
一人の“オスガキ”が「ぼくは可愛い」に至る過程の繊細さ──「そこがすごく人間臭いんです」『生徒会にも穴はある!』尾鳥たん役・河野ひよりさんインタビュー【連載第3回】
100の優しさを80に削いでしまう男の人間臭さ
──本作の完成映像を見た感想を教えてください。
河野:本当にすごくて……! 私の出身の専門学校は、アニメーションコースなど色々な学科がある学校なんです。声優コースとの交流はほとんどなかったのですが、たまにカリキュラムの紹介やアニメの作り方に触れる機会があって。そんな知識もあって、一枚一枚描いて動きになっているのかと思うと、すごいことをしているなと思っていました。
さらに本作のアニメはめちゃめちゃ動くので、ある意味プレッシャーも感じていました。オンエアを見てみたら、お芝居のニュアンスを絵で拾ってくださっているんだなと思ったシーンもあって嬉しかったです。
あとうなじとか頭頂部とか、これは誰がそのフェチズムを出してるんだろうって思っています。
──「今日の柄」しかり……。
河野:たしかに! あれサブリミナルすぎませんか?(笑)あと2、3秒は見たいです。パッパと切り替わって、オレでなきゃ見逃しちゃうねって感じだから……。現場の、絵を描いてるみなさんのお話ももっと聞きたいなって思っています。
──そうして熱量高く描かれる生徒会メンバーの魅力も教えてください。
河野:人間臭いキャラが好きで、寿子は個人的に好感度が高いです。欲に弱い女って見てて可愛いですね。そんな寿子から見ると、有栖やこまろは分布図的に似たあたりにいる……こともないのか……?
えっ、有栖ってなに……? 考えてみたら、なにこの女!(笑) 「演じろ」って言われたら、有栖が一番困るかもしれないですね。
──考えていることがわかりにくかったり、怖かったり。
河野:他のキャラは、やろうとしていることの割合がわかりやすいんです。こま(こまろ)は「したいからする」という行動原理で、寿子は「したいけど、社会的にしちゃいけないから、しないように行動する」。でも有栖って……こまのような考えがあるようにも見えるし、人をコントロールしようという意図を持って自分を見せているようにも見える。欲求とは違う動きをしているような気もしているから、人に対して素直になることに抵抗がないようにも……静香さんのインタビューが気になりますね。どうやって作っているんだろう。たんを演じる上で、嫌でも視界に入ってくるキャラですから(笑)、有栖は気になっちゃいますね。
こまには欲求があって、それを自由に表現するだけの素直さがあるけれど、そもそも欲求自体がささやかなんですよね。「オムライスが食べたい」「旗が欲しい」という欲求を演じるときって盛って演出したくなっちゃうと思うんです。でも(富田)美憂ちゃんは、こまが思っているだけの量を真摯に演じているように見えて。そのさじ加減ってすごい繊細だろうなって思います。
河野:内山さんも、平塚先生はクールで、機能的に波には乗っていかないというようなお話をされていて。欲求があってそれを表現してるはずだけど、量が他のキャラと違うんだろうなと解釈しました。みなさんすごいなって思いました……!
梅もまた難しそうですよね。欲求をもろ出しにする人たちを捌くから、ある意味立ち位置的にはニュートラルというか。みんなが好き勝手なことをやって収集がつかなくなっちゃって、梅は振り回されているイメージがあります。でも人間としては自分の欲望があって、それに蓋をしているニュアンスを保ったまま他の人の欲望を捌いていて。めちゃめちゃ難しいことですから、坂田さんすごいなぁって思いながらアフレコをしていました。
──梅から見たたんは、同性かつ後輩という唯一の存在であり、細かな空気感の違いを感じています。
河野:やっぱり梅に一番心を許している感じはありましたね。低音でボソッと呟くシーンも、梅に対してが多くて。
私はふたつ上のお兄ちゃんがいるんですけど、お兄ちゃんと弟みたいな気持ちで喋るぞという感覚でした。梅もたんのことをそう思ってくれていたら嬉しいなって思います。
──かつてのたんは独りぼっちでしたが、今はこんなに温かい生徒会に囲まれていて。
河野:愛について考えてしまいますね。愛情表現ってエッチなことだけじゃないって思います。みんなの分の手袋を買ってあげるのも、たんちゃんなりの愛ですから。愛情表現としてのエロスを知らないのが、私的にはエッチだと思いました。まだガキだなって(笑)。
──(笑)。改めて、たんの魅力を教えてください。
河野:(考えて)スクイーズのような男です。引き伸ばしてもちぎれなくて……『生徒会にも穴はある!』を読むか、スクイーズを触るとたんの魅力がわかると思うのですが……ある種のキュートアグレッションなのかもしれません。これがキャッチーな魅力でしょうか。
そして、人間が愛を知っていく過程をたんを通して見れると思っています。たんは、100の優しさをもらったとしても素直にすべてを受け取れる子じゃなくて、80に削いでしまうところがある。その受け取れなかった20が何だったのかは、作品を読んでみると動機に基づいた行動だったりするんですよね。例えば照れなのか、くすぐったさなのか。「自分はそこまで持ち上げられる人間じゃない」という卑屈さなのか。そこがすごく人間臭いんです。感情の発露の仕方が違うだけで「この感情、俺と一緒だ」と発見できると思います。たんに注目してみると立ち返れるかもしれません。深い男です。
あと声変わりしちゃうと私が演じられなくなっちゃうかもしれないので、声変わりしないでほしいです……! あんまり早く大人にならないでね……。
──(笑)。最後に第6話以降の注目ポイントを教えてください。
河野:(間髪入れずに)乳首当てゲームですね! たんの過去エピソードにも注目してほしいです。
漫画で知っている話を改めてアニメで見られることの良さって、漫画とアニメで間の使い方や気持ちの流れ方が変わるところだと思うんです。「早く有栖、次のこと喋って」みたいな気まずさが、ちょっと甘酸っぱくて良かったり。漫画で読んだことがある話でも、アニメに落とし込まれたとき、きっと受け取り方が変わります。
『生穴る』で青春を感じられると思います! 「くぅ〜!」と思っていただける話がたくさん用意されているので、楽しみにしていてほしいです!
【インタビュー:西澤駿太郎】
『生徒会にも穴はある!』インタビューバックナンバー
『生徒会にも穴はある!』作品情報

放送情報
2026年10月3日(土)24時30分より各局にて放送中!
TOKYO MX:10月3日より 毎週土曜24:30~
BS11:10月3日より 毎週土曜24:30~
群馬テレビ:10月3日より 毎週土曜24:30~
とちぎテレビ:10月3日より 毎週土曜24:30~
AT-X:10月6日より 毎週火曜23:30~
※規制解除版
配信情報
dアニメストア・AnimeFestaにて地上波同時・最速配信!
ほか各配信プラットフォームにて順次配信!
■詳細はこちら
キャスト
水之江梅:坂田将吾
古都吹寿子:白石晴香
陸奥こまろ:富田美憂
尾鳥たん:河野ひより
照井有栖:石上静香
平塚敏深:内山夕実



































