
『青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない』梓川咲太役・石川界人さんインタビュー|「二十代の頃は共感、三十代では感動」8年間演じてきた咲太への特別な思い
2026年10月16日(金)に公開された『青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない』をもって完結を迎えたアニメ『青春ブタ野郎シリーズ』。
電撃文庫から刊行されている鴨志田一先生の小説を原作とし、およそ8年も展開されてきた人気シリーズが完結を迎えるにあたり、アニメイトタイムズでは梓川咲太役・石川界人さんへのインタビューを実施しました。
収録の裏話はもちろん、完結編を迎えるにあたって、作品や長い間演じてこられた梓川咲太というキャラクターについても伺っています。過去のシリーズを踏まえたお話もありますので、ぜひ全てのシリーズ作品をチェックした上でご一読いただければと思います。
咲太がいずれは手放さなければいけないと思っているものとは
――シリーズ完結作となります。まずはこれまでを振り返っての心境からお願いします。
梓川咲太役・石川界人さん(以下、石川):第1にありがたいという感想が出てきます。アニメ『青ブタ』シリーズはこれまでTVシリーズから劇場版3本、そしてまたTVシリーズに戻ってこの最後の劇場版というかなり特殊な編成で展開されてきました。
しかも、その物語は一繋がりになっていて、どれかを見逃してしまうと、途中で振り落とされてしまう。でも、そういう声ってあまり聞かなかったんです。応援してくださっている方とゆったりと一緒に歩いて来られた作品だとひしと感じています。共に歩んできた道のりがここで終わるのは寂しいですが、それも含めてこれからいい思い出になるんじゃないかなと今は考えています。
――ここまで『青ブタ』ファンのみなさんがついてきてくれたのは凄いことですよね。
石川:きっとこの道のりの途中で新たに入ってくださった方も多いと思います。途中からでもこれだけ長いシリーズを全部ご覧になるなんて、タイムパフォーマンスが重視される現代においてはかなりコストが高いはずです。それでも見たいと思ってもらえるなんて、本当にありがたいです。関わってくださるメインスタッフの方々も大きく変わることがなかったですし、これはひとえに原作の魅力だと思います。鴨志田先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
――『青ブタ』に関わって思い出に残っている出来事もお教えください。
石川:これは『ゆめみる少女の夢を見ない』の舞台挨拶回りですね。新型コロナウイルスが流行する前のことだったので、全国各地の多くの会場に立たせていただきました 。かなり過密スケジュールだったので当時は大変だと思ったものですが、コロナ禍を経てそういった機会が少なくなった今振り返ってみると、本当に貴重な機会だったんだろうなと感じます。やっぱりこの作品を好きな方たちと、この作品を好きなスタッフ・キャストが作品の好きなところを語り合う環境はとても幸せな空間ですし。またああいった機会があればうれしいですね。
――『ディアフレンドの夢を見ない』の物語の印象も教えてください。
石川:これまでの思春期症候群は咲太自身が行動すれば状況が改善していましたが、今回は動きたくても動けません。心の整理が追いつかないことが多かったと思います。それはヒロインたちだけでなく、咲太自身もそうなんです。今回はそんな状況の中でも咲太自身がしっかり考えた上で選択せざるを得ないんです。ですが、それをしたからといって、状況が改善するかどうかもわからない。
だけど、そうすべきだと思うことをやるんです。そういった決断はどうしたって苦しいものですし、今までの向き合い方とも違う。すべてがすっきりするようなことがなくて、咲太を演じた僕としてはすっきりはしないけれど「飲み込むことを決めた」という感覚です。それはまだ消化しきれていないけれど、それでもそうしなければならなかった。
――ご自身としても整理できないものがあったと。
石川:『ゆめみる少女の夢を見ない』の時のような誰かの命が関わるようなものではなく、今回は精神的なもののお話なので、そこの感覚の違いもあったかなと思います。これを捨てたら自分のアイデンティティが崩壊してしまうぐらいのものを、それでもいずれは手放さなければならないと薄々感じていて、ついにその時が来てしまったかのような感覚と言えばいいのかもしれません。
それは自分の意思で決めたのではなく、そうせざるを得ない状況があってのもの。なのでこれまでの瑞々しい思春期の物語とは一味ちがった、大人のヒューマンドラマのような印象があるなと僕は思いました。
――収録現場の雰囲気や印象に残るエピソードもお教えください。
石川:僕が入り時間を勘違いして現場に入るのがギリギリになってしまったことですかね……。普段は余裕をもって現場にはいるのですが、その日は朝早くの収録だったので、さすがに何かお腹に入れておかなければと思ってコンビニに寄ったりしていたところ、ふとスケジュールを確認したら時間を勘違いしていることが発覚しまして……。
駆け込みで現場に入ったらもう収録が始まるところでした。なんとか息は整えたのですが、汗がどうしても止まらず。周りのみなさんに「体調悪いんですか?」とご心配をおかけするような事態になってしまいました。
特にコミュニケーションを取る暇もなくマイク前に立ったので、その時の僕の事情なんてみなさん知る由もないんですよ。でも、部屋は涼しいはずなのにマイク前には異常なほどに発汗している役者がいる……それは心配にもなりますよね。
一同:(笑)。
――完結編の収録ということで、これが最後といった雰囲気になりそうです。そういったお話をキャスト間でされたりしたのでしょうか?
石川:終わってしまうのが寂しいという話はしましたが、どこか吹っ切れたような印象がありました。寂しいけれど完結編まで演じられたことは本当に幸せですし、そういう空気でアフレコは進みました。『サンタクロースの夢を見ない』から入ってくれた方たちも寂しさや、完結編まで描けることの凄さを口にされていました。やっぱり10年近く同じ作品に携わっているので、各々特別な思いはあったかと思います。




































