
一人の“オスガキ”が「ぼくは可愛い」に至る過程の繊細さ──「そこがすごく人間臭いんです」『生徒会にも穴はある!』尾鳥たん役・河野ひよりさんインタビュー【連載第3回】
みんながそれぞれ、ちょっと変。でも、それがなんだか妙に可愛く思える。個性豊かすぎる生徒会の、賑やかでフツーな毎日を描くTVアニメ『生徒会にも穴はある!』が、2026年10月より放送中!
アニメイトタイムズでは本作をもっと深く楽しむための連載インタビューを実施。第3回となる本稿には尾鳥たん役・河野ひよりさんが登場です。
作中はもちろん、我々の生きるこの世界においても、あらゆる話題をかっさらい続ける“オスガキ”のたん。作品に深く潜った河野さんが感じる人間臭さとは。
かつてぼっちだった僕たちへ捧ぐ青春の物語。可愛くて有能で、ちょっとだけ捻くれ者の人間のオスを支点に、彼らの日常を覗いてみませんか?
「男の子」だけではない尾鳥たんのアイデンティティを見つめて
──配信中のラジオ番組『生徒会にも穴はある!ラジオ ~Perfect Tan On Air~』(略称:穴ラジPTA)ですが、改めてパーソナリティとしての意気込みをお聞かせください。
尾鳥たん役・河野ひよりさん(以下、河野):とてもバランスが重要な役割な気がしています。むちまろ先生が作られた『生徒会にも穴はある!』の世界を魅力的にPRすることが、一番の私の使命。そう思いながら第1回からの収録に取り組んでいます。
──反響などは届いていますか?
河野:おおむね好評かなってホクホクしていたのですが、コメント欄に「アニメは下品なギャグアニメなんだから、ラジオももっとやれ」って書かれていて。「別に下品な作品じゃないんですけど!」と(笑)。そのコメントに良い意味でカチンときて「やってやるよ!」って思いました。
──さらに気合が入ったのですね。
河野:今日もラジオの収録だったのですが、朝早く起きて、良い感じにネジを外せるようなメンタルに仕上げてきました。でも思い返すとこの作業は、本編のアフレコのときもしていたんです。
色々準備はするけれど、最終的に当日やることといえば「ネジを緩めること」。深く考えすぎずに、粗削りなものでも持っていって、みなさんとともに上手く彫刻していく感覚でした。ラジオも同じ気持ちで取り組むことができているので、どんなコメントもありがたいなと思います!
──視聴者のみなさんによる目安箱の投書も楽しみですね。
河野:お悩み相談をされることって普段ないので、新鮮で楽しいですね。上手くやれるかどうかではなく、やるかどうかが問題なんだなって思いました(笑)。なのでぜひお悩み相談してほしいです。
──ゲストがいらっしゃった回の収録はいかがでしたか?
河野:坂田(将吾)さんとの第3回は、作中の梅とたんのように振り回せたんじゃないだろうかと!「しめしめ」という気持ちでした。
一方で(石上)静香さんとの第4回では「ここが『穴ラジPTA』の天井だ」と思っていたものをぶち壊してくださった感覚でした。「ここまでやっていいんだ!」と思いましたし、さすが静香さんだなと。本当に勉強になりました。ゲスト回の2周目があればいいなって思っています。コメント、いっぱい書いてほしいです!
──ラジオも魅力な本作。原作に初めて触れたときの印象や感想をお聞かせください。
河野:まずめちゃめちゃ絵がかわいいですし、不思議と「このセリフ、どこかで見たことあるかも」というシーンがあって。インターネットをやってたらサブリミナル的に『生穴る』を吸収する瞬間があるんですかね(笑)。
オーディションを受けるにあたって、作品の中身のことだけじゃなくて「いつから連載が始まっているんだろう」「どこで掲載されているんだろう」と調べていったら「次にくるマンガ大賞 2023」で第1位を受賞されていて。大きい原作だと思いました。その当時、出ていたのは第7巻までだったかと思いますが、本当に一瞬で読み終えましたね。めちゃめちゃ魅力的な作品だなと思います。
──テンポの良いギャグはもちろんですが、魅力はそれだけではないですよね。
河野:第2巻ぐらいまで読んだときは割とぶっ飛んでる世界観というか……普通だったら「こんな部活の許可下りないだろ」みたいな世界観が目立っていました。でも「このキャラクターはどんな動機で動いているのか」「この世界の倫理観のルールは、何がフックになっているんだろう」という建付けが、読み解けるような仕組みで作られている気がしています。ただ荒唐無稽なのではなくて、ちゃんと世界にルールがある。読んでいてすごく気持ちよかったです。
たんも「なんでこんなに男を引っ掛けるような習性なのか」「どうしてみんなをからかって生きているのか」について、きちんと動機が描かれています。読み手の心地良さを作ってくださって、ありがたい作品だなと思います。
──軸が一本あって、そこから物語が生まれていると。
河野:キャラクターを作る上でも「こういう描写があるってことは、きっとこういう仕組みで心ができてるのかな」とわかるんです。ただ変なことをしているのではなく、しっかりとした目的があることが一人ひとりの魅力ですね。オーディション頑張るぞと思いながら、あっという間に読んじゃいました。
受かる可能性があるとしたら(古都吹)寿子だなって思っていたんです。たんは塩梅が難しいというか、アニメ化をするにあたって「何が最も求められているアイデンティティなのか」という読み解きが難解で。男の子という特徴が大事なところだから、声の作り方的にちょっとキーが低いほうがいいのか。骨格からして「男の子」の声帯の作りの方がいいのかなって思いながら読み進めていきました。
──そこから、どのような着地点を見つけたのでしょうか。
河野:たんのアイデンティティはそこよりも、反応鮮度の良さとかリアクションの大きさとか、人をからかうときの表情に人間的に魅力がある。「男の子」は、あくまでもそれらを引き立たせるスパイスなのかなと。テープオーディションのテイクを重ねていく中では、男の子であることを意識した役作りよりも「どのようにリアクションしたら、どう聞こえるんだろう」という意識に注力して作りました。
──実際のアフレコでの手応えはいかがでしたか?
河野:第4話くらいまでは、反応の面白さを意識してお芝居するようにしていましたが、だんだん「こう言ったら、こうやって生徒会のメンバーの声が返ってくるだろうな」というイメージができてきました。そこから「たんって意外と手がでかいな」「肩も意外となで肩じゃないんだな」という特徴を拾いに行くお芝居にリソースを割くようになりました。
リアクションの面白さはみなさんと会話をする中で引き出してもらえるから、もっと違うところも表現してみようかなという意識も生まれてきて。話数も後半の方からは「男の子」も大事にしながら演じることができたんじゃないかなと思っています。人間性の方を先に重視していました。
──その結果が、梅に「リコールしろ」と言われて納得してしまうぐらいの「尾鳥たん」だったのですね。
河野:あはは! たんのイメージって視聴者のみなさんの中でも一本じゃないのかなって気もしているんです。そもそも本作の魅力も一概に言えるものではないですよね。エロコメディで、肩の力を抜いて笑えるところを最大の魅力として感じている方もいれば、人間ドラマに魅力を感じている方もいる。なのでたんに関しても、どこを重視するかによって演じ方が変わってきちゃうなと思っていました。
──PV動画のコメント欄では「声がピッタリ」というコメントで溢れていました。
河野:自分がオタクだとして、アニメ化した作品を見て「ああそう、この声!」ってなるのが一番嬉しいじゃないですか。なので本当に嬉しかったです!





































