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『とある暗部の少女共棲』麦野役・小清水亜美インタビュー

秋アニメ『とある暗部の少女共棲(アイテム)』麦野沈利役・小清水亜美さんインタビュー|[アイテムのみんながこの先どうなるかを知らないまま、この『少女共棲』から入れたら良かったのに……」

著:鎌池和馬先生×イラスト:はいむらきよたか先生によるライトノベル『とある魔術の禁書目録』に端を発する「とある」シリーズ。

『禁書目録』だけでなく『とある科学の超電磁砲』や『とある科学の一方通行』といったスピンオフ作品も多数アニメ化される人気シリーズですが、2026年10月からは、そのひとつである『とある暗部の少女共棲』(著:鎌池和馬先生×イラスト:ニリツ先生)のTVアニメが放送中です。

アニメイトタイムズでは、学園都市の暗部組織のひとつ“アイテム”のリーダーにして、7人のレベル5の第四位である“幻視崩し(メルトダウナー)”麦野沈利を演じる小清水亜美さんへのインタビューを実施しました。

これから放送される『少女共棲』の魅力はもちろん、本作では「アイテム」のメンバーが揃う時期が描かれることから、他シリーズ作品を踏まえると切なくなってしまうようなシーンについてもお話を伺っています。ぜひ第1話の放送前後にチェックしていただければ幸いです。

 

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東京西部に位置する巨大な『学園都市』。総人口230万人を数え、その約8割を学生が占めるこの都市では、超能力開発のための特殊なカリキュラムが実施され、学生たちの能力は『無能力(レベル0)』から『超能力(レベル5)』までの六段階で評価されていた。世間の常識をはるかに凌駕する科学技術を誇り、誰もが科学的な能力を与えられて安全に暮らしていける夢のような教育機関――その平和の裏側には、決して表沙汰されることのない汚れ仕事を請け負う『暗部』組織が存在する。『アイテム』――四人の少女で構成された精鋭部隊。窒素を自在に操り、鉄壁の防御を担う絹旗最愛。爆発物とトラップを駆使し、戦場を翻弄するフレンダ=セイヴェルン。能力者が発する微弱な力を読み取り追跡する、滝壺理后。そして、学園都市に七人しかいない『超能力者(レベル5)』の一角、麦野沈利。そんな彼女たちの前に現れた「五人目」の少女。彼女との出会いが、『アイテム』を新たな闇へといざなうことに――。これは、暴力と非道と背徳にまみれた、かなり変わった能力者の少女たちの日常と絆と、深い深い『闇』を描く物語。作品名とある暗部の少女共棲放送形態TVアニメシリーズとあるシリーズスケジュール2026年10月9日(金)...

 

息を吞むような恐怖を与えるにはどういう言葉の紡ぎ方がいいのか

──まずは『とある暗部の少女共棲』アニメ化にあたっての心境からお聞かせください。

麦野沈利役・小清水亜美さん(以下、小清水):最初にアニメ化のお話を伺った時は、素直に麦野が主役なのかと再確認したぐらい驚きました。同時に麦野以外の「アイテム」の子たちはみんな可愛いし人気があるだろうけれど、麦野ファンは層が読めないので個人的にも「大丈夫だろうか?」という考えがふとよぎりまして。

これまではヴィラン側で、心の機微はあってもただただ思うままに振る舞い、怖ければ怖いだけいい……そういう激しい一面がクローズアップされてきました。なので果たして主役として、ヒロインとしてどんな姿を見せてくれるのか、ほんの少しの不安と期待とが入り混じっているような心境でしたね。

──改めて麦野を演じられていかがでしたか?

小清水:やっぱり「アイテム」のみんなが主軸で、その中でも基本は麦野の視点で物語が紡がれていくからこそ、麦野は全体的に見ても学園都市の中では強者の側にいることを強く感じました。これまで数々の戦闘シーンを演じましたが、時には窮地に陥ったり、余裕のない戦いを繰り広げたりすることがしばしばありました。

でも『少女共棲』ではチームとして余裕を感じるぐらいで、日常会話をしながら与えられた任務をこなしていく姿が描かれていきます。「こんなにも穏やかな姿がみられるなんて……」と思うぐらいには新鮮でしたし、改めて麦野は学園都市が誇る7人のレベル5に名を連ねる存在なのだと理解し直した次第です。

──麦野というキャラクターと出会った時の第一印象もお教えいただけますか?

小清水:初めて麦野を演じたのは、プレイステーションポータブルで発売されたゲームでした。その時はまだ台詞も断片的でしたし、「とある」シリーズのファンのみなさんが麦野の声を初めて聴く瞬間でもあったので、凄く悩んだことを覚えています。年齢感が若いことは知っていたのですが、出で立ちや行動が色々な経験の上でのものなのか、年相応ではなく大人びた印象があったんです。

その上で、上条当麻や浜面仕上、御坂美琴といった、ほかのシリーズ作品で主人公格として描かれるキャラクターたちが麦野と遭遇した時に、超えられない壁のように見えてほしかった。普段通り飄々とした顔も見せているからこそ、「ああ、生きて帰れないな」という底冷えした感覚を覚えてほしいというせめぎ合いもあって。

最初のゲームの時はやっぱり麦野自身の年齢感をかなり意識していて、今よりも声のトーンを高めにお芝居していたりするんです。私自身の実年齢が若かったこともあってストレートに出しやすかったこともあると思いますが、そうやって迷いながらも相手がひゅっと息を吞むような恐怖を与えるにはどういう言葉の紡ぎ方がいいのだろうと、頭を悩ませながら演じた記憶が今も残っています。

──テンションが上がっている時とそうでないときとで、かなりギャップのあるキャラクターかと思います。演じる時はどんな部分を意識されていますか?

小清水:麦野は自分の気分にある程度素直な人なので、その時の感情をそのまま演じようというのがまずベースとしてあります。その上で、本当にブチギレている時と実はそこまで怒っている訳ではなく、ただ戦っていて興が乗った時とでは同じ狂気でも方向性が違うので、テンションの差を出しています。

後は戦闘中にふざけたことをされた時もブチっといくのですけれども、キレてる時の麦野ってかなり饒舌なんですよね。みなさんがどこまで怒りを表で露わにしたことがあるかはわかりかねますが、大抵の人は怒り心頭になると言葉数が多くはならない。

けれど麦野は色々と振り切れていて言葉の鋭さまでキレッキレなので、それをどんな風に相手に叩き込むべきかは表現としていつも頭を悩ませていました。最初の頃なんてそれこそ、「パリィ!パリィ!パリィ!てかァ?笑わせんじゃねえぞクソガキ!!」という台詞なんて「これどうしようか」と思ったぐらいです。

もちろん言っていることの意味は理解しているし、どういう場面で発するものなのかもわかるんだけれども、そのブチギレ方をどう処理すべきかに迷ったんです。

後は、人間誰しも家族と喋っている時と仲のいい友達と喋っている時、後は少し気を遣わなきゃならない場面にいる時とで声のトーンって変わってくるものだと思うんです。昔から、麦野も喋り方や表情の見せ方が自然と乗っかると良いなと思いながらお芝居していますね。

──なんとなくですが、キレている時の言い回しも特徴的といいますか、中々思いつかないような言葉が出てくるんですよね。

小清水:私が個人的に気に入っているのは、ブチっといった後にわざと「にゃあ」とか「にゃーん」という語尾を使う時なんです。アニメの世界で「にゃん」なんて言葉は萌える台詞のはずだけれども、こんなにも萌えとは相反する「にゃあ」が存在していいものなのかと思いながら楽しく演じています。

 

「楽し気な時間や当たり前の日常が、より特別で素敵なものに映りました」

──そして『少女共棲』の原作小説やシナリオをチェックした際の感想をお願いします。

小清水:麦野が言葉に出している台詞以外のところ、『少女共棲』ではその心の内や彼女が見ている景色が描写されるのですが、これは私としても新鮮な部分が大きかったです。

『禁書目録』や『超電磁砲』はどうしても視点が違うので、他の人から麦野がどう見えているのかが描かれてきました。『少女共棲』は麦野の目に映る世界を描いているので、「あ、こういう風に見えているんだな」とか「案外可愛いところもあるんだな」といった意外な素顔が見え隠れするんです。

これまでのシリーズ作品では、アイテムが長いことチームとして活動してきたことを感じさせてくれましたが、『少女共棲』ではフレンダ=セイヴェルンがまだ加入して間もない頃で、絹旗最愛とこれから出会う瞬間も描かれます。

これだけ麦野や「アイテム」のみんなとお芝居を通して触れ合ってきましたが、彼女たちがチームになる瞬間が描かれるなんて思っていませんでした。そして、この先のみんながどうなるのかを知っているからこそ、読みながらも胸がぎゅっと締め付けられるような想いにもなりました。

特にフレンダに関しては……なので、何かこの楽し気な時間や当たり前の日常が、より特別で素敵なものに映るんです。どうしてこのままでいられなかったのだろうかと、ついついそんなことを考えてしまう複雑な心境にもなりました。

──これまでは恐ろしい存在として描かれていましたが、こんなにも穏やかな時間があったことに驚かされるんですよね。

小清水:みんな年相応の姿を見せてくれますし、学校の友達のような女の子も登場します。スポットが当たらなければ描かれることがなかったであろう、能力もなく、戦わなければならない立場にもない普通の子たちの姿も『少女共棲』では見られるんです。そういうところは凄く温かさがあって、人間らしい姿だなって思いました。

そしてもうひとつ、『禁書目録Ⅲ』の時に言った「……私は、ここまで捨てたぞ!」という台詞が、こんなにも重く響くようになるなんて思いもしませんでした。アイテムのみんながこの先どうなるかを知らないまま、この『少女共棲』から入れたら良かったのにと思ったぐらいです。どうしてもその未来がチラつくような読み方にはなってしまったのですが、あの未来の言葉がこの『少女共棲』をも重くさせていると思います。

──この『少女共棲』からシリーズに触れる方にはどんなところを見てほしいですか?

小清水:本作から「とある」シリーズに触れるなんて、まっさらな見方を出来るみなさんにしかできない一歩だと思うので、ぜひこの『少女共棲』から挑戦していただきたいです。ここで「アイテム」のみんなが学生らしい今を謳歌している姿や、何の憂いもないまっさらな瞬間をご覧になってくだされば嬉しいです。

まだこれから「とある」シリーズに触れる方が残されていることに私も希望を見出せますし、きっと順番通りに触れていきたい気持ちもあるかと思いますが、ぜひ『少女共棲』からこのシリーズに入ってきてください。

──様々なシリーズで麦野を演じられていますが、この『少女共棲』で印象が変わってきた部分はありましたか?

小清水:最初は敵役だという考えでいっぱいでした。けれどそこから現在にいたるまで色々な出来事があって、その各場面を演じていくにつれベースは変わらないものの、どんどん「そういうことならここはこう見せたい」と思うようになりました。そうやって見せたい表情や感情が移ろっていく中で、『少女共棲』へと戻ってきたんです。

随分行きつくところまで行ってしまった麦野も演じてきた上での『少女共棲』なので、私自身も少し戸惑いがありました。けれど、またここに戻ってきてもいいのだと噛みしめるものもあって。そして私自身も二十代半ばで麦野と出会い、今はもう四十を超えました。その分だけ自分のお芝居の経験値も上がった上で、今の麦野を演じています。

緩んだ麦野を演じる時のどっしり感は、もしかしたらあの当時の、二十代の頃の私が演じるよりも肝が据わっているかもしれません。でもある意味では、その「あなた本当に学生ですか?」と感じるようなギャップをぜひみなさんに楽しんでいただけたらなと思いながら、ひとつひとつのエピソードを演じているところです。

──この先もしさらなるシリーズの展開があったとして、この時系列の麦野を演じたことによってお芝居が変わってくる部分はありそうでしょうか?

小清水:あると思います。他の「とある」シリーズでは、『少女共棲』よりも未来の物語が描かれています。だからこそ、仲間たちのことを振り返った時の思いや、私がそれを演じる際の思い入れ、ある種の心の傷といえるようなものへの解像度がグイっと上がるはずです。

想像するだけでも痛いだろうなと覚悟しなければならないですし、だからこそ『少女共棲』が輝いて見えてきます。例えばレールガン(※御坂美琴)と出会った時に、「今は仕事中じゃないからあっちに行って」というような……そういう日常の延長のままに触れあえるエピソードがあったら演じてみたいなという欲も生まれました。本当にパラレルみたいな話ですけれどね。

 

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