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TVアニメ『リゼロ』スタッフ陣が語る声優のキャスティング理由

TVアニメ『リゼロ』スタッフが語る、スバル役 小林裕介さん&エミリア役 高橋李依さんら声優陣のキャスティング理由

TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』 (以下、リゼロ)の声優陣やテーマソング担当アーティストの特別インタビューを連続で掲載していく「Re:ゼロから始める取材生活」

第8回目となる今回は、プロデューサーのKADOKAWA・田中翔さん、アニメーションプロデューサーのWHITE FOX・吉川綱樹さん、原作のMF文庫J編集担当のKADOKAWA・池本昌仁さんというスタッフの皆さんが登場!

アニメの制作秘話キャスト決定のポイント10話の見どころに加え、リレーインタビュー企画で前回登場のナツキ・スバル役 小林裕介さんとエミリア役 高橋李依さんのお2人からの質問にもお答えいただきました。
 

目次

レムの鬼化とスバルのバトルのリアリティが目立った9話



――9話がオンエアされた直後ですが、9話をご覧になった感想は?

田中翔さん(以下、田中):まずは無事にオンエアされてよかった(笑)。

宣伝担当:テレビ東京さんのオンエアでは、スポーツ中継が雨天中断などあってかなり延長して、もう1プレイ2プレイあったら危なかったんです。

田中:9話の感想としてはスバルが痛そうだなと。子供の頃に野犬に襲われた記憶がよみがえりました(笑)。そういうリアリティがあるシーンができてよかったなと思います。あとレムの見せ場が始まって、9話で鬼化しましたが、これからも活躍するので楽しみにしてもらえれば。
吉川綱樹さん(以下、吉川):(アニメーション制作)現場的にもレムの鬼化は大きくて。鬼化したときの色やツノの処理をどうするのか、ギリギリの中で渡邊(政治)監督と撮影監督(峰岸健太郎)さんが開発しながら作ってくれたんです。10話が鬼化の話ではメインになりますが、9話は土台になる話だったので、個人的には良くできたかなと思います。

池本昌仁さん(以下、池本):スバル君が9話で改めて等身大で戦う姿を描いてもらって、アニメで動かしてもらうのがもったいないと思いました(笑)。特別な能力が使えるわけではないので戦い方がとても地味なので。上着を腕に巻き付けてわざわざ噛まれたところを木に叩きつけたりと。でも見ている側としては、もし自分が同じ局面になったら、便利な魔法なんかを使えるわけでもないのでああするしかないなというリアリティを感じました。異世界なのに。
吉川:絵の現場でも、スバルはできる限り、情けなく、カッコ悪くというこだわりがあって。カッコよくなっちゃうとスバルじゃなくなっちゃうので。カッコいいところはレムに担ってもらっていますね(笑)。


どうしても残したかったスバルとレムの指切りシーン

 
――9話で印象に残ったシーンは?

田中:レムがスバルを助けるところですね。スバルを鉄球で襲った相手が、なぜスバルを助けるほうにまわったのか、地道に説明したところでもあったので。そこでレムの心境の変化が視聴者の方に伝われば、9話の意味があったかなと思います。
吉川:実はシナリオ会議の際、レムとスバルの指切りのシーンは尺的な問題で残すか残さないか当落線上にあったんですが、僕が粘って残しました。コンテ作業も編集作業でのカットも乗り越えて残ったので感慨深いものがあります。あのシーンはレムが変わっていくきっかけになるシーンだと原作を読んで思っていたので、絶対にはずしたくなかったんです。
池本:森の怖さでしょうか。「森が怖い」と文章に書くのは簡単ですが、いざ絵で表現すると登場人物を見せるためにライトが当たって薄暗い森のおどろおどろしが出にくかったり、もしくは何も見えない真っ暗闇という画面になりがちなので。実際に完成した映像を見てみると本当に異世界の森らしさが出ていて、素晴らしかったです。

吉川:あれでも暗いと言われるんですけどね(笑)。

池本:そんなことないですよ! 今回のお話上、薄暗い怖さはとても重要で。一寸先にスバルが探している子供がいるのか、それとも敵がいるのかというドキドキ感が出ていてとてもよかったです。『リゼロ』は背景の方にも目配りが届いていて、そこがこの9話にもとても生きていたと感じました。


最高のシチェーションで最高のセリフの宝庫だったのがアニメ化の決め手

 
――アニメ化が決まるまでの経緯を教えてください。

池本:元々社内ということもあって、よく田中と作品のアニメ化について話をしていました。『リゼロ』のことももちろん刊行前に田中に伝えていて。そうすると、田中が突然WEBで連載していた『リゼロ』を、お風呂でiPadで全部読んだと言ってきて。

田中:池本が渾身の作品を刊行すると聞いて、全部読んだうえで、「これ、やろう!」と言った気がします。

宣伝担当:アニメ化の決め手は何ですか?

池本:カッコいいセリフ、って言っていましたよね。
田中:セリフ自体がカッコよかったわけじゃなくて、シチュエーションによって最高のセリフを言っているのが決め手でしたね。例えばただの「大丈夫」でも、一番最高のタイミングで言っていれば名ゼリフになります。『リゼロ』でスバルはそういうセリフを何度も残してくれていたから、映像化して耳で聴いた時に「おもしろいな」と思えるポイントになるんじゃないかなって。


――それはいつくらいの話ですか?

田中:2014年のどこかでWHITE FOXさんに行った記憶があります。社長の岩佐(岳)さんに話したら「考えさせてくれ」と保留になって。2回目でも保留のままで、3回目で「やりましょう」と言われたことを覚えています。めっちゃプレゼンしましたね。


――どうしてWHITE FOXさんと作りたいと思ったんですか?

田中:作品選定のとき、作品に合ったスタジオを直感で選ぶというのがあって、『リゼロ』は一番適したスタジオがWHITE FOXさんじゃないかと直感で思っただけです。


――吉川さんのところに社長から話が来たのは?

吉川:僕のところに話が来たのは2回目のプレゼンの後かもしれませんね。社長から「こんな作品来たけどどう?」と原作を渡されて読んで、「これ、大丈夫ですか?」が僕の第一声でした。オンエア的に規制が入ってしまうのではないかと。今は規制が入りやすくて、どんなおもしろい原作でも規制が入ってスポイルされてしまうんだったらやらないほうがいいというのが社長と私の間では良く話します。でもスケジュールと内容的にはハマるんだよなって言われて(笑)。

僕も田中さんと同じで原作のセリフを一番のポイントにしていて、キャラが動いた時、皆さんの一番印象に残るのはセリフで、そのセリフを言わせるためのドラマを構築していくのが楽しいんです。『リゼロ』はそういういいセリフの宝庫で、地の文から取ってもいいセリフが作れたりするので、これで行きましょうと。あと小説の大塚(真一郎)さんの絵がかわいかった。


こだわった連続2クールとスタッフ選び

 
――2クールのアニメを作るとなるとかなり負担が大きいですよね。

吉川:よくある分割2クールだろうとたかをくくっていたら、最初の顔合わせで田中さんから「連続で」と言われて。「何とかなりませんか?」と聞いたら「いえ連続で」と(笑)。

田中:やるなら2クールやらないとおもしろくないし、1クールだったらありきたりのラノベアニメと言われてしまうだろうと。

吉川:監督と総作画監督は特に重要で影響の大きいポジションなので人選はちゃんとしようと考えました。その結果、田中さんにはスタッフィングだけで1年近く待ってもらいました。

田中:スタッフの調整は長引きましたよね。(キャラクターデザイン・総作画監督の)坂井(久太)さんも他のスケジュールが入っていたので。ただ、監督の渡邊さんは吉川さんのアイデアでスムーズに決まりましたよね。

吉川:直感です。作品的に、感情表現やアクションが描けるアニメーター出身の監督がいいだろうと思っていたところ、当時制作していたアニメに渡邊さんが原画で入っていて、レイアウトに説得力があって、監督作品の『NARUTO-ナルト-SDロック・リーの青春フルパワー忍伝』を見てもキャラ芝居の演出が魅力的だったのでお願いしました。坂井さんは以前から一緒に仕事もしていたし、大塚さんの絵をなるべく再現したほうがいいかなと思っての選定です。しかも2クールの長丁場を耐えられる人というのが大前提なので、仕事のスピードと実力も考慮しました。


――2クール作品だと高いクオリティを保てるのか、ファンの方も心配されますからね。

吉川:僕らも心配です(笑)。アニメは創作なのでできることもいっぱいあるけど、2クールという決められた枠の中でやるにはある程度、ベースを決めたうえで、どこまで努力できるかというのが僕の考え方なので。でも『リゼロ』は最初からハードルが高すぎて、監督と坂井さんと食事していると「この作品は本当に疲れるね」と(笑)。めちゃめちゃエネルギーを使うんですよね。


原作の長月先生もアフレコやダビング立ち会いなどバックアップ

 
――スタッフ組みが着々と進行していくなかで、池本さんは田中さんとどうやり取りされていたんですか?

田中:基本、同じ会社でツーカーなので、「スタッフもこれでいいんじゃない?」って。

池本:事前に相談は無く、突然「決まった」って言われて、「本当ですか?」って(笑)。「どこで制作するんですか?」って聞いたらWHITE FOXさんと。でも、それでもう本気さがわかりました。田中はポーカーフェイスなので、普段からどれくらい本気なのかが伝わりにくいんです(笑)。自分が何度もプレゼンしてるとか、過程での苦労などは一切見せてくれないですし。『リゼロ』自体、カウンターカルチャーな作品だと思っていたので、作品の芯や骨になる部分をちゃんとすくいとって作ってくれるタイプの人や制作会社さんとやったほうがいいと思っていたので。このスタッフィングの本気度で疑う方が失礼だと感じて、もちろんすぐにOKと。


――ちなみに原作の長月達平先生にはアニメ化をどのように伝えたんですか?

池本:いろいろな報告をするなかに紛れ込ませて、さらっと(笑)。内心うれしいけど、アニメ化自体は2年くらい先の話だし、進行中の小説の執筆に集中してほしかったので。


――アニメ化にあたって長月先生からオーダーはあったんですか?

池本:特別なものはなかったですね。全部の脚本にも目を通しているし、アフレコもダビングにも立ち会っているので、そこで基本的な作品性のすり合わせができたのかなと思っています。

吉川:むしろ僕らから提案するのが主なので。先生はお世辞抜きでコミュニケーションが取りやすいし、現場的には助かります。

田中:いちスタッフ的な目線で話してくれるので有難いですね。

池本:いいアニメにするためにはどうしたらいいのか、という目線ですね。


初回1時間SPや本編尺を長くとるための方法など施された創意工夫

 
――アニメを制作するなかで大変なことや苦労したことは?

田中:放送が大手キー局だったので規制の心配はあったんですが、極力、自由に作れるように座組を整えるとか、1回の本編の尺をたくさん取れるようにするとか、『リゼロ』をおもしろく見せるための下準備として、中身以外のところでいろいろ苦労したところはありました。

吉川:OPとEDまですみません……。

田中:音楽担当にも粘り強く説明しました。OP・EDを削っている分、本編が長くなっているので、「WHITE FOXさんありがとう」ということでもあるんですけど。ある程度、自由にできる環境作りは製作側として多々、手を入れたところです。
吉川:田中さんの配慮は現場的にはありがたい限りでしたね。一番大変だったのはシナリオで、原作をスポイルしすぎるとダイジェストにしかならないし、膨らませすぎると2クールに収まらない。個人的には番外編にあった特典小説も入れたかったし、キャラのバックボーンも入れたかった。そうすればスバルのウザい理由も描けたし、キャラもの的な要素も増やそうと思えば増やせたけど、エンターテイメントに徹しようと。それでも尺が足りなくて。でも田中さんが「大丈夫です」のひと言で現場のムチャを叶えてくれました。

田中:大丈夫になりましたね。最終的には。初回が1時間スペシャルというのも調整が大変でした。編成上、1時間にできない可能性もあったので。しかも1話と2話合わせて1時間じゃなくて、1話で1時間だったので1話+2話よりも尺がはるかに長いし。

吉川:正直、厳しかったです(笑)。

田中:1話は前半パート終わりでちょっと盛り上がって、後半パートへという構造になっていないので、視聴者の皆さんからも賛否両論でした。途中で耐え切れなくて見るのをやめた人もいたり、「半分観て疲れた」という感想もありました。1話は全部見て成立するように作っているので、是非通して見てほしいですね。


1話でWHITE FOXが挑んだ試みと譲れなかったPVのクオリティ

 
――放送後はかなり反響もよかったような。

田中:1話を最後まで観て「よかった」、「おもしろかった」と言ってくれた人が多かったし、話数が進むにつれ、途中から戻ってきてくれた人もたくさんいました。

吉川:1話は大変でしたね。監督も「今風な演出は使わず、映画みたいに世界を広く広く見せる演出をしていきたい」と言っていて。「それは現場の首を締めることになるんですよ」という話もあったけど、「後で何とかするから」という約束でした。だから王都の中にいるモブもそうですが、『リゼロ』では通常のテレビシリーズよりはかなり多めな3Dモデリングの数とアニマティクスの数で制作していて、そこはファンの方にも受け入れてもらえたようでよかったです。

池本:背景にいるモブキャラも細かく動いているのがよかったですね。

吉川:意識してモブを動かすのは初めての試みだったんです。せっかく3Dで作っているんだから街に活気が出るようにと。時間も差し迫っている中で3Dチームにも頑張ってもらいました。3Dに関しては先行上映会の前日に1話が上がり切ったくらいです。
 
――そうだったんですか!? でも劇場の大スクリーン映えするクオリティで感動しました。

池本:そういえば先行上映会より前には、PVも作れなかったんですよね。

吉川:田中さんには申し訳なくて。

宣伝担当:3月20日に先行上映会があって、25日頃にPVが完成しましたね。

池本:原作付きのアニメ化の場合だと、3月の初旬にPVを公開して、書店含めていろいろなところで放送前に広く流していくというのがある意味ルーティンみたいなところがあります。けれど、直前にはしっかりしたPVを出したいという製作側の気持ちのオーラを感じたので、待とうと。



田中:一番最初に作ったアニメ化決定のPVに力を入れすぎたところもあって。

吉川:僕も思っていました(笑)。

田中:あれよりもしょぼいものを出すとファンの方にも劣化したと言われちゃうので。

池本:でもここまでしっかりした打ち合わせもできていたし、アニメに関わってきた方々を信頼できていたので、前例は無視していこうと覚悟はできました。そして上映会で第1話を見たら圧倒されて。本当に待ってよかったと感じました。

宣伝担当:宣伝としては放送直前のタイミングは、すごく困りましたけどね(笑)。

一同:(爆笑)

宣伝担当:いろいろと企画していたプロモーションを見直さないといけなくなって、とりあえず先行上映で本編を見てから考えようと。本来、放送前の作品に興味を持ってもらうのが僕らの仕事なんですが、『リゼロ』は放送を見た視聴者の皆さんが「おもしろい」と自然と興味を持ってくれて。明らかな手応えを感じたのは3話あたりで、それ以降はツイッターや壁紙プレゼントなどどんな企画をしても反応が良くて。今思えば笑い話になるけど、放送前まではすごくやきもきしてましたね。逆に始まったら安心しかなかったです。


スバルのウザさは重要なポイント

 
――『リゼロ』はOP、EDがない回が多いほか、意外な終わり方や1話の中で話がどんどん展開するなど、毎回サプライズが仕掛けられていて。

田中:意外に皆さん、好意的に見てくださるのでありがたい限りです。作っている側は何回も見ているので、おもしろいのかどうかわからなくなってくるので、皆さんが楽しんでくれてよかったです。


――あと主人公なのにスバルがウザいという声も多いようですが?

田中:もしウザさを指摘されない作品だったら話題にもなっていなかったと思います。スバルのウザさをゼロにすることはやろうと思えばできたけど、物語の主軸がズレてしまうし、少年の成長譚にはならず、ただの俺TUEEEE系になっちゃうので。すごくダメな主人公がダメさを克服して、一人の大人になっていくお話なので、少年感やくそガキ感は残してあげなきゃいけないと。
吉川:シナリオで苦労したのもそこで、基本的には原作をシナリオにする時、大事なセリフはそのまま残して、他の言葉は理解しやすいように変えるんです。『リゼロ』では、監督も最初から「スバルはウザくていいんだ」と、原作のセリフをできる限り残しています。この先のスバルの成長を描いていく課程で、一番説得力の出る言葉として機能してくれるようになるはずです。

田中:スバルが何でひきこもりなのかわからないという声もありますが、これも見続けていただければわかるはずなんですよね。

池本:面白かったのは予想以上に早く、皆さんが物語にひきこまれてくれた事です。序盤のスバルはとんがっているし、お話もそこまで派手なこともないので、もっと話がまと見えてきたところ、11話くらいで「この作品って実はこうだったんだ!」と好きな人が増えてくるのかなと思っていました。ところが序盤から視聴者の皆さんが、「この作品は何かある」と早い段階で気付いてくださって、それが意外でしたね。原作側からすると膨大な物語をぎゅっと圧縮していることもあって、「これ、見ている人に一発でわかるのだろうか?」と心配していたシーンが多かったんです。心理描写とかが特にそうですね。けれど、見てくれる方が思い思いに考察したり、推理・想像して楽しんでくれているのがわかって、とても嬉しかったですね。


スバル役とエミリア役が決まったポイントは?

 
――では今のお話の流れからリレー質問企画へ。スバル役の小林裕介さんとエミリア役の高橋李依さんからの質問ですが、まずは小林裕介さんから「僕達(小林さんと高橋さん)に決まった経緯は?」という質問をいただきました。

田中:小林さんの決め手は、声に漂うそこはかとないゲスさですね。ゲスい演技が生々しくてピッタリあっていたのでまさに当て役みたいな感じです。スバルが実在したらこんな感じだろうなと。

吉川:『リゼロ』のキャストオーディションは最初、テープだったんですけど、その段階から満場一致でした。

田中:死ぬ演技も含めて、視聴者の皆さんからの評判もいいので正解でしたね。
 
――エミリア役の高橋さんは?

田中:エミリア役はかなり難航しましたね。高橋さんは最初、候補にいなかったんですが、こちらからお願いしてオーディションを受けていただきました。高橋さんに決まったのは透明感ですね。エミリアは透明感のあるキャラなので、透明感のある声が欲しかったから。
池本:神聖さだけでなく、普通の女の子らしさも欲しいと思っていました。あまり“キャラクターすぎる”のも嫌だなと。エミリアは姿形がすごくきれいで、精霊使いだけど、素の一人の女の子としてスバルの相手をする、ピュアさやナチュラルさが欲しかったんです。


スタッフも泣かせるエミリアの名演に注目!

――続いては高橋李依さんから「音声が付いてよかったなと思うシーンは?」。

田中:8話でエミリアがスバルをひざ枕したシーンや6話でエミリアがスバルを励ますシーンは絵に、更にかわいさを与えてくれたと思います。

吉川:『リゼロ』はよくレムがメインヒロインと言われますが、監督は「エミリアがヒロインだから」と、アニメ版では絵コンテからの絵作りでエミリアを推しているところがあって。1話でのスバルとの出会いのシーンで高橋さんでよかったと本当に感じられたし、8話は期待したとおりにやってくださったのでうれしかったです。

7話のスバルもそうですけど。絵の担当は相当プレッシャーを感じてました。キャストの皆さんの芝居がかなり迫真に迫っていたので、絵も負けてられないと。特にキャラクターデザインの坂井さんは、常に音声を聴きながらカットの絵を描いているのですが、キャストさんの芝居に引き込まれて、気持ちが揺さぶられて大変だそうです。
池本:高橋さんは、どんどん自分からスタッフに質問をしに来てくれるんです。「このときのエミリアの心情ってどんな感じなんですか?」って。そういうやりとりを経たからなのだからか、回を増すごとにエミリアが高橋さんに乗り移ったかのようになっていって。これから先エミリアはとんでもない出番があるので、高橋さんの演技をぜひ楽しみにして見て欲しいですね。


スバルとエミリアが等身大で向き合ったときの演技に期待

――最後にまた小林さんから「今後のスバル、エミリアに求めるものや引き出してほしいと思うことは?」。

田中:スバルはいろいろ苦難が待ち受けているので、それを乗り越えた後のスバルと、前半のスバルの違いですね。「こいつ、生まれ変わったんだな」と思わせてくれる演技をしてほしいです。

池本:エミリアは今、E・M・T(エミリアたん・マジ・天使)と言われるような偶像化されたような美少女として描かれていますが、ここから先は頑固で面倒くさかったりと等身大の女の子らしさが顔を覗かせてきます。そして、これからのお話の中で二人は、”ただのスバルとただのエミリア”として向かい合っていきますが、今の感じで演じてもらえたら、言うことはありません。

吉川:キャラの成長を描くことが物語だと思っていてスバルもエミリアも一人の人間として成長したと思ってもらえるように絵も頑張るので、お二人にもお芝居を頑張ってもらえれば嬉しいです。今までも満点以上の演技をしてくださっているのですが、さらに盛り上げ貰えればと思います。


すぐに決まったベアトリスとロズワール役、レム&ラム姉妹は落差が決め手

――スバル、エミリア以外のキャラを演じるキャストについて決め手やポイントがあれば教えてください。

吉川:ベアトリスの新井里美さんもほぼ全員一致でした。

田中:ロリババア感ですね(笑)。かわいいだけでなく、永く生きてきている感じというか。キャラ設定の根幹を考えると演技力があって、演技に深みがあるキャストさんじゃないと演じられないと思ったので。

池本:レム役の水瀬(いのり)さんはかわいいだけでなく、鬼化した際のすごみがあったのがよかったですね。

吉川:ラム役の村川(梨衣)さんもそうですが、落差がちゃんと出ていたので。

池本:萌えよりも、もう1つ先の闇の部分を演じる深みが欲しくて。ラムレムのお互いを思いやるがうえに悲劇に繋がるシーンでの演技が素晴らしかったですね。

田中:村川さんはこういう演技もできるんだという驚きもありました。皆さんもラムを村川さんが演じていると気付かず、驚いた人も多いと思います。
 
――ちなみにキャストに大人気のロズワールの子安武人さんは?

田中:シナリオ打ち合わせのときから子安さんかなと言っていた気がします。

吉川:スケジュールを確認して、OKだったので決め打ちで。全部持っていかれるだろうなと思っていましたが、予想どおり持っていかれました(笑)。


<次ページ:キャストの熱演に思わず、ブース外のスタッフも無言に>

(C) 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会
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