日本ナレーション演技研究所

日本ナレーション演技研究所

日本ナレーション演技研究所出身 本渡 楓さんインタビュー 後編

2017-12-26 10:00:00

PROFILE

本渡 楓(ほんど かえで)

3月6日生まれ。愛知県出身。アイムエンタープライズ所属。2015年にアニメデビュー、同年に『かみさまみならい ヒミツのここたま』の主人公・四葉こころ役、『不思議なソメラちゃん』のメインキャラ・野乃本ククル役を務める。2017年10月に始まった『アニメガタリズ』で主人公・阿佐ヶ谷未乃愛役を演じる。2018年1月から主人公・衛藤可奈美を担当する『刀使ノ巫女』がスタート!

本渡 楓さんは2015年のデビュー年に『かみさまみならい ヒミツのここたま』で主役、『不思議なソメラちゃん』でもメインキャラを演じ、2017年10月に始まった『アニメガタリズ』、更に2018年1月スタートの『刀使ノ巫女』でも主役を務めるなど活躍中の新人声優です。

インタビューを前後編に分けてお届けしていますが、後編となる今回は声優をめざしたきっかけと日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)を選んだ理由や学んだこと、今後の目標についてお話ししていただきました。

日本ナレーション演技研究所 日本ナレーション演技研究所

――声優という仕事を認識したのはいつ頃ですか?

本渡 楓さん(以下、本渡さん):中学生の頃に、ずっと観ていたアニメのキャラがしゃべっているラジオ風のCDを買った時ですね。「あっ、これ声優さんなんだな」とうっすら思ったのが最初です。一番意識したのは高校生の頃ですね。演劇部に入った時、日ナレに通っている先輩が多くて。名古屋にいる声優をめざしている友達もほとんどが日ナレに通っていて、「日ナレって声優さんをめざす所なんだ。声優ってアニメの中に入れる仕事か」と。それが声優という職業を意識した瞬間でした。

――元々、アニメは好きだったんですか?

本渡さん:『NARUTO-ナルト-』が大好きで、これしか観てなかったと言ってもいいくらい。マンガもTVアニメも劇場版もCDも堪能してました。 『NARUTO-ナルト-』のキャラクターが好き過ぎて、「いいな。私もこのキャラと話したいな」とずっと思っていました。声優ならアニメの中で世界に入って、役によっては忍術も使えますし。それで「声優になればいいんだ」と思ったんです。声マネとかもして、録音したものを弟に聴かせたり。

――それが声優になるきっかけでもあり、原点かもしれませんね。

本渡さん:そうですね。自分では自信があったんですけど、「これ、お姉ちゃんでしょ?」と言われて、すぐやめました(笑)。

――なぜ高校で演劇部に入ったんですか?

本渡さん:小学5年生の校外学習で、その場にいたおばあちゃんが近寄ってきて「あんたは化粧映えする顔ね」と言ってきたんです。化粧映えという言葉を女優さんやモデルさんに使う言葉だと思い込み、いろいろなオーディションを受けました。 その時は声優にこだわらず、ドラマやモデルのオーディションを片っ端から受けたんですが、お化粧やおしゃれなどわからず、当然落ち続けて。その頃から悔しさと共に人前で表現したいという想いが少しずつ芽生えてきました。 その時に同時進行で『NARUTO-ナルト-』にハマって、お芝居という表現もアリだなと思ったんです。でも身近にお芝居に触れられる所がなくて、演劇部がある高校を探して入学・入部して、毎日お芝居ができる環境になりました。

――その演劇部に日ナレ入所者が結構いたというお話も驚きで。

本渡さん:普通、演劇部は生身でお芝居をしたい人が集うところですもんね。でも本当に多かったですよ。私が尊敬していた3年生の先輩も日ナレ生だったんですが、1年生の時、私が舞台に立ってお芝居しているのを目をつぶって聴いていて。「目をつぶって聴く分にはいいけど、目を開けて見ると舞台を全然使えていないんだよね。もっと動けないかな」と言われて、その時からお芝居と向き合い始めました。 お芝居はもちろんですが、演劇をやる過程で楽しかったのが台本読みで、「声優ってこれをやる仕事か!」と気付いたんです。その矢先に、同学年の演劇部の子に「私、日ナレに通おうと思うんだけど、寂しいから一緒に行かない?」と誘われて、「やってみるか」と急いでバイトをしてお金を貯めて日ナレに入りました。

――決断すると早いですね。通ったコースは?

本渡さん:週1回クラスですね。当時はそのコースしかなくて、週末にレッスンを受けていました。

――入った時の感想は?

本渡さん:まず驚いたのは、高校生から30代くらいの方も通われているという年齢層の広さです。年齢での上下関係とかはありませんでしたが、いろいろな年代の方と一緒に学べるので、上の方から教えてもらえることも多かったですし、上の方も新たな発見があったりしたそうで、お互いに学び合いつつ、切磋琢磨できたのがよかったです。 入所する前は、マイク前での台本読みというイメージがありましたが、いざ入ってみると、ちゃんと基礎から指導してくださって。基礎をやらせていただいたから今があると言っても過言ではないくらい大切ですね。 基礎科で教わった講師は、普段、舞台役者をされている方で、ストレッチなどを通じて体の使い方を教えてくださいました。 また、声優はマイク前でノイズを出さないよう、過度に体を動かさずに動きのあるキャラクターの芝居をしなくてはいけないので、そのための筋肉の使い方などを舞台のレッスンで教えていただきました。

――体を動かすお芝居なら、演劇部所属の本渡さんにとってはやりやすかったのでは?

本渡さん:私は物覚えが悪く、台本が全然覚えられなくて、よく怒られてました(笑)。でも日ナレと演劇部を両立できたからこそ充実した毎日を過ごせました。 また滑舌などの基本的なことは演劇部でも教わったんですが、日ナレでは口内図を見ながら解説していただいてわかりやすかったです。

――印象に残っているレッスンは?

本渡さん:2年目の本科は舞台を中心に、研修科でマイク前に移行したんですけど、3年目の時の講師の方が普段はラジオ番組のパーソナリティや駅のアナウンスをやられている方で、急にマイク前を体験させていただくことになったんです。でもアフレコというよりはボイスドラマなどいよいよ声だけの世界になって、声だけって難しいんだなと痛感しました。 その講師の方は「自分の見せ方や特技、セールスポイントを見つけなさい」と教えてくださって。当時、すごく助かったなと思うのは、ボイスサンプルの作り方をじっくりと教えていただきました。人によって得意・不得意、向き・不向きの声色や音質があることを熱心に教えてくださったことはありがたかったです。日ナレの講師の方は皆さん、親身になってくださるんですよね。

――オーディションでは、得意なことより好きなことをしがちな人が多いという話を聞いたことがあります。

本渡さん:需要と供給なんですよね。私も以前は小さい女の子をやりたいとずっと思っていて。ワガママを言ったり、駄々をこねる小さな子をやりたいと思っていたけど、いざお仕事を始めるとそういう子ってスポットで出てきたり、誰かの妹だったり、オーディションで受ける役にはそもそもいないんです。受けられる役には中高生のキャラが多くて、最初の頃は等身大の子がなかなかできなくて苦戦しました。

――基礎科からどういう流れで進んだのですか?

本渡さん:基礎科で1年、本科で1年、そして研修科の2年目が終わると同時に事務所に所属させていただきました。各科に上がる時には進級審査があるんですけど、審査は日頃のレッスンを見ている講師の方の評価に加え、事務局の方やマネージャーさんの前で自己PRをするんですが、すごく緊張しましたし、怖かったです。だから本科に上がれただけでもすごくうれしかったのを覚えています。

――本科に上がった時は高校3年生で、進路を考える時期でもありますが。

本渡さん:焦りはすごくありましたね。名古屋に住んでいたので、本科で事務所に所属できれば東京にちょうど上京できるなと。でも結果的には所属になれなかったので、進学するか、上京するかを親と話し合って。私は代々木校に転校しつつ、演劇系の大学に通おうかなと思って、実際オープンキャンパスにも行ったんですが、親からは反対されて。「もし仕事や所属が決まったら上京してもいい?」と聞いたら、「いいぞ」と言われたので、地元の名古屋の大学を受験して、合格することができました。

――日ナレのレッスンと並行して受験勉強するのは大変だったでしょうね。

本渡さん:受験勉強を始めたのは10月からで……。まあ結果オーライということで(笑)。

――高校3年間演劇部で活動し、2年生から日ナレに通い、そして受験勉強とかなり多忙な生活だったのでは?

本渡さん:忙しいという感覚はなかったです。お芝居に関することは好きなことだったので、楽しかったです。

――その後、研修科の時に事務所への所属が決まったということは大学在学中ですよね。

本渡さん:大学1年の終わり頃ですね。決まった時はすごくうれしくて安心もしました。「とりあえずスタートラインに立てた。これで親を説得できる」と。でも所属が決まる前に、日ナレが関わっている『プロジェクト758』という名古屋学院大学の企画で熱田球場をモチーフにしたキャラクターに採用されて、親に報告できたこともうれしかったです。「これで上京してもいい」って言えたことも。上京できることにもなって、それからはお金を貯めていました。

――念願叶って、アイムエンタープライズに所属が決まり、上京されて。その年にデビューも。

本渡さん:一番最初に放送されたTVアニメは『電波教師』で、一番最初にアフレコをしたのは『青春×機関銃』で「カッコよかったよ」のひと言でした。事務所の先輩の綾瀬有さんがとなりに座ってくださったり、分からないことを丁寧に教えていただいたり、助けていただきました。ただマイクワークは初めてだったので、とりあえず先輩方にぶつからないように、音を立てずにセリフを言いに行くことだけを考えていて、それ以外頭の中は真っ白でした。

――この年、すぐに『かみさまみならい ヒミツのここたま』と『不思議なソメラちゃん』でレギュラーキャラを演じることになって。

本渡さん:両方ともオーディションでしたが、受かった時はすごくビックリしました。マネージャーさんから連絡をいただいた時は、うれしくて涙が出ました。

――デビューしてすぐに大役が続いて不安もあったのでは?

本渡さん:正直、怖かったです。もしかしたらここが声優人生のピークで、後はジェットコースターのように急降下だったらどうしようとずっと思っていました。でも先がわからないからこそスリリングで楽しいです。怖いですけど(笑)。

――そのうちの1つは今もまだ演じているというのもすごいですね。

本渡さん:『ここたま』では、こころちゃんの周りにいるここたまたちを演じていらっしゃる方々はベテランの方ばかりで、ゲストも豪華なキャストの方々で。先輩たちはキャラ感を大切に、お芝居を心で演じられていて、この3年は勉強になることばかりでした。『ここたま』や『ソメラちゃん』などで得た感覚的な知識を別の役のオーディションでできるかもと考えたり、楽しかったです。

――所属後も研修科で学ばれていたんですよね。

本渡さん:所属後も通えるシステムで、私もありがたくて。所属後の1年目が憧れていた初めての代々木校で。そこでアーツビジョンの早水リサさんにアフレコや吹き替えを教えていただきました。

――レッスンの中で今も役に立っていることは?

本渡さん:すべて役に立っていますが、まず基礎的なことから言えば、舞台から始めて間違いなかったなと思います。声優をめざす人は早くマイク前のお芝居をやってみたいと思いがちだけど、体から声を出す仕組みがわかっていないと声で伝わるお芝居はできないことも理解できましたし、絵がないドラマCDや朗読などの収録時にはその難しさを顕著に感じました。 あと自分のセールスポイントを練らせていただいた3年目の研修科もすごく助かりました。人前で自分の長所を堂々と言う、アピールする度胸、挑戦、恥ずかしさ、弱気といろいろな感情が芽生えましたが、ひたすらやらせていただいたおかげで、胸を張ってできるようになったと言えるようになりました。

――実際に学んでみて感じる、日本ナレーション演技研究所の良さとは?

本渡さん:まず校舎がアクセスのいい場所にあることです。名古屋にも校舎があったことで私は学ぶことができたわけで、日ナレがなかったらここにいなかったと思います。 また受講料も、学生だった私にもバイトをすれば通える金額で、若い受講者のことも考えてくださっているなと。そのため受講生の年齢層も広くて。ジュニア声優クラスもあるので小学生からでも学べますし、大人や社会人の方でも通いやすくなっていて可能性を広げてくれます。 あと講師の方が、皆さん親身に教えてくださって。現場で活躍されている方々なので、実体験も踏まえて実践的なレッスンをしていただけたのもありがたかったです。講師の方が実演してくださることもあって、お芝居を始めたばかりの人にも優しく教えてくださいます。時には厳しく、熱心に。

――日ナレ出身者がたくさんプロになっていますが、もしかするとお仕事をしているとほとんどの現場にいらっしゃるのでは?

本渡さん:本当に多いですね。「この方も! この方も! 日ナレ出身だ!」って。それだけ出身者にお会いできるのは、現場で活躍できる声優を毎年輩出しているということで。すごいなと思うし、現場でも心強いです。同じ日ナレ出身という話題から打ち解けてお話ししたり、仲良くなったり、コミュニケーションのきっかけにもなっています。

――尊敬する声優や今後の目標、どんな声優になりたいかなど教えてください。

本渡さん:尊敬する先輩はたくさんおりますが、最近、一緒にお芝居をさせていただいた中では今年1月に『亜人ちゃんは語りたい』で共演させていただいた諏訪部順一さんと日笠陽子さんです。私が演じたひかりちゃんは、お二方とがっつり会話するキャラでしたが、収録では勉強になることばかりでした。 収録外でのトークも優しく包み込んでくれる先生のようでした。この作品では「自然な感じのお芝居で」というディレクションがよくありましたが、お二人のお芝居はキャラの素に聴こえるんです。自分がいざ現場でやってみると、改めてその難しさを実感しました。それも踏まえて、尊敬する目標の先輩です。 キャラの息使いを直に感じとってもらえるようないい意味で作り込まないお芝居を、空気を作りつつ出せる役者になりたいなと思っています。きれいな音だけでなく、日常の中にあるリアルな音も交えつつ、人間としてそこに存在させてあげられるような役者になりたいです。

――声優をめざしている方へアドバイスとメッセージをお願いします。

本渡さん:まず前後編に渡って、このインタビューを読んでくださった皆さん、ありがとうございました。実は私もこの連載が好きで、元々読んでいました。まさか、ここに私も登場できるなんてビックリしています。 声優をめざす方も読んでいると思いますが、私の実体験から言うと「思い立ったが吉日」で、やりたいという気持ち、楽しいという気持ちがすごく大事で、その気持ちがあるからこそ一歩踏み出せるパワーも大きくなります。学校や仕事などいろいろな事情があって、なかなか一歩を踏み出すのが難しい方もいると思いますが、まず週1回クラスに通ってみるのもありかと思います。 通ってみて、舞台もいいな、ナレーションもいいなといろいろな可能性が広がる養成所で、私の周りにもナレーションに興味を持った人もたくさんいました。一歩踏み出すのは難しいかもしれないけど、意外と簡単です。これも実体験です(笑)。 やりたい、楽しいという気持ちがある限り、夢に向かって必死に突き進めば、悔いのない人生を送れると思うし、人生の糧にもなるはずです。私は声優としての道を歩んでまだ若輩者ではありますが、デビューした年から『かみさまみならい ヒミツのここたま』に関わらせていただき、10月から『アニメガタリズ』に出演させていただいて、そして2018年1月から始まる『刀使ノ巫女』でも2クール演じさせていただくことになって挑戦と楽しさに満ちた日々を送っています。 今後もわくわくドキドキの声優人生を送っていければと思っています。私はジェットコースターが大好きだけど、自分自身が急降下しないように(笑)。息が長く、味がある、いい役者になれるように頑張りますので、これからも私の声を聴いてください!

<取材・文:永井和幸>

資料請求する