
「この作品を見て、夢を見たいと願いながら眠りについていただけたら嬉しいです」──『dreamland』テレンス役・波多野 翔さん、サヴァナ役・江口拓也さん、サバ役・吉野裕行さんインタビュー
フランス発の漫画を原作としたTVアニメ『dreamland』の日本語ローカライズ版が、2026年10月17日よりABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット『ANiMAZiNG!!!』枠にて放送開始。各種配信サイトでの配信も順次行われます。
夢の世界「ドリームランド」と現実が交差する物語のなかで、主人公・テレンスをはじめとする「夢人」たちの冒険が描かれる本作。原作者・ルノー・ルメール先生や本作の監督を務めるフアン・パブロ・マチャドさんなどの制作陣によって、フランスの文化と日本の漫画・アニメ的表現が融合した物語にも注目が集まっています。
アニメイトタイムズでは、主人公・テレンスを演じる波多野 翔さんと、今後登場するサヴァナを演じる江口拓也さん、サバを演じる吉野裕行さんの三人にインタビューを実施!
第1話を振り返っての印象的なシーンやこれからのエピソードで登場するサヴァナやサバの印象、文化の違いによる本作ならではの面白さなど、演じるキャスト陣ならはでの視点で本作の魅力を語っていただきました。
本作の大きな魅力である「文化の違い」
──まず、本作の第一印象から教えてください。
テレンス役・波多野 翔さん(以下、波多野):原作を読み進めていた時に、夢の中での話で、そこで意思を持って誰もが動けるわけではなく何か条件があるという設定が新しくて面白いな思いました。
あとは、綺麗事ばかりじゃないというのもすごく好きでした。例えば、テレンスであればトラウマがあって、そのトラウマに立ち向かっていく姿は、見ていてすごく心が痛む苦しいシーンでもあると思います。
夢の中とはいえ、綺麗なものばかりじゃなくて、ちょっと汚いものであったりとか、苦しいものも混ざっているというのが、すごく面白いなと。
サヴァナ役・江口拓也さん(以下、江口):(アフレコ時に)全部色がついている絵があるから、どういうものを作りたいのか最初から分かる状態で入れたのが、まず嬉しいなと思いました。
また、先生が日本の漫画やアニメなどの影響を受けているとおっしゃっている記事を読んだんです。日本の漫画・アニメって大人も子どもも楽しめるというイメージがあったんですけど、結構攻めた表現をするなと思いましたね。同じ漫画・アニメでも、国が変わるとこういう風な描き方をするんだ、とすごくびっくりしました。面白かったです。
だから同じ漫画・アニメでも、国が変わると、こういう風な描き方をするんだといったところはすごくびっくりしました。面白かったです。
サバ役・吉野裕行さん(以下、吉野):大体、いま江口さんが言った感じです。
一同:(笑)。
吉野:文化が違うなというか。作品的にテンポが早いのかもしれないですけれど、僕らが普段読んでいる漫画、見ているアニメーションとかと感情線や展開の仕方とか、そういったところがいろいろ違うなと。あと単純に、完成形だからなんでしょうけれど、(画が)明るいなって思いました(笑)。
江口:(笑)。
吉野:色の付け方も、パステルカラー? ペールトーン? 明るく感じる作品です。でも中身は、明るいばかりではなく、自分のトラウマの部分と向き合うところがあったりとか。何にしても、違った風を感じる作品だなと。
──そうですね。わくわく感がありつつも1話からいきなりノートに火をつけられて……。そういったギリギリを攻めた表現だったりもあると思いますが、世界観や作品に対して印象の変化はありましたか?
波多野:僕の場合は演じる時に世界観などのイメージを、情報として入れはしても自分の中であまり固めずにアフレコに臨んでいる部分があるんです。
なので、周りの役者の皆さんや、音響監督さんからディレクションいただいたもので、そこからドンドン形作っていくことが多いです。でも音響監督さんも「原音をあまり意識せずに、日本のアニメをやるつもりで一回やってみてください」とおっしゃっていたので、その通りやらせていただきました。
また、今作は特に表情が豊かだなと思いました。このキャラがこの表情をするんだとか、そういった意外性のようなものはすごく感じています。
ファンタジーな部分やダークな部分だけでなく、ちょっとした日常シーンの中で垣間見えるコメディやギャグシーンが笑いになっていたりして、全体的に作品の世界観をやわらかくしてくれている部分もあるのかなと。
バトルシーンなどではきゅっと締まるので、そこもこの作品の魅力的なところのひとつだと思っていて。どんどん話数を追うごとに、もっともっと世界観も広がっていくんだろうなと思っています。
──1話からそうですね。ベンとのやりとりで、暗くなりすぎないところだったり。言われている内容から、展開が暗くなっていくかと思えばそんなこともなく。
波多野:言われていることに対してシリアスな反応を返しちゃうと、そこが暗いシーンに見えがちというか。そうではなくて、あくまでも日常シーン。テレンスとベンの兄弟感というか、その関係性を見せるシーンだと思うので。兄弟のちょっとした小競り合いじゃないですけど、言い合いみたいなシーンなのかなと。
──サバとサヴァナは登場話が先ですが、初登場時はいかがでしたか?
江口:まずは世界観がこういう感じなんだと。ところどころで作品の持っている空気感というんですかね、結構攻めるなと感じる部分が多くて(笑)。
ここまでやってもいいのかどうか、さじ加減というか、使うか使わないかみたいな選択肢があるなかで、わりと挑戦させていただけるような瞬間があります。そういった意味では、作品の空気感だと思いますけれど、やっぱり彼のキャラクター性などすごく新鮮に感じましたね。
──吉野さん演じられるサバが登場する4話はかなり攻めたというか、すごい空気感ですよね(笑)。
江口:(笑)。原作ではこういう表現を使っているけれど、日本で表現する時にちょっと台詞を変えましょうとか。現場のなかでもそういうやり取りがあるぐらいなので、そういった意味ではやっぱり攻めてるなあ、と。
波多野:(笑)。
江口:日本だと攻めるという表現になっちゃうのかもしれないけど、それが普通なんですよね。それぞれの当たり前のなかでの表現の幅だと思いますし、面白いなと感じますね。
──そんな4話に初登場のサバを演じる吉野さんはいかがですか。
吉野:海外からの輸入といった感じで、ブリーフで登場してもいいんだなとか。
一同:(笑)。
吉野:気にするポイントがズレてるというか、文化が違うんでしょうか。だから、それは新鮮ですよね。最初にタイトルとか絵面から受けた印象と、中身は全然違います。だからそれは、やっぱり(向こうの)文化なんだということを感じるところなんです。
波多野・江口:(頷く)
吉野:受け取り方や感じ方とか、物語の運び方とか台詞もそうだし、喜怒哀楽も含めて、恐らく国ごとに違うであろうと。日本だったら、こう展開したら、こうなってほしいというところでも、向こうではそうならないというのを強く感じる瞬間が多いかな。
だからキャラクターの整理をつけるのが難しい時がある、というのが正直なところですね。あと口パクも、言葉が違うから。それも踏まえて、やっぱり難しい部分はあるなと。だから、やりがいはありますよ。そのなかで、皆さんにわかるように作品として届ける必要があります。
波多野さんにとって初となった吹き替えアニメーション
──今回、完全ローカライズということで吹き替えという形になります。文化の違いによって感情の動き方だったりも日本人としての感覚とは違うものがあるなかで演技をするというのは、感情をどう自分のなかに落とし込まれるんでしょうか?
吉野:どうしたらいいですか?
一同:(笑)。
江口:演じていてトレンディドラマのような「大人ぁ!」みたいな。恋愛ひとつとってもそうで。例えば日本の漫画だったら好きな女の子がいたら、最終話まではあんまりキスをしないんだけど、(普通に)「してる!」みたいな。なんなら、する瞬間に女性から手を添えてするんですよ。やっぱり積極的なんですよね。
吉野:でもそれがきっと日常というか。向こうでは、それが当然なんだよね。
江口:そういう文化。恋愛ひとつとっても、やっぱり攻め方がおもしろいなと。
吉野:(作品を)見てる人たち、きっと振り回されると思います。
一同:(笑)。
吉野:僕らがいつも思ってるような「まだくっつかな……くっついてるー!!」ってなるわけじゃん。そういうことだよね(笑)。
波多野:そういった展開の早さみたいなのは、すごく早いなと思います。僕は、吹き替えのアニメーション自体が初めてなので、どの吹き替えのアニメーションもこんな感じなのかなとか、いろいろ分からなくて。
目の前のシーンひとつひとつに精一杯ではあるんですけれど(笑)。演じて個人的に難しいなと感じるところは、言語の違いによって、自分だったら息を吸ったりする箇所で、向こうの方はまた違うタイミングで息を吸われていたりとか。
口の動きも言語が違うので合っていなかったり。そこの合わせ方という部分に苦戦しています。先輩方を見ていると、「少し早かったです」「ちょっと押してました」といったところを、すぐに次で合わせていける技術面が、本当に勉強になります。そういうところばっか見ちゃってますね。
──波多野さんはこう仰っていますが、お二人から見て現場での波多野さんはいかがですか?
江口:初めてって言っていたけど、全然。素晴らしいなと思います。
波多野:本当ですか? ありがとうございます。
江口:すごく魅力的な主人公を、生き生きと演じているイメージです。
吉野:先週より今週の方がいいみたいな感じでしたよね。
波多野:ありがとうございます。
吉野:ステップアップしている感じ。ちゃんと自分のものになっている感じがする。
──江口さん、吉野さんから見て、波多野さんが演じるテレンスはどんな男の子に見えていますか?
江口:葛藤はあるんでしょうけれど、前向きですよね。前向き加減も、不思議な前向きさというか。受け入れたうえでの言葉運びや過ごし方というか。子どもの部分ももちろんあるんでしょうけれど、大人な部分もあって、不思議な存在。ここでめげそうなのにな、と思っても全然めげてない。お前強えーなみたいな(笑)。
一同:(笑)。
江口:そこがやっぱり自立していると思うんですよね。日本の表現のなかで等身大のものを表現しようと思った時に、自立できていない自分のなかの葛藤とか、大人になりたいけどなれないとか、そういった葛藤が多いイメージですけど、(テレンスは)わりと言語化できるタイプなのかな、と。攻める時は攻めるし(笑)。
それって、自分が思っていることを伝えるということを、文化としてやっているんだろうなと。そのうえでの葛藤がそれぞれあるという。だから、国が違えば等身大の葛藤って違うんだなと。そこは見ていて面白いと思います。
吉野:そうですね、だいたいそんな感じだと思います。
江口&波多野:(笑)。
吉野:僕らが知っている日本の年齢感よりも多分大人なんじゃないかなというか、経験値が高そうな気がする。悩むところとか気にするところが、おそらく違うんじゃないかなというのは、作品を見ていると感じますね。女性との向き合い方もそうだし。
僕は4話からの参加だから余計に感じるのか、問題があっても立ち直りが早いというか、向き合えちゃう。テレンスはサヴァナに振り回されていても、ちゃんと言い返せる。
江口:うん。
──モラトリアムって感じがしないですもんね。みんなもう大人というか。
吉野:大人ですよ。だから、こっちだったらもっと小さいことに、うじうじするようなところがありそうなのに、そういうものが無いですよね。わりと皆カラッとしているし、起こっちゃったことに対しても、受け入れている感じ。「しょうがない」と思えている感じがする。
──第1話では、テレンスがトラウマに立ち向かうシーンが描かれています。第1話を改めて振り返って波多野さんには、テレンスはどう見えていますか?
波多野:印象的なシーンでいうと、1話の中ではトラウマに立ち向かうシーン。1話の中でのピークじゃないかなと思っていて。とにかく、めちゃくちゃ叫んだんですよね。
江口:そうなんだ(笑)。
波多野:叫んだり、悲鳴をあげたり、食いしばったりみたいな。ただの叫びではなくて、ひとつひとつ、それが痛みの叫びなのか、恐怖とかそういうものの叫びや悲鳴なのか。感情を叫びのなかに乗せていくのが、すごく難しいなと思いました。
本当にその事態に直面した時に、人はただ叫ぶだけではなくて、声が出ない人もいるでしょうし、逆に今まで出たことのないような声で叫ぶ人もいると思いますし。技術的な面ですけれど、そこはすごく難しかったシーンでもあるので、僕個人としてもすごく印象に残っています。
あとは、1話は男らしくないようなシーンとか、ちょっとウジウジしちゃうシーンもあって。ただ、トラウマを乗り越えた後に見せるカラッとした部分や、テレンスってこういう感じの軽い発言もしたりするんだとか、ちょっとバカっぽい一面もあるんだとか、1話の中で新しいテレンスが見られたと思いました。
逆にトラウマを乗り越えるまでのシーンの中でも、イジられていても笑って済ませているところもあったりして。耐えているわけではなくて、すかしているらしいんですよ、テレンス自身は。なので、そういう時にすかす男なんだとか(笑)。
自分が最初に思っていたものとは違う部分が1話のなかで見つけられたので、内面も豊かな人間なんだなと思いました。僕がテレンスと同じ年齢の時は、そんなに豊かな人間だっただろうかって(笑)。
江口:(笑)。
波多野:そこも、もしかしたら日本とフランスでの年齢感の捉え方が違うのかなと思います。大人っぽいんだな向こうの方は、という。そこにも繋がってくるんだなとも感じます。
──トラウマを乗り越えた瞬間から、いきなり別人ではないですけれど……。
波多野:そうなんですよね。話数を追うごとに、どんどんテレンスがすごくなっていて……。1話に出られてから久しぶりに登場したキャストの方に言われるのは「テレンスってこんなんだったっけ?」みたいな。
「すごい成長のしかたしたね」とか言われるので、やっぱりいろんな人から見ても、話数を追うごとに色んな方向に変わっていってるんだなと(笑)。






































