音楽
ryoが10年ぶりに初音ミク楽曲投稿|ポケミク新曲『LEGENDS』『1996』考察

【ポケミク新曲】ryo(supercell)とミクが帰ってきた! 『LEGENDS』『1996』のMVや歌詞に隠れたポケモンネタを考察

「大人になった僕たち」の話

ryoさんは、ポケモンが大好きな二人の子どもから『1996』の着想を得たと明かしています。子どもたちがポケモンの名前を覚えて、どちらがたくさん知っているかを競い合っていた。その姿を見て、この時間もいつか大切な思い出になるのだろう、と感じたそうです。

さらに「『1996』は、大人になった僕たちの話です」とコメントしているryoさん。たしかにMVや歌詞に散りばめられた“あの頃”の要素は『赤・緑』をプレイしたことのある大人にこそ伝わるものです。

レポートや通信ケーブルといった定番あるあるに加えて、ミュウの噂やニドキングなどのちょっぴりマニアックな要素も入っているのがミソ。教室で「これ知ってる?」と額を寄せあい、放課後に待ち合わせて友達と通信ケーブルをつなげた頃の熱が、そのままよみがえります。

さらに素晴らしいのは、単なるノスタルジーで終わらないところです。それを象徴するのがこちらの歌詞。

僕ら皆 あの日の途中

これは1996年の“はじまり”から今まで、私たちもポケモンも地続きであることを示しているのではないでしょうか。

MVに登場する子どもたちも大人になり、それぞれの家庭をもって再会します。彼らもその子どもたちも、ポケモンが大好き。

あれから30年が経ち、世代を変えながら続いている。ポケモンと私たちの共通点のようなこの歌詞は「いつでも冒険に戻ってきていいよ」と迎えてくれているようです。

ryoさんと初音ミク、10年ぶりの再会

ここからは、初音ミクファンとしての視点で2曲を聴いてみます。

ryoさんといえば、2007年に発表した『メルト』を皮切りに、ボカロシーンを代表する存在となったクリエイターの一人です。『ワールドイズマイン』や『ブラック★ロックシューター』など、筆者も数え切れないほど聴いてきました。

そんなryoさんが、2016年の『罪の名前』以来10年ぶりにミクの楽曲を届けてくれました。「初音ミク が オリジナル曲を歌ってくれたよ」というタイトルまであの頃のまま。『LEGENDS』はボカロシーンの伝説が復活するという意味でも、これ以上ないタイトルです。

さらに『1996』がポケモンファンの“あの頃”を呼び起こす歌だとすれば、ボカロファンにとってはryoさんとミクの組み合わせそのものが2007年を思い出させてくれるものでした。

それでいて、聴こえてくるのは“あの頃”とは違うミクの声。ボーカロイドならではの音声も味がありましたが、今回の2曲はミクが「生きている」のです。

歌詞が聞き取りやすいのはもちろん、ブレスまで聞こえる。感情が伝わる声の揺らぎと余白がある。まるで本当にそこで歌っているかのように生き生きとした調声は、2007年当時とは大きく違いました。10年という時間を経て、ryoさんもミクも進化をしたのでしょう。

思えば初音ミクもポケモンも、子どもたちとともに歩み、大人になったファンにも愛され続けている存在。改めて「ポケミク」というプロジェクトの親和性の高さを感じた2曲でした。

2曲がつなぐ、ポケモンとミクの物語

ポケミクの新曲『LEGENDS』と『1996』は、いまの子どもたちとかつての子どもたちへ向けた2通の手紙でした。同時に、ボカロPとしてのryoさんが帰ってきてくれた記念すべき楽曲でもあります。

『赤・緑』を遊んだ世代の人は、まず『1996』を。いまポケモンを遊んでいる人は、まず『LEGENDS』を。そして聴き終えたら、ぜひもう1曲のほうも聴いてみてください。違う世代のポケモンに触れられるはずです。

初音ミクファンの皆さんは、10年ぶりに届いたryoさんとミクの音を存分に味わってください。そして、あなたにとってのミクとの“はじまり”を思い出してみてはいかがでしょうか。

【文:藤真唯】

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