じないといけないなと思っています。自分のお芝居から結末を想起させてはいけないと思うんです。どうしてもチープになってしまう気がしていて。
明るく……ともちょっと違う気がするんですけど。二人の日常をしっかり描ければ描けるほど、結末が美しいのかなという気がしています。

































