
『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第七章 虹色の輪廻』は未来にもずっと残り続ける物語。新たな旅路でヤマトが辿り着いた結末|古代進役・小野大輔さん&アルフォン役・古川慎さんインタビュー
アルフォンの印象は恋敵から「雪が信頼している人」に
──ここまでの物語を踏まえて小野さんから見たアルフォン、古川さんから見た古代の印象も伺えますか?
小野:雪を捕らえていた恋敵です。加えて当初はデザリアムがまだ得体の知れない不気味な存在だったことから、僕は完全にアルフォンのことを敵視していました。アフレコも一緒にやっていませんでしたしね。
古川:小野さんの嫉妬の方が強かったですよ!
小野:だってそれだけ長いこと古代を演じているんだもの。ライバルとはいってもデスラー総統は戦いにおける相手でしたし、雪を異性と意識して奪っていくような男は今まではいませんでした。
古川:そう捉えられるのは、やっぱり小野さんが古代を長く演じてこられたからだと思います。
小野:そうかもしれない。段々とこの作品の世界を俯瞰して見るよりも、古代進として物語の中に身を置くようになってきています。もしかしたら既にずっとそうだったのかもしれません。彼は内省的でうじうじしていて後ろ向きで……でも、やらなければならない時は覚悟を決める。凄く僕自身の生き方と近いところがあって、見ていてなんだかイラっとさせられることもあるぐらいです。
失敗するとすぐ「俺には、もう……」と落ち込んで自分の役職を返そうとしますよね。それほどのことではないのだから、そのまま責任を負うべきだろうと思うのだけれど、それは古代が自分を映す鏡だからなのかなと。僕自身にもこういうところがあるなとシンクロしてしまうので、雪を奪われたという気持ちのほうが勝ってしまう。
──そこからアルフォンの印象はどのように変わっていきましたか?
小野:大きく印象が変わったのは、一度顔をあわせてからですね。あの時も敵同士だと見ていましたが、雪がずっとアルフォンの下にいることを知ってしまいました。いつ殺されてもおかしくないのにですよ。そこから「何かが違うかもしれない」となったんです。
本作において、アルフォンが雪をアシストして古代と話す機会をくれる場面があります。物語の中でキャラクターたちが変わるのは当たり前のことですが、先ほどの「古代くんならそうすると思った」という台詞にしたって、演者の僕は知っていても古代自身は知りません。
だから古代は、アルフォンがデザリアムの得体の知れない人間ではないこと、そして信用の置ける相手だということを雪を通して知ったんじゃないかと思っています。雪が全部の軸にありますが、最終的には「そんな雪が信頼している人」に変わっていったのだと思います。だから、ありがとう。
古川:それは雪に言った方が良いと思います。
小野:僕としてもそのつもりだし、本当にその通りだと思う。
古川:おそらくアルフォンにとって雪は、純粋に興味の対象だったと思うんです。一目惚れという感覚すらよくわからないまま拾った女性であり、そんな彼女が死んでも会いたい人がどんな相手なのか。そもそも人間に興味があるからこそ古代進という存在への関心が入ってきていて、その上でアルフォンは人間の強さを雪を通して学んでいきました。
愛があるからそこまで信じられるのだし、優しさがあるからこそ自分のような存在にも色々な配慮や、ちょっとした情を見せてくれる。だから人間はそう簡単に測りきれるものではないと理解したと思いますし、それを受けて雪に心惹かれたところも確実にあると思います。
アルフォンとしても、いざちゃんと対話するとなった瞬間はターニングポイントでしたが、古代とアルフォンの目的は決して相容れないものではありませんでした。実際に対話して自分と同じことをやろうとしていることも把握できましたし、「こういう人間なのか」と理解したからこそ雪が惹かれるのだろうと気づきました。
基本的にどの出来事に関しても「人間という存在の強さ」を感じていると僕は思っていて、そんな中で古代は色々な出来事があった上で本作でも立ち直り、バラバラになっていたものをまとめて最終的には前に進もうと足掻いていくじゃないですか。それを全てアルフォンが把握していないことはわかっているのですが、古代を通して人間の凄さを学んで辿り着いたのが、アルフォンの最後のシーンなんじゃないかなと。
人間という存在が育む愛の力の凄さ……自分たちデザリアムもそうなりたかったという気持ちは絶対にあるだろうし、その原初の感情に立ち返ることができたからこそ、あそこでああいった言葉が出てきたんじゃないかと思っています。
小野:今古川くんが言っていたことは、マザー・デザリアムも言っていたことですね。デザリアムの民を作る時に、人間の持つ感情が想定以上のものを生み出すからこそ、わざわざ必要のないはずの感情を持たせたという話をしていたはずです。
結果、それが原因になってタイトルの“REBEL”の通り反逆がおきるのですが、その象徴がアルフォンなのかもしれません。おそらくアルフォンは、その人間の感情が持つ可能性を雪に見た。そこから、彼女が通じ合っている古代も凄い奴だと思ってくれたんだろうなと。
古川:この物語は雪がいなかったら詰んでますよね。
小野:法子さん(※桑島法子さん)も、「今回の雪は強すぎるんですよ」っておっしゃっていました。
古川:ずっと折れない、めげない、生き続ける。凛として存在感もあったし、その雪を挟んで僕らは分かり合うことができて、成長していったんじゃないかと思っています。
──森雪について、今回の第七章での活躍についておふたりが注目している点もお教えください。
小野:遂にアリゾナの艦長として戦う姿を見せてくれるのですが、もう凄まじく強いんですよ。本当に気持ちよくなるくらい無双しますし、アリゾナが戦う本作序盤のカタルシスは、それこそ最初にヤマトが発進する時ぐらいの衝撃でした。
そこから地球側の艦艇が多数馳せ参じての総力戦になっていくのですが、おそらくどの艦が欠けてもこの作戦は遂行できなかった。そう想像せざるを得ないぐらいみんなが全力で戦って満身創痍になって、そんな中でもアリゾナの存在感は凄まじかったです。
僕はこのシリーズを通して、男の子のロマンみたいなところがあるので、反射衛星砲が好きなんです。あの技術がアリゾナに行き着いたという感動がありましたし、それをあの雪が率いている事実に「ここまで強くなったのか」と感じさせられました。
古代が戦術長だった頃から隣で見ていてくれましたが、やっぱり雪まで艦長にならなくても良かったんじゃないかと思う時があるんです。だけどそうなったということは、彼女が自分も隣で戦うのだと決断してくれたからじゃないですか。どこまでも心の強い女性だなと思いますし、古代もそういうところに惚れたのだと思います。
雪は『宇宙戦艦ヤマト』という作品の絶対的なヒロインで、誰もが恋焦がれるような存在です。だけど外見が全てではなく、やっぱり重要なのは心の強さなんですよね。だからこそアリゾナが発進した時は、もう俺はいなくてもいいんじゃないかと思うぐらい震えました。
古川:僕も彼女の心の強さに惹かれますね。後は信頼に対して真摯であろうとする部分でしょうか。彼女は我々がどれだけ情報を要求しても、そんなことはできないときっぱり断ってくる。それどころか、どうにかこちらの寝首をかいてヤマトに情報を持ち帰ろうと画策する。それは彼女が強いからこそできる決断ですし、同時に古代という人間とヤマトクルーの仲間たちへの信頼、絆があるからなんです。そういう一面がアルフォン側の視点からだと見えてくるし、どうしてもその印象が一番強くなってしまいます。
それを目の当たりにしたことが、アルフォンが雪を知ろうとする理由のひとつだったと思うんです。
でも雪はあくまで捕虜であり、アルフォンはそんな彼女を捕らえている立ち位置。なぜ彼女がそこまでヤマトクルーの仲間たちや古代との信頼や絆を大切にしているかにも興味を持っただろうし、そんな中でひとりの女性としても人としても、そのどちらとも取れるのですが、雪がアルフォンにも優しさをかけてくれる瞬間があって。
小野さんも雪を『宇宙戦艦ヤマト』の絶対的なヒロインだとおっしゃっていましたが、ヤマトファンのみなさんが求めるものもそれなんじゃないかと思うんです。その美貌をはじめとする外見的な部分だけでなく、そういった強さや優しさにアルフォンも惹かれたはずです。
桑島さんが一本筋は通しているけれど、こちら側にもきちんと心情を伝えてくれるようなお芝居をしてくださるので、僕もアフレコ中に「古代には勝てないな」と思わされる感覚をずっと抱いていましたし、そういう一面が彼女の魅力なのだと思っています。


































