10月31日発売ワークスベストアルバムみとせのりこインタビュー

ワークスベストアルバム『Mille-feuille~Noriko Mitose Pop Works Best~』10月31日にリリース! 彼女の活動の歩みを集大成した本作について、みとせのりこさんに伺いました!

 「水晶硝子の唄声を持つ」と評判の高いみとせのりこさん。彼女の活動の歩みを集大成したワークスベスト作品『Mille-feuille~Noriko Mitose Pop Works Best~』が10月31日に登場!!本作は、昨年リリースしたアートワークベスト『Centifolia』と対をなす、こちらはポップワークベストと呼び得る作品。彼女が、どんな想いのもとこのアルバムを作りあげたのか?!その心に触れました。

●『Mille-feuille』には、気がつくと、うっかりお皿を洗いながら口づさんでるみたいな楽曲を、明るいところからアグレッシブでダークなものまで揃えてみました。

――ここ数年間の活動の歩みを集約したポップワークベスト『Mille-feuille~Noriko Mitose Pop Works Best~』(以下、『Mille-feuille』)。この作品は、昨年出したアートワークベスト『Centifolia〜Noriko Mitose Art Works Best〜.』(以下、『Centifolia』)と対を成す作品だとお聞きしました。

みとせのりこさん(以下、みとせ):まず最初にTeam ENTERTAINMENTさんから「ワークスベストを出そう」というお話をいただいたんですけど。わたし、とにかく芸風の幅が広いんですよ。明るくて可愛いポップな歌から、どん底で暗い弔いソングまで。ポップな曲調から超プログレまでいろんな楽曲を表現しているので、それを一つのアルバムに納めようと思うと、1枚のアルバムの中へ多数のジャンルの音楽が入ってしまうことになって、「逆に聞きづらいものになるかも?!」という懸念があったのが一つ。

 ここ5年ほどワークスベストを出していなかったことから曲数もたくさんあった……ならば「アルバムの完成度を上げるために雰囲気を2つに分けよう」ということから、まずは2枚の作品にしようということで選曲を始めました。結果、『Centifolia』『Mille-feuille』という作品に色分けしていったわけですけど。それまでもまだまだ……もう1枚作れちゃうくらいの余裕があったんですよ(笑)。

――むしろ、2枚のベスト盤へ楽曲を振り分けるのも大変だったんじゃないですか?!

みとせ:先にエッジの効いた、ものすごく凝っている感じの曲たちを『Centifolia』に収録。『Mille-feuille』へはポップソングを入れる形を取ったんですけど……。ポップソングと言っても、わたしの考え方としては本当にポップソングらしいものから、曲調は暗いんだけどすごくキャッチーな楽曲まで幅広く「ポップ」なんです。『Mille-feuille』に関しては、とにかくメロディアスでキャッチーな曲を選びました。1回聴いたら耳について、気がつくと、うっかりお皿を洗いながら口ずさんでるみたいな(笑)。そんな感じの楽曲を明るいところからすごくアグレッシブでダークなものまで揃えてみました。

●「みとせのりこの看板って何だろう?!」となったら、歌い手としての…この声質こそが看板。なのでこのアルバムへは、「わたしの持っている(歌声の)一番美味しいところをスパッと出したら、こんな感じになるよ」というのを並べました。

――『Mille-feuille』というアルバムの中、大きな流れの隆起となっているのが、5曲目に収録したダーク・ファンタジアな『D_Side of the Moon~Omegaの瞳に祝福あれ』と、10曲目に登場する『薔薇殺しのカーミラ』の2曲と感じました。

みとせ:そう思っていただけたのなら、この曲順に並べて正解だったなと思えて嬉しいです。じつは今回、マスタリングの作業が本当に大変でした。PCゲームの場合、ポップソングはヴォーカルを大きくミックスして歌を届けるんですね。

 でも『D_Side of the Moon~Omegaの瞳に祝福あれ』や『薔薇殺しのカーミラ』は、ヴォーカルをポップスより小さめにミックスし、曲全体で聴かせる形のミックスに仕上がっているんです。とくに『薔薇殺しのカーミラ』は、ゲームの戦闘曲としてBGMに流す部分が多かったので、歌のミックスもBGMミックスくらいのボリュームになっているんです。その異なるレベルを1枚のアルバムとしてどう(均等に)レベルを合わせるかには、すごく苦労をしました。主にエンジニアの方が……。

――でも、作ってる過程でそうなるのは当たり前のことですもんね。

みとせ:1曲1曲作っているときは、「その作品のテーマに合うか?」ということのみを考えていますからね。ただ、1枚にまとめあげる以上「通しで気持ち良く聴いていただきたいな」という想いが何よりも強くありますから。

――『Mille-feuille』の魅力の一つが、みとせさんの多彩な声の表情を楽しめることだと感じていました。

みとせ:わたしの場合はとくに、聴いたら「これはみとせのりこだ」と一発でわかるタイプの声だと思うんです。だから「みとせのりこの看板って何だろう?」となったら、作詞や作曲も看板ではあるんですけど、何よりも歌い手としての……この声質こそが看板。なので、このアルバムでは、「わたしの持っている(歌声の)一番美味しいところをスパッと出したら、こんな感じになるよ」という楽曲を並べようかなと思いました。

たとえば、ブルガリアンヴォイスを使ってみたりとか。同じ高音域の歌声を使ううえでも、硬めから柔らかめの高音など「どの声を使ったら、この物語が一番綺麗に語れるのか?」「今、流れている音楽に寄り添えるか?」をいつも考えながら唄います。それが歌としての表現の面白さかなと思っていますし。ボーカロイドは違うジャンルとして一旦横に置いて話してしまいますが、歌って、この世の中で唯一歌詞を唄える楽器なんですよ。それを魅力にしていることが、何よりもの強みだなと思っているんです。



●たぶん、「恋よりも愛のほうに(気持ちが)シフトしやすい感じ」じゃないかと思います。

――『Mille-feuille』には、『約束』という新曲も収録しています。ここへは、とても大きなスケールで人の感情を綴っていませんか?

みとせ:大きいというか……♪あなたが死んでも続いてゆく生命♪ですからね。「それってポップワークスとしてはどうなんだろう?」と思いながら。 じつはわたし、愛の歌詞を書くのも唄うのもすごく苦手で。だから「愛してる」とか「好きだ」という歌詞を書くと、みんなカタカナになってしまうんです。

 『Mille-feuille』に収録した『茜色の空、川の色』は、恋愛シミュレーションゲーム『フォルト!!』のエンディング曲だったことから、すごくストレートに歌詞を書いたつもりが、無意識のうちに♪やっと言える「キミガ スキダヨ」♪と書いてて。あとでそれに気づき、自分で笑ってしまいました(笑)。

――やはり、何処か心の中で照れてしまうんでしょうね。

みとせ:どうも、そうみたい(笑)。なので『Mille-feuille』に収録してある『さくら色の恋心』や『クローバー』みたいな、ホントにド直球の恋愛ポップソングを歌ってるときは、心を無にして歌ってました。或はその物語の世界観に同化して(笑)。

――恋愛ソングが苦手と言いつつ、『茜色の空、川の色』では、みずから作詞も担当しています。

みとせ:自分のオリジナル作品ではこういうポップな歌詞は書けませんが、お仕事としていただいたときは「せいいっぱい少ない女子力を絞って頑張ります!!」みたいな感じです。自分の詞ではないんですが、『クローバー』は、リスナーの方々でも「すごく好き」と言ってくださる方の多い歌。わたしは、聴いててちょっと照れくささを感じてしまうんですけど、自分が歌ってると思わないと、すっごくいい曲と思えるんですよ。『クローバー』は、ポップソングとしてすごく良く出来ていると思います。たまには、こういう曲にも挑戦してみたいかな(笑)。

――表現している内容は異なれど、『約束』と同様に『茜色の空、川の色』も、大きな視点で人の感情を捉えた歌になっていませんか?

みとせ:大きいですよね、「三年十年五十年」ですし(笑)。「今、好きー!!」という歌詞を書くのは、わたしには難しくて、どうしても気持ちのうえでのスパンが長くなってしまうように、たぶん、「恋よりも愛のほうに(気持ちが)シフトしやすい感じ」じゃないかと思います。



●これだけたくさんの曲を残せたということは、リスナーの方にも、メーカーさんからも、みとせのりこの歌を求めていただけてるということの証なんだと思います。

――『D_Side of the Moon~Omegaの瞳に祝福あれ』と『クローバー』の曲調はもちろんですが。歌詞の面でも、表現が間逆のベクトルを向いていますよね。

みとせ:かなり間逆だと思います。わたしの場合、暗いもののほうが得意と言えば得意なので。でも、暗いものの中「何処かに光があったらいいなー」と思いますし。明るいものの中にも「何処か影があればいいのかな?」と、わたしはいつも思っています。

 とくに『D_Side of the Moon~Omegaの瞳に祝福あれ』の場合、『Omegaの視界』自体が言葉遊びのふんだんに出てくるゲームなので、「ゲームそのものの世界観をどう活かそうか?!」を考えながら、♪支配と紙背♪や♪諧謔と悖逆♪、♪思索と模索♪など韻を踏んだ早口禅問答みたいな歌詞にしていきました(笑)。

ゲームの楽曲を手がけさせていただくときは、ゲームの世界にきっちり噛み合った緻密なものを作りたいのがわたしの希望。そういう意味では、『D_Side of the Moon~Omegaの瞳に祝福あれ』はものすごくやり甲斐がありました。

――『Mille-feuille』に入れた、唯一の新曲が『約束』なわけですが。やはり、この楽曲をアルバムに入れておきたかった想いが強かったのでしょうか?

みとせ:そうですね。『Mille-feuille』は割合的にも恋愛の歌が多くなった印象があったので、わたしの考える恋愛というか。「"愛って何だろうな?"というところに立ち返って書いたのが『約束』だったのかな?」という風に、わたしは思っています。

――みとせさんにとって、このワークスシリーズを出していくことは、みずからの音楽ワークス(活動)を捉えた場合、とても大切なことでもありますよね。

みとせ:そうですね。これだけたくさんの曲を残せたということは、リスナーの方にも。、メーカーさんからも、みとせのりこの歌を求めていただけてるということの証なので。それを集大成として発表していけるのは、大きな感謝の証だなとわたしは思いました。

――完成した『Centifolia』と『Mille-feuille』を、今のみとせさん自身はどのような想いで受け止めてます?

みとせ:『Centifolia』は、自分のアーティスト性をより強く反映した楽曲を集めた作品になっています。なので、そうとうエッジな感じだったと思うんですけど。『Mille-feuille』はキャッチーな感じに仕上がっていて、自分の方向性にもこれだけ幅があるんだなというのを自分で再確認できました。



●『Centifolia』は"百の花弁"という意味。『Mille-feuille』は"千枚の葉"という意味。増えて積み重なっていくものの象徴としてこの名をつけました。

――『Mille-feuille』の発売時期を前後する形で、2本のライブも決定しています。みとせさんにとってのライブとは?

みとせ:音楽は「対話によって成長していくもの」だというのは、ライブを演るたびに感じることなんです。うちの場合オケを一切流さずに全部生演奏で演ることにしているので、CDに収録した曲たちもガラッとアレンジが変わったりするんです。今回、『薔薇殺しのカーミラ』もライブで演ろうと思ってるんですよ。しかもこの楽曲、根っこにはクラシックっぽい音が敷かれているんですが、さすがにライブではそれを再現出来ないので、思いきりプログレハードメタルみたいになる予定です(笑)。『Centifolia』に入ってるストリングス・カルテットで演奏した『キネマモザイク~薔薇の筆跡~』をギター1本にアレンジしてみたり。ライブでは、一つの楽曲をいろんな形で楽しめたらいいなーって思います。

『Centifolia 〜Noriko Mitose Art Works Best〜』ジャケット

『Centifolia 〜Noriko Mitose Art Works Best〜』ジャケット

――『Centifolia』と『Mille-feuille』というタイトルにも、深い意味があるんですよね。

みとせ:『Centifolia』は"百の花弁"という意味。『Mille-feuille』は"千枚の葉"という意味。百や千という単語を入れたのは、「自分のやってきたことが積み重なってここまで来たな」という実感があるので、その積み重なりを百の次は千という数字で表現しています。

 『Mille-feuille』というタイトルも、今回ポップワークスベストということだったので、「今まで付けたことのないような可愛いタイトルを付けてみよう」と思って。その意味合いは『約束』の歌詞の中に記されているんですけど。同時に、ちょっとスイートなアルバムのイメージとも重ね合わせる意味で、お菓子のミルフィーユとのダブル・ミーニングにもなっています。

――リリースは前後しますが、9月にソロ・アルバム『vierge automatique』を発売しました。ここには、みとせさんらしさが全開になっています。とくに『Centifolia』の世界観が好きな方なら、思いきりどっぷりと浸れる作品になっている印象も受けました。

みとせ:まさにこちらは、『Centifolia』に似たプログレな感じの楽曲ばかりを集めた作品です。詳しくはわたしのHPに書いてあるので、それを読んでいただきたいんですけど、タイトルに記した『vierge automatique~擬似少女楽園廃墟II~』というフランス語部分は、「自動式少女」という意味なっています。ジャケットにも人形が映し出されていますが、人形って見た目は人間だけど、魂は入ってないじゃないですか。魂と肉体の乖離というか……。きっと同じようなことを感じてる人も多いかと思うんですけど。

 「世の中に自分が存在していることに対する違和感」みたいなことを追求した作品です。ひと言でいうと「弔って」「もう死んでた」「世界なんてどーでもいい」「外になんか出たくない」みたいな。そういう感じの楽曲ばかりを集めた、変拍子と多重録音満載な引き籠もってる感じのアルバムです。そういうのがお好きな方は、ぜひこちらも聴いてみてください。

――ありがとうございました!



◆『Mille-feuille~Noriko Mitose Pop Works Best~』/みとせのりこ
発売日:2012年10月31日(水)
価格:3,150円(税込)

【収録楽曲】
01.約束(新曲)
02.seven colors(PCゲーム「はるかぜどりに、とまりぎを。」より)
03.さくら色の恋心(PCゲーム「リリカル♪りりっく」より)
04.Starry Rain(PCゲーム「アステリズム」より)
05.D_Side of the Moon?Omegaの瞳に祝福あれ(「Omegaの視界」より)
06.茜色の空、川の色(PCゲーム「フォルト!!」より)
07.クローバー(PCゲーム「Clover Point」より)
08.Sanctus(プリズム・アーク イメージソング)
09.君の愛を信じて(PCゲーム「「リリカル♪りりっく」より)
10.薔薇殺しのカーミラ(アルバム「紅魔城伝説II妖幻の鎮魂歌」より)
11.月花-GEKKA- (アルバム「地獄歌占」より)
12.奇跡の光(PCゲーム「オレの巫女さま~オレ巫女~」より)
13.なみのうた(PCゲーム「はるかぜどりに、とまりぎを。」より)
14.sifnare Stella(アルバム「Lucce e Iombra」より)


>>SnowBlanc~みとせの部屋|みとせのりこ オフィシャルウェブサイト

[インタビュー&文・長澤智典]

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