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TVアニメ『リゼロ』14話の特殊EDに込められたイメージとは

TVアニメ『リゼロ』14話の特殊EDについても言及!MYTH & ROIDが語る新OPテーマ&カップリング曲に込めた想い

TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、リゼロ)の声優陣やテーマソング担当アーティストの特別インタビューを連続で掲載していく「Re:ゼロから始める取材生活」

アニメイトタイムズにて掲載中の本企画、第19回目では第1クールのEDテーマ「STYX HELIX(ステュクス へリックス)」に続き、第2クールでもOPテーマ「Paradisus-Paradoxum(パラディスス パラドクスム)」を担当するMYTH & ROID(ミスアンドロイド)のボーカルMayuさんとプロデューサー&ギターのTom-H@ckさんが登場!

14話で初披露となったOPテーマ「Paradisus-Paradoxum」のコンセプトや制作秘話、聴きどころと、同じく14話のみの限定のEDテーマ「theater D」についても語っていただきました。また前回登場のナツキ・スバル役の小林裕介さんとパック役の内山夕実さんからの質問にもお答えいただきました。
 

目次

絶望感をとりわけ強く感じる第3章



――ここまで『リゼロ』をご覧になった感想と第3章に入っての印象を教えてください。

Tom-H@ckさん(以下Tom-H@ck):1話からずっと見ていますが、おもしろくなかった回がなくて。第3章に入ってからは、楽曲を作る時にもそういう発注があったんですけど、テーマとして「絶望」がとりわけ強いなと思いました。

Mayuさん(以下Mayu):第1クールでは死に戻りを軸に、衝撃的なシーンや絶望が回を追うごとに濃くなったり、ベクトルが変わっていたりするな、と感じました。第2クールに入ってからはより物語上で不穏さを匂わせていましたが、その通りになって。私はスバル君に似ているところがあって、共感しながら見ているので、彼があがいてどんどん絶望していくごとに心が痛みました。
――第1クールでは絶望や衝撃的なことが起こってもホッとできる瞬間や和やかなシーンがありましたが、第2クールではひたすら絶望の連続で、キャストやスタッフ陣だけでなく、見ている側もキツい展開が続きました。

Tom-H@ck:作っていたり、声をあてている方からしたら絶望をずっと感じながらお仕事するわけで結構辛いですよね。そして見ている人も。苦しみのループ的な。

Mayu:でも絶望の見せ方が上手だなと思いました。スバル君が感じたり、経験する様々な絶望をわかっているのは彼自身と見ている私たちだけなので。だからこそ苦しいけれど、分かち合えるものもあって、そこに魅力を感じるんです。


OPらしい強さと「STYX HELIX」の浮遊感を同期させた新OPテーマ

――後期OP曲「Paradisus-Paradoxum」を担当されていますが、どのようなイメージで作られたのでしょうか?

Tom-H@ck:おかげさまで「STYX HELIX」が好評だったので、その後でしかも今回はOP曲ということで、強い曲にならざるを得なくて。


――自分たちでハードルを上げてしまったような。

Tom-H@ck:僕らはハードルを上げ続けて仕事をしなければいけないんですけど、今回は特にそういう感覚が強かったです。

今作ではOPらしい強さに加え、「STYX HELIX」のような浮遊感もどこかで感じさせたいなと。『リゼロ』の世界観がそれを求めているというのもありますし、強いものと浮遊感・弱いものの同期といった部分で、どれだけバランスがとれるかは意識しました。

制作サイドからのオーダーは、OPだからガッツがある感じで派手に、みたいな大枠はありましたが、細かい部分では特になくて、お任せいただきました。

Mayu:私たちにとって初OP曲なんですけど、OPらしからぬ不穏さを出していますね(笑)。


――イントロで不穏さを醸し出した後、歌い出しやオケはさわやかになって、Aメロになるとボイスの加工などまた妖しくなって、BメロではMayuさんの歌声がエモーショナルになり……と1曲の中で様々な表情を見せる曲ですね。

Tom-H@ck:かなり切り替えが激しい曲ですよね。

Mayu:まさに第3章の『リゼロ』の内容にピッタリな曲だなと思いました。

Tom-H@ck:14話でオンエアされた後の反響も大きくて。OPの映像も素敵なものだったので、楽曲にマッチしたんでしょうね。


話題になった曲名の意味と謎解き感のある不思議な歌詞

――曲名は第1クールのED曲「STYX HELIX」同様に読みにくくて。キャストの方もイベントなどで読むのに苦戦されていました(笑)。

Mayu:申し訳ない(笑)。

Tom-H@ck:ラテン語で「矛盾の楽園」という意味です。

Mayu:歌詞にも“虹に黒を差し”など相反するワードが多くて。楽曲やジャケットなどもそうですが、「浸蝕」というテーマがあって、まさに第3章のスバル君そのものだなと。また「楽園」と聴くと極上の快楽や幸せが叶う場所みたいな、いいイメージがあるけど、そこに「矛盾」という言葉を付けることによって、何かに浸蝕されているようなイメージに変わります。この曲名はすごく気に入っていますね。


――歌詞の英語部分を調べると世界観や物語にハマっていますね。例えば“Now let me open the scar”の“scar”は“傷”だし、“Is this my insanity?”の“insanity”は“狂気”で。

Mayu:CDが発売されるまでは歌詞も公表されていないので、「英語部分は何て歌っているんだろう?」と話題になったようですが、歌詞を読んだら更に楽しめると思います。

Tom-H@ck:また歌詞が表示されていないために、聴いても実際にどんな歌詞なのかを聴き分けるのが難しいという声もありました。ネット上では“虹に黒を差し”が“虹に雲を差し”で議論になっていました(笑)。


――この曲について調べると、いろいろ解釈されているのを見ました(笑)。でも『リゼロ』のファンだから解読しようとしたり、それさえも楽しめているのかなと。

Tom-H@ck:確かに謎解き感がありますね。

Mayu:それは「STYX HELIX」の時もそうで、原作ファンの方は「これは何章の誰の気持ちじゃないか?」みたいに、それぞれが楽しんで聴いてくださっているのがわかってうれしいです。それだけ聴き込んでくださっていることですから。


矛盾感のある哲学的な歌詞はTom-H@ckさんの心境と作品の世界観がリンク!?

――歌詞を全文読んでみて、哲学的な自問自答のようで、考えれば考えるほど違ったものが見えてくる深さがあって。その奥行きがいいなと思いました。

Mayu:聴く人にとって、聴き込んだり、『リゼロ』のアニメや原作を読むことで見えてくるものが変わったり、深いものになっていく、いわば「生き続ける」曲なんですよね。

Tom-H@ck:歌詞については、実は制作サイドからはそこまで作品に寄せきらなくていいと言われました。MTYH & ROIDとして表現したいことを表現してくださいと。


――1Aの“赤い花の蜜”と2Aの“青い硝子に”はラムとレム、あるいは動脈と静脈をイメージしているのかなと。

Tom-H@ck:そこは考えているのかな? 一緒に作詞するhotaruとそこは話したことはないけど、それもあるのかも。

Mayu:歌詞に矛盾した表現が多いなと思った理由の1つが色で、「虹」や「黒」だったり。でも曲自体を聴くと色味を感じなくて。だから歌い方も無感情に聴こえるようにして、感情的なところは少なめにしてます。

Tom-H@ck:これはこぼれ話ですが、この曲を制作している時、すごく苦しい状況だったんです。人間って純粋なまま年を重ねる人は誰もいなくて。でもその純粋なものを、外からの刺激で浸蝕されても、前に進まなきゃいけないよと歌っていて。最後のサビで、“漂白されていたParadise”と歌っていますが、侵蝕される前の世界は漂白され過ぎていて、実は違う世界だったんじゃないかと。

反転してどちらが正義なのかわからないね、みたいなこの歌詞は、僕が苦しかった時期に「どうやってこれを乗り越えればいいんだ?」と悩んでいたのと重なって。でも答えはないからとりあえず前に進んでいくしかないと。“虹に黒を差し”のように、美しいものに汚いものを差すことになっても進まきゃいけないという強さ、人間が進むべき哲学みたいなものを表現したいね、とhotaruとの間で話しました。そこに芸術性を持たせたまま歌詞にして。それが結果的に『リゼロ』にマッチしたんです。


ボーカルはニュアンスと表情を微妙に変える。弱い歌声が強く聴こえる秘密は機材にあり?

――Tom-H@ckさんがスバルと同じように苦しんでいたからできた曲なんですね(笑)。Mayuさんの歌声からもいろいろな表情が見えてきます。実際にMVを見たらいろいろな表情をされていたかなと。

Mayu:そうですね。結構変えています。強く歌うか、弱く歌うかという純粋な音の強弱だけでなく、あえてニュアンスをつけないほうが伝わることもあるし。今回は読めば読むほどという歌詞だったので、自分なりに考えながら歌いました。その結果、A、Bメロ、サビでそれぞれ変えていて、Bメロの最後は力強く行くけど、サビでまた抜くとか、流れの作り方や歌い分けについては前作よりも高度なものになっていると思います。


――そして気になったのが大サビ前の“Live it up! ”の連呼が“レベルアップ”にも聴こえて。何か意図があるんじゃないかと想像してみたり。

Tom-H@ck:ここは最初、歌詞が複雑だったんです。でも繰り返すメロディなので耳障りがいいほうがいいなと思って、リテイクしたら今の歌詞になりました。

Mayu:曲全体の雰囲気もあるから、ここは盛り上がる、強いところなのかなと思いきや、私は弱く歌っています。歌詞から見えるイメージと実際の歌声とのギャップも歌詞の深みにつながってくれればと思ったんです。


――聴く側にとってはパンチが効いているので、あえて弱く歌っている部分もあると聴いて驚きました。

Mayu:サウンドやオケのインパクトの強さがそう感じさせるのかも。

Tom-H@ck:アレンジもそうなんですが、弱い音を強くして、強すぎる音を弱くして、全部平均して音を前に出すコンプレッサーという機材があって、それをボーカル全体に強くかけているので、全面にボーカルが張り出しているから弱く聴こえないという手法をしています。

Mayu:歌詞とサウンドと私の歌い方と『リゼロ』の世界観、様々な要素の化学反応が起こって、聴くたびに発見がある曲になったと思います。


レコーディングでは歌に入り込むあまりに記憶がない!?

――テクニカルな歌い方をされているとのことですが、レコーディングはいかがでしたか?

Mayu:私、歌に入り込んじゃうのであまりレコーディングの記憶がなくて。

Tom-H@ck:僕の経験上、こんなに大暴れする歌手はいないですね。

Mayu:暴れてはないでしょ!?

Tom-H@ck:自分で気付いてないかもしれないけど、めちゃくちゃひとり言が多かったり、イケイケ状態になってるけど、見ている僕ら側はどうしようかと(笑)。

Mayu:アニメでもスバル君はぶつぶつ一人で言ってるじゃないですか? 私もああなるタイプです(笑)。特にこの楽曲は難しいから「私はできる」、「私はできない」という葛藤をぶつぶつ繰り返すんです。でも歌っている間のことは覚えてない(笑)。

Tom-H@ck:ディレクションは「強いところは強くいきたいと思うけど、あえて弱くしてほしい」とオーダーしたくらいかな。
――そこまで入り込んでレコーディングしているとOKが出た後は抜け殻に?(笑)

Mayu:「あそこはああすればよかったな」と後悔が残ってしまって。100%自分自身で満足できたレコーディングは今までなくて。その後、ライブなど歌っていくごとに完成に近づいていく感覚で、この曲も歌うごとに私の「Paradisus-Paradoxum」になっていくのだと思います。でもライブで歌っている時も記憶がなくて。たぶん自分が歌になっているからなんでしょうね。もちろんここで盛り上げようとか、MCで告知など言わなきゃいけないこととかは覚えますけど……。

Tom-H@ck:彼女はMCでいつも告知を忘れることが多いです。

Mayu:そうだっけ? じゃあサポートはお願いします。

Tom-H@ck:でも僕がサポートできない時があるわけです。自分で世界観を作ってしゃべっている時に「そこ違うんですけど」とは言いにくいし(笑)。

Mayu:おかしいな(笑)。自分では真っ白と思っていて、曲を歌うごとに浸蝕されていく感覚です。私は苦しいけど、お客さんは楽しそうだから。


いろいろ凝縮されたAメロと全体に流れるワビサビが聴きどころ

――そこまで入り込んでステージでパフォーマンスされているのは、オーディエンスにとってもうれしいことだと思います。この曲の聴きどころやお気に入りのフレーズを挙げるとすれば?

Mayu:Aメロかな。甘い部分や柔らかい部分、不穏な部分や狂気を感じるところが混ざり合っていて。例えば1Aの“赤い花の蜜”は甘美なイメージだけど、その後に“濡れて隠れたノイズ”が入ると不穏な感じがするし、そして“ウマレカワリタイノデショウ?”のカタカナ表記とか、Aメロにいろいろなものが凝縮されていて。私も聴いている人が気付くか気付かないかくらいに歌い方を変えているのが個人的な聴きどころですね。あと“見つけたReality 穢れを知っても もっと…”から始まるラスサビも好きです。

Tom-H@ck:全体的にワビサビみたいなものがあって。Aメロは理論的に不穏な感じの和音を使っていて、「解き放たれたい」と思った瞬間にくるBメロはめちゃめちゃきれいな和声でできていて、「う~」と苦しんだ後にパーっと開放される感じがあって、そこからサビに流れていくところが聴きどころです。あと“Live it up! ”の連呼するところは中毒性があるように作っているので、みんな好きなんじゃないかな。


14話の特殊EDとなったカップリング「theater D」は絶望感をイメージ

――カップリング曲「theater D」は14話のEDで流れましたが、第3章でまた惨劇が始まるのを予感させる映像になりました。

Mayu:「STYX HELIX」のカップリング曲「STRAIGHT BET」も1回限りのED曲として流れましたが、まったく違った感じの切迫さや恐怖を表現しているなと。

Tom-H@ck:制作サイドからこのシーンで使いたいというオーダーをいただいて、すごく絶望感を感じるシーンなので、その絶望感を楽曲でどのように表現しようかというところから始まりました。

Mayu:14話ではOPが初公開で「Paradisus-Paradoxum」が流れて、EDでこの曲が流れたので、ありがたかったです。


――実際にED映像と共に曲が流れた時の感想は?

Mayu:衝撃的でしたね。絶望よりも衝撃が上回っちゃうみたいな。レムを追いかけて屋敷に戻るスバルの先に待つ不安や嫌な予感、緊張感などをこの曲であおるだけあおって、皆さんが見終わった後に絶望の余韻が訪れるスパイスになれていたらいいなと思いました。

Tom-H@ck:声優さん、マジすげえなって。声優さんの演技と映像、演出が合わさってエネルギーが頂点に達して、鳥肌が立ちました。


テンポ感とループ感がある強いサウンドと絶望を俯瞰で見た歌詞の深さ

――民族音楽っぽい雰囲気やノイズ混じりの重低音、加工ボイスなど不穏さ満載で、ホラー映画で惨劇が起きる場面で流れそうな感じの曲ですね。

Tom-H@ck:イントロなどブルガリアンボイスが入ってますからね。テンポ感とループ感があって、ちょっと強い感じで、というのは(オーダーとして)言われました。そこに寄せていった部分はあります。

Mayu:「Paradisus-Paradoxum」は自分が浸蝕されている気持ちで歌っていますが、この曲は逆に浸蝕してやるという気持ちで歌っているので、ダークだったり、呪わしい歌い方にしています。明るく歌っているところもあるけど、動いたら怖そうな人形が「ふふふ」と笑っているような明るさで。呪わしい歌い方が好きなので(笑)、歌に入り込むまでの時間は短かったです。


――歌詞も“This show will never end 何人も逃れられはしない”など絶望感に打ちひしがれて。

Tom-H@ck:hotaruと話したのは、絶望感を「絶望だぜ」というのは頭悪そうだよね、と(笑)。だから絶望を滑稽に見ている感じで、その滑稽もコミカルではなく、「もうどうしようもない」というあきらめに近くて。それをステージに立つ女性に例えて“滑稽なワルツ”にしたり、俯瞰で見て書いています。

Mayu:私的には、これを歌った後に死にたい、みたいな(笑)。すごく好きなのが、2Aの“Singing a song for my memories”から始まって“喝采で更に堕として”につながる歌詞です。名声や喝采を得れば得るほど自分が堕ちていくという意味で、舞台に立つ誇りがあるがゆえに堕ちていく感覚がすごく好きで。私を輝かせるのも喝采だけど、堕落させたり、死なせるのも喝采だという感覚で歌っています。私のイメージでは、ステージで華々しく成功した人がこの曲を、喝采をくれる人たちの前で思い切り呪わしく歌って、この絶望という名の劇場、シアターDが終わるという気持ちで歌いました。

Tom-H@ck:この曲だからというのではなく、実際にこんな感覚があるということ?

Mayu:うん。でも、私まだ名声ないから(笑)。今後、こんなふうでありたいという気持ちに近いですね。


歌い分けと表題曲とのコントラストを楽しんでほしい

――意図しないところでMayuさんの心情も描いていたんですね。

Tom-H@ck:もはや意図してますけどね。この子をどのくらい魅力的に魅せられるかも一貫したテーマで、それはデビュー曲の「L.L.L」の時から言っていて。「君は狂気のかたまりなんだよ」と言っても「いや、私は天使だから」みたいな感じで。

Mayu:それは本当にそう思ってるから。

Tom-H@ck:「違うんだよ」と口で言ってもわからないから、プロデュースで、いい意味での狂気的な魅力やみんなをひきつける部分を出していけたらと思っているです。

Mayu:「Paradisus-Paradoxum」でも自分が天使だと思って歌っているんです。白い衣装を着て……。

Tom-H@ck:次の話題に行きましょうか(笑)。


――「theater D」のお気入りフレーズや聴きどころを教えてください。

Mayu:歌い分けですね。自分が得意な歌い分けができたという実感があります。作中ではセリフと重なっていたり、ショートバージョンでしたが、フルで聴いていただけたらわかっていただけるかなと。「STYX HELIX」も「Paradisus-Paradoxum」もきれいに歌っているけど、この曲では一気に逆転して呪いま~す、みたいな(笑)。そのコントラストを楽しんでいただけたらと。

Tom-H@ck:この曲は実はそれほどメロディアスじゃなくて、どこで聴かせるかというとバックのコード進行で、「カッコイイな」と思うように作られています。逆に「Paradisus-Paradoxum」はメロディは濃いけど後ろは薄いという。1枚のシングルの中でそんなコントラストも出せていると思います。


「Paradisus-Paradoxum」のMVのテーマは「浸蝕」と「2.5次元」

――「Paradisus-Paradoxum」のMVですが、黒い帯に巻かれるMayuさんやモノクロで映った2人の映像にノイズが入ったりと、不思議な雰囲気でかなりカット数が多いですよね。

Mayu:監督さんが特殊な技術を駆使してくださって。

Tom-H@ck:白と黒が反転しているところは、赤外線カメラで撮影しています。僕の衣装とギターは真っ黒だったんですけど、衣装は白っ茶けているけどギターは黒のままなんです。あと音ゲーで体の動きをキャプチャーしてゲーム上に反映させるカメラを使用して、僕らを撮影してそれをグラフィカルにしたのが3D化したシーンで。スタジオにゲーム機を持ち込んでそれを撮影でそのまま使ったのには驚きました。

――デジタル技術を使用しながら全体的にモノトーン調で、Mayuさんの顔に絵の具が溶けるようなシーンやアンティークセットなどアナログさが混在するのもおもしろいなと。

Tom-H@ck:MVを発注する時にこちらからオーダーさせてもらったのが、「2.5次元に表現してほしい」と。いい感じでできたかなと思います。

Mayu:「STYX HELIX」では砂時計が反転して、またベッドのシーンに戻ったり、ストーリー性があったけど、今回はストーリー性はありませんが、最新技術を使って「浸蝕」というテーマを表現できているので、前回と違った方法で世界観を表せたと思います。最初の赤いイスに座って歌っているシーンが一番色味が多いんですが、実際、スタジオはもっと鮮やかできらびやかでしたが、映像上では抑えられていて。監督さんのこだわりで世界観が作られているのが見どころです。


ジャケットはこだわりの手作りアイテムで「浸蝕」を演出

――撮影時の印象的なエピソードは?

Tom-H@ck:今回、撮影時間もすごく長くて、1日で3つのスタジオをまわったのも初めてでした。最後のシーンは映像を合成するグリーンバックで撮影しましたが、何と午前2時過ぎになって。夜11時を超えるとMayuが本領を発揮して、みんなが疲れているなか、一人だけ「わーっ!」とすごいテンションでしたね。

Mayu:その時間帯になるとアガるんですよね。

Tom-H@ck:自分でも言ってたよ。「ここからがゴールデンタイムだ!」って(笑)。

Mayu:覚えてないですね(笑)。


――今回のジャケットのビジュアルコンセプトは?

Tom-H@ck:あれ、Mayuの顔なんです。

Mayu:「STYX HELIX」で腕を披露したのに引き続き。前回は生と死を強調したかったから生花と銀色の造花で、それを死に戻りをイメージして逆さに持ったんですけど、今回は「浸蝕」がテーマだったので生花と、無機質さを表現するためにプラスチックを焼いてバラの花の形にしたものを組み合わせて。

羽根にもレースやアクセサリーがいっぱい付いていますが、1回撮るごとに取ったり、付けたり、位置を変えたりしてベストバランスを探っていきました。大変だったのはバラの花で、分量を調整しようとすると二度とは戻せないし、他のものもポロポロ取れたりして(笑)。また撮影中はどんなふうに撮れているのか見えないのも不安で。最終的にはみんなで「浸蝕」というテーマに向かっていいものが作れたと思います。


<次ページ:もしMYTH & ROIDがリゼロのキャラソンを作るとしたら?>

(C) 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会
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